意外性

パリオリンピック女子ビーチバレーの決勝で
両チームの選手がネットをはさんで口論になり
激しく言い争い一触即発状態に
その時、会場に『イマジン』が流れた
選手たちもすぐに気づき笑顔になったが
大会運営側のファインプレーだったと思う

ただ、こういう言ってみればドキメンタリーな
予想できない場面だから効くので
映画とかドラマなんかで
爆撃で破壊された街のいたるところに瓦礫の山ができ
再び爆音が響きカセットレコーダーが飛び出てくる
止まったところで偶然スイッチが入ったのか流れだすラブソング
と、こんなかんじでもちろん感動はあるが
レコーダーが見えれば何かの曲がかかるのは想像がつくし
ビーチバレーほどの意外性はない

お笑いでも意表をつくのは大事だ
テレビカメラに向かってレポーターが話し出す
「異常気象による災害の多発
各種詐欺や強盗などの暴力事件の爆発的な増加
円安による物価の上昇も天井知らずで
今日はこの地方の街に暮らす人々の表情をレポートします」
心細いのか電柱にしがみつくように立っている少女
高齢の女性が大きな荷物を引きずっているがなかなか進まない
硬い表情で足早に歩いていく男性

突然、少女が歌い出す
♬　むすんで　ひらいて　手をうって　むすんで～

すると高齢の女性も続き
♬　またひらいて　手をうって　その手をうえに～

男性も暗い顔のまま歌い始める
♬　むすんで　ひらいて　手をうって………

やがて歌声が街のあちらこちらからも聴こえてきて

レポーターが締めくくりのコメントで
「街に、動揺（童謡）が広がっていますッ」と