見出し画像

女の子の味方は、結局

「かわいい」という感情を、大切にしている。

「女子って何でもかんでもかわいいって言うよね」と揶揄されて封じ込めた過去もあるけれど。


「かわいい」の力を、信じている。

20代が抱く心の揺れ

気がつけば、婚姻届や子の写真がタイムラインを埋める歳になっていた。

酒を飲み「どういう人が理想か」なんて笑い合って話していた彼女にも今や将来を考える彼がいて、久しぶりに連絡を取った幼馴染みからは挙式の招待状が届く。

私はというと、自分のことで手一杯な生活を送り、勇気を出して参加した合コンはどうも上手くいかず、「恋愛」に対する自信を失っていた。

こんなことなら一人でいたいと思う反面、今行動しないと後悔すると脳内の自分が語りかけてくる。それらを全部取っ払いたくて布団に潜り込む…、を繰り返す。

「あぁ、これが枯れているということか…」

中学生の頃「干物女」の主人公が部長と恋に落ちる、なんてドラマがあったけど、リアルな干物女はあんなに可愛くないね~と僻んでみたり。

そして人間とは不思議なもので、一時的な感情が自分を支配していくことにはなかなか気付かない。例に漏れず私も、次第にネガティブな感情に飲み込まれ、自分自身を否定する時間が増えていったのであった。

誰かと比較することも、その結果落ち込むことも、もうやめたはずだったんだけど。

救いとなるきらめき

サンリオ展にて

昔からサンリオのキャラクターが好きだった。母親の影響もある。

最近サンリオピューロランドに行くアイドルちゃんたちをよく見かけ、私が応援している子も笑顔で楽しんでいる様子をSNSに投稿していた。

地元から近いけど最近行っていないなと思い、27歳にして母親を誘いピューロランドへ向かうことにした。

当日は朝からうきうき。なんだか肌艶もいいんじゃない?なんて思ったりもした。

さていざ多摩センター駅に到着すると、ホームからキャラクターデザインが散りばめられ、周りにいる女の子たちに混じって感動してしまった。

か、可愛すぎ〜〜

キティさんとしまじろう

駅前にいた記憶があるキティちゃん&しまじろうフィギュアはベネッセの近くに移動されていて、君たちも大変だね、、と同情しながら入場口に向かう。

その後はうわあ〜〜〜と言いながらアトラクションやイベントを楽しんだのだが、とても印象的だったのがハローキティとのグリーティングだ。

宮殿モチーフの建物はおそらくキティちゃんのお家。15分ほど並ぶと、宮殿にお邪魔することができた。

まず我々を迎えてくれたのは、これまでのキティデザインの数々を映像に落とし込んだ演出だった。同世代の女性も多く、「あ、あれ・・・!」といった懐かしむ声も聞こえてきて、心の中は共感の嵐。私たちのキティちゃん、ずっとずっと可愛いですね。

そんなこんなで宮殿を見学させてもらいしばらくすると、いよいよキティ様に逢える空間に。

「お客さまとキティをカメラマンが撮るか、スマホで一枚撮るか」

という制限があったのだが、撮影されることが苦手な母と私はスマホでの撮影を選択。そしていよいよパーテンションを越えてキティ様がいる空間へ、、、、

女神ことキティ様

「ふえ、、!!
か、か、かかわいいいいいいいい;;;;;」

衣装が想像していたものよりも圧倒的に好みだったこと、手があまりにも優しかったこと、

そして、何よりもとてもとてもかわいかったこと。

気がついたら涙が頬を伝っていました。

「あ、ありがとう、、、、」

頼りない声を出しながら退出すると、横に同じくらい涙ぐんでいる母親がいた。

ああ、私、気づかない間にハローキティの可愛さに日々救われていたんだな。そして母親も、もっと長い時間、救われてきたんだろうな。

27歳の今、楽しいことと苦しいことが同じくらいある今だからこそ、母親と通じ合えた気がした。


震えた脚のまま、パレードに向かった。

パレードのテーマは「かわいい」「なかよく」「おもいやり」。

劇中でハートのペンライトを振りながら、

「かわいい!かわいい!」

と叫ぶ部分があるのだが、叫びながら己を肯定されている気分になっただけではなく、自分が「かわいい」からとんでもなく大きな力をもらっていることに気がついた。

kawaii

…そうか。

かわいいという感情が私を生かしているのか。

女の子のアイドルを応援しているのも、サンリオのグッズを何かしら視界に入れていたいと思うのも、私が生きるために必要なことだった。

まさに生き方が「理解った」瞬間であった。

私の場合、他人と比較して空いた穴を埋めるのは、男性から肯定されることでも、仕事で認められることでもなく、かわいいものを「かわいい」と思う感情なのだ。

その時間だけは、何にも邪魔されることない純粋な私のままでいられる。誰に言い訳をする必要も、ない。

もしかしたら、ピューロランドに来るのは運命だったのかも。なーんて思ったり、思わなかったり。


あれからというもの、自分の周りに小さくてもハローキティか大好きなアイドルを潜ませるようになった。

小馬鹿にされても、いい。

私の心は、「かわいい」が照らしてくれるから。

kawaii達

最後に、ハローキティとハロー!プロジェクトに愛を込めて。


#創作大賞2024
#エッセイ部門



いいなと思ったら応援しよう!