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ラスト1試合に掛ける思い
ピッ、ピッ、ピーーー!
試合終了の笛がグラウンドに鳴り響いた。
思考が停止した。
周りを見渡すと、多くのチームメイトが涙を流している。
私は、そんなチームメイトを見ながらグラウンドを後にした。
2022年11月3日。
この日は、プレーオフという、私たち文教大学体育会サッカー部にとってとても大事な試合の日だった。
当時のプレーオフの重要性が分からない人のために、簡単に説明する。
1年間、リーグ戦を全力で戦ってきた。それはもちろん、やるからには優勝をしたいからという理由である。 しかし、それだけではない。 翌年に、関東大学サッカーリーグNorte1部に昇格したいからという理由でもあった。
当時の関東大学サッカーリーグNorte2部のリーグ戦システムとして、1位と2位は「自動昇格」。
3位と4位は「プレーオフ」というステージに進み、「プレーオフ」で勝てば、昇格出来るというシステムだった。
私たち文教大学は、優勝を目指してやってきたが、リーグ戦途中にして、優勝が絶望的となってしまった。
そんな私たちに残されていたのは、プレーオフで勝利をし、Norte1部に昇格する事のみだった。
私たちの、プレーオフにかける思いは本当に強かった。
相手は、白鴎大学さん。
プレーオフのルール上、Norte1部のチームは、引き分け以上で勝利となる。
つまり、Norte2部の私たちが昇格するには、勝利をするしかなかった。
相手も負けてしまったら、降格をしてしまう為、もちろん必死になる。
そのため、試合はとても白熱していた。
そんな中、私たちは先制をし、試合時間残り10分まで1対0で勝っていた。
このまま勝てるかもと、誰もが希望を抱いていた。
しかし、セットプレーで失点をし、同点とされてしまった。
そのまま刻々と時間が過ぎ、
ピッ、ピッ、ピーーー!
試合終了の笛がグラウンドに鳴り響いた。
試合は同点で終了した。
私たちは、
試合には負けていないが、
勝負に負けた。
思考が停止した。
周りを見渡すと、多くのチームメイトが涙を流している。
私は、グラウンドで涙を流しているチームメイトを見ながら、グラウンドを後にした。
試合に勝ち、お世話になった先輩に恩返しをしたかった。自分の中では、それが1番だった。
あの時の悔しさを今でも忘れたことはない。
もう二度と同じ思いはしたくないし、後輩達に同じ思いをさせたくない。
今度は先輩達へではなく、大好きな後輩たちの為に、自分は全力で戦いたいと思う。
自分と同じように、一昨年のプレーオフを経験した3、4年生はこのプレーオフに掛ける思いがとても強いと思う。 あの時の悔しさをバネに、今回のプレーオフも絶対に勝利したいと思う。いや、勝利をしてみせる。
その為にも、ラスト1週間しっかりと良い練習をし、最高の準備をして、プレーオフに臨みたいと思う。
行こうぜ、文教。