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二日酔いで向かった下北沢


少し早めに家を出た。家と言っても転がり込んでいる彼女の家だ。
いつものように朝方まで呑み散らかしていたが何とかセットしておいたアラームで目覚める事が出来た。
スヌーズ機能は大変便利だ。
二日酔いでフラフラなまま慌てて犬の散歩をしウンコだけ(共に)を済ませて参宮橋駅へ向かった。
そして、下北沢駅前で劇場入りする斉藤天鼓にカメラを渡すため落ち合うことになっていた。

観劇する「明けまして、おめでたい人」に一日だけカメラを入れさせてくれと山脇辰哉には伝えており「水曜の昼に行きます」と伝えると山脇長哉から「招待しておきます」と返ってきたので、すかさず「カメラを入れさせて」と送ると即座に「いいですよ」と返信があった。

元々、「明けまして〜」にはクラファン用のカメラが入っていたのでその代わりに斉藤天鼓がカメラを回すドッキリみたいな形で落ち着いた。
山脇辰哉には内緒になっていた。

出演している斉藤天鼓とは三年振りの再会となったが、何一つ変わっている様子は無かった。
何故ならコロナ自粛期間中にベロベロになり誰かに電話すると言うのが私の悪い習慣となっていて、斉藤天鼓はその相手の一人だったからだ。
その相手の一人と言うよりかはベロベロおじさんの話し相手をしてくれる稀有な存在の一人だったのだ。
山脇辰哉もそうだった。

山脇長哉は出れなくても、必ず折り返してくれる性分だったのであまり頻紫に掛けることは無かった。
誰も出なかった場合のために山脇辰哉は常に取っておいた。
ひと昔前の日本代表、浅野拓磨みたいな在だったのだ。

正直、ベロベロでいつも掛けていたので何を話していたのかはあまり記憶にはないが、映画の話をしていたことは間違いない。
それと、山脇辰哉が初めて執筆した「明けまして、おめでたい人」の話を良くし、酔っ払った私は思ったことを何でも口にした。
山脇辰哉は書くたびに送ってくれたからだ。
その度に私はベロベロなまま電話を掛けた。

カメラを渡して時間があったので酔い醒ましがてら差し入れを買いに下北沢を散策した。
吐き気が増してきて選ぶのも面倒になってきたのでヴィレバンの入り口に置かれていたプルダックのカップ麺を適当にカゴに入れレジに向かった。
包装をお願いするとクリスマスプレゼントなみの立派なも様相になってしまい持って行く事に気が引けてしまった。
受付でクリスマスプレゼントを渡して下北沢スターダストの中へ入ると客席はほぼほぼ理まっていた。

私は、一番前の端の席に荷物だけ置いて駅前トイレでゲロを吐いた。

そして、慌てて煙草をふた吸いほどして、下北沢スターダストの階段を駆け上がった。

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