COVID-19 Quarterly Report 2022 Week 40(10/1-7)& 3期まとめその2
22年3期の世界および日本の新型コロナの感染状況についてまとめた。先週は新規陽性数と死者数について考察した。今週は治療者数、重症者数について考察する。統計値は10月10日までに得られたデータをもとに作成した。それ以降に修正されたデータは、次回以降に反映させる。また、現在の感染拡大地域や今週の感染状況などもいつも通り考察する。
A. 3期は治療が長引く人の割合が増えた
Worldometerでは回復者数、治療者数、重症者数、検査数も計上している。しかし、回復者数と治療者数は、陽性数と死者数に比べると、新聞、テレビ、SNSで取り上げられる機会が少ないように見える。QRも人のことは言えない。最初に取り上げたのは、22年 5/13 号だった。きっかけは22年19週(5月7日–13日)にマン島で18人の死者が出た(のちに19週は1人、18週は6人、16週は5人、15週6人と分散された)事である。なぜなら、マン島では3月31日を最後に新規陽性者数が0を続けていたので、19週の死者が感染してのは3月30日以前ということになる。新規陽性数と死者数の関係から、感染してから3~4週間で死に至ることが多いと推測されていたので、この患者たち長く治療を続けた甲斐もなく亡くなった。そこで、マン島の治療者数を調べてみると、トップのグラフのように、ほとんど減少していないことがわかった。治療者数が減少した時は死者のある時だけだった。下の表は当時のマン島の治療者数、新規陽性数、死者数の推移である。
つまり、一度感染したら死ぬまで治らない、ということである。当時の調べで、マン島のように治療者数が死亡時以外減少しないところがグリーンランドやベナンなど10国領土あった。以降は、新規陽性数、死者数だけでなく、治療者数、重症者数、回復者数も調査の対象とした。手間は増えたが、治療者数の解析を続けていると、超過陽性や拡大係数など興味深いデータがいくつか得られた。
A1. 定義と基本的な性質
回復者数は Worldometer の Recovered である。日本では(1)陽性の診断を受けた日から7日経っても症状が現れなかった時と、(2)症状が治まってから3日(軽症の場合は1日)経ってもその症状がぶり返さなかった時に回復したとみなされる。初期の頃はその後に3日以上あけて二回検査をし、両方とも陰性の時に初めて回復したとされたが、今ではそういうのがなくなってしまった。また、濃厚接触者も必ず検査をしたものだが、今では、症状がなければ検査すらしないようだ。アメリカでも回復の診断基準は同じなので、世界的にも同じであると思われる。
治療者は Worldometer の Active のことある。直訳すれば、ウイルスが体内で活動している者、であるが、生存している陽性患者のうちで回復していない者の数である。新型コロナでは、一度陽性と診断されれば回復するまで隔離されるので、隔離者という言った方が正しいかもしれない。症状のない感染者は隔離されているだけで、実際に医師の診察を受けていないものも多いと考えられる。しかし、QRでは、隔離も治療の一環と考え、治療を続けている者という意味で治療者と呼んでいる。治療者の症状は重症以外は数えられてはいない。
重症者数は Worldometer の Serious のことある。厚労省は酸素飽和度で重症の度合いを決めている。「新型コロナウイルス感染症診療の手引き(第8.0版)」では、症状によって、軽症(呼吸器症状なし)、中等症I(肺炎所見あり)、中等症II(酸素投与が必要)、重症(集中治療室、人工呼吸器が必要)の4段階に分けている。世界各国で同じ基準を用いているかどうかは調べる時間がなかった。
回復者数は陽性数や死者数同様、累計と新規の二つが計上されているが、治療者数と重症者数はそのような区別はない。今日の治療者数は今日隔離されている者の数、今日の重症者は今日集中治療室などに入っている者の数であると考えられる。Worldometer の回復者数と治療者数の間には次のような関係がある。
治療者数=累計新規陽性数ー累計回復者数ー累計死者数
つまり、陽性になった者の数から、回復した者と亡くなった者の数を引けば、治療中の者の数になる。なので、多くの国では、回復者数のみを数えて治療者数はこの式から計算している、あるいは、治療者数のみを数えて回復者数を計算で出しているかどちらかであると思われる。
チュニジア、タンザニア*、タヒチ*、フェロー諸島、アイスランド、ラオス、サンバルテルミー*、バージン諸島*、シエラレオネ*の9国領土は3期の回復者数を公表しなかった(* のついた5国領土は22年を通して治療者数をこ表していない)。また、グアダルーペ、ホンジュラス、マン島、マルティニク、マヨット、スリナムの6国領土が3期途中で回復者数の公表を取りやめた。逆に、ボスニアへルツェゴビナ、ブルンジ、フォークランド諸島、モンゴル、スーダン、トルコは逆に3期途中で長い間ストップしていた回復者数の公表を再開した。
Worldometer はセルビアとコソボの回復者数はまとめてセルビアとして公表している。それぞれの回復者数は不明である。したがって、治療者数も計算することができない。同じくキプロスと北キプロスの回復者数もまとめてキプロスとして公表している。北キプロスは以前は独自の回復者数、治療者数を公表していたので、差を求めることでキプロスの回復者数を求めることができたが、7月以降は稜堡ともやめてしまった。したがって、QRでもまとめたものとして計算する。
Worldometer では治療者数が0になった国に灰色のハイライトを施す。治療者数も重症者数も0になった国には緑のハイライトを施す。彼らは新規陽性数が0になったとしても、治療者がいるうちは、感染が続いていると考えている。
厚労省は今まで毎日「新型コロナウイルス感染症の現在の状況について」で入院治療等必要な者の数を報告をしていた。 Worldometer は症状がなくても陽性ならば治療中とみなすので、入院治療等必要な者の数と治療者数とは異なるものと考えられる。次のグラフは、入院治療等必要な者の数(茶色)と Worldometer の日本の治療者数(橙色)の推移である。
治療者数の方が多いので、その差は、入院治療等必要のない感染者の数、つまり、軽症あるいは無症状の者の数であると考えられる。その割合はほぼ5%未満が4週から35週まで続いていたが、36週以降は39週は30%近くが、入院とを必要としない者であった。しかし、厚労省は9月28日分から入院治療等必要な者の数の報告をやめてしまった。
政府は規制緩和の一環として、症状のないものは陽性でも隔離をしなくても構わないという方針を打ち出している。今までは、陽性になると隔離されていたので、彼らからはほとんど感染しない。検査して陽性と分かる2~3日前の接触で感染すると推測されるので、新規陽性数を追跡していれば、感染状況を把握できた。しかし、今後は新規でない陽性者も、無症状であれば普通に活動できるので、彼らからも感染する可能性がある。
A2. 治療者数は新規陽性数ほどは増えていない
現時点での22年3期(7月2日−9月30日)の1日平均治療者数は1899万6934人だった。治療者の数え方は、新規陽性数とは異なり、一度感染すると回復するまでの治療者として何日も数えられるからである。故に、毎週の治療者数の合計ではなくその平均を計算した。
22年2期(4月2日−7月1日)の1日平均治療者数は1828万2372人だったので、3期は2期に比べて2%減少となった。次のグラフは2022年の世界の各期毎の1日平均の治療者数である。
3期は新陽性者数は2期よりも増えたが、治療者数は逆に減少した。そして2022年では最も少なかった。
次のグラフは、22年3期の大陸別の治療者数の分布である。
22年3期の治療者の27%がアジア東、25%がヨーロッパ西、24%がアメリカ北だった。この3地域で世界の治療者の4分の3以上を占めた。
下のグラフは大陸別の治療者数の1年間の推移である。
ヨーロッパ西では3期の新規陽性数は2期よりも減少した。アジア東、アフリカ東、アフリカ西、カリブ海、オセアニアでも減少した。それ以外の地域では、3期の治療者数は2期よりも増加した。
下のグラフは大陸別の3期の治療者数の伸び率である。
最も伸び率が高かったのはアジア西の162%増だった。ついで、アジア中が伸び率100%近かった。ヨーロッパ東は41%増で三位だった。新規陽性数同様、これら3地域にはロシアはもとより、イランやインドなどロシアウクライナ戦争でロシア寄りの姿勢を示している国が多いが、関係はあるだろうか。
A3. 治療者数ランキング
下の表は22年3期の1日平均の治療者数のランキングである。国名、地域、3期の新規陽性数順位、3期の新規陽性数、その前期比伸び率(マイナスは減少)、3期の死者数順位、3期の死者数、その前期比伸び率(マイナスは減少)、3期の平均治療者数順位、3期の平均治療者数、その前期比伸び率(マイナスは減少)、3期の人口100万人当たりの平均治療者数、治療者数連続増減、22年7月1日以前に感染して6月30日でも治療中の患者の数、3期の平均治重症数、その前期比伸び率(マイナスは減少)、重症者数連続増減、3期の回復者数、その前期比伸び率(マイナスは減少)、回復者数連続増減をリストした。新規陽性数と死者数はいくつかの国で修正があったのでそれを反映させた。しかし順位は先週と同じままである。10月中頃まで修正を続ける国が多いので、順位は10月21日のQRで修正したいと思う。
3期の治療者数が最も多かったのはアメリカの1日平均343万6762人である。前期比で44.5%増加で、2期から引き続いて1位になった。アメリカの人口の約1%がどこかで隔離されていた(はず)とうい計算になる。2番目は日本で、1日平均131万5095人だった。前期比で314.5%増加で15位から2位に急上昇した。日本はアメリカよりも新規感染者数が多いが治療者数が少ない。これは、感染して回復するまでの期間がアメリカよりも短いといことを示している。3位は韓国で128万5762人だった。韓国は前期比8%減だったが順位をあげた。4位はドイツで前期比34%減の123万7128人、前期の2位から順位を下げた。
5位はベトナムで前期比34%減の122万人だった。ベトナムの3期の新規陽性数は17万6920人(40位)しかいない。約105万人はどこから来たかといえば、2期以前からの繰り越し、つまり、7月1日以前に感染してから9月30日までずっと治療中だった人たちである。後述するが、ベトナムは3ヶ月以上治療中の人の数では世界で最も多い。ここまでが平均治療者数100万人以上である。
3期平均治療者数上位10国中8国が新規陽性数でも10位以内だが、ベトナムの他8位ポーランドでも新規陽性数の順位が低い。ポーランドも3期の1日平均の治療者数は約70万人近くいたが、新規陽性者数は28万人弱なので、40万人以上が2期以前からの繰越で、この数はベトナムに次いで世界2位である。。次のグラフは両国の治療者数と新規陽性数の推移である
ベトナムでは回復者の減少が続いていたが、そのペースは新規陽性数の減少ペースより低く、39週からは増加に転じた。ポーランドはマン島のように治療者数の増加が続いている。ベトナムは20週に、ポーランドは13週に新型コロナによる入国規制を緩和を実施した。規制緩和をしてから、国内での検査数も減少し、新規陽性数が極端に少なくなった。
次のグラフは治療者数ランキング上位10国の世界全体の占める割合である。
平均値なのであくまで目安であるが、3期の世界の治療者数の約5分の1はアメリカにいた。上位10国で世界の約70%を占める。
次のグラフは上位10国の2022年の治療者数の推移である。
アメリカ、日本、ポーランド、ブラジルで3期は2期よりも治療者数が増えた、また、日本、ポーランド、台湾は3期の方が1期よりも治療者数が多い。
次のグラフは上位10国の3期の伸び率である。
日本が最も高く314%だった。
世界の26国領土で1日平均10万人以上の治療者がいた。
124国で3期の治療者数が2期を上回った。セントヘレナは2期の治療者数は0だったのに、3期では治療者が出た。特にセントヘレナは1年以上治療者数が0を続けてきたにもかかわらず、8月末から急増した。9月30日点で島民の27%が治療中、つまり、隔離されている。39週は新規陽性数は減少となったが、治療者数は減らなかった。
伸び率の最も高いところはミクロネシアの22万4077%増だった。2期はわずかに3人しか治療中の者がいなかったのに、3期で5863人になった。現時点で国民の8%が治療中である。
ニカラグアとグリーンランドでは2期と3期で平均治療者数が同じだった、というより、次のグラフのように、この2国領土ではここ半年ほど、マン島のように、治療者数の数が同じである。
この間の新規陽性数は0なので、治療者数は増えていない。しかし、回復者数も0なので治療者数は減ってもいないのである。ということは、ニカラグアとグリーンランドでは半年以上前に感染したがいまだに治療を続けている患者が多数いるということである。
一方、93国で3期の治療者数が前期から減少した。バチカンと西サハラでは3期の治療者数は0だった。西サハラは2年以上以上新規陽性数0を維持しているが、22年15週まで治療中の患者がいた。最後の新規陽性は20年25週だったので、この時に感染したとすれば、この患者はほぼ2年間治療を続けたことになる。
また、下の表に示す15国領土では治療者数(もしくは回復者数)を数えるのをやめてしまった。マヨット、マン島、グアドループ、ホンジュラス、マルティニク、スリナムは3期の途中で数えるのをやめた。数値は止める直前のもので計算した。
治療者数を数え始めるきっかけを作ったマン島では、数えるのをやめた時点で約1万人が治療中だった、次のグラフはマン島の新規陽性数と治療者数の推移である。
いかにも、治療者数があまりの増えすぎたために、途中で数えるのをやめたように見える。しかし、データwよく見れば、新規陽性数をそのまま治療者数に足して、回復者数を引いていないということがわかる。回復者がいないのか、それとも、数えていないだけなのかは不明である。過去に韓国で同じように治療者数が増えすぎて数えるのをやめたことがあったが、半年後に、きちんと数え直し過去に遡ってデータを修正した。そのような修正をこの15国には期待したい。
A4. 人口100万人あたり1日平均治療者数ランキング
世界の3期の人口100万人あたりの1日平均の治療者数は2252.2人だった。下の表は22年3期の人口100万人あたりの1日平均の治療者数のランキングである。
最も多いのはケイマン諸島の31万0354人だった。この間は島民の30%以上が隔離されていた(はず)なので、経済的にうまく動いているのだろうか心配になる。もしかしたら、無症状や軽症だからという理由で隔離もせずに日常生活を送らせている可能性も考えられる。だから、いつまで経ってもケイマン諸島では感染が終わらないのかもしれない。
2位はギアナの25万7783人、3位がサンマルタンの25万5344人、4位がマルティニクの21万4045人、5位がグアダルーペの16万9001人である。ギアナ以外はカリブ海の島々で、ギアナもカリブ海に面している。1位はイギリス領だが、2~4位はいずれもフランスの海外領土である。また、マルティニクとグアダルーペは7月末に治療者数の公表をやめてしまった。
治療者数で1位のアメリカは1万0261.9人の43位、2位の日本は1万0466.1人で42位であるが、3位の韓国は2万5032.8人で19位と結構多い。
A5. 治療者数が減らない
新型コロナに感染して発症した場合、何日くらいで回復するのか。インターネット上ではいろいろな推測があるが、統計的にも、疫学的にも治療期間を研究をしているところは見当たらなかった。そこで、治療期間を推測するために、QRは2つの指標の注目した。第一の指標は、治療者数の連続増減である。次の表に載せた6国領土は7月から9月までの間治療者数が変わらなかった。
治療者数は新規陽性者があれば増え、回復者や死者が出れば減る。表に上げた国領土では、3期の新規陽性数が0なので、治療者数は増えることはなかった。また、死者数も0だった。したがって、これら6国領土の3期の回復者数は0である。つまり、ここにリストされた国領土の治療者は全て感染してから3ヶ月以上(グリーンランドとニカラグアは6ヶ月以上)経ってもまだ回復していないのである。
次の表に載せた20国領土は7月から9月まで治療者数が減小することは一度もなかったところである。
これら20国領土のうち、ナミビア、ウガンダ、カメルーン、キリバス、ジョージア、ポーランドでは回復者が0ではなかった。新規陽性数が0ではないので、3期の治療者の中には7月以降に感染したものも含まれるが、ナミビアを除いて回復者数が新規陽性者数を大きく下回っている。
A6. 178万人が3ヶ月以上たっても治らない
QR 7/15 で考案した「超過陽性」という統計値を用いた、22年6月(2Q)以前に感染したが9月30日時点でもなお治療中の者の数がいる国領土は42国に178万人以上いる。下の表はそのランキングの上位10国領土である。
表には21年12月以前に感染して9月30日時点で治療中の者の数、22年3月(1Q)以前に感染して9月30日時点で治療中の者の数、22年4〜6月(2Q)に感染したが9月30日時点でもなお治療中の者の数、22年4〜6月(2Q)の新規陽性者の合計、22年4〜6月(2Q)に感染して9月30日でも治療中の者に対する同期の新規陽性者数の合計に対する割合、9月30日時点での3ヶ月以上治療を続けている者の全治療者数に対する割合ものせた
22年6月以前に感染して、9月30日時点で治療中の者の数が世界で最も多いのはベトナムの66万7363人だった。ベトナムで現在治療中の者のうち約55%が少なくとも3ヶ月治療を続けている。2番目に多かったのはポーランドで56万0969人だったが、このうちの90%以上に当たる51万1127人が22年3月以前に感染した、つまり、6ヶ月以上治療を続けている。3番目に多かったのはアルジェリアの7万6895人だったが、このうちの37%に当たる2万8641人は21年12月以前に感染した、つまり、9ヶ月以上回復していない。4位はギアナの7万6689人、5位はウガンダの6万3653人である。ギアナでは半数近くが、ウガンダでは半数以上が9ヶ月以上回復していない。
アルジェリア、ギアナ、ウガンダ、ケイマン諸島、ニカラグア、ソマリア、サンマルタン、レソト、チャド、ウォリスフツナの10国領土で13万0747人が21年12月31日以前に感染して22年9月30日時点で治療中である。これらの患者は全てデルタ株以前の変異種であると考えられる。
A7. BA.5 型は治療を長期化させる可能性がある
1期に感染して2期の間ずっと治療中だった者は48国に198万6539人いた。2期に感染して3期の間ずっと治療中だった者は42国89万0300人いた。次の表はそのランキングの上位10国領土である。2期に感染して3期の間ずっと治療中だった者の多い順順に並べた。
2期に感染して3期の間ずっと治療中だった患者の数は、1期に感染して2期の間ずっと治療中だった患者の数よりも半分以下になった、しかし、こうなったのはは、世界的には新規陽性者が減少したからである。1期は約2億人の、2期は約6317万の新規陽性者がいたので、それぞれの比率をとってみると、1期の新規陽性者のうち0.99%が3ヶ月以上治療を続けたのに対し、2期では1.41%だった。一般に1期の感染はオミクロン株初期型、2期の感染はBA.5型を中心とする変異種によるものとみなされているので、オミクロン株の変異種はより多くの人の治療を長期化させている可能性がある。
表には出ていないが、1期に感染して2期の間ずっと治療中だった者はいたが、2期に感染して3期の間ずっと治療中だった者が0だったところはメキシコやマルティニクなど21国領土あるが、このうち、マルティニク(1万2172人)、グアドループ(1万4548人)、ホンジュラス(12万2591人)、スリナム、マヨット(1万6276人)、マン島では3期の途中で治療者を数えるのをやめただけである。スリナムを除いて今でも治療中のものがいると思われる。( )内の数字は数えるのをやめた時点での3ヶ月以上治療を続けている者の数である。スリナムとマン島では3期では超過陽性がマイナスだったので2期に感染して3期の間ずっと治療中だった者の数は0である。しかし、この間の回復者数も0である。
A8. 重症者数はタサしく数えられていない
22年3期(7月1日−9月30日)の、世界の1日平均重症者数は4万1577人だった。2期(4月1日−6月30日)に比べて、4.3%の増加だった。次の表は3kの重症者数のランキングである。
3期は32国領土で重症者数が2期よりも増加した。最も伸び率の高かったのがポーランドの261%増だった。日本は148%で2番目に伸び率が高かった。一方57国領土で重症者数が減少した。ルワンダ、ジブラルタル、アルバニア、ルクセンブルグ、ガイアナ、セントルシア、セネガル、ブータン、バハマ、バヌアツ、ナミビアでは重症者数が0になった。
しかし、重傷者数データは問題が多いと結論づけざるを得ない。まず、92国領土は重症者数を発表してない。そのうち、29国領土は重傷者数の数が減少し、ある時点から空白になったので、重傷者数が0になったと考えられるが、のこりの63国領土は最初から空白なので、もしかしたら、重症者を数えていない可能性がある。
また、通常号でも散々指摘しているが、84国領土で重症者数が3期の間ずっと変わらなかった。中央アフリカ、リベリア、イエメン、ロシア、ブラジル、グアテマラ、ウクライナ、タンザニア、ボツワナ、カボベルデでは2020年12月以前からずっと数値が同じままである。増えもしなければ減りもしない。
日本では重症者は集中治療室などに収容されたものと定義される。他国が日本と同じ定義を持っているかどうかはわからないが、それなりの大層な施設に収容されていると考えられる。大層な施設に収容された人の数が2年近く変わらない。重症者数は集中治療室などに入れば増え、そこから出れば減るはずである。人数が変わらないのは、
(1)重症者がいつまでたっても集中治療室などからから出られない、
(2)回復や死去によってが集中治療室などから出ても、すぐに同じ数だけの重症者が入る、
(3)集中治療室などの収容人員の上限に達して、もっと重症者がいるのだが、これ以上入れることができない、
(4)ある時点から重症者数を数えるのをやめた、あるいは、本当は重症であってもそのように取り扱わないことにした、
のいずれかである。QRでは(4)ではないかと推測する。そこで、0でない重症者数が直近10週以上変わらない国領土では、重症者数を正しく数えていないと断定する。
先の重症者数のランキングで赤字の国がおそらく重症者数と正しく数えている国である。ドイツは40週目も重症者数が前週と同じだったので、重症者数を正しく数えていないと断定した。ブラジルが最も多いが、重症者数を正しく数えていないと考えられる。正しく数えていると思われる国では、アメリカが一番多い。
長くなったので回復者数は次回にしたいと思う。
B. ヨーロッパとアフリカで増加が続く
40週は世界で310万6378人の新規陽性が確認された。いくつかの国で修正があり、39週の新規陽性数が306万6537人から313万7184人に増えたために、前期比では1%の減少となった。死者数は1万0085人で2週間ぶりに1万人台になった。39週の死者数が8478人から8702人に増えたものの、前週比16%の増加となった。次のグラフは世界の感染図である。
フォークランドでは6週間ぶりに新規陽性患者の確認があった。ギニア、オマーン、ベナン、パレスチナでは前週0だった新規陽性数が今週は0でなくなった。現時点では72国領土で新規陽性数が前週より増加した。伸び率が最も高かったのはタヒチの846%増だった。最も多く増えたのがドイツで12万8224人(30%増)だった。一方、114国領土で新規陽性数が先週より減少した。20国領土で今週の新規陽性数が0になった。ウクライナやドミニカ共和など公表しないケースも多いと思われる。
B1. 新規陽性数拡大予想
QRは直近数週間の陽性数の増減と伸び率の増減を使った微積分的なアルゴリズムを用いて、次の数週間に新規陽性数がどのように変化するのか予測をしている。その結果を茶、赤、橙、黄、緑、青、薄青、白の8つのレベルに分類している。赤が最も増加が続く確率が高く、この順に拡大の可能性が低くなる。茶は今週突然に急増したところで、増加が続く確率は50%ほどである。 新型コロナの恐ろしい点は薄青や白になったからといって、感染が終了したとは言えないことである.
下の地図は最新のトレンドである。凡例に各レベルの大まかな傾向と、そのレベルに属する国領土の数を記した。
まず、ヨーロッパ西ではギリシャ、スイス、フィンランド、ルクセンブルグで大きな修正があり、これら全てで39週の予報が赤レベルに修正された。先週、「赤レベルは世界に15国領土あるが、そのうち10国領土がヨーロッパ西に集中している」と書いたが、実際は19国領土が赤レベルで、そのうち14国領土がヨーロッパ西に集中していた。この4国は40週の新規陽性数は39週よりも減少したので機械的に橙レベルになったが、来週再び赤レベルに修正される可能性は高い。
オランダ、チャネル諸島は橙レベルに下がったが、フランス、オランダ、ドイツ、オーストリア、デンマーク、イタリア、モナコ、サンマリノも赤レベルを維持した。アイルランドが新たに赤レベルになった他、スウェーデン、ノルウェー、アイスランドでは黄色レベルの急増となった。
赤レベルは世界に22国領土あるが、そのうち9国領土がヨーロッパ西に集中している。ヨーロッパ東ではチェコ、ハンガリー、スロベニアが新たに赤レベルとなった。地図を見ればわかるようにヨーロッパ中央部がスイスを除いて真っ赤になった。
アジアではバングラデシュが橙レベルに下がったが、シンガポールは赤レベルを維持した。ミャンマー、台湾、サウジアラビアが再び赤レベルになった。オマーンで茶色レベルの急増、中国、モンゴル、イエメン、パレスチナで黄色レベルの急増があった。
アフリカでは、モーリタニアが赤レベルを維持したほか、エスワティニ、セネガル、ガーナが新たに赤レベルになった。中央アフリカ、ベナン、ギニアで茶色レベルの、エチオピア、スーダン、エリトリア、モロッコ、ナイジェリア、コートジボワール、赤道ギニアで黄色レベルの急増があった。感染の中心がさはら中央部からその周りの国々移動しているようだ。
アメリカ南北カリブ海では、先週ゆいいるの赤レベルだったアンティグアバーブーダと、茶色レベルの急増を見せたマルティニクとグアドループで40週の新規陽性数が0だったので、機械的に橙レベルになった。しかし、この3国領土はこののところ、隔週で新規陽性数を公表しているので、来週はまた赤レベルになっている可能性が高い。同じく、先週茶色レベルの急増を見せたパラグアイが引き続き増加で赤レベルになった。セントルシア、ドミニカは橙レベルになった、チリ、ギアナ、トリニダードトバゴ、バミューダ、ハイチ、ケイマン諸島、フォークランド諸島で黄色レベルの増加があった。
オセアニアではニュージーランドが赤レベルから橙レベルに下がったが、パプアニューギニアが赤レベルになった。また、タヒチで茶色レベルの急増があった。
C章以降は後日投稿ししたいと思う
人口、陽性数、死者数、治療者数、重症者数、回復者数はWorldometer のものを、ワクチン接種回数は Github のデータを利用している。Worldometer や Github で扱っていない国地域の統計は Google のデータを用いる。北キプロスの陽性数と死者数は、政府の発表するデータを用いる(https://saglik.gov.ct.tr/COVID-19-GENEL-DURUM)。面積、GDP、地図、その他の情報はウィキペディアと外務省(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/index.html)を利用している。それ以外のもの、例えばニュースや論文に関しては出典を本文に記す。ランキングは特に表記のない限りアメリカ中部時間の10月12日22時時点で得られた最新の値を利用して作成し、上位20位までをリストした。それ以降に修正あるいは追加されたデータは含めないので、他の新型コロナ統計サイトの数値とは異なることもある。修正あるいは追加されたデータはも反映させているので、今号の統計とは異なる場合もある。データの違いが大きくなる修正は本文で言及している。テーマ地図は mapchart.net のサービスを利用して作成している。