トルコへ思いを寄せて
トルコ南部を襲った大地震、刻々と明らかになる犠牲者の数や被害状況に、胸が締め付けられる思いです。
2019年にトルコ・イスタンブールを訪れ、街中を存分に歩き廻った様々な場面が、今いっそうに思い出されます。
トルコで象徴的なのは、やはりイスラム教の礼拝堂であるモスクではないでしょうか。
国民の99%がイスラム教徒と言うだけあって、街中の至るところにモスクがあり、イスタンブール市内ではその数は千カ所とも言われています。
立派なドームのあるモスクから、小さな建物の一室、商店街の一角にあるモスクなど、一日5回の礼拝が如何に生活の一部であるかがわかります。
中でも世界屈指の規模の大聖堂で知られるのは、世界遺産でもあるアヤ・ソフィアです。
私が訪れた2019年当時は博物館として公開されていましたが、現在は政府の政策によりモスクに戻されています。
現存するアヤ・ソフィアは537年に再建された3代目、ビザンチン帝国の時代にキリスト教(正教会)の教会として建てられました。
その以前の360年に建てられた初代と2代目は火災で焼け落ちています。
それから1,500年近く、何度かの地震によって崩れたり、増幅や補修を経て、今尚ほぼ当時の形をとどめているのには驚きます。
15世紀にはオスマン帝国がこの地を征服し、キリスト教の教会からイスラム教のモスクへと改修されました。
主な構造は石造り、その他の部分やドーム形の屋根は煉瓦で作られています。
室内の広さは横幅70m、奥行75m、屋根のドームは直径31m、
小さな開口部から差し込む光が、とても美しく幻想的です。
天井近くにある円盤状の文字は、19世紀に書かれた直径7.5mの書で、右がアッラー、左がムハンメドとアラビア語で書かれています。
モスクに改修された際、イスラム教のモスクに欠かせないミフラーブ(聖地メッカの方向に作られる壁の窪み)などが加えられましたが、建物の基本構造はそのまま使われました。
ここにはマリア様の姿。
モスクに改修された時には、漆喰で塗りこめられていたそうです。
こちらにも。
偶像崇拝が厳禁なイスラム教では、これらも全て隠されていました。
中央に大きな空間を作り、両側に小さな廊下を配するバシリカ式教会は、古代ローマ建築に良く見られる構造です。
2020年7月にモスクに変更されたアヤ・ソフィアでは、恐らく、キリストやマリアの姿は見ることはできなくなっていると思われます。
今となっては貴重な姿であったのかもしれませんね。
イスラム教の礼拝は1日5回あることで知られています。
その礼拝の時間は太陽の位置によって決まるので、その時間は毎日微妙に違ってくるそうす。
それを知らせるために、礼拝時間の直前に行われるのがアラビア語で礼拝への呼びかけをするアザーンです。
大音量でのアラビア語のアザーンは、遠い異国にいることを充分に感じさせてくれます。
こちらは礼拝の前に、足を清める敬虔なイスラム教徒の姿。
アヤ・ソフィア近くのスレイマニエモスクでの光景です。
金曜日は、イスラム教徒にとって特別な金曜礼拝があります。
イスラム教徒と言ってもその信仰の深さは人それぞれで、ふだんはモスクに足を運ばない人や時間通りに礼拝をしない人もいますが、この金曜日の正午の礼拝は特別なようです。
明日(2月10日)は世界各地のモスクで、地震で亡くなった多くの命や困難な状況の人々のために祈りがささげられることと思います。
私の好きなトルコの諺です。
今こそ、この言葉を大事にしていきたいと思います。
お読みいただき有難うございました。