恋愛小説

あるブロガーが、「世界の中心で愛をさけぶ」がいいと書いていたので、僕は、伊藤左千夫「野菊の墓」を薦めた。
そうすると、好評だった。
僕は、読んで泣いた小説が、いくつかあるが、「野菊の墓」は、そのひとつである。
川端の「伊豆の踊り子」も、好きだ。
恋愛小説のなかでは、この2つが、印象深い。


「伊豆の踊り子」のなかでは、好きなシーンがいくつかあるが、「いい人はいいね」という踊り子の言葉が、いい。
「雪国」や「川のある下町の話」など、川端の文学は、哀しみの文学だと思う。
哀しいくらい美しいのである。


恋愛小説のなかでは、純愛小説もあるが、情愛小説もある。
「野菊の墓」「伊豆の踊り子」「世界の中心で愛をさけぶ」などは、純愛小説だが、「雪国」などは、情愛小説だ。
「結局この指だけが、これから会いに行く女をなまなましく覚えている」という一文が「雪国」にあるが、これは、体験しないとわからない。
実際、僕は、中学の時に「雪国」を初めて読んだが、いまいちこの文章の意味がわからなかった。
大人になって、同じような体験をして、指先に女の感触を覚えることを知った。


永井荷風や谷崎も、情愛小説だろうが、渡辺淳一が、一番、情愛小説を書いた作家だろう。
小説ではないが「センチメンタルジャーニー」という渡辺の作品が僕は一番好きだ。
純愛も情愛も、僕は好きである。

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