Gattini倶楽部 vol.1-あにゃ
出会いは2012年。当時働いていたオフィスの周りに仔猫が4匹いた。
猫好きな私は、出勤する日は必ずごはんを持って行っていた。
4匹の仔猫の中で、いつも「シャー!」と言っていたのが、たんたん。
気が付くと、仔猫は2匹になっていた。
兄弟なのだろうか、2匹ともよく似た毛色。
そうこうしているうちに、私のオフィス(1階)に入ってくるようになった。そして、私の後をついてくるようになった。
私のスリッパをがぶがぶ噛むようになったから、「がぶちゃん」と
名前をつけた。
なんだか知らないけど、この仔とは妙に繋がっているような気がした。
私のことが大嫌いなセールスの男性が、私がごはんをあげていることを
これまた私のことを追い出したい嘘つき上司にチクった(死語?)ので、すでに2匹の猫と一緒に暮らしていたけれど、引き取ることを決意した。
引き取った当初は毎日毎日、私の顔や手を「しゃりしゃり、しょりしょり」舐めていた。
まさに青天の霹靂な出来事を経て再会した時、じっと私の顔を見ていた。
ゆっくりと瞬きを繰り返すと、近寄ってきて「抱っこ」と言わんばかりに
私の肩に両前脚をかけた。抱っこすると、両手で”ぎゅっ”と私の肩を掴むような仕草をした。前の家から引っ越さなきゃならない時に、たんたんだけ一緒に連れて行けなかった。他のどの子よりもママが大好きだったのに、私はたんたんを連れて行けなかった。でも、たんたんは私を許してくれた。
がぶちゃんと名付けたのに、いつの日からか、「がぶちゃん」が「がぶたん」になり、「がぶたん」が「たんたん」になり、そして時々「あにゃ」と呼ぶようになっても、いつも「にゃー」とお返事をしてくれていた。
ごはんよりも、おやつよりも「抱っこ」をおねだりしていた、たんたんが
5月の終わりに帰って来なくなった。
それから5か月して、引っ越しをしなければならなくなった時、どうしてたんたんがいなくなったかがわかった気がした。
たんたんには、こうなることがわかっていたんだなぁって。
犬や猫を連れて家や部屋を借りることが、とても難しいことをたんたんはわかっていて、少しでも私の負担を減らしたかったのかもしれない。
あの朝、いつものように他の猫たちの分までごはんを食べ、抱っこをせがんだのに、ふっといなくなってしまった。
元気でいてくれますように。安全なところにいてくれますように。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?