上智大学環境法教授団編「ビジュアルテキスト 環境法」(有斐閣、2020)読了

読了者の予備知識と書籍選定理由

・近頃入門書を読み進めている他の選択科目(労働法、倒産法、知的財産法(まだ読了してませんが))とは異なり、環境法に関してはこれまでに全く触れたことがありません。都市計画法や景観法、環境影響評価法(環境アセスメント法)等は行政法の問題を解く際に扱ったことがありますが、環境法制としてその内容をちゃんと読んだことはありませんでした。

・という状況の中、諸事情で司法試験選択科目としての環境法について知る必要が生じたためとりあえず環境法がどんな分野なのかを把握したいと考えていたところ、入門書の中でもページ数の少ない(索引含め146ページ! 同じく入門書の「環境法入門 第4版」が320ページだそうです)この本を図書館で発見し、読んでみることにしました。

レビュー

・上記の通り索引含め146頁で、約3時間で読了しました。見開きページ毎に1つは写真・図が挿入されており、視覚的に分かりやすいです。

画像1

(↑ 本文中に掲載されている図の一例。出典:環境省ウェブサイト

・内容も、環境法分野を構成する土壌汚染対応、化学物質対応、景観保全等個々の法制度についてその目的と体系、対応する法律の全体像や重要概念を整理し分かりやすくまとめられています。

・また、各章の結びにはそれぞれの法制の残す課題についても簡単に触れられています。環境法は改正が多く、司法試験でも改正の趣旨を説明する問題が出ると聞いているので、各法制の今後の課題・方向性は判例や条文解釈論と同等に重要だと思われます。

・あくまでも入門書であるため判例等の記載は簡潔にとどまっているほか、個別法による規制内容の解説が中心であり、序章を含めても環境法全体についての体系立った説明が十分ではないことが少々気になりました。本文でもこの本は「『超初級編』の『入門書中の入門書』である」とされているため、より深く環境法を学ぶためには(本文内で紹介されている)北村喜宣「環境法」(弘文堂、第5版、2020年)大塚直「環境法」(有斐閣、第4版、2020年)を読むのが良さそうです。

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