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これは危険がアブナイ?(3)

 DマンションのN理事長の相談は、当初「エレベーターの更新」の相談だったのに・・・お話を伺ってビックリ!!
 「エレベーターの更新」も含めて審議された定期総会で「管理会社との委託契約更新」も「新年度事業計画&予算」も「新年度役員選任」も決議されてない可能性が高まりました。
 ということは・・・管理会社との委託契約は更新されていないことになるので、2月末日で満了していることになります。

 相談中(本当は反則だけど・・・)この辺りの認識を管理会社に電話で確認しましたが、管理会社の上席者(マネージャー)は、その状況を把握しておらませんでした。今回は、その後日談です。

前回のブログはこちら・・・
  「これは危険がアブナイ?(1)
  「これは危険がアブナイ?(2)

N理事長からの電話

 相談が終わってから丁度1週間後に、私の携帯に電話が入りました。N理事長からです。
 電話の内容は、以下のとおりでした。
 「本日、管理会社の上席者と理事役員がWEB会議を行うことになった。ここで管理組合として何を確認しなければならないのか教えて欲しい」という内容でした。

 段々と個別具体的な相談内容になって来たけど・・・半分乗りかかった船なので仕方ないです。お困りの管理組合を放置する訳にも行きません。

たにやんの返答

 私からNさんには・・・
 「管理会社とは、まず1月の定期総会不成立の認識確認をした方が良いですね。その上で、管理委託契約の暫定契約締結と仕切り直し総会の再招集等のスケジュールの確認をされる必要があると思います。
 本当は、私もその会議に参加したい位ですが、そういうわけにも行きません。でも、ご遠慮なくお気軽に何なり電話でもメールでもしてください!」
 ・・・とお伝えしました。

管理会社の考え

 WEB会議の席上、管理会社は「1月の定期総会は、委任状だけで定足数に達しており全ての議案が可決承認されたと認識している。ただ新年度の理事長が選任されていないので、管理委託契約書の記名押印をお願いしていないだけ」と主張されたようです。
 怖っ・・・

 この管理会社の主張に基づいてNさんが1月の定期総会の議事録(参考:総会議事録は理事長に作成義務があります)に記名押印したとして・・・総会の当日参加者から「可決してない、虚偽や」となったら、Nさんは大変なことになります。

区分所有法の罰則に抵触するかも?

 「建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)」の第71条には、違反行為に対する罰則規定があります。
 それをまとめると・・・理事長等が以下のような違反を行なうと、「20万円以下(第72条は10万円以下)の過料が課せられる」と書かれてあります。

第71条
1号 管理規約・総会議事録・書面決議書の保管の保管をしていない。
2号 管理規約・総会議事録・書面決議書の閲覧請求に応じなかった。
3号 総会議事録を作成しなかった。虚偽の記載をした。
4号 定期総会を期限内に開催しなかった。または虚偽の報告を行った。

※5号~10号+72条 管理組合法人に関する罰則規定なので今回は省略

 つまり、Dマンションの1月開催定期総会が可決承認されていないのに「全て承認された」という(管理会社が草案を作成した)議事録にNさんが理事長(議長)として記名押印したら・・・Nさんは「区分所有法違反」に問われる可能性がある!ということになります。とんでもない!!ことです。

 私からNさんには、(ビックリされるといけないので)具体的に罰則規定のことをお伝えしませんでしたが・・・
 Nさんは、「何も分からない」とおっしゃりながらも(ご自身の時間を使って)うちのNPOに相談のために訪問されるくらい真摯に理事長の職務を全うされておられるのに・・・
 管理会社の主張通りに進むと、下手をすれば罪に問われてしまいます。
 ホントあり得ません!!

たにやんからの提案

 私はNさんに以下の提案をしました。
 「1月の定期総会が成立していても成立していなくても・・・どちらであっても適切に手当すれば挽回(正常化すること)は可能です。
 それには、まず『1月の総会で議案成立していたのか?』を確認する必要があります。総会の当日出席者全員と管理会社フロント担当者Hさんに集まってもらえませんか?」と提案しました。

 そしてNさんには「たぶん、その場には私のようなマンション管理士が第三者として立ち会った方が良いと思います。こうなると無料相談の枠を超えた話になりますので有償になりますが、是非ご検討なさってください!」とお伝えしました。  (つづく


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