お出かけが俺のこと好きって言ってたらしい_週報230614

俺はそうでもないけど。
まあ好きって言われるのは気分いいよね。
付き合ってあげてもいいよ。

車でお出かけするのが好きだから車でお出かけしようぜ。
俺は運転するのが好きだから運転させてくれ。
運転が好きなんだ。
俺が好きなのは、運転…?

ごめん、やっぱりお出かけとは付き合えない。
俺、運転のことが好きなんだ。
お出かけが俺のこと好きなのは知ってるし、俺も全然嫌いじゃない、嫌いじゃないけど、本当の気持ちに気づいちゃったからさ…
俺、運転と付き合うことにする。

そうだよね、ごめん。
俺、酷い男だよ。
その場のノリで付き合うとか言っておいて、本当は自分は乗ってたいだけだったんだね。そうやってアクセル踏むみたいに君の心踏みつけて、バックする時みたいに君をピーピー泣かせて、ほんと、とんだもらい事故だったよね。
でも、この気持ちもう止められないから、急には止まれないんだ、車と一緒だね。
急ブレーキで空転してるみたいな、夢みたいな楽しい時間だったよ。ありがとう。
たまにインターチェンジ間違えちゃって高速降りちゃうかもしれないけど、その時は遠くで見守っててね。

一方、お出かけの心の中

「くっそ〜、運転みたいな軽い趣味に乗り換えられちゃうなんて!絶対見返してやるんだから!」

お出かけは免許合宿に向かっていた。
「ふぅ、ここが合宿免許かぁ、緊張するなぁ」
お出かけが合宿免許を取りに行った時期は丁度学生も少なく、周りは免停食らったおじさんが高卒の現場の兄さんだった。
「おう、あんたも合宿か?オートマ、マニュアル?」
何気ない会話、しかしお出かけの心には自分を振ったあの男、そして恋人を寝とったあの女。
「私、乗りこなして見せます。車も、あの男も」
お出かけの合宿免許生活が始まった。

合宿免許というと、コンビニやコマーシャルなどで最短二週間で卒業できちゃう、などという謳い文句から軽易なイメージを持たれがちだが、実際には2〜3ヶ月自動車学校に通うカリキュラムを二週間に無理やり凝縮した自動車版男塾のような過酷なスケジュールを過ごすことになる。
それくらい車に乗るということには、重大な責任と並大抵ではない努力が伴う。

───合宿免許1日目
「みなさんは車に乗るための資格を得る、このカリキュラムを終えたら車に乗れるわけですが〜〜〜」
教習所に着いた途端、講義と適性検査、休む暇はコマ間の10分休憩。一コマ50分が二週間に詰め込まれ、息つく間もないままカリキュラムが降り注ぐ。たまに空きコマがあっても教習所は基本的にインフラが通っているかいないか、ギリギリの田舎に立地しているため、コンビニや飲食店もあったものではない。30分くらい歩けばコンビニがある。日本の広さを痛感する。

そして1ヶ月後、俺の目の前に一台のレンタカーが停まった。
「私とドライブデート、付き合ってよ」

まあドライブデートなら行ってもいいかなって感じだ。
もう出かけるっていうより車に乗るのが目的なんだよね、こっちは。
車に乗る時間を稼ぐためにわざわざ遠いとこ選んで、車借りるんだよね。
全然、近場でもいいんだけどね。
運転するだけで楽しいんだ俺。


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