今日会いに行きたい!気になる土偶#051御所野縄文博物館
梅雨のこの時期、お日様が顔出したら、どこへ行くともなく街中を散策することが多くなっています。目的がない街歩きは、見ているようで見ていない、目の片隅にあった…そんなもの気づいたりと、いつもの街を再認識させてくれる機会にもなっています。
先日は遊歩道や公園にいくつもの彫刻があることに、改めて気づきました。中でも多いのはブロンズの女性の裸婦像。
もはや風景の一部となった裸婦像に、いつもの私同様に振り返る人はありませんでした。
同じ女性の裸婦像でも、
博物館で横たわるこちらの姿には目が釘付け!
ダイナマイトボディとでも言いましょうか。
豊満な乳房をあらわにしています。
愛称は「縄文のぼいん」
縄文時代後期(今から約3500年前)に作られた、高さ11センチ、幅13センチの土偶は、1995年の発掘調査で出土しました。
公募で選ばれた愛称が「縄文のボイン」。
「ボイン」は俗に女性の大きな乳房を表しますが、博物館の説明はこのように…
グラマラスな胸元と膨らんだお腹は、縄文時代をたくましく生きるお母さん。よく見るとお腹には、妊娠した女性を表す正中線も表されていますね。
その全部が「ボイン」にこめられているようです。
赤く彩色〟とは、漆が塗られていたということですね。
この土偶が出土した岩手県は、「漆塗り」が縄文時代から脈々と受け継がれてきた地域。
今でも国産漆の生産地では岩手県がトップで、それは全生産量の約75%にもなります。
アスファルトは縄文時代には接着剤や補修材、さらに漆と混ぜて黒色顔料として使われていました。
あの有名な国宝「合掌土偶」も、両脚と腕にアスファルトで補修されてた跡がみられます。
「縄文のボイン」さん、頭部と脚は欠けてしまっていますが、全身を見ずとも、母であった土偶の逞しくも美しい姿が浮かんでくるようですね。
手間暇かけて〝漆〟が塗られ、〝アスファルト〟で補修をされている、このことだけでも、とても大切にされた土偶であったことがわかります。
食べること、子孫を残すこと‥が何よりもの願いであったと思われる縄文時代、赤く塗られた母なる土偶は、ここに住む人々の祈りを一心に受けていたことでしょう。
「縄文のぼいん」は、縄文時代を生きる人々の祈りが込められた尊き姿であるようです。
街中に佇むブロンズの女性像にも、それぞれに作者の強い思いが込められていることでしょう。
普段は風景の一部になってしまっている裸婦像たち、彼女たちに今一度目を向けて見たいと思います。
参考資料
是川縄文館 常設展示図録
最後までお読みくださり有難うございました☆彡