ハヌマーンの彼との出逢い1
休日を楽しむ友人を探していた私が、エンジニアの彼に初めて会ったのは、公園横のスターバックスだった。夏後半の優しい太陽の下、道の反対側から近づいてきた彼は、エリーさんですね、はじめまして、と綺麗に笑った。
細身で筋肉質な体は、柄の入った白い半袖のシャツとハーフパンツに包まれていて、すっとひきしまった脛の先に、スウェード生地のベージュのハイカットのNIKEがフレッシュで上品な印象だった。美しくカールした黒いまつ毛の後ろの、好奇心に満ちた優しそうな目が、細い黒縁の眼鏡の奥から、私に微笑んでいる。なんだろ、胸がゾワゾワする。
カフェラテを頼んでくれた彼の、右腕の内側には、大きなシヴァとハヌマーンのタトゥーが彫られていて、ハヌマーンの額には黄色とオレンジの炎がゆらめいていた。正しそうな彼の佇まいとのギャップに驚いた。たまに首を横に折るようにしてYesと言うのがあどけなくて、可愛らしかった。
カフェで生い立ちや仕事や日々のことを話していたらあっという間に2時間くらい経ってしまって驚いた。カフェから差し入れられた小さなブラウニーを味わったあと、彼に促され席を立ち、隣にある海の見える大きな公園の、人が少なめな木陰に、大きなバスタオル2枚を敷いて腰を下ろす。海からの穏やかな風が心地よく、少し遠くから誕生日のバーベキューを楽しむ人たちの声が聞こえた。
おやつと飲み物を横に置いて、改めて彼の全身と向き合う。どのような歴史を経て、今ここに、この身体が存在しているんだろう、と考える。繋がりがなかったはずの生命同士に、繋がりが作られていく不思議を思う。
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