私の『介護美容』への想い
高齢者の方の環境による変化
こんにちは。トータル・ケアビューティー協会、東京支部で活動しています鈴木道子と申します。
私の『介護美容』との出会いは、2020年でした。それまで30年以上現役看護師として働いていました。その中でも高齢者の方との関りが最も多かった様に思います。
高齢者の方は、入院生活という環境の中で様々な影響を受けます。
筋力や体力低下などの身体的な影響、認知機能の低下や意欲の低下などの精神的な影響を受け、その他ストレスや不安、脳への刺激不足などもきたします。治療の一環として食事制限や運動制限などもあり、やりたい事が出来なかったり、会いたい人に会えなかったり、食べたいものが食べれなったりと色んな事が制限されます。私が病棟勤務をしていた頃にも、様々な要因で認知機能の低下が進み、やがて自分らしさを見失っていく…そんな方々を沢山見てきました。
治療の為の看護を当たり前の様に、ただ仕事をこなしていく毎日でした。
”病気は治せるかもしれない” ”延命はできるかもしれない”でもこのままでいいのだろうかと考える様になっていました。
”高齢者に美容を届けるお仕事”『介護美容』との出会い
入院中の高齢者の方を見ると、昔の様に元気で美しくキレイになって人生を楽しんでほしい、今までたくさん苦労をしてきた分幸せになってほしいと思う様になりました。
そんな時、SNSで『介護美容』の文字が目に留まりました。”高齢者に美容を届けるお仕事”とありました。これこそ私がやりたかった事ではないだろうか
と思い、それからは介護美容の学校で「高齢者美容」について学び、起業する事を決めました。
現在は高齢者施設に訪問し、メイク・ネイル・エステ・レクリエーション・トラブル爪ケアなどの提供をさせていただいています。
「キレイになる✨」こととは…
『介護美容』とは、ただ容姿を美しく整えることだけでなく、美容を通じ「前向きな気持ち」を引き出し、その人らしく生きる事を目的としています。
メイクをしようとした際、ある80代女性の方が「もう歳だから…お化粧なんて」と言われていました。しかしメイクが終わって「とてもキレイですよ」とお声をかけると、「そう?」と鏡をみながら嬉しそうに照れ笑いをされている姿を見ると、女性はいつまでも美しくいたいんだなぁとつくづく感じました。
私が関わってきたのは大半が70代後半から80代以上の方々ですが、多く方が「もう歳だし…」「もう若くないし…」「お化粧したって…」などの言葉を口にされます。
どうして?キレイになる事に年齢は関係ないのに…と思っていました。この様な事を考えると、”メイクは若い人がするもの””派手な色は若い人が好むもの”などというう暗黙の常識の様なものが日本では自然に植えつけられているのではないでしょうか…
ヨーロッパのマダム達は、明るい色味のファッションを楽しんでいるのに、日本では、くすんだ色味の服ばかり着るシニアの方が多い事からもわかります。
しかしながら40~80代女性ファッション・美容に対する意識調査では、「おしゃれに意識がある」人は全体で約半数である事がわかっています。
やりたい事があっても「もう歳だから…」とあきらめてしまっているシニアの方々に私は伝えたいです。歳を言い訳にしたら人生終わるのを待つばかりになる、「もう歳だから…」ではなく「まだまだ若い」を口癖にしてほしい。
年齢を気にする事なく、いつまでも健康で美しく輝いていてほしいという想いで、私はこれからも『介護美容』を広めていき明るい高齢化社会を目指したいと考えます。