ネコは
「ネコなんか可愛くないよ、怒ってる顔、悪魔みたいだし」
「違います、ネコは天使です」
「わがままだし、気まぐれだし、なかなかなつかないし」
「そこがいいんじゃないですか、従順な天使なんてつまらないッ」
最近どこでも聞く動物カワイイ論争が職場で始まった
こういう時うちの会社には歴史好きが多くて
まず天使派がネコは古代エジプトやイスラムではおおむね神聖な動物とされ
日本でもそんなに古くはないが
江戸時代から招き猫のように縁起物として扱われてきたと主張すると
悪魔派もキリスト教の国々ではほとんど悪いイメージだったと譲らず
特にイギリスでは
黒ネコが家の前を通ったらいいことがあると言われていると
えッ、それって良く思われてるんじゃないのと天使派がつっこむと
いやいや、自分の家の前を邪悪なものが何もおこさずに通り過ぎた
悪いことがスルーされたという意味で
ネコが悪の化身だというのは動かないと悪魔派が切り返す
判っていたとはいえ
結局お互いが自分の知識をひけらかすだけになってしまい………
ジャジャ~ン、ここで半田さんの登場です
半田さんは名前の通り
社内で仕事はもとよりなにか揉め事があると
うまく間を取っておさめるという知恵者の調整役でありまして
今回もさぞかし妙案を出してくれるんだろうと期待していたら
「おれ、ネコは悪魔だと思う」と、完全に悪魔側についた
予想外の展開に双方ともすこし驚いていると
知恵者は笑みを浮かべながらさらにこんなことを付け加えた
「だってネコも悪魔も、自分のこと『ワガハイ』って言うだろ」