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「ママ、しらん?」

18時12分。ご近所スーパーF〇escoの、入口から一番奥まった通路にある、パックジュースやらヨーグルトが並ぶ棚の右端の、そのまた一番したの列に腕を突っ込んで【本日の特価・酪農牛乳税込み161円】也の、賞味期限が先のやつ、早い話が奥の方のパックを掴んだ瞬間、グレーのポケモンTシャツ着用・推定年齢4さいくんの、おめめ光線にあてられた。


・・・え、ママ・・・


「ママ、いっしょにさがそっか?」


と、4さいくんのちょっと後ろをついていきながら、お菓子の棚、麺類の棚、野菜・・・とまわっていたら、あ、あの人がこの子のお母さんだと思しきお顔の、これまたグレーのTシャツ着用の女性が、精肉コーナーで、豚肉パックを熱心に物色中であらせられた。


4さいくんは、ちゃ~っとその女性のところにかけてゆき、<ママ>の左中指を掴んだ。ママは振向くことなく我が子と手をつなぎ、豚肉パックの最終選定に余念がない。


【今晩、この子らの大好物、作ったげるんやろなあ・・・】


と感じたのも束の間、「重たくなかったら、3本買ってきてくださ~い💛」との、LINEにおける女房殿の<厳命>を思い出し、僕は残り僅かであった牛乳特価売り場へと、取って返したのであった。

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