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信じてなければ、ここにいない ー 乃木坂46真夏の全国ツアー2023大阪公演2日目、早川聖来卒業セレモニー ー

卒業セレモニーを終えた数時間後に大阪駅から乗ったサンライズ出雲号の車内で急にいろんな感情が行ったり来たりするようになってきて、筆を起こし始めています。まだ感情の置き所が見つからないようで、ここまでまとめるのに数日、そして、まだまとまっていないところも多数あるようです。

6月下旬

そもそも、今回の大阪公演は2日とも仕事の予定が早々に入っていて、とてもでは無いが大阪まで行けるはずがなかったのです。そのため、あの日の夜、早川聖来さん最後のライブが大阪2日目だと知った時は卒業と引退のショックと同時に絶望と虚無と遣る瀬無さに襲われていました。この時点で、そもそも聖来ちゃんのいるライブに行ったことがなかった上に、全国ツアーの最初を飾る北海道公演のチケットも手にしてなかったので、最後の姿を目に焼き付けることや見送ることはおろか一度も生でその姿を目に焼き付けることのないまま別れの時を迎えてしまうのか、そう思わずにはいられませんでした。

北海道公演は一般販売でチケットさえ取ることが出来れば行くことができるのは間違いないのはわかっていたので、卒業発表の日のうちに一般販売に賭けることを決めましたが、問題は大阪公演。何がなんでも行きたいが、自分は雇われてお金を稼いでいる身分。自分に断る権利のない先約という大きな壁をどうにかするのは相当に困難な話でした。

しかし、ほんの少しばかりの運の良さが味方してくれました。仕事の予定が変わって、大阪2日目の日の午後だけは休みを入れられそうになったのです。次の日の予定の都合上、当日昼過ぎの新幹線で大阪入りして、翌朝までには東京に戻らないといけないという強行軍になることは確実でしたが、予定が空くのと空かないのとでは雲泥の差です。もうこれは「行ってこい」という見えざる力を持つ者からの思し召しだろう、と勝手に受け取った私は大阪2日目も一般販売に最後の希望を託す決心を固めました。

結果的に彼女のアイドル人生の後半しか推して来れなかったけど、最後のライブに立ち会えるのなら、行きたい。しかも、条件は整ったのです。もう最後は意地と執念でチケットを掴み取るしかないじゃないか。え、また遠征じゃないかって?東京から大阪なら、大丈夫、半日空けば行ける。
ーそう自分に言い聞かせた私はまたしても相変わらずの混みっぷりを見せつける新大久保にある皆中稲荷神社に神頼みに行き、決意を新たにするのでした。

7月1日

北海道公演初日。この日の正午が一般販売の開始時刻でした。無事に一般販売で北海道公演のチケットを取れたので開始時刻の居場所は当然札幌でした。どこで大阪の一般販売に挑むか少し考えた結果、ほぼそのためだけのやたらと高い宿代を払って前泊した私はホテルの部屋から縋るような思いで持ち込んだPCを開き、チケット確保を試みました。そして、拍子抜けするほどの短時間でチケットが手元にやってきました。
行けないと思った日に、行ける。そのことが決まった瞬間でした。喜びたいが、その日が来て欲しくないとも思う自分。ただ、後悔はしなくていいんだというのは明らかでした。

PCを閉じた後に昼食がてら大通公園へと歩いて行きました。札幌は前夜の大雨こそ上がったものの、曇り空でした。

北海道公演の話題はこちらで。

7月13日 

のぞみ231号

東京で午前中仕事をした後にそのまま東京駅へと向かい、14時ちょうどの新幹線に乗り込みます。「車内チャイムでAmbitious JAPANを聞くのもこれが最後かな」と思っているうちに品川に着き、その品川を出ると富士山が顔を覗かせてきました。曇っている上に高温多湿な時期に富士山が東京で姿を見せるのは珍しい気がします。

新横浜→小田原間 位置情報を見ると平塚市内


三島を出た直後

新横浜を過ぎても姿を見せていた富士山が、三島では全くもって雲隠れしていました。近づくほどに見れなくなっていく姿のようです。

このように外の景色を眺めたり、気づいたら近くに明らかに目的地が同じ人が座っていたことに気がついたり、本を読んだりして、先を急ぐ気持ちと急ぎたくない気持ちをごまかします。そうしていれば2時間半は実に短く、気づいたころには鳥飼の車両基地のすぐ横まで来ていました。
新大阪についてみると、もうすでに雨でした。

大阪城ホールへ

新大阪からJR京都線と環状線を乗り継いで大阪城ホールへと向かうのですが、「大阪城公園駅のコインロッカーは空いてないだろう」と想定した私は一駅手前で一大ターミナル駅でもある京橋でコインロッカーを探すことにしました。幸い、一番ホールに近い西口であっさりとガラガラのコインロッカーを見つけてそこに荷物を放り込みます。そして、ytv本社のすぐ近くまで屋根付きの歩行者デッキがあることに内心ガッツポーズしながらこの日の会場へと向かったのです。ここまで来ると、もう目的地が同じ方々が一気に増えてきていよいよなんだな、と実感します。

17時をとうに回ってようやく会場についたにもかかわらず、とりあえず物販コーナーへと足を運びます。普段はタオルマフラーくらいしか手が伸びないうえに、すでにタオルマフラーは手元にあるというのに、足が向いたのです。そして、今まで買ったことのないメンバー個別の団扇を買ってしまいました。湿度が高いから、と言い訳を自分にしながら。

折りたたみ傘は無力でした

物販コーナーから足早に戻って、入場口へと向かいます。「涙雨」という品のある表現からイメージされるものとは随分とかけ離れた土砂降りの雨が容赦なく降り注ぐ中、傘を差した人の群れは進みつつ、止まりつつ大阪城ホールに吸い込まれていくのでした。

思わず「真駒内とは違う!」と言いたくなる強烈な冷房の洗礼を受けつつ、自席へと向かいます。自席、とは言いつつも今回も立見席。立見ながらも位置が指定されていたので、そこへ向かいます。周囲を見渡してみると、やはり、聖来ちゃんのタオルを巻いている人や青x青にペンライトを光らせている人が相当目に入ります。まもなく、自分もその一人になるのでした。

本編

ライブでも目線で追うのは勿論、ただ一人のみ。青く点灯させたペンライトを振りながら、ひたすら追いました。とはいえど、ここは立見席。最後列の座席と全く同じ高さであり、双眼鏡を頼ってもなお目線で追うのに限界があったのは事実です。そのため、細かい表情とかはどうしてもモニター頼みでした。そこに時々アップで映し出される聖来ちゃんの姿は、とにかく美しいのですが、どこか今日が最後のライブであることを噛みしめているかのように感じられました。もっとも、私は聖来ちゃんが映し出されるたびに若干涙目になていたので、実はよく見えてないところもままあるのですが・・・。

各地の公演が盛り上がっているところかと思いますので本編の中身はほとんど書きませんが、MCで黒見明香さんが聖来ちゃんの卒セレの話題に触れて、この日欠席のメンバーの名前を全員挙げて意気込みを語ったシーンが特に印象的でした。この日不在の彼女たちの心境を思うともどかしいものがありますが、忘れていないことを会場で共有できたシーンだったのかな、と思いました。

青一色の世界

本編が終わり、その時が刻一刻と近づいてきました。アンコールを求める乃木坂コールがいつのまにか早川聖来コールに変わり、会場は青一色へと染まっていきました。無心に彼女の名前を叫び続けているうちに、モニターに映像が映り、1曲目が始まりました。

ここからはネタバレも何も最早無いだろう、という前提で行きます。

  • 1曲目 僕のこと、知ってる?
    多くのパートを聖来ちゃんソロで歌い上げた一曲。今この文章を書きながら改めて聴いていると、歌詞に色々と想いが巡るのですが、この時は久々に聖来ちゃんの歌声をじっくり聴けたなあ、という感想ばかり抱いていました。綺麗な声しているんだよなあ。

  • 2曲目 Out of the blue
    言わずと知れた聖来ちゃんのセンター曲かつ4期生16人が揃った初の曲。2月のバスラに参戦できなかった分、この曲はめちゃくちゃ楽しみにしておりました。もう、盛り上がることしか頭になかったです。聖来ちゃんセンターVer.を見る機会としては最初で最後であることはもちろんわかっていましたが、終わってみれば、何故かまた見れるんじゃ無いかと思っている自分がいました。

  • 3曲目 4番目の光
    原点。この時点で感極まるものがありました。既に1人が卒業し、3人このライブに不在、そして今また1人送り出そうとしているという4期生のこれまでの歩みを思い起こしていました。

  • 4曲目 Threefold Choice
    ごめん、一択
    というのは、さておき。3色ジェラートでライブで曲を披露できたのは本当に良かったです。ユニット曲、まだ諦めて無いですよ。

  • 5曲目 孤独な青空
    アリーナをトロッコで回る聖来ちゃん。近づけば大盛り上がりですよ。自分のところに近づけば、もちろん大歓声。
    …白状すると、見えてませんでした。それでも、声だけでも届いていれば万々歳です。

ここからは、各期を代表したメンバーからのメッセージ。菅原さん→久保さん→田村さんという聖来ちゃんとの関係性が深い人ばかりという人選だけでグッと来るものがありました。メッセージの内容は私が数日経った今でも殆ど消化しきれていないので、そのタイミングで追記します。今の時点で言えることは、聖来ちゃんが今後は自分を大切にして幸せになってほしい、というメッセージは全くもって同じ考えだということです。

そして、聖来ちゃんからのメッセージ。「私をどこまでも信じてくれてありがとう。」という言葉が、今でも脳裏から離れません。ここまでの彼女の歩みの決して整地された地面を進むだけではなかった一面がどうしても思い起こされます。まして、つい先日もマスコミを起点に流言飛語が飛び交ったことを思うと…。
人を信じることは大変かもしれないですし腹を括らなきゃいけないものかもしれません。そして、信じることが相手に届いているかは容易に掴めるものでは無いかと思いますし、届いていると簡単に言い切れるものでも無いのでしょう。それでも、ほんの少しでも、声援や応援や信頼というものが彼女の力になれていたのなら、救われる思いです。

「アイドルは愛を巡らせて、愛がまた帰ってくる場所」、という聖来ちゃんなりの解釈。噛み締めば噛み締めるほど、言葉が簡単には出てきません。ただ、推してきた人たちの想いが聖来ちゃんに届いていたこと、聖来ちゃんのファンへの想いが届いている手応えがあったからこそ辿り着いた解釈なのかな、と捉えています。


そして、最後の曲へ…

  • 6曲目 ひと夏の長さより・・・
    昨年、聖来ちゃんが休業していた時によく聴いていたという曲。しばらくは人前でこの曲は聴けないです。そして、このあたりから記憶が相当あいまいです・・・。

最後に、一人残った聖来ちゃんが挨拶してステージから姿を消して、セレモニーは終わりました。

もう退場のアナウンスが響いているのに、動けない自分。声すら出ず、ただ、うなだれるばかりでした。終わってしまったという現実を飲み込まなければいけないのに、簡単に飲み込めるはずがなかったのです。ダブルアンコールを求める早川聖来コールと退場を促すアナウンスが入り乱れるのを聞きながら、とりあえず、動く気力だけは回復させていきました。

雨上がりの夜に

名残惜しさを必死に無視しながら外に出てみると、もう雨は上がっていました。パネルやのぼりを写真に収めたのちに京橋駅まで引き上げることとしました。その道中の橋の上でふと横を見てみると、第二寝屋川の静かな水面に対岸のビルの明かりが映り、その横では大阪城ホールが輝いていました。そういえば、大阪は昔からの水の都。水面に映る美しい景色は大阪を彩る要素の一つでしょう。大雨が止んで、その後に姿を見せたこの光景は、セレモニーのスピーチで「近くの高校の制服を着てこのあたりを歩いていた」と語った大阪の高校生だった彼女が、アイドルとして努力を重ねて5年間を走りぬき、大阪城ホールを花道に次なる世界へと進む時を迎えていることに対するこの大阪の地からのエールのようでした。

最後に

卒業セレモニーが終わって、ふと気を抜くともう終わってしまったかのような気になってしまいますが、まだ1か月もあります。最後までいい思い出をたくさん積み重ねてほしいですし、私も乃木坂46の早川聖来さんを最後まで推し続けたいです。


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