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今日会いに行きたい!気になる土偶#091福島県立博物館

目鼻立ちが整った土偶は、縄文人をそのままを写しとったように写実的です。
赤ら顔と同じ色のターバンを巻いたような頭、そこに開けられた2つの孔…何か意味ありげに見えてきます。

今から約2400年前 縄文時代晩期

ターバンの様に見えるのは髪型。
縄文人の髪型を写していると言われています。
顔や頭は赤いウルシで塗られていますが、完全に失なわれてしまった体の様子は伺い知ることができません。

この土偶は水分を多く含んだ低湿地帯で見つかりました。そのお陰で、普通では腐ってしまう木製品やウルシ塗製品、繊維製品が多く残されていました。

左:竪櫛、右下:耳飾り

土偶と一緒に多くのウルシ塗りの土器や弓矢などの道具、そして櫛や耳飾りが見つかりました。髪を飾る竪櫛たてぐしと呼ばれる装飾品もその一つです。

写真では確認しづらいのですが、この土偶の頭に開けられた2つの孔の一部に、ウルシが塗られていない部分があります。

展示の説明によると、
「この孔を利用して櫛に見立てた何かを取り付け、そこにウルシを塗っていた可能性がある」ということです。

つまり土偶の頭は、草木などで作られた櫛をつけてから、全体にウルシ塗りが施されたようです。そして長い年月の間に櫛だけが腐って無くなってしまい、穴と櫛の接部のウルシが塗られていない部分が表れているというのです。

さらにこの遺跡からは、漆の貯蔵容器や、斧の柄などの木製の未完成の品が多く残されていました。
このことは、単に暮らしの中で自分たちが使うために作ったのではなく、生業なりわいとしての可能性が考えられるということを表しています。

これらが出土した荒屋敷遺跡は、福島県会津地方の山間部にあり、冬は深い雪に閉ざされる場所です。
この地域の特性から漆塗りや桐細工といった工芸品が受け継がれ、現在も産業として成り立っています。
ひょっとするとその源は…この遺跡であったのかもしれませんね。


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