チャンピオン

僕が毎週末聴いているラジオで「チャンピオンになったことある?」というタイトルでリスナーに調査が行われていた。どうやら参加者の50%はチャンピオンになったことがあるらしい。そのラジオではタイトルについてリスナーにビデオ通話で直接調査をすると言う企画がある。ぼくはそれを聞きながら一度自分の人生を振り返ってみた。
チャンピオン。自分の人生とは正直無縁のものだった。チーム競技では仲間に恵まれていて様々な大会に出ることができたが優勝はしたことがなかった。多分。だからといって何も手に入れられなかったかと言うとそうではないから振り返ってみてその時間が無駄だったとは思わない。
個人ではそもそもぼくは戦うことを避けていた。振り返るとそう思う。自分の立ち位置、努力の至らなさを直視したくなかったからだと思う。
だからいつも隠れていた。コソコソと。
組織においての役割でもぼくはいつも一番上に立つことはなかった。中学のクラスでは議員。体育祭では応援リーダー。バイトでは2番目に仕事ができる人。いつも誰かの下にいた。それでも自分のことを褒めて欲しくて、存在を証明したくてすこし目立つところにいた。それでも一番にはなれなかった。
そんなぼくは少ししんみりしながらラジオを聞いていた。自分の至らなさを感じながら。致すときに至るのと同じ速度でとても早く感じた。
そうしていたらラジオは企画に進んでいた、チャンピオンになったことがある人へインタビューをしていた。僕はさぞかし自分に自信のあるすごい人が来るんだろうなと身構えていた。そうでないと保てないから。自分の中のサイヤ人を。
ところが参加していた人は僕に似たような人ばかりだった。いつも誰かの二番手でそれをネタに消化するような、そんなひとばかりだった。似たもの同士は同じところに集まるのだなと安心してしまった。恥ずかしい。負け犬の傷の舐め合い、そりゃ菌も繁殖する。もとから全員が腐ったみかんだから他が迷惑することもない。何よりもとは柑橘類、さわやかな香りをただ寄せていたものたちだ、表立って嫌われることもない。もうええでしょう。そんなに責めないで。ピエール瀧も止めてくれます、ネガティブな思考。歯垢みたいな汚さのそれとはおさらばしたいところです。
とにかくそのラジオはとても面白かったのでよければ聞いて欲しいです。
僕の人生はチャンピオンになれなかったけど、楽しく生きていけたらなんでもいいのかなと思います。

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