奇跡のような日々4

いつものようにデートしたように思ってた。私だけだったけど。いつものようにLINEを送り朝に返信を確認した。

「恋愛感情がないから付き合う形を続けるのは難しい」

突然すぎた。何がどうしていつから?そんな雰囲気なかったしないと思ってた。

そこからは彼と話すまでの3日間仕事にならなかった。朝は起きれないし、手は震え動悸は収まらない。お昼になれば涙は止まらないし、ご飯も食べれない。夜は眠れないし、寝汗は止まらない。

彼と過ごす最後の日とびきり可愛くしていこう。彼の目に映る彼女としての最後の姿は可愛くありたいと。

最後の日なのにまた彼に会えることがとても嬉しかった。

彼の家を訪れるのは皮肉なことにこの日が最初で最後となった。

終始楽しかった。いつもの日々のようだった。別れ話は全然始まらない。別れる必要があるんだろうかと思った。

それでも今日来た意味をハッキリさせなければならない。

話始めた彼は私の知る彼ではなかった。もはや別人。あんなに優しかった彼ではなかった。それとも私が作り上げた彼だったのだろうか。

「初めから恋愛感情が20-30%しかなかった。好きになるかなと思った」と

油断してたのだ。好きじゃなきゃ付き合わない。と私は思ってたし、私自身そうだったから。

あんなに朝から夜までLINEして、写真が送られてきて自分のことを話してくれていたのにどうしてあの時もっと心を掴めなかったんだろうと。

好意がない人からの好意ほど苦痛なものはない。私がそう知っているからこそこの恋はもうダメなんだって痛いほどよく分かった。彼を引き止めることは出来ない。

それでも想いを伝えた。彼には伝わらなかったけど。

彼の部屋を出る時最後にハグをお願いした。彼のことが好きすぎて私はなにも出来なかったのだ。近くに行くことも、手を繋ぐことも、写真を撮ることもなにも出来なかった。好きだからこそなにも出来なかった。

だから最後に最後の思い出としてハグをしてもらった。

こんな形でハグがしたかった訳じゃない。もっとお互いを想ったハグがしたかった。愛のあるハグがしたかった。最後のお願いを聞いてくれてありがとう。

そこから1週間は体調を崩しまくった。寝汗はやはり止まらないし、咳も止まらない。夜は寝られないし食欲もない。

コロナで練習が中止になる前に彼の顔を見に行った。彼は転勤族。いつ転勤になるかわからないから。女々しいとは分かりつつも今生の別れになる前に見ておきたかった。

彼は私のことを見ないし、いつも通りのだった。私だけいつも通りに出来なかった。

そして練習が中止になった。

この間に彼を忘れろってことなのかもしれない。

あんなに好きだったのにあんなに大切だったのに後悔しないようにって思ってたのに後悔しかない。奇跡のような夢のような日々だと思ってたのに思ってたのに大切にしようって思ってたのに手の隙間からこぼれ落ちてしまった。

彼にどう思われるか嫌われないようにそればかり考えてなにもできなかった。当たり障りのないことしかできなかった。

彼と釣り合ってないって思って、自分に自信がなさすぎて自分を信じれなかった。

もっと好きだって伝えたらよかった。もっと心を開けばよかった。

彼と過ごした日々は極わずか。付き合ってたと言えないくらいかもしれないけどとても幸せだった。彼に名前を呼ばれる度に、彼に見つめられる度にとても幸福だったのだ。

彼と付き合っているとき7割くらい辛くて泣いていたけどそれ以上に幸せだった。

優先順位が低くて興味持たれてないって分かってても幸せだった。

笑った可愛い顔が、私を呼ぶ声が、甘いものが好きでピーマンが嫌いなとこが、趣味に一生懸命で真っ直ぐなとこが、見送るとき小さく振る手が、ストイックに筋トレするとこが、たくましい後ろ姿が好きだった。

くれる言葉全てがうれしかった。

ほんとにほんとに好きだったし好きなのだ。

彼女にしてくれてありがとう。出逢ってくれてありがとう。とてもとても楽しくてうれしくて幸せな日々でした。

彼と別れてから1日はとても長いし、あっという間に月日が流れる。

毎日毎日涙が止まらないよ。

例えこうなる運命だったとして、次もっともっと幸せな恋をする為の別れだったとしても彼と一緒にいたかった。

なんでもいいから一緒にいたかった。

彼と行った場所、彼とご飯を食べた場所、彼と見た景色、彼の好きな曲を思い出す度に近くを通る度に楽しかったなあって甦ってきてしまう。

彼とデートに行くために買った服。彼と見たかった桜。彼と食べたかったパフェ。見せてあげたかった景色。

あーあ。一緒にいたかった。

彼との日々は私の記憶にしかない。写真もない。私の脳内から彼の匂い、声、顔を忘れてしまうのが怖い。なんにもなかったことになってしまう。一つ一つ消えてしまう。

毎朝もしかしたら彼からLINEが来るかもしれないって期待して落ち込んでしまうこの日々がいつ終わるのか。

分かってる。私が好きになった彼はもうこの世界にいない。人は変わる。変わり続ける。

私が好きだった彼は私の記憶の中にしかいない。それでもなんでもいいから好きでい続けたかった。

この日々がいつか報われますように。彼の中に私がい続けますように。

こんなに人を好きになれて良かった。

起きた出来事には全て意味がある。出逢って好きになって付き合って別れたこと全てに意味がある。
人は出逢うべきべき時に出逢うべき人と出逢う。

ありがとう。またいつか笑って話せる日がくるといいな。

彼と出会った5月がきた。1年前こんな風になるなんて予想してなかったよ。彼の誕生日も5月。お祝いしたかったなぁ。笑ってたかったなぁ。隣にいたかったなぁ。

彼以上に人を好きになることはもうないかもしれないけど人を好きになれてよかった。

まだ貴方のことが好きな私をどうか赦してほしい。すきです。

本当にとても幸せでした。奇跡のような日々をくれてありがとう。





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