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UNISON SQUARE GARDENの歌詞

UNISON SQUARE GARDEN の歌詞の良さは、
ストーリー性にない。

歌詞カードを見ると、
奇怪な文章が目の前に表示される。

文章というよりは
文字の羅列、単語の列挙に近いのかもしれない。

あまりにも脈絡がなく、
「寝言?はたまた奇人の発言集?」
と思ってしまうような有り様だ。

しかし、これが作詞作曲を行う
田淵智也の鬼才的才能の片鱗が窺える場所なのだ。

ここからは個人的に気に入っている
歌詞を取り上げていこうと思う。


メカトル時空探検隊 


『バスケットシューズを履き潰して

ピッチャーのマウンドへと旅立ち

華麗に倒立を決めても主審判断には逆らえない

ハリクマハリタ ずっと彼女に憧れたい

なら「いざ」って 

思い立ったなら止められない!』

まず題名のメカトルとは?
メルカトル図法?メカトロニクスの略?

そしてあなたは何を生業にする人なんですか?
バスケットシューズ履きながら
野球場のマウンドに躍り出て
倒立をする体操選手なんて世界のどこにいるんですか?

変な呪文を唱えるな!
彼女に憧れたい?勝手に憧れときなさい!

止められない?何が?
倒立ですか?
主審判断に対する恐れはどこへ?

と、ツッコミを入れ始めたら
止まらなくなる歌詞が延々と続く。
ちなみにこのもう少しあと
『全人類に愛とチョコレートを!』
とか叫んでおられるので、
博愛主義なんだな、とか和めるような和めないような。





アイラブニージュー 


『噂のコードネーム 左からABCDFG

絶対秘密主義なんですから 

あるとしたってもEじゃない』

この曲の冒頭の歌詞である。
題名から恋愛ソングを連想したのにも関わらずこの有り様だ。

このあとはまんまるまんのお月様を食べたら
ジョークだ、シュークリームだとかほざき、
123で端から端と主張し、
語彙がないから複合技で立ち話をすることを提案している。

一切愛についてなど説かない。

何を言いたいのかはよくわからないが、
ありふれた世界の中で、
好きなことを好き勝手叫んでいるのが
愉快で惹き込まれることは確かだ。





ため息shooting the MOON 


『Hey、六拍子は三で割ったら二拍子

小学校くらいの僕がある日突然閃いちゃって

正解はどれだっていいんだって

だって人間はいっぱい

たくさん、大勢、だらけ、ばっか

それだけいれば誰かがやってくれるよ』


確かに”小学校くらいの僕”は天才だ。

三拍子系は三で割ったら二拍子になる 
と音楽の規則を数学的に捉えるだなんて、
思考が柔軟な小学生だからこそ
思い浮かぶのだろう。

私はこのフレーズが何故だか大好きだ。
意味はわからないし、
どこが好きなのかはうまく言えないが。

でもなんとなく言いたいことは
わかるような気がする。
考えても無駄な気もするけれど。

そんな当てがあるようなないような
皮肉的予感を漂わせているのが
ユニゾンの歌詞の特徴なのだ。





フィクションフリーククライシス


『SF中毒です 

パパはエイリアンで

超能力がご自宅を戦場に変える

トイレは火星人 キッチンは金星人で

凄惨凄惨 キャトルミューも棒読み段階です』


冒頭からこんなことを言われても
理解に苦しむ。

ちなみにその後の歌詞では、
お姉ちゃんは家に男を連れ込み
陶酔壁が止まらないこと
ママは権力者を問い詰め邪念を煮込んで
フルコースのデザートに
致死量のチーズケーキを作っていることが判明する。

そんなこんなで、家族は頼りにならないから
サビで『結局世界は僕が救うしかない』と”僕”は謳っている。
なんとも奇妙な義務感で世界を救おうとしているものだ。

この曲は独特な言い回しが多いため
歌って楽しい、日常会話にとり入れても楽しい、
実に素敵な単語の羅列のオンパレードだ。

ちなみにこの曲内でのおすすめの歌詞は
『自意識がクライシス迷子』



と、ここまで変わった歌詞を
いくつか紹介してきたが
いうまでもなく数あるうちのほんの一部に過ぎない。

まだまだとてつもないものがたくさんある。

ぜひ自分の耳で探し、その意味を紐解いて欲しい。
きっと貴方の耳に馴染むフレーズが見つかるはずだ。

さて、ここからはうって変わって
私が感動した歌詞について紹介していきたい。

私は普段歌詞など意味も考えず、
面白い表現だけを耳に留め言葉遊びを楽しむ人間だ。

そんな私が感動した歌詞トップ3を以下列挙





3位 僕は君になりたい  


『みんな違うから普通じゃないは普通だよ』


さっきまでの歌詞を書いた方と
同一人物か疑うレベルのまともさ。

ものすごい当たり前のことで、
有史以来幾多も別のニュアンスで
言い回されてきたありふれた表現だろうが、
なんだかとっても私の心に沁みた。

自分と同じ人物はこの世に絶対いない。
不変の真理のようなものだ。
だから自分から見たら全員普通じゃない。
それが一律に広がっているから
普通じゃないは普通。
”みんな違ってみんないい”的な思想だ。

私事だが、私は周りの人々に、「絶対」と言っていい程
ほぼ毎日「変」「普通じゃない」と言われる。
その為、何かと「普通」について思索する時間は多い。
というか、かなり「普通」について悩んでいた時期がある。

そんな時この曲を聞き
月並みだが、なんとなく普通にこだわる思想を
自分の中から払拭することができた。

この曲は全体的に詩的で心に沁みる歌詞が多く、
自己肯定感を高めたい時のいい薬になる。
是非心が揺らいでいる時は聞いてみて欲しい。





2位 オリオンをなぞる


『最後に笑えるぐらいの青春を

夢を見て 恋をして

呆れ返るような日々を謳う』


「オリオンをなぞる」は
「シュガーソングとビターステップ」に並ぶ
ユニゾンの代表曲だ。

さて、この歌は先ほど紹介した曲とは違い、
詩的に歌詞を捉える曲でなく、
感覚で歌詞を捉える部類に入る曲だ。

私はこの歌詞を聞いた時
「こんなふうに生きたいな」と感じた。

最後に笑うことができるのは、後悔がないから。
夢も見たい、恋もしたい、
色々な事に挑戦したい、青春を謳歌したい。
そしてそんな呆れ返るほど駆け抜け続けた日々を、
いつの日か振り返り、語り合いたい。

「後悔しない生き方をしたい」
ということが前面に現れた歌詞に
私は心を強く打たれた。

この歌詞に共感を覚える人間は少なくないと思うので
ぜひメロディーと共に一聴してみてほしい。





1位 黄昏インザスパイ


この曲に関しては全部の歌詞が大優勝である。

端的にいうとこの曲は、
現在、私の人生の指針となっている。

題名からは想像できないであろうが、
なんとバラードである。

バラードではあるものの、
湿っぽさや辛気臭さは一切なく、
春の陽だまりのような曲だ。

良さを語りだすと止まらないので
是非聴いて確かめてみて欲しい。

生きてく理由がユニゾンである私が勧めるので
間違いなくいい曲であることは保証する。




と、まぁこんなところで今回は以上である。

私の文才で伝えられるのは
これくらいが限度だが、
幾らかユニゾンの魅力はお分かり頂けただろうか。

兎にも角にも
一聴じゃ読み解けないのがユニゾンの魅力。

大さじと小さじの気持ちいいところをつくような、わかるようでわからない天邪鬼なユニゾンの歌詞を、ぜひ自分の耳で確かめてみて欲しい。


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