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マンションの電気を考える(17)

 今回は、本シリーズ最終回として、「BEV車」の充電に使われた電気使用料の精算ルールを考えたいと思います。

過去の記事は、こちら
  
マンションの電気を考える(1)
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充電電気使用料は?

 「BEV車」の充電に使われた電気使用料は、原則「BEV車」の所有者が負担することになると思います。マンション管理組合の場合は、「電気自動車の充電設備の細則」を定める等してルール化しなければならないと思いますが、その前に電気使用量について確認したいと思います。

 うちのマンションの電力会社は関西電力なので・・・関西電力の(ほとんどのマンションが契約する)「従量電灯B契約」で料金体系を見ていきます。

電気基本料金

 関西電力のホームページで確認(※2022年3月時点)すると・・・「従量電灯B契約」の基本料金は、1kVA(キロ ボルト アンペア)あたり396円となっています。
 「BEV車」普通充電設備の電気容量は4kw/h(=4kVA)なので・・・396円x4kVAx1.1(消費税)=1,742円となります。
 ただし電気契約量が増えると、基本料金が安くなる「容量圧縮」(※下記の図参照)が設定されているようです。

 うちのマンションの場合は、「従量電灯B契約」の総容量は既に50kVAを超えていますので、4kVA増設される分の基本料金は65%に圧縮されることになります。・・・つまり「BEV車」の普通充電設備1基あたりの電気基本料金は、1,742円x65%=1,133円となります。

電気使用量料金

 「従量電灯B契約」の電力量料金は3段階に分かれています。(水道やガスと同じで家庭用の電気使用料は、使えば使うほど 1kWhあたりの単価が高くなる)

関西電力「従量電灯B約」の電力量料金
   第1段階 (最初の120kWhまで):1kWhあたり 17.91円
   第2段階 (120kWhをこえ300kWhまで): 1kWhあたり 21.12円
   第3段階(300kWh超過分): 1kWhあたり 23.63円

 なお電力会社(全国に10社あり)によって電気料金は大きく異なります。全国10社を比較すると・・・2022年3月時点で電気使用料金が最も高いのは「北海道電力」2位は「沖縄電力」3位は「東京電力」でした。 そして最も安いのは「北陸電力」でした。以降は・・・
②「四国電力」、③「九州電力」、④「中部電力」、⑤「東北電力」、
⑥「中国電力」、⑦「関西電力」、⑧「九州電力」、⑨「四国電力」、
⑩「北陸電力」と続きます。

 ちなみに①「北海道電力」と⑩「北陸電力」との電気料金を「基本料金:30kVA &電気使用量:300kWh)で比較すると・・・3割位の差があります。(結構大きい差ですね)

※ うちのマンションは、関西電力エリアなので関西電力で話を進めます。

2022年3月現在料金(「再エネ賦課金」等の追加負担費用は別途)

 なお、うちのマンションでは既に「第3段階」の請求が届いてますので、増設される普通充電設備の精算は「第3段階」で行なうことになります。
 つまり、4kW /hで充電した時の電気使用料は・・・
 23.63円x4kVA x1.1(消費税)≒104円となります。(104円で約20km走行できることになりますね・・・やっぱり「BEV車」の燃費はイイですね)

バッテリーの充電は・・・

 「BEV車」の充電システムは、バッテリーが空に近い時はMAXの4kW /hで充電されるけど(バッテリーの寿命を延ばすため)満充電に近づいたら充電量を制御(=消費する電気量を落として)するようです。
 つまり、「BEV車」のバッテリーの減り加減で1時間の電気使用量に差が出ることになるのですが、フル充電に近づいたら消費電力が落ちるということです。

 マンション管理組合が充電に使われた電気料金の精算を行う場合を考えると、下記のような電力量メーターを取り付けて電気使用料を計算し、管理費と一緒に請求する・・・これが一番スマートかな?と思います。
 電力量メーターとは、下記の写真のような製品ですが、各戸のメーターボックス内に入っている電気メーターと同じだと考えて差支えないです。

 現場で必要な工具・部品・消耗品等を取り扱う「モノタロウ」で商品価格を確認すると15,000円位なのですが、メーターを入れるボックス等も必要なると思います。充電設備の基数が増えると、メーターの設置場所を考えなくてはならなくなりそうです。

三菱電機(電力量計製品一覧)より

充電時間で清算する方法も

 ちなみに高速道路のサービスエリアに設置されている「高速充電設備(50kVA)」の精算は、充電された電気量ではなく「高速充電設備」を使用した時間(最初5分:275円、以降1分毎:55円・・・つまり30分で1,650円)となってます。「高速充電設備」の場合は、電気使用料よりも(維持管理を含めた)設備設置のコストが圧倒的に高いので、こういう価格設定になっているのだと思います。

マンションの場合も・・・

「普通充電設備」の設置には、「高速充電設備」のような設備設置のコストがかかりませんが、マンション管理組合がこの方法(充電時間)で電気使用料を清算するパターンもあり得ると思います。
 「電力量を測定する計測設備」と「通電時間を測定する計測設備」を比較すると、後者の方が費用も必要場所もコンパクトにできるからです。

 うちのマンションをイメージしてMAX11台分の各戸の電気メーターを新たに設置する場所は想像できない(=場所がない)ので・・・たぶんうちのマンションは「充電時間精算方式」を採用するような気がします。

 ちなみに電気が通電した時間を測る計測器を「アワーメーター」と言います。下記の写真の製品(サイズ:縦2.2cmx横4.5cm)ように、かなりコンパクトです。(商品価格も「モノタロウ」にて1台4,000円位でした)

PANASONIC(アワーメータ)より

うちのマンションなら・・・

 基本使用料は3,000円(内訳:関西電力支払額1,133円+運用費を含む設備維持管理費1,867円)、電気使用料(1時間あたり)は100円(関西電力支払額104円)にするかな?(電気使用量で清算するなら1kWあたり25円:関西電力支払額26円)

 ちなみに運用費は電気メーター(アワーメーター)の検針や、健診結果に基づいた費用請求等の経費に充当します。
 また設備維持管理費は(計量法という法律に基づいて)たぶん電気メーターも8年更新しなければならないので、そうした費用に充当することをイメージしています。

今回もタイムオーバー(笑)

 本シリーズは今回で終わらせようと思っていましたが、今回も3000文字を超えてしまいました。(笑)
 本シリーズでは「管理組合のルール(運用細則)」についてもお話する必要があるので・・・もう1回だけ延長させてください!(笑)  (つづく

 

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