区分所有者が管理会社の事例紹介(2)
今回は、O建設の続きをお話します。
O建設管理のマンション住民は?
O建設が管理しているマンションの住民は・・・O建設に全幅の信頼を寄せていて、安心しきっている印象でした。
マンションの売買や賃貸借の仲介も住戸内のリフォームも全てO建設にお任せしている・・・みたいな区分所有者もおられた記憶があります。
そんなマンション住民が住むO建設管理のマンション(20戸規模)の中に・・・修繕積立金が特に危機的に不足しているマンションがありました。
今回はこのマンションで伺った話を紹介したいと思います。
このマンションでは、大規模修繕工事の実施周期を相当に先延ばししても費用の確保ができなくて・・・最後はO建設が音頭を取って、戸あたり100万円ずつ修繕一時金を集めて大規模修繕工事実施・・・みたいな荒業が取られたようです。
なお、そのマンションには管理組合活動の実態はありませんし、「区分所有法」で最低年1回は開催して会計等の報告をしなければならない「集会(=総会)」も開催されていません。
そんな中で、マンション住民は全幅の信頼を寄せていたO建設から100万円の一時金を提案された訳ですから・・・大変に驚かれたり、不信感や不満感を持たれたのではないかと思います。(なんで、いきなり・・・みたいな?)
O建設は、100万円一時金の説明を個別に行ったり、100万円を工面できないマンション住民(区分所有者)の相談に乗って融資を受ける銀行を紹介したりしたそうです。
そんな住民の中に(他府県に移住するため)100万円一時金の話が出る前にマンションの売却が決まった方がおられました。
100万円の一時金が必要になったからと言って・・・売買価格の変更をすることも、100万円を未収金として滞納していくことも売買契約上できません。
結局その方は、100万円を自ら支払って売却し・・・退去されたようです。
そんな不条理な対応を強いられたこの方にヒアリングした時も・・・O建設に対する不平や不満は聞かれませんでした。これは少し驚きました。
「これまで20年住まわせてくれたことを思うと、100万円は仕方ないと思っている」みたいな話をされてたように記憶しています。
もしかしたら、京都人特有の?感情を表に出さない大人の対応だったかもしれませんが・・・お子様の私には分かりません。(笑)
そのマンションの大規模修繕工事は無事に終わり・・・そのマンションの管理は、今もO建設が担われています。
なんで??
現代は溢れんばかりの情報化社会です。ちょっとネット検索すれば、マンション管理の情報もたくさん出てきます。
ちょっと調べれば、(「区分所有法」に抵触している恐れのある)自分たちのマンションで行われている管理運営に疑問が生じると思うのですが・・・マンションの住民が盲目的にO建設に全幅的信頼を寄せているのは、なんで??なのでしょうか?
O建設のスタンス
1つは・・・「O建設がマンション住民から不満の出ない管理運営を行っているから」という側面があると思います。
「自社の事業売上(工事売上)になる」のだろうけど・・・管理をしているお金のないマンションに(本当は・・・反発を食らったり、信頼関係が崩れてしまうリスクから、あまり言い出したくない)100万円の一時金提案を行って、各戸100万円集金して・・・みたいなことは、ナカナカできません。
マンション住民に説明して納得してもらうプロセスは、神経使うし嫌な仕事です。それでも、やり遂げたO建設は(ある意味)立派だと思います。
管理会社に委託して管理しているマンションでも、管理会社に委託せずに自主的に管理しているマンションでも・・・「資金不足が危機的なのは分かっているけど切り出せないわ~ この問題は塩漬け~ 臭いものにはフタをしとけ~」みたいな感じで、建物劣化と資金不足が加速度的に進行してしまったマンションがたくさんあるからです。
それでも・・・おかしいと思わないのかあ
O建設管理のマンション住民と話をしたり、O建設も参加したマンションの基礎知識をレクチャーをする機会が何回かありました。
その時いつも「あなたたち・・・あまりに盲目的過ぎない?」と感じます。
自分にとって悪い情報、害のある情報は無視する心理を「正常性バイアス」と言いますが・・・私から発信された情報の中で、O建設にとって不利な?ネガティブな?情報や知識は、見事に(マンション住民に)スルーされますから・・・(笑)
でも、O建設に疑問を感じたマンションも
O建設が建設し販売したマンションの全てをO建設が管理している訳ではありません。
私が知る限り・・・幾つかのマンションがO建設の管理に疑問を持たれて、O建設の管理ではなく独自の道を歩まれてたマンションや、大規模修繕工事を独自に実施されたマンションもありました。
次回は、そんなマンションの事例をお話したいと思います。 (つづく)