管理委託契約削減への取り組み(4)
修繕積立金を増額しなければならないけれど・・・
その前に管理委託費を3割削減しよう!
今回は、「管理委託費3割削減作戦」の続きです!
「管理委託契約削減への取り組み(1)」
「管理委託契約削減への取り組み(2)」
「管理委託契約削減への取り組み(3)」
30%削減目標について
30%削減目標と聞いて(フロント担当者のように)無茶な数字と思われる方が多いと思います。でも、私はそう思いませんでした。
今回は・・・そう思わなかった理由をお話したいと思います。
管理員さんの給料・・・安っ
理事長時代の私はサラリーマンをしていなかったので・・・管理員のKさんとは1日1回以上、顔を合わせていました。
そんな私に・・・Kさんは、マンションのことだけではなくプライベートなこともお話されるようになりました。
お一人暮らしされていたこともあると思いますが、話好きな方だったと思います。(マンション住民にも慕われておられ、退職2年後に訃報が届いた時、マンション内では追悼の会が催されたくらいです・・・)
そんなKさんから、ご本人の給料を聞かされたことがあります。
Kさんは、届いた給与明細も私に見せながら「年金受給の関係は分かるけど、それにしても安過ぎる・・・」みたいなボヤキいておられました。
給与明細も確認するとKさんの給与金額を確認すると、うちのマンションが管理員業務費として支払っている金額の約1/3の金額でした。(確かに安いわ・・・)
Kさんの給与から管理員業務費を分析したら・・・
支給金額に福利厚生(仮に30%)と管理会社の利益(仮に30~50%程度)と考えると・・・
管理員さんの給料からはじき出される適正な契約金額は、管理員さんへの支給額の1.8倍~2.6倍となります。
でも今の契約金額は3倍なので、契約金額を月額30万円とすると・・・少なくとも月4~12万円は、減額に応じてもらえる余地があるはずです。
楽観的な私は・・・管理員業務費だけで10万の減額が可能とソロバンをはじいてました。(笑)
エレベータ―保守点検費も・・・
エレベータ―保守点検費にも減額の余地があるように思いました。
うちのマンションのエレベーター保守点検費用は、メーカーの定価に近い金額だったからです。
何故そんなことが分かったのか?・・・
実は、サラリーマン時代の私は、下記5社の中の1社の社員としてエレベーター販売をしていたことがあったからです。(今から30年以上前のお話)
昭和のエレベータ―業界事情(笑)
日本の主要エレベータ―メーカーは・・・「三菱」・「東芝」・「日立」・「フジテック」・「オーチス(パナソニック関連)」の5社でした。
海外からの圧力で「シンドラー社」等のエレベータ―メーカーも参入して来たこともありましたが・・・(色々な事故や問題が起きたこともあり)今でも上記5社が、大きなシェアを占めていると思います。
当時は・・・
公共物件は各社に割り振られていて競争はなかったのですが、民間物件へのエレベーターの販売競争は、し烈を極めていて・・・販売価格は原価を大きく割る物件ばかりでした。
それでもメーカーはソロバン勘定が合います。
竣工後のメンテナンス契約(保守点検)がずっと続くからです。・・・今風にいうと「サブスクで儲ける」という感じです。
こうした背景から・・・エレベータ―メーカーで構成される業界団体では
① 各社が保守点検の定価を守ること
② (メーカー以外の)独立系保守点検会社の参入を防止すること
以上2点が、取り決めらていました。
・・・ということで、エンドユーザー(例:ビル所有者)に対するエレベーターの保守契約の値引きは一切ありませんでした。(エレベーターは法律で点検をしなければ運行できないので、超強気)
また、独立系保守会社には、エレベータ部品に適正価格から超かけ離れた価格設定をしたり、ちょっとした部品でも納期(3ヵ月後とか)著しく遅らせたり・・・といった対応が普通に取られていました。
これに風穴が開いた出来事が・・・
それは、1993年7月30日の大阪高裁で判決が出された「東芝エレベータテクノス(株)に対する損害賠償請求控訴事件」でした。
この判決により、上記②の措置は「独占禁止法」違反となり・・・独立系保守会社に依頼しても、エレベーター運行に大きな支障が出ないようになったからです。
こうした背景から・・・メーカーが定価を定めていたメンテ価格も徐々に値崩れが起き始めました。
当時の保守契約担当者からは「ビルオーナーから独立系の見積金額を見せられると費用に倍以上の開きがある。契約を継続には最低3割位の値引きを提示しないと・・・」とぼやいていたのを覚えてます。
これを覚えていたので・・・エレベータ―保守契約も3割値引き(月額20,000円位)できるかも?と思ったのです。
私の身勝手な皮算用は?(笑)
値引き目標は、月額20万円(=30%値引き)でした。そして、管理員業務費とエレベータ―保守点検費の値引き期待値が12万円・・・
その他の委託契約の中では、「事務管理業務費」とか「機械式駐車場保守点検」とかも値引きの期待が持てそう・・・
そんな楽観的な皮算用から・・・20万円って無茶苦茶な数字ではなく、(無理難題かもしれんけど)充分に交渉できる数字だと考えました。
コカ・コーラの値段
世の中には、同じ製品であっても価格が大幅に異なることがあります。500㎖のペットボトル入りコカコーラを例に考えます。
コーラを・・・自販機で買えば160円、コンビニで買えば140円、ちょっと大きなスーパーで買えば110円、ディスカウントスーパーで買えば90円って聞いて、違和を感じる人はおられないと思います。
もしかしたら・・・富士山五合目で買えば(気圧が低いので、売ってないかも?ですが・・・)300円、八合目で買えば600円かもしれません。
コーラの例で分かるとおり、同じ製品でも・・・TPOによって販売価格は大きく異なります。(それを私たちは普通に受け入れてます)
最後に雑談
競争が激化することで・・・エレベーターは(メンテ契約を抱き合わせに考えて)製造原価を大きく割って販売されていたし、マクドナルドの「100円マック」や、すき家の「280円牛丼」も出現しましたよね。
逆に皆が欲しがるものには、(メルカリやヤフオク等も含めて)高額な値段が付くことも日常茶飯事になりました。
でも高い買い物をした人も・・・プレミアがつく前の価格を知って(承知して)買っているのです。
最後に・・・私の「知らなかったことが悔しかった体験」をお話します。
私は、アマゾンや楽天などのショッピングサイトの利用率が高いのですが・・・買い物をポチっとした後に、同じ製品がより安価に販売されているサイトを見つけると、超~悔しい!(笑)
例え・・・それが1円であっても悔しいです。(笑)(笑)
まとめ
一方のマンション管理委託契約金額はどうでしょうか?
新築で買った時から価格が決まっているし、その価格は、自販機価格なのか?コンビニ価格なのか?スーパー価格なのか分かりません。
それどころか・・・独占価格なので、他と比較することすらできません。
仮に30%値引き目標が達成できなくても、自分たちにとって適正な価格はどの辺り?的な見極めができたら・・・それだけでも本プロジェクトに取り組む意義がある!と、当時の私は思っていました。
さて!管理会社のY部長とのアポイントが整いました!
いよいよ・・・管理会社との交渉スタートです! (つづく)