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「第三者管理方式」を考える(1)

 先日(2022年11月6日)私の所属するNPO(=NPO法人マンションサポートネット)で、リアル&オンラインによるセミナーが開催されました。
 その中の第3講演で・・・「マンション未来価値研究所」の「丸山 肇 先生」が「第三者管理方式_これからの管理組合を救う?!」というテーマでお話をされました。

 そこで、私なりに感じたことがありましたので、このテーマをシリーズで取り上げたいと思います。

「マンション未来価値研究所」とは?
 「マンション未来価値研究所」は、大手管理会社の1つ「大和ライフネクスト株式会社」さんが運営する団体で、マンションにまつわる社会課題に特化した総合研究を行っておられます。

 10月18日に放送されたNHKクローズアップ現代「どう立ち向かえばいい? マンション“2つの老い”」では、解説者として「マンション未来価値研究所」所長の「久保 依子 先生」がご出演されていました。

「以下は私見です」

 少子高齢化が進む未来になっても管理会社が事業を継続させるためには、今の事業に胡坐(あぐら)をかいているだけでは未来がない・・・「大和ライフネクスト株式会社」さんでは、未来に向けた先進的な取り組みの一環としてこうした研究所を設立され様々な研究や情報の発信、啓蒙活動をされていると理解しています。

 私にとっては、発信されている情報等が「マンションのSDG’s」を考える上で良いヒントにもなっています。
 ただし管理会社のお立場からの発信という側面もあるので、発信される情報を丸呑みするのではなく、取捨選択する必要があると思っています。 

たにやんのバイアス(先入観)は?

 私は、マンション管理組合の管理運営(執行)方式として・・・現在殆どのマンションで採用されている「理事会運営方式」が最も望ましいと考えています。

 かつ「第三者管理方式」に対しては、どちらかと言うと・・・否定的に考えています。
 「第三者管理方式」は、管理会社にとっては有難い(管理運営がやり易い)方式なのだろうけど、この方式で管理してもマンションのSDG’sは難しいだろうなあ・・・実は、そんな印象を持っているからです。

講演を拝聴して考えたこと

 「第三者管理方式」をテーマにした丸山先生の講演を拝聴しながら思ったのは、「第三者管理方式」に対する先入観はあれど、実は私自身が「第三者管理方式」をキチンと理解してないなあ・・・ということでした。

 「第三者管理方式」を懐疑的に思う前に、まずは「第三者管理方式」を知る必要がある!
 そのために「第三者管理方式」をブログのテーマに取り上げて、言語化することで・・・深堀りする必要があるんちゃう?そんなことを思いました。

 第1回目の今回は・・・「第三者管理方式」の簡単な説明を行いたいと思います。

「第三者管理方式」って何?

 その前に・・・まずは「管理組合」と「管理者」選任方法の超簡単な説明です。

 分譲マンションは、1つの建物を複数の所有者が区分して(例:各部屋毎に)所有している状態で・・・建物全体を維持管理する団体として「管理組合」が(「区分所有法」に基づいて)結成されます。

 そして・・・「管理組合」は、管理組合の最高意思決定機関である「集会(総会)」の決議で「管理者」を定めることもできます。

「管理者」とは?

 分かり易く言うと・・・多くのマンション管理組合で選任されている標準管理規約の「理事長」のイメージに近いと思います。

 ただ・・・標準管理規約ではマンションの管理運営の仕組みとして「理事会運営方式」が採用されているので・・・下記のとおり「理事長(管理者)」は、単独で業務執行ができません。

 ところが「理事会」という概念が規定されていない「区分所有法」では・・・「管理者」は、(管理組合運営の事業を)全て単独で執行することになります。
 もちろん・・・そこには、重い責任も生じます。

「標準管理規約」とは?
 国土交通省が、マンション管理組合に向けて発表している管理規約の雛形のことです。
 区分所有法やその他法律等に則って、マンション管理組合が
建物の維持管理や快適で安全なマンションライフを送るために必要な原則的ルールを定めた「管理規約」を作成・見直しをする際の参考になるように作成したもの・・・ということになると思います。
 そして・・・その中で採用されている管理組合の運営方法が「理事会運営方式」です。

「理事会運営方法」とは?
 区分所有法では、「管理者」が単独で管理組合の事業を執行できます。例えば「予算20万円でエントランスの壊れた樋を修繕すること」だけが「集会(総会)」で決議されたとします。
 その決議を執行(=雨樋を修繕)は「管理者」が単独で行いますから、予算20万円の範囲ならば・・・「管理者」が工務店や工事仕様等を吟味確認して発注することになります。
 ところが「標準管理規約」では・・・
 重い責任と強い権限のある「理事長(=管理者)」が単独で執行することを原則認めていません。
 つまり「理事長(管理者)」は「理事会」の承認(決議)が得られないと、何も執行できない仕組みが採用されているからです。

 そして・・・多くのマンション管理組合では「標準管理規約」に基づいて管理規約を作成している背景から・・・マンションの管理運営方式の大半では「理事会運営方式」が採用されています。 

「管理者」の権限

 「管理者」は重い責任がある!とお話しました。
 「集会(総会)」で決まった管理組合の事業を執行する当事者なので当然です。

 それに加えて強烈な権利も有しています。それは・・・「集会(総会)」を単独で何時でも招集し開催できる権利です。
 「管理者」は、管理組合で行った事業の報告を年に1回「集会(総会)」を開催して行わなければなりません。ということで「管理者」にとって、この権利は当然に必要な権利なのですが・・・
 同時に「集会(総会)」には、「管理者」が自身が主体的に決めた新たな管理組合の事業を行なう等の提案をすることもできます。

 ただし提案といっても・・・「管理者」が「集会(総会)」に提案した事業は、余程のことがない限りは否決・廃案にされることはないでしょう。
 マンションの区分所有者が自分たちで選んで託した「管理者」からの提案ですから基本的には受け入れるだろうし、何より・・・決議されないと、マンションの維持管理の運営がストップしてしまうことになりかねないと思います。
 つまり「管理者」は、自身が決めたことをほぼ実行できる!権限を有している・・・と言うことです。

「管理者」は誰が就任?

 マンションを維持管理する当事者としての「重い責任」と「強い権利」を有している「管理者」に就任する要件はあるのでしょうか?・・・実は、ありません。
 つまり、区分所有法に定められた作法に従って「管理組合」の「集会(総会)決議」等の手続きが整えば・・・誰でも就任できる!ということです。

 区分所有者でなくても・・・居住者でなくても・・・第三者でも・・・OKです。(ほとんど希だけど)管理組合が法人格を取得している場合を除けば・・・企業等の法人が「管理者」就任してもOK!です。

 ありていに言えば・・・
 「管理者」には、管理会社でも、マンション管理士でも、弁護士でも、隣のおじさんでも(笑)・・・「集会(総会)決議」等の手続きが整えば就任できる!ということです。

ここで登場!「第三者管理方式」

 「自分たちのマンションの維持管理は自分たち(当事者)で行なう」のが基本(原則)だけど、区分所有者(当事者)でない第三者に管理組合の「管理者」になってもらい、その第三者による「管理者」がマンションの維持管理を行なう仕組み・・・それが「第三者管理方式」という訳です。

 次回は「第三者方式」の種類(パターン)を深掘りしたいと思います。また・・・管理会社が「第三者方式」を提案している背景もお話できたら良いなと思っています。  (つづく)

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