おじぃちゃんのお漬物☆#おいしいはたのしい

自分に迷うと食べたくなる。
おじぃちゃんのお漬物

疲れた時に思い出す。
おじぃちゃんのお漬物

今はもう食べることができない
おじぃちゃんのお漬物

私は子供の頃、
今とは考えられないくらい食が細かった。

食べるのは白いご飯と
おじぃちゃんのお漬物。

祖父の大きな手で、
毎日こねていた土のようなものが
『ぬか床』と知るのは物心ついてから。

ひんやりとした
ぬか床から出てくる野菜たち。

おばぁちゃんが漬物を
食べやすい様に細く切ってくれた記憶。

漬物に、お醤油かけて
うまみ調味料をふりかけて食べた記憶。

母が病気がちで、
祖父母に育てられた私。

あの頃、私がしていたママゴトは、
土の中から玩具の野菜が出てきたり。
ちぎった新聞紙の中から野菜が出てくる。

煮ることもなく
焼くこともない

洗って切って『はいっどうぞ』みたいな(笑)

たまに祖父が作った漬物を
自分でナイフで切り刻んで
白いご飯にのっけて食べた。

おいしくてたのしい記憶。

自分に迷うと食べたくなる。
おじぃちゃんのお漬物

泣きたい時に思い出す。
おじぃちゃんのお漬物

今はもう食べることができない。
おじぃちゃんのお漬物

祖父は亡くなる直前まで元気だった
でも大きな手が細くなるにつれて、
漬物の味は、塩っぱくなっていった

せっかく祖父が作ってくれた漬物なのに
私たちは、塩っ辛いと食べなくなった。

その頃の漬物でもいいから
おじぃちゃんのお漬物が食べたい。

自分の子供の頃を知る人が
少なくなった今だからこそ

おいしくてたのしい。
あの味にかえりたい。

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コンテストのお題で書いてます。
ほんの少しほっこりする
『大人の物語』や『ショートショート』
お時間あれば、読んでください▼▼▼
https://note.com/11nami/m/m146dee744f62

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