アジア系のたくさんの“マッサージ”店を通り過ぎていったあの日〜「普通じゃない」をたくさん集めていきたい〜
普通の飲み会。
普通の合コン。
普通の初デート。
普通の会社。
普通の人生。
普通のプロポーズ。
普通の結婚。
それはそれで,大切な,愛おしい日々の出来事だ。
でも,私は「普通じゃない」出来事にこそ,人生の面白みが隠されている気がする。
「普通じゃない」といっても,あっと驚くほどのサプライズが必要なわけじゃない。
どこか「いつもと違っているよね」という出来事。
そういう出来事は印象に残る。
その出来事は時間が経っても語られる。
ああ,あのときの「いつもと違う」も面白かったなって。感動したなって。
——
昨日の夜,飲み会の場所はごく普通の居酒屋。
大学生が新歓コンパに使ったり,サラリーマンが帰りに一杯飲んでくかと入ったりしそうな,ごくごく普通の居酒屋だ。
だけど,その居酒屋のある建物がちょっと普通じゃなかった。
いたるところにアジア系の“マッサージ”店がある。
お姉さんが「是非に!!!」という艶かしい目でマッサージに誘ってくる。
「ちょっと露出度が高いんじゃないかな」と思わざるを得ないような服装をしているお姉さんが「どうぞー」とにこやかにお誘いなさる。
さすがにこれから飲み会というときにマッサージをしてもらうわけにもいかない。
申し訳ないと思いながら(何が申し訳ないのだろう),お姉さんの勧誘の視線を通り過ぎていく。
マッサージ店の横を通り過ぎると,目の前にごちゃごちゃしたお店。
ポスターには,自信満々に
「TEN○Aはあります!!」
と書いてある。反射的に,私はST○P細胞騒動の記者会見を思い出す(いや,これを伏せ字にする必要はないか)。
さらには,色とりどりの映像作品の販売店が並ぶ。
「ワクワクしようよ どこで?
神○○CUP」
さあ,今すぐ店内へ」
という妙にポップな案内文。
そんなお店の一群をとおりぬけて,
ごくごく普通の居酒屋へたどり着いた。
——
飲み会では,やはりそういうお店の話題が出る。
「あれ,すごかったよね」
「新橋ってなかなかディープなところだ」
そして,3分ほどお手洗いに立ち(店外に出なきゃいけない),
座席に戻ってくるや否や,
「マッサージどうだった?」の声が飛ぶ。
普通からずれたことは,話を盛り上げる。
——
普通とはずれたことは,かえって心に残る。記憶に残る。
環境でも,
出来事でも,
もちろん人でも。
時間が経ってから,語れるのは,わりと普通じゃないことだったりする。
たとえば,昨年の夏。
ちょっとした絵を奥さん(まだ結婚前だけど)と描きあって遊んだんだけど,私の書いた絵がどうも普通じゃなかったようで,奥さんは大笑いしていて,今でも「○○の絵は素晴らしいよね」と茶化してくるのだ。
そんなに普通じゃないかなぁ。
とりあえず,猫と車とミッキーマウスを晒しておくから,普通じゃないかどうかはみなさんに判断してもらおう。あ,ちなみにこのコラム冒頭の絵はどこからどうみてもアンパンマンですよね。
これらの絵に大爆笑した私の奥さん。
結婚前に私にこう言ったんだ。
「私が幸せにするよ」
どっちから言っても構わない台詞だけれども,私はそういう台詞は男性側が言うことが多いと考えていたし,そんなことを言ってもらえるとは全く思っていなかった。
だから,結婚後でも,この台詞はすごく心に残っているし,私にとってはこの台詞こそが今の生活のスタートラインだ。
今でも,そのときの声や笑顔とともにその台詞は鮮明に思い出せて,その台詞を思い出すと,なんだか表情がにやにやし,身体がほくほくし,心の奥底がじんじんする。
よくある台詞も,発する主体がちょっと普通とは違うだけで,こんなに心に刺さるものなんだ。
これからも私は「普通じゃない」をたくさん集めていきたい。
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