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傘が印象的な映画 | JUNE | 12Months Movie

毎月、その月に合わせたモチーフが印象的な映画を、映画好きのイラストレーター3人が12ヶ月間に渡ってご紹介する「12Months Movie

第三回目は6月ということで傘が印象的な映画を、1人1作品ピックアップ!傘に注目することで、またひとつ映画の面白い見方が増えました。


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箱入り息子の恋 (2013) 

監督 /  市井昌秀

丸ゐまん丸  : 35年間、恋愛経験がまったく天雫(あまのしずく)健太郎(星野源)と盲目の美女・今井奈穂子(夏帆)。二人の箱入り息子と娘が出会い、恋に落ちていく、ちょっと変わったラブストーリー。今や国民的スターの星野源、初主演作品。

市役所の記録課に13年勤務する健太郎は生真面目、几帳面で、キッチリ仕事をこなすも、誰とも喋らない。お昼は徒歩で実家に戻って食事をするような、いわゆるコミュ障な男。一方、大企業の社長令嬢の奈穂子は、家でピアノを弾くことが唯一の楽しみであり、母が付き添わないと外も歩かせてもらえない。およそ出逢うはずのない、二人を結び付けたのは、健太郎が常に持っていた「折り畳み傘」だった。

セリフは最小限。とても品のある演出のオンパレード。目線や仕草、表情で、お互いの心情やバックボーンにリアリティを感じさせてくれる二人の演技はとにかく贅沢な時間です。まさにそこに生きている人たちを見せてもらっているかのよう。当時映画館で観終わってから、ぼくは今でも箱入りの二人を応援し続けている。

星野さん自身がメガネを選び、ごく自然に前半から後半にかけて明確な変化を作っている演出はすばらしい。ご覧いただければ胸が熱くなり、吉野家の牛丼が食べたくなりますよ。

Eika : 私も公開当時、劇場に観にいった!牛丼は本当に食べたくなります。初デートでの吉野家、奈穂子ちゃんが目で見えない分、健太郎が言葉で丁寧に牛丼を説明するのがとても優しいしお腹にくるよね…
Yuki : 不器用な人たちのお話は大好きなのでめちゃくちゃ観たくなった!このイラストの目を合わせられない感じ!とてももどかしそう!


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雨に唄えば (1952) 

監督 /  ジーン・ケリー、スタンリー・ドーネン

Yuki  : 俳優のドン(ジーン・ケリー)は、女優のリーナ(ジーン・ヘイゲン)と共にサイレント映画界のトップスター。しかし、他のスタジオの世界初のトーキー映画が大ヒットし、ドンとリーナもトーキー映画に挑戦することに。しかし、ドンは歌とダンスは得意だが、セリフはど素人以下レベル。リーナはキーキー声でシリアスな映画には到底向かない。また、音声を拾う設備が整っておらず撮影も難航。なんとかできた映画は、試写会で大失敗を遂げる。
そんなどん底の最中、ドンと、親友のコズモ(ドナルド・オコナー)、駆け出しの女優・キャシー(デビー・レイノルズ)は、素晴らしいアイデアを思いつく。その帰り道、ドンは大雨の中、逆境を楽しむかのように、傘を閉じて歌い、踊り出すのだった。

「傘」の映画といえば、「雨に唄えば」を思い浮かべる人も多いはずの名作ミュージカルですが、今、まさに見返して欲しい映画です。「雨」というのは映画の中では「涙」や「悲しみを流す」意味を込められることが多いので、めちゃくちゃハッピーなシーンの後に雨が降り出すと、悲しいことが起こるフラグだなと気づいてしまう方も多いと思います。
しかし、そんな「雨」を防ぐ「傘」を、閉じて踊り始めるシーンは、逆境があったからこそ、新しいことが楽しめることを全身で表現していて、嫌な雨が最高にハッピーになります。
今、まさに逆境に立たされる毎日の中だからこそ、生み出せるものもきっとある!そんな気持ちにさせてくれる映画です。

丸ゐまん丸 : 数年前に勤め先の福利厚生でオーケストラ上映で鑑賞。音楽が素晴らしいので、ぜひヘッドフォンでの鑑賞がオススメ!スクリーンでもまた観たいなあ。
Eika : なんとまだ観たことが無い名作のうちのひとつ…だけどあまりに有名な大雨の街で傘を差さず歌っているシーンはもちろん知っていて、「雨から守ってくれる傘を閉じる」という演出の意味を読み、そういうことなんだ…と思っています。雨の日に観たいな。


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シンプル・フェイバー(2018)

監督 /  ポール・フェイグ

Eika  : ニューヨーク郊外が舞台。主人公のアナ・ケンドリック演じるステファニーは、育児や料理について発信するブログを運営する夫を亡くしたシングルマザー。ある大雨の日、息子同士が仲良しのブレイク・ライブリー演じるエミリーに誘われ彼女の豪邸へ。

ヘンリー・ゴールディング演じる所謂一発屋の小説家の夫との生活を支えながら、ファッション業界でバリバリ働く華がすごすぎるエミリー。ブログで一発逆転を狙う野心的な面はありつつ、クソがつくほど真面目でその独特な挙動ゆえにママ友の間でも浮きまくってるステファニー。共通の話題もなさそうな2人、しかし場の流れでお互いの秘密を打ち明け合ったりして親密になる。そんなある日、エミリーはステファニーに「あるちょっとしたお願いごと」を頼んでくるのだが…

ステファニーの狂気にも近い優等生っぷりを見せつけられたあと(息子の通う学校行事のボランティアがしたくてたまらず、先生を困らせていたりした)、ただものならぬオーラのエミリーが真っ黒の傘を差して大雨の駐車場を歩いてくるこのシーン。ベクトルが別方向のすごい女がもう1人やってきたぞ…といわんばかりのこのシーン、見ているこちらは高揚しまくります。どのシーンでもバチバチに決まりまくっているエミリー、とてもおしゃれなポール・フェイグ監督の「女性版」というイメージのスタイリングとのこと。

郊外ノワールの今作、ありきたりな日常に潜む悪事の存在とその行く末にハラハラしながら、魅力が大満開の「アナケンもの」(だいすきです)としても最高です!

Yuki : 予告がめちゃくちゃクールでカッコよくてずっと気になっているのに未だ観れてない映画。中央の驚きの表情とか、何を表しているのかとても気になる!早く観なくっちゃ!
丸ゐまん丸 : これを期に初鑑賞!本当にポール・フェイグだったのか!?ってくらいギャップを感じました!

来月は遊園地がモチーフの映画をご紹介します!毎月12日に更新しますので、ぜひお楽しみに!


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