占い師が顧客に護符を売って稼ぐには?
ずいぶんと前のことですが、私が発行する古典護符集(秘密出版局の別名で発行)を購入した占い師のAさんから、メールが届きました。
書籍に掲載された護符を、コピー機で印刷して、自分の客に配ってもいいかという質問でした。
私は、印刷したものをそのまま配るのは権利上の問題があると回答し、そのうえでご自身の手で書き写して渡すのは問題ないと返答しました。
Aさんは、書き写して使う分には問題ないということを知って喜んでいました。
しかし、私はこの問い合わせメールが届いたとき、「なぜ、この人は、印刷して使おうと考えたのだろうか?」と疑問に思いました。
Aさんには、すでに常連の客がいて、その人たちに護符を配りたいと考えていました。
もしかしたら、占いのオプションとして、有料で護符を作るサービスをはじめようと計画していたのかもしれません。
占い師が客に、護符を作ってあげたいという気持ちはよくわかります。
しかし、お客さんは占い師のAさんのことを信頼しているのだから、Aさんが心を込めて作成した護符を欲しがるはずです。
それなのに、なぜ、印刷物を配ろうとしているのだろうかと私は不思議に感じたのです。
おそらく、Aさんには、古典護符の不思議な符形には特別な力が宿っているという固定観念があるのだと思います。
古式の符形に特別な力が宿っていて、その力によって、悪霊を祓ったり、願い事が叶ったりできるというのは、間違いではありません。
大昔の陰陽師たちが作った護符には、パワフルで魅力的なものがたくさんあると思うからこそ、私は数多くの護符関連書籍を出版してきたのです。
しかし、これら一連の書籍は、護符を使ったことのない素人や陰陽道の入門者向けに発行したものです。
Aさんのように、すでにスピリチュアル業界で活動し、顧客も多くいるような占い師は、古式符形に固執する必要はありません。
プロのスピリチュアリストとして、オリジナルの護符を作成すべきだからです。
オリジナルの護符を作るのに資格は必要ありません。
護符の中には「太上神仙鎮宅七十二霊符」「武帝応用霊符」のように広く用いられている型もありますが、基本的に護符は、呪者が民衆の求めに応じて創作するものです。
陰陽師たちは各時代の価値観に適した護符を作り続けてきたのです。
200年前と今とでは、人々の価値観は大きく異なります。
「古典護符だけが正しい」という縛りがあると、現代の人たちの多様な悩みに対応するのが難しくなってしまいます。
現代の陰陽師が作る護符も、一見すると古典風に見えるけれど、実は現代人向けに生み出された護符であるというケースが少なくありません。
私の書籍では、古式符形の仕組みを解説したり、進化系の符形の作り方を解説したりもしていますが、これは陰陽道の入門者が知っておくべき知識として紹介しているものであり、Aさんのように、すでにプロのスピリチュアリストとして活動している人は、古典風の護符を作る必要はないのです。
もし、伝統的な宗派や流派に属しているのであれば、過去の符形をそのまま写すことに意味があるかもしれませんが、そうでなければ、古式符形をそのまま使う必要はありません。
私が主に書籍で紹介している急急如律令系の護符の多くは、民間陰陽師たちが各時代の求めに応じて柔軟に生み出してきたものです。
ですから、現代のスピリチュアリストも、今の時代にあったオリジナルの護符を作るべきです。
特に、すでに顧客がいる占い師や霊能者の場合、オリジナルの手書きの護符を作ってあげたほうが、お客は喜ぶはずです。
古典護符のように、よくわからない記号や文字を書く必要はありません。
「がんばれ」と書くだけでもいいのです。
客の悩みや願いに応じて、「良縁に恵まれますように」といったメッセージを書いて上げてもいいと思います。
ハートマークを付け加えてもいいでしょう。
筆記用具も、筆にこだわる必要はありません、ピンク色のボールペンで書いてもなんの問題もありません。
信頼している占いの先生が、自分だけのために書いてくれた護符であれば、客は肌身離さず、お守りとして持ち歩くことになるでしょう。
そもそも、占い師は、一般の人よりも霊感が強いので、護符に念を込めることができるはずです。
わずか念力であったとしても、客は自分が信頼する占い師のパワーを敏感に感じ取ってくれます。
だから私は、すでにスピリチュアリストとして活動している人には、オリジナルの護符を作ることをおすすめしています。
最初は、常連客にだけ無料で配るのがいいと思います。
もし、対面式の占いをしているのならば、客の目の前で書いてあげると喜ばれます。
やがて、「先生のお守りのおかげで願いが叶いました」という報告が多く寄せられることになります。
もし、なんの報告もないようなら、護符の作成はやめたほうがいいかもしれませんが、すでに占い師として成功している人が作った護符は、強力なパワーを発揮することにちがいありません。
自分のお守りのパワーに自信が持てるようになったら、有料のサービスに加えればいいのです。