コミュニケーションで大事なこと(4)
私がサポートしており・・・大規模修繕工事が終わろうとしてるPマンション管理組合。
前回は・・・施工会社や工事監理者の対応に納得がいかないSさん(=居住組合員)のマシンガントークを浴びながら、私が気づいたSさんの気持ち(施工側に理解して欲しかったこと)をお話し、施工側の捉え方と大きなギャップがあることをお話しました。
ありていに言えば・・・
施工側のコミュニケーション力がもう少しあれば、マシンガントークを浴びなくて済んだかも?(笑)
今回は、大規模修繕工事と他の建築工事の違いをお話しながら、施工側にコミュニケーション力が必要な理由について、お話したいと思います。
マンション大規模修繕工事とは?
大規模修繕工事って、基本的に外壁塗装工事(誤解を恐れずいうと、化粧直しリフォーム工事)なので・・・高い建築技術は不要です。
一定水準(=工務店が持つ程度)の施工レベルがあれば(かつ、きちんと真面目に仕事をしてくれれば)建築施工会社によって、施工品質に大きな差は生じません。
例えば・・・マンションの大規模修繕工事を専業にする施工会社は、新築建築工事等を手掛けるゼネコン(ゼネラル・コンダクター=総合建設業)ではなく、ゼネコンの下請け(例:塗装工事業、防水工事業)の会社が・・・「下請けではなく元請けで建築の仕事をしたい!」と(大規模修繕工事業界?に)参入された会社が多いように思います。
大規模修繕工事は、新築工事に必要な建築技術(ノウハウ)や実績がなくても参入できる工事・・・ということだと思います。
そもそも建築工事は?
建築工事は・・・基本的に「既製品」を作るのではなく、「手作り作品」を作ることになります。
建築の現場では、多くの職人が協働して手作り(手作業)で仕上がっていくからです。それは(規模の差はあるけれど・・・)大規模修繕工事の現場も同じです。
現場でヒューマンエラーが発生する可能性は否めないし、職人のスキルの差から・・・仕上がりにもバラツキが生じる可能性も高いと思います。
それらを極力無くすためのノウハウが建築現場には求められています。(建築現場の標語でよく見かける「安全第一」は、まさにヒューマンエラーを防止しよう!という意味合いが強いかも?)
いずれにしても・・・(手作り作業である)建築工事は、工場で生産される工業製品並みの(何処を切っても金太郎飴!みたいな)品質を担保することが難しい!と考えて良いと思います。
新築工事も大規模修繕工事も・・・
建築工事の現場では・・・
ミスを未然に防ぐ努力やスキル・ノウハウはモチロン大事ですが、仮にミスが起きたとしても・・・そのミスが大きく拡大しない!(被害が広がらない)とか、スムーズにミスをリカバリーする!とか、今後同じミスが起きないようにやり方を改革する等のマネージメントが求められる・・・ということだと思います。
大規模修繕工事の特徴
マンションの大規模修繕工事は、建築工事には違いないけど・・・新築工事と較べると建築の技術力は必要ないかも?ということはお話しました。
しかしながら、建築工事としてレベルが低いのか?というと・・・そう訳ではありません。
大規模修繕工事には、他の建築工事にはない特徴があるからです。それは・・・
プロ集団/素人集団 混在?
新築の建築現場は(作業員を含め)建築のプロしかいません。
しかしながら・・・(マンション住民が住みながら工事が行われる)大規模修繕工事の現場では、建築のプロ集団と素人の住民集団が現場に混在しています。
実は・・・これって大変なことなんです。
プロ同士なら・・・相互の信頼感に基づいて(専門用語を駆使する等してコミュニケーションを取れば)スムーズに相互理解や合意(コンセンサス)が取れます。(工事を完成させるのが仕事)
しかしながら、素人に対しては・・・そう簡単にいかないことが多いからです。(そもそも・・・工事を完成させることが仕事ではない)
しかも・・・大規模修繕工事は、建築の素人であるマンション住民の協力や我慢を強いらないと進みません。
大規模修繕工事をスムーズに終わらせるには・・・マンション住民に多くのお願いごと(例:バルコニーの片づけ、在宅、網戸の取り外し等)や我慢やご不便を強いること(例:騒音、通行規制、洗濯物干し規制等)を理解・納得してもらい・・・工事に協力してもらう必要があります。
コミュニケーション力が重要!
ここで大事なのがコミュニケーション力だと思うのです。
大規模修繕工事を請負う施工会社は、建築の高い技術力は必ずしも必要ではありませんが、対素人(=管理組合や住民)とのコミュニケーション力は必須です。
個人的には・・・このコミュニケーション力が、大規模修繕工事が成功裡に終わるか否かの最も重要なポイントの1つだと考えています。
中には・・・施工側から「黙ってプロに任せとけ!」といったオーラが前面に出ている大規模修繕工事の現場もあります。
まあ、そこまで酷くなくても・・・(現場で住民とFace To Face で誠実に適切に接することで)「任せておいて大丈夫!」と住民側の信頼を得るとか、住民の話の中から真意を把握するとかのコミュニケーション力住民が不足していると感じる現場は・・・ホント多いように思います。
コミュニケーション力不足の弊害
(表に出る・出ないは別にして)Sさんのようなお気持ちを持たれる住民を作る・増やす原因になると思います。
こうなると・・・スムーズに工事を進めることが難しいと思います。
そして最も恐ろしいパターンは・・・(それなりに)工事が進んだように見えていたのに、竣工(引き渡し)の直前で「大ドンでん返し~」(サイレントマジョリティーの大爆発~)が起きるパターンです。(こわ)
そうならないように施工側は、工事期間中に(住民からの)「感謝」や「信頼」という名の貯金をせっせとしておく必要があると思います。
Pマンションの子大規模修繕工事もそうだったのですが・・・個人的には、竣工間際になっても施工側の貯金が少なそうな場合は、少し不安になります。
具体的には?
現場代理人(=施工側の現場責任者)には、住民からの「クレーム・質問・要望」を適切に誠実に処理していく能力が必須だと思います。なんでも話ができる包容力も必要だと思います。
それがあれば、住民側が「施工側に任せておけば大丈夫!」という雰囲気がマンション内にできることでしょう。
施工側から「黙って任せとけ!」とか「面倒だなあ」といった気持ちが少しでもにじみ出る・・・絶対NGです。
今回の結論は・・・やっぱり「コミュニケーション力」がホント大事!ということになりますかね。
さて次回は、私の中に沁みついている会話(コミュニケーション)力の原理をお話したいと思います。 (つづく)