11/15-今日会いに行きたい!あの気になる土偶
かれこれ一年ほど前になりますが、
大河ドラマ「鎌倉殿」の舞台にもなっている三浦半島のお寺で、運慶作の仏像を拝観しました。
平安時代末期~鎌倉時代にかけて活躍した天才仏師の運慶。
奈良 円成寺の大日如来像や東大寺南大門の金剛力士像が代表作として良く知られていますが、鎌倉武士の和田義盛の発願により造仏された5体が、横須賀市の浄楽寺に安置されています。
浄楽寺にある運慶仏は、阿弥陀如来坐像と脇侍の観音菩薩立像、勢至菩薩立像、不動明王立像、毘沙門天立像の5体。
運慶仏の特徴である、生き生きと量感豊かで力強い作風でありながら、どこか穏やかさを感じる美しい造形であったのが印象的でした。
そうした中にも、当然に仏それぞれの種類の表情があり、阿弥陀如来坐像は釈迦の姿を現しているように、厳しい中にも優しさが見られ、毘沙門天立像は戦いをつかさどる仏であるように、迫力に満ちた表情が見られます。
そこには仏教の教えや神髄が表現されていると、改めて感じたものです。
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今日の土偶はこんなやさしい顔の板状土偶。
高さは25.5㎝、縄文時代中期に青森県つがる市で作られました。
目を閉じている穏やかな顔に、心が和みます。
でも、斜め上から見てみると、
その穏やかな表情があまり見えなくなり、少し違う印象にも感じられます。
あれ、どこかで見かけたような、と思う方も多いのでは?
そう、あの有名な三内丸山遺跡の大型板状土偶にそっくりなのです。
こちらは高さ32,4㎝、〝ムンクの叫び〟とも呼ばれるように迫力ある表情は、少し怖さすら感じます。
今日の土偶と三内丸山遺跡の大型板状土偶は、
共に頭部が少し凹んでいて穴があり、縄で編んだような目元と体の文様が特徴的な土偶です。
大きな違いは、その全体的な大きさと、目を大きく見開いているか、閉じているかのようです。
ここまで似ている土偶であると、制作した人が同じである、あるいはとても近い人であった、または土偶が運ばれたなどと推測されるのが一般的のようです。
そうは言っても、
一年前に運慶仏を拝観して感じた〝祈りの対象〟としての表現を思いおこすと、私の頭には勝手な妄想がどんどんと沸いてきます。
土偶にも如来や菩薩、明王や天部といったようなそれぞれの役割があり、それぞれに表現され、その姿を通して何かを伝えているのでははないか、と…。
土偶がなんであるか…
見つからない答えにあれこれ思うのも、案外楽しいものです。
お読みいただき有難うございました。