土偶の長い旅
彼はまっくう。
東京都町田市の田端東遺跡で発見された、縄文時代後期に作られた中空土偶(内部が空洞になっている)の頭部です。(町田市考古資料室蔵)
町田市で発見された中空土偶であることから、「まっくう」の愛称が付けられています。
高さ7.5cm、首から下は欠けてしまって見つかっていませんが、全体像を想像するとかなりの大きさであった可能性があります。
頭の上の大きな2つの突起は、髪の毛を表現したものと考えられています。お団子のように結っていたのでしょうか。
上から見ると、大きな穴になっているのが良くわかります。
かなりの大きな空洞になっているところが、不思議で面白いですね。
さて、中空土偶と言えば、言わずと知れた国宝の中空土偶を思い浮かべるのではないでしょうか。
北海道函館市の著保内野遺跡で発見されたに中空土偶は、高さ41.5cmの日本最大級のほぼ六頭身で、バランスの良いプロポーションが目を引きます。
厚みは、一番薄いところは僅か1ミリ程度という極めて精巧に作られた土偶です。さらに全体に繊細な数々の文様、脚の部分に微かに朱や黒の顔料が残っています。
この大きさに丁寧な作り、地域の象徴として、とても大切な意味のあった土偶と考えらてれます。
驚くことは、見ての通りまっくうにそっくり、瓜二つなのです。
頭の2つの突起はありませんが、頭の一部が欠けているので、ひょっとすると突起などがあったのかもしれません。
まっくうは東京都町田市。
国宝の中空土偶は北海道函館市。
その距離、837キロ。
精巧さからみても、国宝の中空土偶がモデルとして最初に作られたと考えられます。
まっくうが〝そっくりさん〟というべきでしょうか。
ほぼ同時期に作られたと思われるこの土偶たち。
同じ人物の作品といっても良いほど似ています。
作り手が旅をしたのか。
それに近い人物の作品か。
それともまっくうが旅をしたのか!?
このまっくうの他にも、全国にはそっくりさんが何体かいるらしいです。
まっくうを巡る謎は奥深いようです。益々興味が湧いてきます。
そっくりさんを見つけたら、報告しますね。
最後まで読んでいただき有難うございました☆彡