2021年の新型コロナ統計 4/23
はじめに
4月23日の2021年の新型コロナ国別ランキングである。新型コロナ関連サイトでは累計感染者数も死者数も一律に発生当初からの累計数を表示している。しかし、オーストラリアなどのように、2020年は結構な数の感染者数を記録したが、2021年はあまり感染者を出していない国を2020年からの累計数で見れば、不当に数が多くなり、現在の感染状況を反映していない。そこで、2021年の感染数や死者数を算出した。感染数や死者数は Worldometer のデータを、ワクチン接種数は Github のデータを用いた。
今回から、昨年同期の累計感染数に加えて、昨年同期の直近1週間の新規感染数を項目に加えた。ランキングは2021年感染数上位50ヶ国と、2021年の累計感染数または直近1週間の新規感染数が昨年同期よりも少なくなっている国で、感染規模の大きい国をリストアップした。
A. 4月23日までの2021年累計感染数数上位50国
B. 4月17日から23日の新規感染数上位10ヶ国。
()内は2021年累計感染数順位、+ーは先週からの増減
1。インド(3位) 2,080,773、+761,873、10週連続増加中
2。アメリカ(1位) 429,792、-73,348
3。ブラジル(2位) 403,768、-55,160 、4週連続減少中
4。トルコ(5位) 400.781、-3,601
5。フランス(4位) 216,625、-27,195
6。アルゼンチン(11位) 166,024、+5,277 、7週連続増加中
7。イラン(13位) 164,676、-45
8。ドイツ(9位) 144,814、+1974
9。コロンビア(14位) 121,122、+5906、7週連続増加中
10。イタリア(7位) 93,624、-11929、5週連続減少中
C. 4月23日までの累計死者数上位10ヶ国。
()内は2021年累計感染数順位、%は2021年致死率。
1。アメリカ(1位) 228,630、1.89%
2。ブラジル(2位) 191,182、2.92%
3。メキシコ(16位) 88,288、 9.88%
4。イギリス(5位) 53,260、2.86%
5。ロシア(4位) 49,946、3.20%
6。ドイツ(11位) 47,548、3.17%
7。イタリア(13位) 44,078、2.45%
8。インド(9位) 40,344、0.64%
9。フランス(14位) 37,731、 1.35%
10。ポーランド(7位) 35,751、2.49%
D. 4月17日から23日の死者数上位10ヶ国。
()内は累計死者数順位、+ーは先週からの増減
1。ブラジル(2位) 17,599、-2,491、3週連続減少中
2。インド(8位) 13,876、+6,670、7週連続増加中
3。アメリカ(1位) 5,133、+31
4。ポーランド(10位) 3,499、-282
5。メキシコ(3位) 2,882、-2,185
6。コロンビア(11位) 2,882、+601、6週連続増加中
7。イラン(21位) 2,738、+769、4週連続増加中
8。ロシア(5位) 2.706、+158
9。ウクライナ(14位) 2,604、-111
10。ペルー(16位) 2,558、+389、4週連続増加中
E. 4月23日のワクチン接種数上位10ヶ国。
()内は累計感染数順位。%は接種率
1。アメリカ(1位) 222,322,230、66.85%
2。中国(149位) 216,084,000、 15.01%
3。インド(3位) 138,379,832、 9.95%
4。イギリス(6位) 45,580,400、 66.86%
5。ブラジル(2位) 37,112,833、 17.36%
6。ドイツ(9位) 24,821,527、 29.55%
7。トルコ(5位) 20,887,427、 24.55%
8。フランス(4位) 19,225,460、 29.40%
9。インドネシア(18位) 18,322,578、 6.64%
10。ロシア(8位) 18,080,498 12.39%
4月23日の累計感染数上位10ヶ国について
上位10ヶ国の顔ぶれは変わらないが、ドイツとスペインの順位が逆転した。スペインの感染数が増えているが、ドイツはその倍以上のペースで増えているからである。
2021年累計感染数第1位のアメリカでは新規感染数が3週連続で前週を上回っていたが、今週は7万人以上の減少に転じ、新規感染数は上昇傾向前の水準に戻った。新規感染数の前週からの減少数は世界1位である。しかし、元々の感染数が多いために、相変わらず、4月17日から23日までの新規感染数はインドに次いで世界第2位である。累計死者数は1位ではあるが、4月17日から23日までの死者数は5133人で、ブラジル、インドに次いで3位である、先週よりも若干増加に転じた。アメリカの2020年4月18日から24日の死者数は13171でその週の世界の全死者の3分の1以上を占めていた。ワクチン接種率は67%近い。ワクチン接種完了した人の割合も28.5%である。
第2位のブラジルは4週連続で新規感染数が減少しているが、4月17日から23日の新規感染数はインド、アメリカに次ぐ第3位である。これは昨年同時期の25以上になる。死者数は3週連続で減少しているが、世界第1位であり、昨年同時期の13倍以上である。ワクチン接種率は17.4%である。
第3位のインドはさらに新規感染数を増加させた。4月17日から23日の新規感染数は、前週に比べ76万人増え、200万人を超えた。この増え方は2位ネパールの8200人を大幅に上回る、ダントツの世界1位である。わずか1週間でペルーがの2021年の感染数よりも多くの感染者を出した。世界の4月17日から23日の新規感染数は、前週に比べ50万人ほど増えているが、もしインドがこれほどまでに感染者を出さなければ、世界の感染数は大幅な減少となったかもしれない。人口100万人あたりの感染数も213人となり、アメリカを超えた。インドの4月17日から23日の死者数は13,876人でブラジルに次いで第2位である。前週のほぼ倍で、7週連続で増えている。死者の増加数でも2位のイランの769人を大幅に上回るダントツの1位である。それでも、人口100万人あたりの1日平均の死者数は1.2人と低い。ワクチン接種数は世界第3位であるが、人口が多すぎていまだに10%に満たない。
第4位のフランスは新規感染数を増やしたり減らしたりを繰り返しているが、今週は減らした。死者数は若干増えたが、昨年同期に比べれば死者数が減少した。これはフランスに限ったことではなく、イタリア、スペイン、イギリスなどドイツ、オーストリア以外の西ヨーロッパに共通の現象である。どれだけ昨年の第一波における致死率が高かったのかを物語る。ワクチン接種率は30%近くになった。
第5位のトルコは毎週の新規感染数を8週連続で上昇させていたが、4月17日から23日はようやく減少になった。減少の幅はそれほど大きくはない。4月23日はトルコの独立記念日でなので、役所等が休みで検査数が少なくなっているだけかもしれない。死者数も5週連続で増えている。ワクチン接種率は25%弱である。
第6位のイギリスは、前週少し新規感染数を上げてしまったが今週はまた減少に転じた。イギリスの前年同時期の新規感染数に比べて30%の減少である。フランスのところで、死者数は昨年同期よりも減少しているのはドイツとオーストリアを除く西ヨーロッパ共通と書いたが、感染数が昨年同期よりも少ないのは、上位50ヶ国ではイギリスとアイルランドだけである。世界的にもまだまだ少ない。ワクチン接種数は世界4位で、ワクチン接種完了した人の割合も18.5%である。
第7位のイタリアは新規感染数を大幅に減らした。5週連続の減少である。死者数も2週連続で減少させている。ワクチン接種率は28%強とフランスと同じくらいである。
第8位のロシアは前週まで新規感染数を14週連続で減少させていたが、今週は微増になった。人口100万人あたりの感染数は上位10ヶ国の中では、イギリスと並んで100人以下を保っている。死者数も連続減少が途切れて、今週は上昇となった。ロシアはワクチン生産国でアルゼンチンなど多くの国に供給しているが、ワクチン接種数は10位と背俺ほど多くはない。接種率は12%強にとどまる。
9位のドイツは2週連続のランクアップである。4月17日から23日の新規感染数は、前週よりも増え、第8位である。死者数は若干減ったが、イギリスやフランスとは異なり、死者数は昨年同期よりも多くなった。ワクチン接種率は30%弱とフランスと同じくらいである。
10位のスペインは、感染数が3週連続で増加したが、ドイツよりは数が少なくランクダウンした。死者数は2週連続で減らしている。ワクチン接種率は30%強である。
10位以下では、ポーランドが新規感染数を大幅に下げている。下げ幅は約5万人で、アメリカ、ブラジルに次いで第3位である。死者数も若干下げている。ワクチン接種率は27%弱である。他に、ハンガリー、ウクライナ、バングラデシュ、フィリピン、ルーマニア、チェコ、ヨルダン前週よりも5,000人以上減らしている。日本、パラグアイ、コロンビア、オランダ、アルゼンチンで前週よりも5,000人以上増やしている。
死者数はブラジルとメキシコでそれぞれ2,000人以上減らした。イタリア、フィリピン、ハンガリー、ポーランド、チェコ、ドイツ、スロバキア、ウクライナで死者数を100人以上減らしている。一方、ルーマニア、ロシア、エクアドル、パラグアイ、インドネシア、アルゼンチン、ペルー、トルコ、コロンビア、イランで死者数が前週よりも百人以上増えた。インドは死者数が前週よりも6,670人増えた。
大まかに見て、ヨーロッパでは感染状況がやや改善しているが、南米では感染状況が悪化している印象がある。
日本の現状
日本の順位は35位で前週と変わらない。しかし、新規感染数は前週よりも6,614人増えた。この増え幅は、インド、ネパールに次いで第3位である。しかも7週連続で増えている。死者数も2週連続で増えている。非常事態宣言が再び出されるのも仕方がない。しかし、闇雲に自粛を促すだけでは意味がない。感染がどこで増えているのか、しっかり吟味する必要がある。ワクチン接種数は66万件で接種率は2%に過ぎない。別投稿で、ワクチンが先進国により多く分配される理由を統計的に考察した。日本は累計感染数では1万以上10万未満のクラスになる。このクラスの平均接種率は3.4%なのでまだまだ低い。このクラスで日本より接種率が低い国は、ウクライナ、フィリピン、南アフリカ、イラク、パキスタン、パラグアイ、エチオピアしかいない。
感染数が昨年同期よりも低い国々
今回は感染数が昨年同期よりも減らしている国を掲載した。上位50ヶ国で4月17日から23日の新規感染数が昨年4月18日から24日の新規感染数より下回った国はイギリスとアイルランドの二国のみである。その他にはナイジェリア、ガーナ、サンマリノ、シンガポール、ニジェール、シエラレオネ、ニュージーランド、台湾、タンザニアが新規感染数を減らしている。累計感染数が2桁台以下の国では結構多く見られる。
中国は昨年同期とほぼ同数である。しかし、年初からの累計感染数では2020年の8万2千あまりから、2021年は3,500弱と大幅に減らした。このような、累計感染数を減らした国には、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド、台湾、タンザニアがある。これも、累計感染数が2桁台以下の国では結構多く見られる。中国は一昨年12月末から感染者を出しており、2020年も2021年同様ほぼ4ヶ月分の数字であるが、他の国は、2020年の数字は実質3月4月の2ヶ月間分だけである。意外なことにサンマリノとシンガポールを除いて、ワクチン接種率も低い。ワクチンに頼らない、何か別の方法で感染を抑えているのではないか。