「ワクチン接種を減らせば、感染が再拡大する」のは本当か


初めに

過去数週間分のデータを解析して、地域的な偏り、と来週どうなるかを予想している。人口や国地域、陽性数死者数はWorldometer のものを、ワクチン接種数はGithub のものを1次データとして利用して、陽性数、死者数、ワクチン接種数の2021年の累計、7月3日から9日までの合計とその増加率、連続増加週数、人口100万人あたりの数をリストしている。ランキングは2021年の累計陽性数を元に作成したが、増加具合などは別にベスト50を作成した。


A. 感染拡大は続いているが、その勢いは少し弱まった

7月17日から23日までの新規陽性数は世界で374万件で、2021年の累計感染数は1億904万1809件になった。新規陽性数は5週連続増加中である。新規陽性数の増加率は8.3%で、先週の約半分となった。増加率は先週まで8週連続で上昇していたが、ストップした。これは増加のペースが減速したことを意味する。新規陽性数あと数雨週間でピークを超えると思われる。2020年からの累計陽性数は1億9400万件強であるが、このペースでいけば、オリンピック開催期間中に2億件を超えるだろう。

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A1. シノファームは順位を上げ、シノバックは順位を下げる?

上位50ヵ国の7月23日の2021年累計陽性数と、7月16日から23日までの新規陽性数は下のグラフのようになった。国名の横の( )は2021年累計陽性数の順位を表す。↑は累計の順位が上がったこと、↓は順位が下がったことを示す。また⬆︎は累計の順位が3位以上上がったことを示す。順位が上がった国は、そうでない国よりも多くの新規陽性数を出している。

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ベスト10ではイギリスが順位を上げた。イギリスの今週の新規陽性数はアメリカ、ブラジルに次いで、世界で3番目に多かった。イギリスと入れ替わりに、コロンビアが順位を下げた。コロンビアは新規陽性数を先週よりも減少させた。

上位100カ国では、以下の23カ国で順位が上昇した。太字の17カ国は先週から引き続き順位が上昇した国、(ー)のついた7カ国は新規陽性数が先週よりも減少した国、*のついた国は中国製ワクチン使用国であるが、*一つはシノファーム、二つでシノバック、三つで両方を表す。

アジア(9):インドネシア***、マレーシア**、バングラデシュ*(ー)、タイ***、カザフスタン*、モンゴル*(ー)、ミャンマー*、ベトナム*、キルギス*(ー)

中東(1):サウジアラビア(ー)

西欧(2):イギリス、オランダ(ー)

東欧(1):ジョージア、

アフリカ(5):モロッコ*、ケニア、モザンビーク*、ボツワナ、ジンバブエ*(ー)

北米(5):キューバ、コスタリカ、グアテマラ、パナマ(ー)、ホンジュラス

南米(0)


新規陽性数が下がったのに、順位が上がるのは、順位の近い国ではより新規陽性数を下げたからである。例えば、今週のバングラデシュが新規陽性数が6万件以上発生したため、2万6千件の日本を、累計陽性数で上回り、日本と順位が入れ替わった。


反対に順位が下がった国は32ヵ国あった。

アジア(3):日本、ネパール*、韓国、

中東(6):アラブ首長国連邦*、イスラエル、パレスチナ、バーレーン*(ー)、オマーン(ー)、カタール

西欧(3):イタリア、オーストリア、ノルウェー

東欧(13):ルーマニア、セルビア*、ブルガリア、スロバキア、クロアチア、リトアニア、アゼルバイジャン**、モルドバ*、エストニア、ラトビア、アルバニア**、北マケドニア***

アフリカ(2):エジプト(ー)、ナイジェリア、

北米(2):カナダ、ドミニカ共和国***(ー)、

南米(5):コロンビア**(ー)、チリ**(ー)、ウルグアイ**(ー)、パラグアイ***(ー)、エクアドル**

新規陽性数が先週よりも下がって、かつ順位を下げたところは8ヵ国で、半分の4ヵ国が南米に集中している。他の24ヵ国では新規陽性数を先週よりも増やしている。特に東欧は13ヵ国全てで新規陽性数が先週よりも上である。順位が下がったからと言って、安心してはいけない。

順位を上げた23国のうち、アジアアフリカの11ヵ国でシノファームが使われている。順位を下げた32ヵ国うち、南米や東欧の9国でシノバックを接種している。


A2. アメリカで感染再開

7月17日から23日の新規陽性数上位10ヶ国は次のようになった。( )内は2021年累計陽性数順位、新規陽性数、+ーは前週からの増加率、矢印一つで1個のランク変化

1。アメリカ(2位) 349,965、+60.4%、5週連続増加中 ↑↑↑↑
2。ブラジル(3位) 324,334、+12.8%、3週連続減少でストップ
3。イギリス(7位) 305,963、+11.6%、11週連続増加中
4。インドネシア(11位) 31,607、−7.2%、8週連続増加でストップ ↓↓↓
5。インド(1位) 267,158、−0.8%、11週連続減少中 ↓
6。スペイン(12位) 180,207、+10.5%、5週連続増加中 ↑
7。ロシア(9位) 170,523、−0.8%、7週連続増加でストップ ↓
8。イラン(10位) 159,714、+12.6%、6週連続増加中 
9。フランス(4位) 108,822、+168.3%、4週連続増加中、ランク外
10。コロンビア(7位) 104,399、−19.5%、4週連続減少中 ↓

25。日本(29位) 26,606、+54.5%、4週連続増加中 ↑↑↑


アメリカが大幅増で、4月2日以来の新規陽性数1位になった。イギリスやイスラエルのように、ワクチン接種率50%超え即規制緩和が原因であると思われる。スーパーマーケットなど人の集まる場ではほぼコロナ前と同じ状態になっている。マスク率は、自分が測った限りであるが10%程度の下がった。以前のように大きなソーシャルディスタンスは取らないが、マスクをした人からは少し離れて座ったり、列を作ったりしている。

イギリスの新規陽性数は先週より増えたが、その増え方はペースダウンしているものの、新規陽性数の上昇はもうしばらく続くと予想される。アルゼンチンが新規陽性数を減らしているので、イギリスはアルゼンチンを抜くと予想される。トルコも新規陽性数を減少させているので、もしかしたらトルコを抜いて第5位まで上昇するかもしれない。

インドネシアは新規陽性数を下げた。しかし、過去6週間は平均して40%以上の伸び率を示しているので、報告漏れなどの一時的な減少の可能性が高く、来週は今週未発表の分も含めて、かなりの上昇があると思われる。しかし、すぐ上のイランでも感染拡大が起こっているので、順位が上がるかどうかは微妙である。

先週はスペインが大幅ランクアップをしたが、今週はフランスの新規陽性数が先週比で165%増の大幅増となり、ランクインになった。

10位以下ではフィリピン、オランダ、イラク、マレーシア、バングラデシュ、タイで新規陽性数増加のペースが上がっているので、来週ランクアップすると考えられる。


A3. 世界全体では、増加しているが、そのペースが少し弱まった

29の国と地域で、7月10日から16日の新規陽性数が0件であった。このうち、北朝鮮などの13ヵ国は昨年からの累計でも陽性数が0件のままである。また、タンザニアなど4ヵ国は2021年の新規陽性数が0件を継続している。オマーン、スーダン、南スーダン、モンセラートで今週の陽性数が0になった。しかし、オマーンとスーダンは先週までそれぞれ1万件台、百件台の新規陽性数を出していたので、今週は何らかの都合で発表しなかったに過ぎないと思われる。実質、新規陽性数0の国は27ヵ国である。

先週新規陽性数が0だった国のうち、グレナダ、ニューカレドニア、サンピエール・ミケロン、マカオ、中央アフリカ、モーリシャスの6国で今週新規陽性が確認された。モーリシャスは過去2週にわたって陽性数が0件であったが、今週は1,530件も確認された。おそらく、先週先々週は何らかの理由で発表していなかっただけであろう。平均すると週500件ほどになるのだが、これはそれ以前の5倍程度に増えている。モーリシャスはアストラゼネカ、シノファーム、バーラトのワクチンを接種しており、摂取率は47.73%である。モーリシャスはセーシェルに近いアフリカの東海上の島国で、セーシェル同様観光業が基本産業で、ワクチン接種完了者は党内を自由に動き回れる。おそらく、セーシェルと同じ理由で感染が拡大したと思われる。

Google 等で感染状況の報告が止まった北キプロスについて、それを報告しているところ新たに発見した。残念ながら、過去の記録がないので、今週は先週よりも4,570人の急増になっている。過去のデータを発見次第修正したいと思う。

先週新規陽性数が0で今週はそうでない6国地域の増加率は無限大(∞)になる。これらの国と地域を含めて、100%以上増加した(新規陽性数が2倍以上になった)国と地域は27ヵ国とある。先週に比べて、6ヵ国減った。また、増加率がプラスの(新規陽性数が先週より増えた)国と地域は先週より15減って、128になった。一方増加率がマイナスとなった国と地域は、先週より18増えてます81になった。

まだまだ、新規陽性数の増加は続くが、その増え方の勢いが衰えてきたようである。

A4. ワクチン接種率アップで感染拡大する。

世界の人口100万人あたりの新規陽性数は67.9人で、先週より5人増えた。7月17日から23日の人口100万人あたりの新規陽性数上位50カ国は下のようになった。( )内の数字は2021年累計陽性数での順位であるが、101位以下は順位をつけていない。71の国と地域で、この数字が100以上となった。これは先週より10増えた。

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北キプロスは統計上の都合でグラフの一番上にいるが、実際の人口100万人あたりの新規陽性数はもっと低いと思われる。マン島、チャネル諸島、フィジー、英領バージン諸島では、この数字が1000人を超えた。マン島は4月から6月末まで新規陽性数あ毎週平均4件だったが、7月に入って、前週比で600%増の勢いで増えている。ワクチン接種率は75%と非常に高く、7/16 号で指摘したセーシェル同様、感染者の大量入国が原因である可能性が高い。


実質1位のマン島、2位のチャネル諸島などなど、5位のマルティニクを除く上位10ヵ国地域がイギリス帝国メンバーである。

日本は30.1人で124位である。先週より10.5人上昇し、9位順位が上がった。上昇の勢い現在は、オリンピック関連での増加よりも、それ以外での増加の方が高い。ワクチンセッs率が高まるのにつれて、自分はワクチンを打ったから大丈夫と勘違いした人たちが増えているのではないか。

セーシェルやイギリスなどのケースのように、ワクチン接種完了していても、感染する変異種があるのは間違いない。この変種は重症化しないと言う説もある。実際、致死率も低く、例えば、イギリスの致死率は5月には3%近かったが、今週は1.77%と減少している。従って、感染していても症状が出ないものも多いのではないだろうか。そんな人たちが予防対策もせぬまま街を歩けば、感染拡大につながることは明白である。おそらく、アメリカなど同じ理由で感染拡大していると思われる。


B. 日本は来週から死者数が増える可能性がある

チェコ、エクアドル、インド、ルーマニア、アメリカで大規模な死者数の修正があり、先週の死者数が、56,663人から55,354人に減った。7月17日から23日までの死者数は55,711人で、先週より8.3%増加した。その結果7月23日までの2021年累計死者数は2,216,369人となった。2021年累計陽性数に対する、累計死者数の割合(致死率)は2.03%と先週より0.01%減少した。

7月23日までの2021年累計死者数の上位50ヵ国と、それらの国の7月16日から23日までの新規陽性数は下のグラフのようになった。国名の横の( )は2021年累計陽性数の順位を表す。

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死者数上位10ヵ国の中では、ドイツがかなり減らしている以外は、死者数が増えている。イギリスは、来週にもドイツの死者数を上回る可能性がある。10位以下でも、南アフリカ、イラン、チュニジア、バングラデシュ、マレーシアあたりで、順位が上がるだろう。

日本はまだ死者数が減少しているが、新規陽性数が上昇に転じてからすでに4週経ち、また、死者数減少の割合も小さくなっているので、来週中には、死者数が上昇に転じる可能性がある。

B1. ミャンマーの急増は政情が元に戻ってきた兆し

7月17日から23日の死者数上位10ヶ国は次の通りである。( )は累計死者数の順位、今週の死者数、+ーは前週からの%増減、連続週数

1。インドネシア(9位) 9,201、+36.0%、8週連続増加中 ↑
2。ブラジル(1位) 7,920、−9.2%、5週連続減少中 ↓
3。ロシア(6位) 5,428、+1.1%、7週連続増加中 ↑
4。インド(2位) 3,411、−24.0%、9週連続減少中 ↓
5。コロンビア(7位) 2,855、−20.7%、4週連続減少中 
6。南アフリカ(15位) 2,690、+7.1%、↑
7。アルゼンチン(8位) 2,201、−26.9%、↓
8。ミャンマー(55位) 1,923、+126.0%、5週連続増加中 ランク外
9。メキシコ(5位) 1,886、+47.1% 3週連続増加中 ↑
10。アメリカ(3位) 1,862、+2.3%、↓↓

52。日本(26位) 92、−5.2%、9週連続減少中 ↓↓↓↓↓


インドネシアが今週の死者数では世界1位となった。伸び率も上昇している。今後しばらくは増加の一歩を辿ることになろう。インドネシアは2021年累計死者数で第9位だが、8位のアルゼンチンは死者数が減っているので、インドネシアと順位が入れ替わるだろう。もしかすると、7位のコロンビアも抜くかもしれない。

先週、「南アフリカは新規陽性数と死者数が同時に減少に転じた。先週までの増加率に比べ今週に減少率がかなり低く、新規陽性数は減少に転じたばかりなので、来週は、死者数が増える可能性もある」と書いたが、予想通り、増加し、順位も上昇した。こちらのインドネシア同様に順位を上げると予想される。

ミャンマーが126%の伸び率でランクインした。累計死者数も79位から55位と大幅に上昇した。陽性数の方もここ5週間で9倍になっている。新規陽性数の時系列グラフを見ると、2月に感染が収束し、6月に突然感染再開している。先週のセーシェルでの感染者急増で指摘したように、このような場合は、感染者の大量入国によるものと結論づけられることが多いが、ミャンマーの場合は状況が違う。なぜなら、ミャンマーでは2月にクーデターが起こったからである。2月以降、政情が不安定で、医療機関が正常に働いていなかったと考えられる。おそらくこの期間、陽性者死者の統計もまともにとられていないだろう。隣国のバングラデシュやタイの感染状況と比較すれば、新規陽性数の時系列グラフに、5月半ば頃をピークとする山ができるはずである。そこからの感染拡大と考えるのが自然である。ミャンマーにとってはちょっと厄介ではあるが、統計をとることができるようになったくらい、正常が安定してきたとも言える。


81の国と地域で今週の死者数が0人であった。このうち北朝鮮など13ヵ国は昨年から陽性数が0件なので、死者数も必然的に0人である。また、バチカンなど14ヵ国は陽性数は0件ではないものの、死者数は2020年からの累計でも0人である。タンザニアなど、昨年は死者を出したが、今年はまだ死者数が0人である国も5つある。

ベリーズ、ベナン、ブータン、ブルキナファソ、コモロ、赤道ギニア、エストニア、フィンランド、リベリア、マルティニク、オマーン、ソマリア、スーダン、スウェーデン、ティモールの15の国と地域で今週死者数が0になった。ただし、オマーンとスーダンは報告していないだけである可能性が高い。

一方、先週死者数が0だった国地域のうち、ニジェール、モーリシャス、ガボン、仏領ギアナ、アンティグア・バーブータ、北マケドニア、モルジブ、ノルウェー、オーストラリア、イエメンの10の国と地域で死者が出た。

B2.

世界の人口100万人あたりの1日平均の死者数は1.02人で、前週より0.01人減少した。人口100万人あたりの死者数が2人以上の国は31ヶ国ある。先週よりも5ヶ国減った。7月17日から23日の人口100万人あたりの新規陽性数上位10カ国は下のようになった。

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B3. 接種率が高くなると致死率が下がる

致死率とは、新型コロナウイルスに陽性で亡くなった人たちの、陽性数に対する割合である。この数値が高ければ、新型コロナに感染した時に死亡する確率が高くなる、ことを意味する。
2021年7月23日の致死率の高い国は下のグラフのとおりである。

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イギリスでは4月から新規陽性数が急増した。もちろん死者数も増加したが、その増加の割合が陽性数に比べると低い。実際、致死率を計算すると、4月の初め頃には3%ほどあった致死率が、現在は2%以下になっている。この感染拡大はデルタ株と呼ばれる変異種が原因であると考えられている。この変異種は感染力が強く、既存のワクチンもあまり効かない、と考えられているが、殺傷力はそれほどでもないと推測される。

接種率と致死率の相関係数はR2≒0.001であるので、直接の相関関係はない。しかし、下のような接種率と致死率のクロス表を作り、グラフにすると、ワクチン接種率が高いほど、致死率が高い国の割合が少なくなるという傾向が見えてくる。

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このグラフでは未接種の国での致死率の高い国が少ないが、未接種の国は陽性数も死者数も少ないので、除外して考えるべきであろう。

C. ワクチン接種完了者は10億人を超えた

「7月10日から16日までの間に、世界全体で2億3000万回が接種された」と7/16 号に書いたが、いくつかの国で接種回数の訂正があった。今週の接種回数に影響が出るので修正したところ、先週の接種回数は2億2000万回に満たなかった。今週は先週より約185万回以上多い2億2119万回の接種が行われ、累計では38億回を超えた。7月16日までのワクチン総接種数上位50ヶ国とその接種率は次の通りである。

7月10日から16日までのワクチン接種回数上位50ヶ国は次の通りである。

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世界では、今週2億2000万回以上接種が行われた。これは先週よりも185万回多い。中国では1久々に接種回数が前週を上回った。ウズベキスタンとメキシコで先週より100万回以上接種を増やしている。また、82ヵ国でワクチン接種回数が先週よりも増加した。一方、113カ国で接種回数が先週よりも減少した。未接種国ではないが今週の接種回数が0の国は41カ国もある。

ワクチン接種人数は先週より8000万人弱増加し、2,116,764,832人であった。接種率は27%虚を超えた。ワクチン完了者数も10億人を超えた。接種人数と完了者数を公表していない国は接種人数=接種回数とし、完了者を0にして計算した。また過去に公表している場合はその数字を使った。接種人数は接種回数よりも少なくなるので、実際の接種人数はこの統計よりも少ない。また、完了者も0というわけではないと思われるので、実際の完了者数はこの統計よりも多いと思われる。ワクチン接種率の分布は下のようなグラフになる。世界の約3分の1の国と地域で接種率が10%に満たない。しかし、接種率の低い国や地域では、陽性数、死者数ともに少ない。ワクチンの輸入時にウイルスを運び込む可能性もあるので、そう言う国はワクチン接種を見合わせるのも得策ではある。新型コロナは、麻疹などと違って、何がなんでもワクチンが必要であるというものでもない。

C1. ハイチでワクチン接種が始まった。

今週はハイチで新たにワクチン接種が開始された。ハイチはカリブ海にある国で、ドミニカ共和国とイスパニョーラ島を二分している。イスパニョーラ等はカリブ海で2番目に大きな島で、ハイチはカリブ海で1番人口の多い国国である。今何かと問題を起こしているテニスプレーヤーの大坂なおみ氏の父の故郷である。GitHubによればワクチン接種は7月16日から始まっている。始まったばかりなので、接種率は0.02%と極めて低い。接種ワクチンはアストラゼネカである。ハイチの2021年の累計陽性数は9747件で140位である。先週まで世界には20のワクチン未接種国地域があったが、その中では4番目に多い。今週の新規陽性数は260人であったが、4週連続で減少している。死者数は287人で126位である、ワクチン未接種国では最多であった。

これで、ワクチン接種が実施されていない国は19となった。そのうち12カ国地域で2021年に陽性数が少なくとも1件確認されている。レユニオン、仏領ギアナ、マヨットのフランス海外領土は累計陽性数が1万件以上ある。今回接種の始まったハイチは旧フランス領であった。


C2. ワクチン接種を停止している国が増えている

先週2週間以上ワクチン接種が滞っている可能性があると指摘した21ヵ国のうち、次の8ヶ国で接種が再開された。国名の後の数字は接種停止期間前後の人口100万人あたりの1日平均の陽性数と接種回数の変化、接種ワクチン。

アンドラ 66.5→415.3、5,064→14,020、ファイザー、アストラゼネカ
中央アフリカ 0.1→0.1、36,041→13,356、バーラト、アストラゼネカ
ニカラグア 2.3→7.3、167,500→248,140、アストラぜねか、スプートニク
パプアニューギニア 0.3→0.3、12,994→15,181、アストラゼネカ、シノファーム
スーダン 0.4→0.0、48,265→132,603、アストラゼネカ、ファイザー、シノファーム、シノバック
トーゴ 1.3→7.7、35,308→106,962、アストラゼネカ
ウズベキスタン 14.6→18.5、846,384→2,261,813、アストラゼネカ、RBD, スプートニク
トンガ 陽性報告無し、26,380→6,968、アストラぜねか

ニカラグアは3ヶ月ぶり、トーゴは6週間ぶりの接種再開である。両国とも接種しなっか怠惰に、感染状況を悪化させている。とんがは4週間ぶり、そのほかの4国は3週間ぶりの再開である。どの国も感染状況にあまり変化がないが、アンドラは大幅に悪化している。アンドラはフランスとスペインに挟まれた国で、経済を両国に頼りきっていることの影響が大きいと考えられる。ワクチン接種を中断したから、悪化したわけではないだろう。また「100万人当たりの新規陽性数が低いところはシノファームの法則」も生きている。


アルジェリア、オランダカリブ海諸島、ジブチ、フォークランド、キルギス、パラオ、ピトケアン、セントヘレナ、トルクメニスタン、ツバル、マダガスカル、マラウイ、クック諸島では接種再開はなされなかった。ただし、セントヘレナ、ピトケアン、フォークランド諸島は接種をほぼ完了したと思われる。この中では、ジブチ、キルギスが中国製ワクチン接種国である。

また、ボスニア・ヘルツェゴビナ*(4)、コモロ*(2)、イラク*、クウェート、レソト(2)、ミャンマー*、ニジェール*、シエラレオネ* で接種が止まったようである。括弧内の数字は全種が2週間以上とまっていた回数である。* のついた6カ国が中国製ワクチン接種国である。接種停止とお思しき国と地域の数が毎週増えている点が気にかかる。自らの意思で停止するのか、供給されないことが原因なのかは、統計からではわからない。


C3. ジョンソンのワクチンの人気が高い

最新のワクチンブランド別勢力は次の通りである。複数のブランドを接種していることがあるので合計は217にはならない。

アストラゼネカ 176 +3
ファイザー 103 +3
モデルナ 51 +4
スプートニク 48
シノファーム(北京) 61 +1
シノバック 36 +1
シノファーム(BBIBP) 0
その他中国製 8
ジョンソン 33 +4
バーラト 6
その他 5

ジョンソンのワクチン接種国が4増えた。今までは欧米中心であったが、今回はアフガニスタン、ラオス、メキシコ、フィリピンと欧米以外のところばかりである。フィリピンとメキシコはすでに5、6種類のワクチンを接種しているが、感染拡大がなかなか治らないので、新たなワクチンを求めたのだろうか。それとも、ジョンソンは一回接種ワクチンなので、接種率の向上を目指したのだろうか。

アフガニスタンとラオスはシノファーム接種国である。シノファーム接種国である、インドネシア、スリランカ、ベトナムはモデルナを接種し始めた。シノバック接種国であるウクライナもモデルナを接種し始めた。ウクライナ以外はいずれもアジアで、シノファームの法則を満たしていない。もしかしたら、シノファームの供給が打ち切られそうなので、ほかのワクチンに海路を変更した可能性もある。

C4. 世界の40%でワクチン接種率が10%未満

7月17日から23日までのワクチン接種回数上位50ヶ国は次の通りである。

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ワクチン接種率50%以上の国は2ヵ国増え、62ヵ国となった。またワクチンの接種率の分布図は下のようになった。

ワクチン接種を開始していないところも含めた接種率10%未満の国地域は世界の40%(人口では30%)を占める。


D. 下がったかなと思ってワクチン接種の数を減らすと、再拡大する。

日本の今週の新規陽性数は先週の50%増であった。上にあげた国よりも伸び率は低いが、確実に上がっている。7月1日からの日本の新規陽性数は56,078件である。NHKによれば、オリンピック大会組織委員会が発表した同時期のオリンピック関係者の新規陽性数は169人である(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210728/k10013164941000.html)。1%にも満たないので、今の所、影響は少ないと考えられる。とすると、日本の今の感染拡大はオリンピックがなくてもおこった可能性が高い。

下の図は日本の新規陽性数とワクチン接種数の時系列グラフである。

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青の折れ線が新規陽性数を、緑の棒グラフが毎週のワクチン接種数を表す。日本では7月9日から接種回数が減少している。ワクチン、特にモデルナ製の供給が、当初の予定通りに行っていないという話である(https://president.jp/articles/-/47873?page=1)。

下の図はヨーロッパで、感染再拡大した国の新規陽性数とワクチン接種数の時系列グラフ行列である。

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どこも、陽性数が下がってしばらくすると、ワクチン接種回数が少なくなる。その後、陽性数が増える、という形になっている。つまり、ワクチン接種回数を減らしたら、感染再拡大した、というわけである。

この傾向はヨーロッパ以外ではアメリカとイスラエルと日本だけに見られる。全てがモデルナとファイザーの接種国なので、これらのワクチンの性質かもしれない。

日本以外は接種率が特に高く、多くの人がすでにワクチンを少なくとも一回は接種しているので、たとえ感染拡大したとしても、ワクチンの接種回数はもうこれ以上増やせないという事情もある。アメリカの疾病対策センターがワクチン接種完了していても屋内ではマスクを着用すべきという、助言を発表した。ワクチン接種前と同じ状態である。WHOや一部の医療関係者の麻疹と同様に対処するという政策はここでも失敗したと言える。



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