マンションの電気を考える(18)
今回は、ホントのシリーズ最終回(笑)として、「BEV車」の駐車場のルール等について、言い足りなかったこと等をお話れた電気使用料の精算ルールを考えたいと思います。
「BEV車」の充電設備細則を考える
マンション管理組合は、原理原則が書かれた「管理規約」に基づいて運営されています。
「管理規約」には原理原則だけが書かれているので、具体的なルールは「細則」に書かれます。
例えば・・・「管理規約」に「良好な住環境を確保する」と原則が書かれてあったとすると、「細則」には(「管理規約」に基づいて)「大きな音が発生するピアノ等の演奏は午前10時から午後7時前で」と具体的なルールが書かれてある・・・といった感じです。
ここでは「BEV車」の充電設備の「運用細則」を考えたいと思います。
電気料金の精算方法
うちのマンションの場合、前回に検証した充電設備1台(=4kW/h)当たりの「従量電灯B契約」基本料金は1,133円(税込)、1時間あたりの電気使用料は104円(税込)でした。
ちなみに・・・現在(1台分だけある)平面駐車場(屋根付き)の使用料は月額20,000円です。
なので・・・利用者から充電設備使用の申請があった場合は、駐車場使用料は(設備維持や電気使用料の精算コストがかかるので)23,000円、電気使用料は通電時間1分あたり1.7円(1時間に換算すると102円)位になるのかな?と思います。
ただ、前回お伝えしたとおり「BEV車」の充電は、絶えずマックス充電ではなく、満充電に近づいたら充電する電気量を抑えます。
「1分1.7円」は、マックス電気使用量(4kW/h)での金額想定なので・・・
適正なのは「1分1.5円」位かもしれないし、アワーメーター(=通電時間を計測する機器)の「時間測定電流設定」を25%(=1000W以下は時間カウントしない)と設定するのが適当なのかもしれません。
本当は「アワーメーター(通電時間測定)」ではなくて「電力量メーター(電気使用量測定)」にすれば正確なのですが・・・メーターの設置場所との相談になりそうです。(うちのマンションの場合、1~2台分だけなら大丈夫だけど、それ以上台数が増えると無理っぽい)
「アワーメーター」を使った場合は、実際に運用してみて検証しながら・・・電気の「単価」や「時間測定電流設定」等の「さじ加減」を調整していく必要があると思います。
滞納督促に有効かも?
マンションを所有したら、自動的にそのマンションの管理組合の組合員となり、管理費等を納める義務が生じます。
多くの「管理規約」または「細則」には、管理費の滞納者に対して、理事会の決議で「駐車場や駐輪場等の使用を停止することができる」と書かれてあります。もちろん「BEV車」の充電設備も同じ対応を取ることができます。(管理員室等にある分電盤のブレーカーをOFFにするだけ)
こうしたペナルティ(ただし水道や電気等のライフラインの停止はNG)は、滞納防止の抑止力になりますし、滞納金の督促にも大きな効果があります。特に「BEV車」の充電設備は効果がありそうな気がします。(駐輪場の使用を禁じても居座られることもある)
「充電設備運用細則」等に「○月以上の滞納があった場合、理事会の決議によって充電設備への給電を停止される」といった文言を載せておけば良いと思います。
それでも滞納金の支払いが無ければ・・・次のステップである「駐車場の使用停止」そして「使用解除」と進めば良いと思います。
充電設備付きの駐車場はニーズが高いと思います。「使用解除」されると使用権が他に移ってしまうことになるので・・・(充電設備付き駐車場使用者が滞納した時の)督促効果は絶大かも?と思います。
その他もろもろ
充電設備の電気メーターを検針する作業は、管理員さんにお願いすることになりそうです。
管理委託契約の管理仕様書に、充電設備の検針も業務に記載した方が良さそうです。検針忘れ等があった場合に、責任の所在が明確になっていた方が良いと思うからです。
また、充電設備使用者が賃借人だった場合でも管理組合が請求する先は、大家である組合員にした方がスムーズだと思います。(大家さんが一旦支払って賃借人に再請求するパターン)
うちのマンションの(駐輪場や駐車場の)使用料は、このパターンなのですが・・・賃借人に直接請求しているマンション(=大家さんにとっては、こっちのパターンの方がスムーズ)もあると思います。
いずれにしても・・・支払先も細則等で明らかにしておく必要があると思います。
既存の機械式駐車場の充電設備・・・できるかも?
昨日、某管理会社から「未来のマンション管理」というプレゼンを聴き、意見を求められるWEBミーティングに参加しました。
その中で「既存の機械式駐車場に設置する充電設備の開発が進んでいる」という話がありました。
今回で、ホントにこのシリーズを終える気満々(笑)でしたが・・・私にとってタイムリー過ぎる話題でしたので、もう1回延長して、お話したいと思います。(汗) (つづく)