【旅行記】南房総ぶらり旅
2020年2月15日(土)。前夜に急遽旅へ出たくなった私は、房総方面へ日帰り旅に出ることにした。休日はどこかへ出掛けないと気が済まない私は、こんな風に急に一人旅に出てしまうことがよくある。
土曜朝の東京駅。京葉線ホームへ向かう通路はディズニー行きの人達で溢れていた。私はここから安房鴨川行き特急「わかしお」に乗車する。
特急わかしおは2種類の車両が使われているが、どちらも房総の海と菜の花をイメージしたカラーリングが美しい。今風に言うと「映える」車両なのだ。リゾート地へ向かう特急にぴったりなデザインだと思う。
9時ちょうど、特急わかしお3号は東京駅を出発。
やがて千葉県へ入り、右手に東京ディズニーリゾートや東京湾沿いの倉庫群を見るようになる。蘇我からは外房線へ入り、茂原・上総一ノ宮・大原と外房の街を抜けて行く。
東京から約80分、御宿のあたりからは左手に時折太平洋が現れるようになる。
10時53分、終点・安房鴨川に到着。
余談だが、東京と房総方面を結ぶ特急列車には格安の割引切符が用意されている。JR東日本のえきねっと会員(無料)限定の「えきねっとトクだ値」だ。
これを利用すると東京~安房鴨川間は片道2510円、なんと通常の値段から40%引きなのだ。同区間は特急を使わず普通列車で行っても2310円かかるから、実質プラス200円で特急列車の指定席が利用できるのだ。もちろん今回の旅もこれを利用した。
南房総のグルメを満喫
安房鴨川といえば「鴨川シーワールド」が有名だが、一人で水族館へ行くのは苦手なのでこの日はパス。その代わりに駅の改札横にある水槽を眺める。
まずはランチにしようと、駅から徒歩10分弱の「藤よし」という店へ入る。金目鯛、鯵などの地魚を使ったメニューが豊富でどれにしようか目移りしたが、おらが丼というものを頂くことにした。おらがとは房州弁で「わが家の」という意味で、鴨川では地元食材を使った各店独自のどんぶりを「おらが丼」として提供しているのだそうだ。
この店のおらが丼は、地魚しお天丼、鯵のたたき丼、金目鯛の生姜焼き丼の3種類のミニどんぶりが一度に味わえるというものだ。どれも美味しかったがに金目鯛のふっくらとして濃厚な身が特に印象的だった。
食後は太平洋を眺めるために海岸を歩いた。サーファー向けの店やオシャレなカフェなどがあり夏場は賑わうのだろうが、冬場のこの日は人気がまばらだった。
安房鴨川駅へ戻り、13時8分発の内房線・各駅停車館山行きに乗る。
列車は左手に太平洋を見ながら房総半島の先端へと向けて走るが、千倉で進行方向を西へ変えて太平洋から離れると、今度は東京湾側へ出る。13時49分、終点・館山に到着。
館山でも降りて少し散策をする。
駅から15分ほど歩き「渚の駅たてやま」という施設へ入った。海に面して建つこの施設は土産物屋やレストランのほか、館山の歴史を学べる博物館などが入っている。海中観光船なるものもここから出航するそうだ。
何か名産品を買おうと土産物屋を物色し、デザートにぴったりな「びわゼリー」を買った。びわは千葉の名産品である。びわの果肉がごろっと2つも入った贅沢なゼリーで、とても美味しかった。
渚の駅を散策しているとカラフルな高速船がやって来た。期間限定で館山へ寄港する東京~伊豆大島間の高速船だ。この時期の伊豆大島は「椿まつり」が開催されており、それに合わせて臨時で寄港しているそうだ。私は展望デッキへ上がり、船の発着の様子をぼーっと眺めていた。
館山駅へ戻り、16時16分発の内房線各駅停車千葉行きに乗る。途中、屋根にビニールシートが被さった家が目立つようになる。昨年の台風による被害だろう。今なお残る災害の爪痕の大きさに心が痛む。
16時45分、浜金谷で下車。 浜金谷駅のレトロな雰囲気、個人的にとても好きだ。
夕陽を眺める船旅
駅から3分ほど歩いて港へ出ると、東京湾に沈む美しい夕日が待っていた。
ここからは船旅だ。金谷から東京湾の対岸・久里浜までを結ぶ東京湾フェリーに乗船する。17時20分、船体に大きなチーバくんが描かれた「しらはま丸」は金谷港を出港。
先ほど港で見た夕日は雲に隠れてしまったが、それでも茜色に染まる東京湾は奇麗だった。船上から景色を眺めていたら40分間の乗船時間なんてあっと言う間だ。もう1時間ぐらい乗っていたかった。
18時ちょうど、神奈川県の久里浜港に到着。JR久里浜駅から横須賀線に乗車して帰宅した。疲れていたのか帰りの列車では爆睡してしまい、気が付けばもう東京だった。
今回の旅のルート (地理院地図を加工)