縄文時時代の土偶 「遮光器土偶」の生まれた「縄文遺跡群」が世界文化遺産に登録決定!
祝!世界文化遺産登録決定
「先史時代における農耕を伴わない定住社会、複雑な精神文化を示している」
日本の代表的な縄文遺跡の北海道と北東北の縄文遺跡群(17遺跡)を、ユネスコが世界文化遺産に登録することに決まりました。
日本の世界文化遺産は20件目。
数々の縄文土器、縄文土偶が出土している北海道と北東北の縄文遺跡群。その一つの青森県つがる市の亀ヶ岡石器遺跡から出土した遮光器土偶は、古くから知られる日本の代表的土偶の一つ。
一度見たら忘れられない!遮光器土偶を見てみましょう。
1. ゴーグルを着けている?遮光器土偶
何といても「目」が特徴的な遮光器土偶。
雪の照り返しから目を守るためにゴーグルを着けているという説から「遮光器土偶」と呼ばれるようになりました。
青森県つがる市亀ヶ丘石器遺跡 出土 明治大学博物館所蔵
ゴーグル?サングラス?大きな目を閉じているだけ?ちょっと眠そうにも見えるような‥。
目は楕円形の中央に線が一本引かれているだけ。
頭の上の「王冠型」と呼ばれる装飾には、かすかに赤い彩色がされています。
縄文時代の晩期に登場したこの遮光器土偶は、この他にも東北を中心として北海道、北関東からも出土しています。
大きさも大型から小型までいろいろ、目の表情や体の模様、頭の装飾もバリエーション豊富な土偶の一つです。
同じ亀ヶ岡石器遺跡の遮光器土偶‥まさしく同郷の仲間どうし。
似てるけど、頭の装飾や目の大きさ、体の模様など、微妙に違いますね。
こちらは明治大学博物館で出会ったキュートな遮光器土偶たち。
手のひらサイズの土偶 かわいい!
亀ヶ岡石器遺跡
1622年津軽藩主が城を造る際に、多くの壺(甕)が出た丘ということから、「亀ヶ岡」の名前がついたといわれている。
2. 土偶の始まりはいつ?
平成に入ってから発見された、三重県松阪市の粥見井尻遺跡と滋賀県東近江市の相谷熊原遺跡から出土した、草創期の土偶が始まりとされています。それまでは「縄文早期に関東地方で作られその後全国へ波及したと」考えられていました。
2つの遺跡から出土した土偶は、頭も手足もはっきりしないものの、人間を思わせる形をしているという共通点があります。
土偶の誕生時期、誕生地域が大きく変わったことで、新しい精神文化の誕生、その時代の人々の暮しや社会の様子などを探る大きなヒントになるものとされています。
粥見井尻遺跡出土 三重県埋蔵文化財センター所蔵
全長 6.8cm、幅4.2cm、厚さ2.6cmの小さな土偶は、女性の上半身を形どったように見えます。
3. 土偶は何のために作られた?
人間のようで人間でないような?土偶はなぜ作られたのでしょうか?
安産祈願や豊穣の呪い具説、信仰の対象、祭祀にかかわるもの、子供の玩具説など色々ありますが、未だに「謎」とされています。
土器に多種多様な形や文様が見られるように、縄文時代のデザイン力や技術力はかなりのもの。
このことから、人間をデザインしたのであれば「あえて写実表現をしなかった」ということに繋がると思います。
また上記の遮光器土偶の頭上にも赤い彩色が残っているように、多くの土偶が赤く塗られていた可能性があるということが解っています。
この彩色はウルシの木から採取した漆塗によるもの。
遮光器土偶が多く出土された亀ヶ岡石器遺跡からは、漆塗の土器、耳飾りやネックレスなどの装飾品、ウルシの液を貯蔵した甕、顔料(ベンガラ?)を粉末にした石器なども出土しています。
漆塗にとても手間暇がかかることも考えると、特別な日に使う大事なものだけに漆を塗ったと思われます。また赤という色は、日本のみならず古今東西、血や太陽を象徴する特別な色とされてきました。
このことからも、土偶はやはり何か精神世界に関わるものであったのでは?と考えられるのではないでしょうか。
縄文人が赤い土偶に何を見ていたか? 何を託し、何を願ったのか?土偶の正体を探ることが、縄文人の精神文化に近ずくヒントになりそうです。
4. 世界最古の土偶「ドルニ・ヴェストニッツェの金星」
世界最古の土偶とされているのは、チェコ共和国の「ドルニ・ヴェストニッツェ」遺跡から出土した旧石器時代の女性をかたどった土偶です。
旧石器時代には、土器などの土を使った焼き物は無かったとされています。
この土偶は、土で作られた人形が、自然乾燥され、何等かでおこった火災よって焼かれて完成した「偶然の産物」ではないかと推測されています。
女性を思わせるプロポーションが美しく丹精に作られています。
縄文土偶の持ったとされる精神文化的なものはあるのでしょうか。
日本から遠く離れた中央ヨーロッパの土偶。
何かを‥感じさせられます。
◇◆最後まで読んでいただいて、有難うございました。
縄文土偶に少しでも興味を持っていただけたら、嬉しいです♪◇◆
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