管理会社に課された義務とは?(1)

 管理会社は、「マンション管理適正化法」(略して「マン適法」)という法律によって規定されました。
 「マン適法」は、素人集団のマンション管理組合がプロフェッショナルな管理会社に好きにされんように・・・マンション管理組合を保護するためにできた法律です。
 今日は、「マン適法」によって、管理会社がどんな縛りを受けているのか?深堀したいと思います。

管理会社とは?

 管理会社とは、受託したマンション管理組合に対して以下3つ(1)(2)(3)の事務(「基幹事務」と言います)を一括で行なう会社を言います。
 この3つの「基幹事務」をマンション管理組合と契約して受託している会社は、国土交通省に管理会社登録を行なうことが必須で、登録をした「管理会社」は、「マン適法」による縛りを受けなければならない!ということになります。
 
(1)会計の収入、支出の調定
 マンション管理組合で毎年の定期(通常)総会で決議される「新年度の予算案(何にどんだけ予算を用意するのか?」を理事会に提出する・・・みたいなお仕事

(2)出納
 管理費を集めて、日常管理に必要な費用(生活費みたいな費用)の支払いをサポートする・・・みたいなお仕事

(3)マンションの維持・修繕に関する企画、実施の調整
 修繕すべき箇所があったら、それを報告し修繕案を提案したり、「そろそろ長期修繕計画の更新が必要ですよ~」みたいな通知を行ったり(長期修繕計画案を作成してマンション管理組合に提案する管理会社もありますが・・・これには良し悪しがあるかも?)、(管理会社が行う場合)修繕工事の見積書を出したり・(協力会社等が行う場合)見積書を取ったり、工事実施までのプロセスをサポートしたり、実際工事をする時の日程等の調整をサポートしたり・・・みたいなお仕事

 なお、「マン適法」では・・・管理会社は、3つの「基幹事務」を一括して他の会社に丸投げすることはできない!と規定されています。(理屈的には、管理会社が3つの基幹事務を別々の会社に委託することはできますが・・・そんな会社は見たことがありません)

「マン適法」 契約時の縛りとは?

 「マン適法」によって定まっている「管理会社」の縛りルールは、以下のとおり幾つかあります。
 これらをやっていないことが明るみに出た「管理会社」は、国土交通省より重い行政処分を受けることになります。

(1)管理業務主任者の設置
 管理会社は、事務所ごとに専任の管理業務主任者(国家試験合格&一定期間以上の実務経験&国土交通大臣登録が必要)を置かなければなりません。

(2)管理委託契約前の重要事項説明と書面の交付
 管理委託契約を締結(更新含む)する前には、管理業務主任者が理事長等に契約内容等の重要事項の説明を行わなければなりません。(前回と同じ条件で契約する場合と、条件が変わる場合のパターンによって説明の作法が変わるのですが・・・それは割愛します)

(3)契約成立時の書面の交付
 管理委託契約を締結する時に、管理組合の理事長等に対して、管理業務主任者が記名押印した書面を交付しなければなりません。

 ここまでは契約時の話ですが・・・小さな管理会社では、この手続きを行わなかった(知らなかった)ことで、重い行政処分を受けた管理会社もありました。

「マン適法」が施行されて20年位になるのに・・・

 国土交通省に「管理会社登録」をせずにマンション管理組合と(基幹事務を含む)管理委託契約を結んでいない・・・いわば無免許運転の管理会社も国土交通省に摘発された事例もありますが・・・
 今現在でも、(管理会社登録が必要なことを知らなくて?)無登録で管理会社をしている疑いのある管理会社もチラホラ見かけます。

 ここで雑学?を!
 管理会社の登録番号って、以下のような体裁になってます。
 全国区の管理会社の場合は「国土交通大臣(○)第0xxxxx号」
 単一都道府県内で営業する管理会社は「○○○知事(○)第0xxxxx号」
 ・・・という感じです。

 管理会社登録って有効期限が5年なので・・・(登録番号の)カッコ内は(新規&更新の)登録回数が記載されます。例えば、「マン適法」が施行された時に登録した管理会社は(登録が20年になるので)カッコ内は「4」になっています。
 この雑学を知った上で・・・先日の相談時のエピソードをどうぞ!(笑)

無登録管理会社の事例紹介

 相談があったマンションは・・・16年間同じ管理会社と管理委託契約されていました。
 相談内容は・・・「管理会社がきちんとしてくれない」みたいな内容でした。(マンション アル・アルの相談ですな!(笑))

 相談者は、管理委託契約時の重要事項説明書を持参されていました。
 それを拝見すると、重要事項説明書に記された管理会社登録番号は・・・「国土交通大臣(1)第0xxxxx号」でした!
 これはつまり・・・10年以上、無登録管理会社だった!ってことです。
 
 たぶん無登録管理会社が国土交通省から重い処分を受けたニュースを知ったか何かで、慌てて管理会社登録をした・・・みたいな感じだったのかなあ。

 私は、その管理会社が行う管理の内容は良く分かりませんが・・・このような管理会社は、一事が万事かもしれません。
 管理委託のプロフェッショナルとして・・・レベルというか、リテラシー(理解度)低すぎです。
 この管理会社が実際に行っている管理内容を詳細にチェックすると・・・「マン適法」に抵触することがゴロゴロ出てくるかも?と少し思ってしまいました。(確認はしてませんけどね)

 次回は、実際の管理委託を行なう管理会社に課せられた「管理内容」的な縛りを深堀りしたいと思います。  (つづく)

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