1/20実装【カラメル】樋口円香を読む
お酒飲んでヤッホー!!いれぶんです。こちらは1/20に実装された【カラメル】樋口円香の感想文兼怪文書となる記事です。以下注意点です。
・記事というよりかはただの自分用の感想まとめなのでいろいろ話が飛躍してる気がします。
・コミュ内容のネタバレを含みます。さらに今までのノクチル全体のコミュの内容を前提としつつ絡めるのでさらにネタバレと妄想が飛躍します。お気を付けください。
・私個人の好意的・拡大解釈および誇大妄想を含みますが、それらを押し付ける意図のものでありません。むしろ自分の考えとの違いを発見してより幅の広い解釈を見せてくれ…。
・ゲーム内プロデューサーのことは名前が分からんので「シャニP」と呼称します。
では以下本文となります。
【カラメル】樋口円香のイラスト
通常イラスト
高校2年生の横顔か?これが…。当たり前過ぎて逆に言及出来ませんが、樋口円香とかいうやつ普通にめちゃ美人。しかも年齢に対してかなり大人びて見える方の。こんなの隣の席になった同級生男子狂喜して死ぬだろ?許せねえよ俺…!!
全体として見れば暖かい雰囲気のイラストで、前回のプロデュースカード【ピトス・エルピス】から考えれば、だいぶ穏やかな空気を感じます。お洒落な内装のカフェで美味しそうなプリンを食べたりなんかして…プリン?ふふ…円香もプリンなんて食べるんだ…(にちゅ顔)。カレーだったりすき焼きだったりグラタンだったり、「円香もそういうの好きなんだ…」ってなるような食べ物絡みの話が多くてなんか好きです。今回は小洒落たプリンですが果たしてこれはどういう流れで食べているのか…どうせ一緒にあの男がいるんだろうけど!
そして今回の衣装!これだけは言いたい!樋口円香はチェック柄が良く似合う!!マジで!【ギンコ・ビローバ】の腰に巻いてたシャツもギンガムチェックだったし【Feb.】のマフラーもタータンチェックでした。なんで似合うのかとかは全然分かんないんですけど、やっぱり円香にはチェックが似合うのだと再確認出来る、落ち着きもありつつ可愛らしい衣装だと思います。
フェスイラスト
ファンシ〜〜!!これはまた攻めた感じの雰囲気で来ましたね!シャニマスくんは何故かSRの方が攻めた衣装を出す。
目が痛くなるほどのビビッドカラー空間に謎衣装。着衣のままバスタブに入りシャボン玉をふかす謎シチュエーション。背景で輝くnoctchillネオン。髪型変更も付いてオトク!今までの円香の雰囲気からは全く想像できないような雰囲気なので謎だらけですが、やはり目を惹くのは手前にある熊のシャボン液入れでしょうか。青、赤、紫、黄の4色。何を意味する色かなんて、もはや説明するまでもありませんね?そして浮かぶシャボン玉を放つ吹き口はノクチルのような水色です。よくよく見ればシャボン玉も4色あるような…?左腕のブレスレットもなんか4色で構成されてない?なんかエモくなってきたな(感情肥大)。たとえ色づき始めても、4人は4人で4人。
このよくわからんシチュエーションのイラストは果たしてなんなのかと考えてみたりもしましたが、例えば【カラカラカラ】が実装された時のガシャタイトル「聲魚」やそのガシャポエムからかの有名な童話「人魚姫」の関連が指摘されていたり、その【カラカラカラ】やLP編などに見られるようにこれまでの円香の物語では「溺れる」というキーワードが度々出てくることと関連付けられるかもしれません。
人魚姫は恋に敗れ、その身を海に投げて泡となり消えましたが、それは海で溺れ死んでしまったということでしょう。円香にとっての「海」とはそうして溺れ死ぬ恐ろしい場所であったのかもしれませんが、これまでの物語を見るに彼女は少しずつ「海」に向けて踏み出していけるようになっていると思います。そういう意味でこのイラストは、アイドルとしての衣装をその身に纏いながら「海」に踏み入ることができるようになる、その最初の一歩を踏み出し始めているという意味を持ってたりしないでしょうか?明日初めて海に遊びに行く子供、最初はきっとお風呂で練習するでしょ?このイラストは、決して「海」は溺れ死ぬような場所ではなく、研ぎ澄まされて優雅に、それでいて満ち溢れる生命力のまま思うように泳ぎ回っていい広大な世界に踏み出し始めた彼女の姿なのかもしれません。そこで溢れ出る泡は彼女が溺れ死ぬ時の脆い輝きではなく、生きて呼吸している事を証明できる力強い輝きでもあるでしょう。ところで、着衣で入水するカードイラスト、もう一枚あります。【游魚】樋口円香というカードです。その時の円香含めノクチルのみんなの表情いかばかりか。海へ出ろ、みんな。きっと君たちは溺れやしない。
さらに因みになんですけど、このカードはその通常イラストとフェスイラストに凄まじいギャップがあるのが特徴かと思います。年齢不相応に落ち着いた雰囲気の通常イラストからだいぶハッチャけたデザインのイラスト。これと逆の構成のカード、思い当たりません?【おかえり、ギター】浅倉透、浮かびませんでした?あのカードはこの【カラメル】と真逆で、攻めまくった衣装の通常イラストからの水彩風で落ち着いた雰囲気の可愛らしいフェスイラストでした。この2人、やはり対なのでしょう。浅倉と樋口、透と円香、緑のタヌキと赤いキツネ、踊るカニとエビグラタン、俺とお前と大五郎…。
1つ目のコミュ「あまい」
さてイラストだけで限界解釈大爆発でしたがコミュも見ていきます。1つ目のコミュでは、これまで円香のコミュを追ってきた人ならすぐわかるでしょうが、電話を通し有り得んくらい優しい声色でシャニPを「プロデューサー」と呼んで電話をしている円香から始まります。嘘だろ!?いやでも、LP編までの内容考えたらそうなっててもおかしくねえしな…!外での通話で周りがうるさいからと路地に入る気遣いすら見せます。
和やかな雰囲気で話しつつ、明日の集合場所のレストランについて確認したりしているようですが、シャニPは方向音痴がどうとかでその場所が覚えられないとかそんな話をしているようです。へ〜シャニPって方向音痴だっけ?なんだかよく分からないけど話は弾んでいます。
そのあとは選択肢次第で、新幹線まであと3分しか時間ないのに駅前で呑気してたり万年筆を現場に忘れたり、なんだかよく分からない質問を円香に投げかけてノーコメントで流されたりするシャニPが描かれますが、別にその事で円香は責めたりしません。うせやろ?いつもなら「時計の見方すら分からなくなったんですか?」くらいにはボロクソ言うだろこれ。信じられないくらいに打ち解けている…ちょっと驚きです。
ちゃんと次の集合場所は確認できたのか、新幹線に間に合ったのか、どんな質問を投げかけられたのか、その辺はよくわかりません。何故ならこのコミュ、円香側の言葉しか描写されないから!そういうことするよな〜。【閑話】の時も円香の完全主観という斬新な描写をしてきましたが、今回もこんな描写のせいで妄想と憶測ばかりが膨らむしシャニPと円香の関係の角がやたら取れたらしでいきなり脳が爆発しそう!こわいゲーム。
2つ目のコミュ「にがい」
2つ目のコミュでは喫茶店らしきところで、またもやプロデューサーと電話しています。またもやスケジュールの話をしつつ、今度は「これからの話」として仕事の話をしています。どうやら円香がゲストとして出演していた番組で、彼女をゲストとしてではなくサブレギュラーとして起用するという話になったらしいです。お~よかったなあ。なんだかんだで円香は仕事は真面目にこなすからな!円香自身も「楽しみだ」と答えているし、シャニPも嬉しいでしょう。
といったところで円香は「代わりますね」と言って電話をシャニPに渡します。は?え??ん???いや…ん?ちょっと待て!!この電話口の「プロデューサー」ってシャニPの事じゃないんかい!!おいおいおい!!いやーマジか!完全にしてやられた。これ1つ目のコミュも間違いなくそうでしょうね。そうだとすればシャニP相手にしては不自然に感じられるほどの円香の柔らかい態度にも納得いきます。かーっ!おもしろかゲームばい!(賞賛)
電話を代わられたシャニPはすっかり仕事モードで「プロデューサー」としてしっかりと話をまとめており、その様子を円香は神妙に伺っています。電話を終えたシャニPと円香はその「プロデューサー」について「悪い人じゃない」としつつも、「公私の区別が無い、それがいいところでもあるだろうけど」と評されています。まあ普通に考えて事務所も通さずにいきなりタレント本人にオファーの電話かけるのは流石にちょっとね…。でも円香の態度を考えるに悪意のある人でもないのは確かでしょう。
そんなところでコーヒーとキャラメルプリンが2つずつ届きます。シャニPはコーヒーのみ頼んだつもりだったようですが、円香が勝手に2つ頼んだようです。おおん?珍しい真似するな~?と思いつつも、こうしてシャニPを物事に巻き込んでみせるのはちょいちょいやるような。どうにかしてシャニPを同じ土俵に立たせようとするのは円香の常套手段な気がしますね。
そこで円香は例の「プロデューサー」から「第一印象は爽やかで優しそうだったけど、収録を見守る目があまりにも真剣過ぎて、実は怖い人だったりしないのか?」という質問を受けたという報告をしています。おそらく1つ目のコミュでされていた質問とはこれなのでしょう。それだけ伝えといて円香は「あとはお願いします」などと適当なことを言い放ち、シャニPも「誤解を解けって事か?」と困惑しますが「さあ」と適当に流されてコミュは終わります。果たしてこれって誤解なんでしょうかね~?色んな意味で怖い男だと思うけどなシャニPとかいうやつ。そこがいいんだけどね。
Trueコミュ「and(call)」
さてTrueコミュではまたもや電話口、しかし口調はいつものダウナー樋口。これこれ!っぱこれよ!今度こそこの電話は樋口円香とシャニPのものであると断定できます。車中のシャニPは円香に電話をかけ、手短に次の仕事としてやって欲しいことを伝えてサクッと了承されています。仕事できるやつらって感じ。円香相手も慣れたもんだなあ。
なんて思ったところでシャニPは仕事の話をするかのようながれで「冷蔵庫に貰い物の季節限定ケーキが入っている」「俺は3つ食べた」などと言い始めます。円香も若干呆れ気味に「3つは食べ過ぎでは?」と突っ込んでいます。わろた。確かに食い過ぎだと思いますが、なんかいっぱい貰ったらしいです。そして今度はそんなくだらない?話を続けるかと思いきや、再度仕事の話に移り変わり、例の「プロデューサー」から正式に電話でやり取りして仕事を請けたという話になります。スマートに仕事の話を済ませたかと思ったのに…。
そのことについてシャニPは「必要な所で円香にも確認を入れる」と伝えるも「そっちの判断で良い」と突き返され、それでも食い下がって「何か決まった時には確認を入れるから」と付け加えますが「何、その自己アピール」「そういうのはもうわかってる」と皮肉られています。これをシャニPの自己アピールと捉えるのはひねくれ過ぎじゃないか樋口?でもこれが俺たちの知ってる樋口だ…。実家。
そんな円香は「『プロデューサー』のことは少し心配だから何かを決める前には声を掛けてください」と付け加えています。それを聞いたシャニPはその円香の言う「『プロデューサー』が自分のことかと思った、紛らわしいよな」という話をして、またも円香に「そう呼ばれたいのか」「自分だけがそう呼ばれたいと」と攻撃されています。これはちょっと隙見せたな。
しかしこのシャニPとかいう男、「別にどんな呼び方でも円香に呼ばれたらちゃんとわかるから」などと歯の浮くようなセリフを言い放ちます。んだこいつ~!口説いてんのか?それを受けた円香、「ではそうします」「残念でしたね」と言って電話を切り、「本当、ダメな人」と零してコミュは終わりました。ぐおお…なんぞこれ…。なんで円香とシャニPのやり取りいつもこんなドラマチックな感じになるわけ?
これは果たして何が「残念」で「ダメ」なんでしょうね?色々考えられて面白いですが、やはり私は円香の「『プロデューサー』が心配だから」という言葉の「プロデューサー」が本当はシャニPのことを指していたのではないかと思います。それなのにシャニPは「自分の事かと思った」と、とぼけたことを抜かしてしまったのを聞いて、それを指摘するのも気まずい円香は自分がシャニPのことを「プロデューサー」と呼んだことを誤魔化し、その後の「円香に呼ばれたらどんな呼び方でも分かる」などと気障なセリフを吐いた癖に全然わかってなかったシャニPを皮肉る意味の言葉かなと思います。ホントこの2人いい感じに拗れてて面白いな!もっとやれそういうのは。
まとめ
甘
シャニマスくん面白〜となる良コミュ。しかも結構サクッと手に入るであろうSRでこういうことする。そんなありがたみを感じながらいつも通りごちゃごちゃ考えます。
まず印象的だったのはやはりシャニPではない「プロデューサー」の存在でしょう。この方のおかげで見事に我々オタクは騙されちまいましたが、それは我々が円香のLP編を見た後であるという前提でこういうやり方に成功したとすればもう流石ですよね!LP編見ないでやったら1つ目のコミュでの円香には相当違和感あったでしょう。まあそもそも、シャニPが方向音痴だなんて描写今まで多分無いし、呑気しすぎて新幹線逃すようなやつではないし、万年筆だってよく見てる円香ならシャニPの使ってる物を嫌でも覚えてると思うので本当は違和感覚えなきゃダメなんでしょう。俺の負けだ(惨敗)。
では何故違和感があるのか?ですが、それはやはりあの時の電話で応対する円香の喋り口がシャニP相手にしてはあまりにも「あまい」からでしょう。樋口円香と言えばその初登場時から、アイマス史上でも類を見ないほどの凶悪な毒舌や塩対応をシャニPに対して行う事がひとつの特徴だし、いろいろなコミュを通して信頼関係を構築しつつもその態度が急激に軟化することなど今までありませんでした。そして今回も結局オチとしてはいつもの樋口って感じでしたが、まあみんなそっちの方が好きでしょ?違う?
ただ、円香のそういう態度はあくまでもシャニPや距離の近しい身内仲間などに使う物であって、今回のコミュでは所謂「外行き」の円香の振る舞いが示されたわけです。これまでも円香が「楽な商売」とか抜かしながらもアイドルとして仕事は上手くこなしているのだと読める部分は沢山ありましたが、そのひとつの形として例の女性プロデューサーに対する気遣いも出来て愛想の良い応対があったのだろうと思えます。そしてそれはシャニPや我々が見るいつもの円香と比べて「あまい」雰囲気であるわけです。
そういった円香の二面性が示された物語でありますが、こんな感じの二面性なんて誰にでもあるものでしょう。あなたのお母さんは学校から電話かかってきた時とかなんかやたらと声高くなってませんでした?それでこっちがビビるっていうね。そうやって誰しも相手によっては態度や言動が変わったりするもので、それはそれで必要なことでもあるのです。円香が例の女性プロデューサー相手に「あまい」態度を取るのもまた、ひとりの仕事を行うアイドルとして必要なものであるのでしょう。
そしてそれは、きっとシャニPも一緒です。シャニPにも人に見せる面、見せない面があるはずで、それはそれはまあ~お誂え向き!な感じで円香のG.R.A.D.編にて示されています。事務所で疲れ切って気を抜いていたところを何故か暗闇の中でにちゅっていた円香に見られてしまったシーンですが、その時のシャニPは「円香は物事の奥を見透かそうとする聡い子だ、事務所でも気を抜かないようにしないと」ということを言っていました。これは円香(というかおそらくは所属アイドル全員)相手には、疲れていたり弱気になってしまったりするような態度を表には出さないようにしているということでしょう。さらに言えば別にアイドル相手じゃなくても、シャニPが営業マン的な役割を果たしていることを考えれば、取引先の人相手にも下手に弱みは見せられないだろうということも推察できます。ホントお疲れ様シャニP…。
そうやって相手や状況によって態度が変わるということをお互いに確認したのが今回のコミュだと考えています。このコミュでは円香もシャニPも例の女性プロデューサーと電話越しにやり取りしていますが、円香が電話していた時、おそらくシャニPは隣にいました。
1つ目のコミュでは円香の言葉のみが描写されていますが選択肢が出ます。最初は電話の向こうにいるシャニPの行動を選択させてきた!オシャレ~!って思ったんですが、やり取りしている相手がシャニPではなかった…じゃあこの選択肢は…円香の行動?となってしまいました。しかしアイドルマスターという作品においてプレイヤーがアイドルの行動を選択できるというのは基本的に有り得ないと思うので、この時シャニPは隣で「あまい」態度を取る円香を黙って見ていたのでしょう。そして喫茶店では同じように、シャニPが女性プロデューサー相手に電話していた時、円香もまたシャニPのように黙ってシャニPの前に座っていました。その時のシャニPはきっと、円香的には「あまい」態度であったんじゃないかな。【カラメル】の物語は、このような形で2人が並べて描かれているのだと思うのです。
苦
そうやって生活上か仕事上か、関わりのあるけど少し距離感のある誰かに取る言動を「あまい」と取るならば、対極には「にがい」態度もあるということになるでしょう。今回のコミュタイトルもそうなっています。
円香の「にがい」態度や言葉の数々は我々オタクたちも良く知っているでしょう。こいつは登場初期から刺々しい言動のオンパレードで、よくまあそれなりにガタイもよさそうな初対面の成人男性相手にその態度取れるな…と心配になるほどに「にがい」言葉をシャニPに浴びせかけます。ただ、今となってはそういう円香の露悪的な言葉の数々はシャニPの「折り目正しいスーツ」の裏側を見透かそうとする故の挑発的な態度であるというように思います。「アイドルは笑ってるだけの楽な商売」だの「自分たちは商品」だのと煽っておけば冷静さを欠いたシャニPがボロを出すと踏んでいたのでしょう。本当に高2病だよなコイツ。
円香は「あまい」態度を取り続けるシャニPに対する不信が当初よりずっとあったのだろうと思いますが、そんな彼女から攻撃され続けたシャニPはというとまっっっったくその「あまい」態度を崩そうとはしません。相手が相手ならブチ切れられて殴られるだろくらいの言動を円香はしてると思うんですけど、俺たちのシャニPはあくまでも「折り目正しいスーツ」のプロデューサーであり続け、「あまい」ように思える態度や言葉を続けます。そのくせに割とどうでも良いところで急に可愛げある感じでボロ出したりするんですよねあの男。円香的には最ッ高に鼻持ちならなかったでしょう。俺もたまにコイツ~~~!!ってなる。
じゃあシャニPが一見甘い理想論や綺麗事ばかり吐くような気に食わない野郎だとして、その裏側に「にがい」ものが無いということではないですよね。先述したようにシャニPはシャニPで弱気な所なんかを見せないように苦労しています。シャニPが実はそういう「にがい」を噛み潰している部分があって、それに円香が触れてしまっているというのは実は結構早い段階で示されていると思います。
【カラカラカラ】のコミュ、「ニガニガ」です。おや?今回も「にがい」って話だったり、カードタイトルに「カラ」って入るな?偶然?まさかね。あのコミュでは円香はシャニPが飲んでいた「ブラックコーヒー」と同じものを買って飲んでいたと描写されますが、彼女はそれを「一口だけ飲んだけど全然美味しくなかった」と否定し、「なんでこんなに苦いものを」と独り言ちます。シャニPと言えばブラックコーヒーというのはもうよく知れ渡ったことかと思いますが、それは正に「にがい」液体、言ってしまえば「苦汁」そのものです(コーヒー好きな人ごめん)。そしてそれは円香からすればわざわざ啜る意味のないものなのにあえてそれを飲み込み、それでいて何でもないように「あまい」面をするシャニPにどうしても嫌悪を覚えていたように見えます。同カードのTrueコミュ「エンジン」で「どうして自分のためにそこまでするんだ」という事をシャニPに問いそうになってしまって踏みとどまるシーンもあることを考えれば、円香がシャニPに感じる不信感の根源にあるのは「明らかに裏側でに『にがい』思いをしてるようなのに、それでいて『あまい』言動を崩さない」シャニPの態度なのでしょう。なまじ「聡い」円香はシャニPの抱える「にがい」に気付いてしまってより訳が分からなくなっていたという感じがします。
まあ、そんなやついたら裏側を疑いたくなるような気持ちも理解できなくはないですけどね~。円香は果穂やあさひ(甜花ちゃんや小糸も?)に妙に甘いことで子供好きなやつみたいな扱いをされたりしますが、それって多分純粋で裏表のない人格が好きなんだと思うんですよね。透の隣にいるのもそういうことな気がするし、今回登場した女性プロデューサーについても「公私の区別が無い、それがいいところでもあるだろうけど」と評しています。
それは円香の自身がそうでないという自覚から来る裏返しの自己否定的な価値観だと思います。そしてそうだからこそ、自分と同じように裏表がありそうなのに頑なに裏側を見せようとしないことから来る不信感、そのくせ微妙にボロを出す中途半端さ、挙句はそれが愛嬌として受け止められがちなシャニPに対して苛立つところがあったのかもしれません。とはいえなんだかんだ円香もシャニPに「にがい」態度をさらけ出しているように見えて裏側にあるものを隠しているし、そういう意味でもやっぱりこの2人は似た者同士。しかし円香はシャニPの「あまい」だけのように見せて裏でわざわざ「にがい」思いをしている在り方が理解できない関係として描かれてきたように思います。
絡
ある一方で「あまい」理想や輝かしい夢、明朗で外面の良い言葉や立ち振る舞い。もう一方でその裏にある「にがい」事実や苦しい現実、それ故にくじけそうになったり毒吐きたくなる心。その二面、裏表が人にあるということは珍しいことではなく、円香とシャニPも例外ではないのです。
樋口円香という人物は先ほど述べたように、裏表のなさを理想としながらも、そうでない(自分を含めた)人間性を否定する価値観の持ち主であるように思います。そんな円香から見たシャニPは、きっと当初は「裏があるくせに、下心を持って誤魔化し、そうでないように見せかけてくるやつ」として映っていたかと思いますが、これまでの物語で円香はシャニPがそうでないということを理解したのかななんて思う訳です。
まず前提として、シャニPには円香を絆して納得させ、アイドルという商品として商売しようという下心なんてありません。それは神の視点にいる我々ならハナから分かり切っていたことですが、円香は「シャニPが『にがい』部分を隠そうとするのは自分を騙すためだ」と疑り続けてきたのでしょう。
しかし、内容がマジで凄すぎるんで子細は書きませんが、LP編でシャニPは円香に対して「俺がこうするのは俺自身がそうしたいと思ったからだ」と「衝動」を伝えたんですね。その結果円香はただ己の「衝動」に従ってしたいことをするということができるようになりました。つまり、シャニPが「あまい」面をするのも、「にがい」状態を隠すのも、究極的には全部「自分自身のため」だったんです。それってある意味で「裏表がない」って話じゃないですか?なぜ果穂やあさひのような子供の行動に裏表を感じないのか、それは表出する行動の基本原理が「自分自身のため」のように思われるからです。(実際はそんな単純じゃないかもだけど)
シャニPが「あまい」「にがい」を使い分けるのは全て「自分自身のため」であるということは、円香に対して「あまい」態度を取り続けることが彼女の世界を侵犯するものではないということを意味します。それが分かったから、今回の円香は喫茶店で例の女性プロデューサー相手の電話で「あまい」態度を取るシャニPに対して一切突っ込まなかったんじゃないかと思うのです。ここ地味に相手が「女性」プロデューサーであるということが地味に重要で、初期の円香なら「女性相手にはいつもそういう外面の良い態度なんですか(=下心があるんだろ?)」と皮肉りそうなものを、今の彼女はただその様子を静観して何事もなかったかのように終わりにしたんですよね。だってそれはシャニPがシャニPのやりたいことをやるために必要があってやっていることに過ぎないのだから。
そしてその後、円香とシャニPは「彼女はちょっと大雑把過ぎる」「ああいう対応でよかったか?」なんて「にがい」話に移るわけです。そんなタイミングで円香とシャニPの元に「にがい」コーヒーと「あまい」プリンが運ばれてくるというのは意味深じゃないです?シャニPは本来ここでは「にがい」コーヒーだけを頼んでいたのに、円香は「あまい」プリンもシャニPが食べるように頼んでいました。これ円香が、自分と同じようにシャニPには「あまい」部分も「にがい」部分も両方同時にあって、しかもそれを使い分けることが当然であることを認めたという意味を持つように感じてしまうんですよね。わざわざ「あまい」プリンをシャニPに食べさせようとしたことは、今までシャニPの裏にある「にがい」を暴こうとしてきた円香としては異例なことですよ!
そして、その「にがい」コーヒーと「あまい」プリンの間にある、「あまくてにがいもの」が【カラメル】ではないかと思います。甘さも苦さも綯い交ぜになった赤褐色な液体。円香はその「あまい」と「にがい」をパッキリ使い分けて「いい席」に座り続けることを是としながら、結果として裏表の存在を是認してしまうその在り方に対する漫然とした自己否定感を抱いていると思います。片やシャニPという男は、同じように裏表を持ちながらもそれらを綯い交ぜにして生きているのが円香と異なる点だと思います。
シャニPがそんな「あまい」と「にがい」が混ざり合った「カラメル」的であることが示されたのが今回のTrueコミュです。ここでのシャニPは、「円香相手に手短にと前提し簡潔に仕事の話だけする(にがい)」→「かと思えば事務所の冷蔵庫にケーキが入っていて自分は3つも食べたから円香も食べてくれなどと仕事に関係ない雑談をする(あまい)」→「という流れで何故か例の女性プロデューサーと仕事の話がまとまったから色々円香に確認取らせてくれといきなり仕事の話になる(にがい)」→「と思えば『プロデューサー』って呼称は紛らわしい、まあ俺は円香になんて呼ばれても分かるけどと雑談する(あまい)」と、「あまい」「にがい」を入り乱れさせた話題を展開してくるのです。
そんな【カラメル】的在り方は、円香が感じていただろう単純な裏表なんて概念では語り難い、混然とした在り方です。カラメルは、「あまい」プリンと「にがい」コーヒーの間にあるもので、そのどちらをも引き立て得るものです。円香はきっと「あまい」と「にがい」だけの両極端な価値観を持ってそれ故にシャニPの在り方が理解できなかったのだと思います。しかし、カラメルのように「あまくてにがい」ものもこの世にはあるし、それは間違いなく彼女にとっても美味しいものであったはずです。シャニPは円香の頼んでくれたプリンを「これ美味しいな」と言い、円香本人はだんまりでしたが、彼女が黙するということは肯定の意味を持つでしょう。「あまい」と「にがい」の両面を同時に持とうとすることは、必ずしもその人の表裏性のネガティブさを表すものではないのです。なんかわけわかんなくなってきたな?怪文書だから許せ!
ところで、面白いことにプリンに「カラメル」が使われることの起源は、プリンの原型であるイギリス料理プディングを作成した際、容器とくっついてしまって上手く取り出せないのを解決する為に容器と卵液の狭間にカラメルを入れたことに由来するという説があるようようです。「カラメル」はやはり、何か2つの間にあり、且つその双方を侵すのではなく寧ろ切り分ける為にある、いわば緩衝材のようなものなのではないですか?いつもの限界解釈です。許せ(二度目)。
ただ、ここまでの間にも何度か「シャニPは時々ボロを出す」と書いてきましたが、そういう風に「あまい」と「にがい」を綯い交ぜにするシャニPにも脆さはあります。シャニPはあの女性プロデューサーにも、「普段は明るい爽やかな人だが仕事を見ている時は怖い目をしている」と言われちゃってる通り、裏にある「にがい」が少し漏れ出ていて、それを円香に忠告されています。それなのに「誤解を解けばいいのか?」とか頓珍漢なことを言うのです。誤解じゃないよ!バレてんの!
また、私の読み方的にはTrueコミュの「プロデューサーが心配なので」という円香の言葉は例の女性プロデューサーではなくシャニPのことを(皮肉も込めて)心配していると読んだのですが、そうだとすると「俺は円香にどんな呼び方をされても分かる」と豪語したシャニPはそれを普通に判別できなかったということになるんですよね。そんなんだから円香に「本当にダメな人」と言われてしまうんじゃないかな?でも直接そう言わなくなったのも、やっぱり円香は円香なりにシャニPの在り方を認めたということにも感じます。
シャニPはやはり社会人として色んな修羅場を生きてきたからか、こうして自覚的にだけじゃなく無意識的にも「あまい」と「にがい」を混ぜ合わせてしまっていて、その為にちょこちょことボロを出すのですが、それでもそう在ることが必要なのでしょう。
この世界はただ「あまい」だけの世の中ではなく、かと言って「にがい」だけじゃとても美味しいものじゃない。その境界にある甘みと苦みの絡み合った赤褐色の液体が、多くのプリンに使われるように、そんなプリンがコーヒのお供になるように、おそらくはこの難しい世の中で生きていく為には必要なものなのです。
だから、ただただ甘く美しい理想を信じてしまいたい自分も、舌に刺々しさを残す現実に苦い言葉を吐いてしまう自分も、多分どっちも否定しなくて良いんだ。その間に【カラメル】があるということ、それが様々に味を引き立てる美味しいものだということ、そして何よりそれが「自分自身が美味しい思いをするため」に必要であるということ!そういう風に感じられるようになることが、もしかしたら大人になる、「自由」であるってことなのかもね、円香。
感情置き場
おもしろ。なんだこいつ。樋口円香のコミュ、マジで毎回おもろい。おもろる過ぎるがゆえに死ぬほど書くのに時間かかった。嘘です。単純に私の頭の回転と筆が遅いだけです。こんなに上手くまとまらんとは思わんかった。
しかしまさかアイマスやっててこんな叙述トリックに嵌められるとは…驚きですね。しかも真面目に円香のLP編やってることでよりその罠が強度を増すというのは余りにも計算高すぎて震えます。
ただ、今回の円香からはG.R.A.D.編からLP編にかけての流れがあっての信頼関係の進展や価値観のアップデートが感じられ、それはきっと円香の成長でもあります。そういう意味では、このカードはここまでの円香とシャニPの歩みを刻んでいる確かに刻んだような存在でもあり、そんなものを入手しやすいSRで実装したシャニマスくんには感謝せざるを得ません。【おかえり、ギター】でもほとんど同じような事思ったよ。ありがとうシャニマス!ありがとう高山!
ところで余談なんですけど、現在のプリンの原型でもあるプディングってもともと船乗りの料理だったらしいですよ!シャニマスくんのことだからなんかプリンにも意味込めてそうだな〜とか思って調べたらすぐに「海」の要素に繋がって流石にビビりました。ここまで狙ってモノ作ってるんですかね…本当に恐ろしいゲームです。
なんにしてもここまで読んでくれた方、もしいらっしゃるなら人生の貴重なお時間を頂きありがとうございました。相変わらずクソ長くなっててしゅまん!こっちも自分のまとめる能力の無さに困っております。グダグダやってるうちに新たな透のカード実装も決まりましたし楽しみですね!透のsSSRなんてノロマ号以来ですよ!一年以上経っとるがな。また限界解釈爆発するかもしれません。ともあれ、またどこかカラメルが美味しいプリンの上でダメな人になって会いましょう。それでは~。