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明日も明後日も…【千葉の縄文土器】
「明けない夜はない」
シェイクスピアの戯曲「マクベス」の台詞として知られていますね。
悲しいことがあった時や
大きな災害がおこった時、
まるで世界が変わってしまった、と思える時も、
家の窓から眺める景色は昨日と変わりなく、
いつもと同じ景色が広がっていることを、
その度不思議に感じてしまいます。
朝にになると、
大空の下へ太陽が顔を出し、
それに合わせて人や動物が動き出す。
どの時代に生まれても、どこで生活しても、
この空の太陽の下にいると思うと、
時間も空間もぐっと縮まる感じがします。
これは約4,000年前の深鉢形土器です。
数年前に初めて見た時、ぎこちない渦巻文様に、つたない技巧の縄文土器だと思い、あまり気に留めることもありませんでした。
ところが先日再び見る機会を得ると、それは全く違う印象に変わりました。
まるで太陽が地上から力強くが昇っていくような、強い風が吹いても、何があっても登っていく、という太陽の存在を表しているように思えてきます。
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渦巻文様と菱形文様が施されています。
縄文時代後期
千葉県宮本台貝塚・加曽利貝塚博物館
縄文時代の人にとっての太陽は、
〝今日が始まる〟という合図であると同時に、
〝今日も生きられる〟という意味であったのではないでしょうか。
そしてそれが、
ずっと繰り返されるようにという願望が、
この土器にこめられているように感じます。
今の生活の中でも、お日様、お天道様…と、敬意をこめて、また親しみをこめた呼び名で、時には神のように、時には母のように例えられることも多くありますね。
約4,000前から今日まで、明日もこれからも、毎日昇る太陽に人々はずっと支えられてきたのだなぁと感じられます。
暑い日が続くと、ギラギラした太陽の光が恨めしく感じますが、縄文時代の人々もこのギラギラに照らされてきたのだと思うと、「ありがとう。これからもよろしく」と声をかけなくてはいけませんね。
私の何が変わって見え方が大きく変化したのかは分かりませんが、縄文土器の造形は、時には現代アートのように心に感じるままに見ると、違う何かを見ることができるようです。
明日も暑い一日となりそうです。
多くの人の心穏やかでありますように、祈ります。
最後までお読みいただき有難うございました。