奇跡のような日々3
まるで信じられなかった。好きな人が彼氏になった。私の人生で起きたことの無い出来事が起きた。神様はいらっしゃるんだと。
よろしくお願いします!とLINEしたら彼からもこちらこそよろしくお願いしますと返ってきた。
夢じゃない。
ずっと応援してくれてた友人たちに次々と報告した。だけど手放しには喜べない自分がいた。
彼の 私のことを1番にできない。結婚願望はない。まだまだ遊びたい。
この発言が私の心に影を落とした。よく言えば正直で誠実。だけど、悪く言えば2番目以降を公認した事になる。
私の友人たちもそこが引っかかっていた。
1人の友人は「それでいいの?それってどうなの?ほんとにそれでいいの?」と。良いわけがない。だけど私はなんでもいいから彼の恋人になりたかったのだ。それでも彼が欲しかったのだ。ずっとずっと彼が欲しかったのだ。
付き合ってから初めてサークルで顔を合わす時嬉しくて恥ずかしくて照れて彼の顔も見れないし、挨拶すらできなかった。
恋人が出来るなんて学生時代以来の話でどうしたらいいか正直分からなかった。どんな話をしてどんな距離感を保てばいいのか分からなかった。
付き合って約1週間後私の誕生日だった。だけどそれを彼に伝えるつもりはなかった。まるで祝ってほしいと思われるのもおこがましがったし、彼にはその日に予定があることを知っていたからだ。
たまたま誕生日前日サークルの練習日だった。その日彼は来ない予定だったが急遽練習に来ていた。帰りがけ仲の良い先輩が「明日誕生日だよねー?おめでとう!ほらお前ら祝え!」って言ってくれた。その周りに彼もいたのだ。
彼は目を丸くして驚き笑っていた。なんていう偶然?神様のお導きなのか?こんな形で彼に伝わると思っていなかった。
その日のLINEで
誕生日なんてきい聞いてないですよ(笑)アピールが足りない!(笑)って彼から連絡がきた。ニヤニヤしてしまった。日付が変わったあと彼からお祝いメッセージが届いた。
こんな幸せな誕生日があっていいんだろうか。今まで頑張ってきてよかった。好きな人に誕生日を祝って貰えるなんて。幸せだった。とてつもなく幸せだった。
そして誕生日プレゼントまでくれると言ってくれた。その気持ちだけでよかった。私の為に何がいいか選んでくれる。私の為に使ってくれるその時間がなにより嬉しかった。幸せだった。
しかも付き合って初めてのデートはわざわざ私の休みに合わせて休みを取ってくれていたのだ。わざわざ。幸せすぎた。ちゃんと想われてるじゃん。あんな始まり方だったけど想われてるじゃん。って思った。油断してしまったのだ。ちゃんと好かれてるって油断してしまった。
この先1日デートすることはもうなかった。
彼の重荷になりたくなくて、めんどくさいって思われたくなくて、遠慮してしまった。色んなことを。
1月の後半には立て続けに大きな大会がありそれに集中したいだろうなって。邪魔しないのうにしようって思った。
1つ目の大会は良いとこまで行ったが敗退してしまった。珍しく彼が弱音を吐いた。私なりに受け止めたつもりだったけどこの時電話の1本でもすればよかったのかもしれない。
その次の大会はなんと1位通過し、チームの悲願が達成され上へと上がることが決まった。マネージャーとして彼女としてその瞬間に立ち会えたことは本当に良かったと思う。
彼と私の間には壁があるとずっと感じていた。私自身彼に心の中を知られるのが怖かったし、自分のことが信じられなかった。彼はどうして付き合ってくれてるんだろう?私のどこが良かったんだろうっと。
その度に友人たちはもっと会話をした方がいいよ!素直に!もっと今を楽しんだらいいよ!とアドバイスしてくれていたのにその時の私は余裕がなさすぎて理解ができなかった。
時はバレンタイン。私も悩みに悩んで手作りか市販かどうしようかと。でも絶対手作りと友人たちに背中を押してもらい頑張った!失敗した時ように2回作った!
その日も筋トレに行く彼に無理を言って家に行き渡した。恥ずかしくて照れくさくて渡すだけ渡して帰ってしまった。貰って貰えたことが嬉しすぎて帰り道涙が出てきた。
彼からLINEで家でゆっくりしてってもよかったですよ。と連絡が来たとき飛び上がった。家に行ってもいいんだ。上がってもいいんだ。うれしくてうれしくてどうしようもなかった。
私たちは圧倒的に会話が足りなかったと思う。コミュニケーション不足だった。だからそこをどうしたらいいか。どうやったら解消できるかってずっとずっと悩んでた。
いつも会えるのは月に2-3回。それをどうやったら解消できるのか。だけど彼の負担にだけはなりたくなかった。わがままだと思われたくなかった。面倒な彼女だと思われたくなかった。カップルには色んな形がある。私たちには私たちの形がある。だからゆっくり2人で作っていければいい。焦らず大切に。って思ってたけど思いすぎてたみたい。
悪い予感ほどよく当たる。ネガティブを引き寄せてしまったのかもしれない。
徐々に空気で感じる温かさが無くなっていくのが分かってしまった。
今思えば3月に入ってからは延命治療だった。私はどんどん返って来なくなるLINE、どんどん苦しくなる自分をどうにかしたくて彼をご飯に誘い続けた。彼の繁忙期が始まったからLINEが返って来なくなっただけ。仕方ないって自分に言い聞かせた。
ホワイトデーもなにもなかった。何かが欲しかった訳じゃなくて考えてくれたっていう気持ちが欲しかった。
忙しいから仕方ないし、そもそもホワイトデーを知らない人間なんだろうなって思うことにした。
この頃の私はどうやったらこの距離感を縮めれるんだろう。仲良くなれるんだろう。と悩んでたし、彼にとって私はいてもいいけど居なくてもいいし、嫌いじゃないけど好かれてないんだろうなと感じていた。
次彼に会えるのは3週間後だった。3週間?!趣味のサークルは来るし、筋トレには行くのに私とは3週間後か、、、って悲しくて毎日涙が出た。
でも誘ったら断らず時間を作ってくれる。それでいいじゃないかって自分で自分を納得させた。
彼に会える日はとても楽しみだった。うれしくてうれしくて楽しくて彼も私から見ればとても楽しそうに見えた。そう思ってた。
勇気を出して仲良くなりたいと彼に伝えた。どうやったらいいかわからないからそのまま伝えた。私の中では伝えれたことで1歩2人は進んでいけると思ったし進んだと思ってたけど彼は違ったようだった。
そしてその時を迎えてしまった。