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写真展ふりかえり norm


2021年走り続けて師走も完走してました!仕事は完走できていない大西です。2022年もみなさんひとりひとりがそれぞれの歩幅やテンポで走り続けていることでしょう。

どうか景色を眺めながら、目標までの過程を楽しみながら、自分との時間を大切にしてくださいね。

ここで、個人的に2021年写真展の振り返りをさせていただきたく思います。

5月     和歌山 norm
7月     大阪  SEWING TABLE COFFEE/SO Lei
7月     兵庫  rizmの森 璃杜庵
10月 愛知  夕方喫茶

2021年は嬉しいことに4回も展示をさせていただきました。本当にありがたいことで、関わってくださったみなさまには心より感謝申し上げます。

noteの更新を4回に分けてそれぞれ振り返りたいと思います。

2021/5/22-30
norm 「よすがにこだまする」

normの坂上さんとは2020年6月に出会いました。この日は初めての和歌山で、作家の川井有紗さんと笑達さんも交えて共に過ごしました。自分にとってかけがえのないはじまりの日。「好きなことをすればいいんだから」有紗さんの言葉がすとんと心に響きました。この日、有紗さんと話していて自分が「伝えることをしたい」という想いをはっきり口にできた気がします。
有紗さんはいつも相手の本質を見抜き、相手がどう思っているのか、何を感じているのかを聞き出してくれます。そして相手も知らず知らずのうちに自分へと向き合う。きっとそこで自分なりに気づき、理解して、道をまた開いていくのでしょう。そのように導いてくださるのが有紗さんの魅力のひとつだと私は感じています。
2020年といえばまだコロナが世界中で猛威を振るっていましたが、いろどり山の上にあるお二人の家や、和歌山の土地の豊かさ、何より坂上さん、有紗さん、笑達さんとの時間がそのコロナの脅威から私を切り離してくれたのでした。

彼らの穏やかさ、健やかさが私にとっての太陽で、外の世界や相手、自分自身さえも信じられないコロナの時期を明るく照らしてくれるようでした。

坂上さんは私の写真に対して「音がきこえてくる」と仰ってくださりました。葉が風にゆらめく音、川に光が流れる音、鳥が風と共にある音。だからこそnormでの写真展が決まったときテーマも自ずと決まっていました。

「よすがにこだまする」

よすがとは、よりどころの意味。
私にとってnormという場所は作家や作品、お客さんにとってのよりどころのように感じました。それは坂上さんの語る作家さんや作品への情熱、お客さんの喜んでいた様子などを伺ったからこそ、この言葉がnormという空間の真ん中にある気がしました。
また、normは訳すと「基準、規範」という意味を持ちます。人々の生活の基準になるようなお店をされたいという坂上さんの想い。この「基」と言う漢字にも実はよりどころの意味が含まれるのです。

そこにきっと音がころころ転がっている。
気配のようにこだましている。

そんな風景を展示で表現してみたい。

そのようなはじまりでした。


また、有り難いことにこの展示を機に、初の写真集を発売することとなりました。
ど素人な私の写真を果たして誰が見てくれるのだろう。そんな不安もありながら、写真たちがきらきらと楽しそうに輝いている光景を想像して心が弾みました。
写真集の制作については前回のページでも紹介しておりますので、ぜひそちらもご覧いただけたら嬉しいです。


本棚にかっこよく佇んでいるだけがあなたの役目ではない。外の風を感じたり、人の体温に触れてもらったり、いつでも鞄に入っていたり、写真集と人もそんな関係性があれば心が豊かになるような気がします。

人生初の写真集のこと、前回のページにて多くを語りすぎてしまいましたが、大切な方々の協力があってこそあのかけがえのない作品を作ることができたと思うと、このご縁と皆様のエネルギーに対しての感謝の気持ちが絶えません。

さらに今でも忘れられないのは写真展初日に「写真集が欲しくて」と開店前から並んでくださった可愛らしい女性のお客様のこと。美しい眼差しで展示の作品に目を輝かせてくださったことが本当に嬉しかったです。

在廊中に嬉しかったことはここでは書ききれないほど他にも沢山ありました。近くから、遠くから、初めてnormに足を運んだという方から常連さんまで嬉しいご縁に恵まれました。ひとりひとりが、身近にある愛しい風景のかけらに出会うようにあの時間を感じていただけたなら、私の写真展はきっと意味があったのだろうと思います。

展示のオープニングにはLUCAさんにお祝いの歌を添えていただきました。コロナ禍でライブの開催が難しかった中、LUCAさんの歌声を久しぶりに耳にされた方も、はじめてお会いしたという方も、共に歌に心ほどかれた時間になったことだと思います。私のお気に入りの曲「I wonder」からスタートして「始まりの歌」まで一曲一曲が海で見つけた貝殻のような輝くたからものたちなのです。

展示の最終日には岡山のbelkが出張で珈琲を淹れてくださりました。約3年前に私が京都に引っ越すタイミングで出会った場所がbelkで、お店を支えるスタッフさんたちや、お店を包む瀬戸内海の風景に惹かれて度々belkに足を運んでいました。単純にオシャレなカフェというのではなく、営みの中にある物事への敬意や、イベントでも展示でもその取り組み方に美しさを感じていました。

珈琲はbelkオーナーの北村健太郎さん直々のドリップということで、開店から閉店まで行列が絶えないほどの人気っぷり。お越しになった方が珈琲を片手に写真をご覧になる様子が微笑ましく、何も急ぐことなく、ただそこにある時間に身を委ねることの心地よさに満たされているようでした。

写真展では、お越しくださった方と話している時間が本当に心地よかったです。写真が空間に展示されているこということよりも、老若男女の幅広い方々にご覧いただき、安らぎや喜びを感じてもらえたことが、あの展示での一番の喜びでした。

「問い」も「正解」もないもの。「よすがにこだまする」では、ただあなたと共にいることへの喜びがあったのだと思います。

normという場所で展示ができたこと、そして私のことを信じて支えてくださった坂上さんをはじめ、遠くても近くても私のことを見守ってくださったみなさまに改めて感謝を。

自分にとってキラキラとした結晶のような日々でした。





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