新型コロナ QR 7/29 第7波について
クォータリーといいつつ毎週報告しているクォータリーリポート(QR)です。先週の半ばから世界一になった日本の第7波について、あららっなデータをいくつかA章で紹介する。世界的にはピークを迎え、拡大予想レベルは赤や橙の国地域は減少を続けている。詳細をB章で紹介する。また、WHOがサル痘の新しいデータを公開したが、疑問点だらけなので、E章で考察してみたい。
A. 死者数は2.7倍増、重症者は2倍増
下のグラフは22年の日本の感染図である。
日本の22年30週(7/23-29)の新規陽性数は133万2607人で、初期型オミクロン株の最高だった22年6週(2/5-11)のほぼ2倍である。アメリカを抜いて世界で最も新規陽性数の多い国になった。前週比で70%増で、5週連続で増加中だが、伸び率は下降中である、従って、感染拡大レベルは橙に下がった。今までの累計陽性数は1211万8112人で、日本の人口約10%が感染したことになる。
最新の人口100万人あたりの1日平均の陽性数は1514.8人と初めて1000人の大台を超えた。世界で八番目に多い。3期の陽性数が10万人を超える国地域の中では、オーストラリア、ニュージーランドに次いで三番目に多い。
30週の死者数は551人で、1週間の死者数が500人を超えたのは、22年13週(3/26-4/1)以来4ヶ月ぶりである。世界で9番目に多い。前週比166.2%増で、3週連続増加中である。伸び率は先週は下がったものの、今週は大きく上がり、週間は基本的に上昇中である。人口100万人あたりの1日平均の死者数は0.63人で、世界平均(0.3人)の2倍以上になった。今までの累計死者数は3万2286人で、致死率は0.27%で世界平均(1.10%)の4分の1である。
30週の時点で治療中の者は160万5434人おり、過去最高をまた更新した。アメリカ、ドイツに次いで世界で3番目に多い。前週比で66%増で、5週連続増加中であるが、伸び率は3週連続で下降中である。次のグラフは新規陽性数と治療者数の推移である。
重症者数は376人で重症者数が300人を超えたのは14週(4/2-8)以来である。世界では19番目に多い。前週比96.8%増で、5週連続で増加中である。伸び率も5週連続で上昇中である。次のグラフは重症者数の推移である。
治療者数の伸び率は陽性数の伸び率より若干小さいが、死者数と受賞者数の伸び率は大きい。死者数と重症者数は陽性数の増加が始まってから、2~3週間後に増加が始まるので、これから、増加が続くことが予測される。
A1. 3期のペースは2期の2倍以上
日本の22年3期の陽性数は278万8592人で、順位が、先週の5位からドイツとフランスを抜いて2位に上がった。わずか1ヶ月で22年2期の累計陽性数、277万6600人を上まわった。22年2期の3倍以上のハイペースで感染が拡大している。このままのペースでいけば、過去最高だった、22年1期の陽性数(481万9595人)を超えると予想される。
22年3期の死者数は1005人となった。2期に比べ37%ペースが上がった。平均治療者数は84万6700人となった。これは2期の約2.6倍、1期の約1.6倍となって、過去最高である。平均重症者数は186.3人で、2期に比べ26%増である。
A2. BA.5型の感染パターン
下のグラフは、22年の新規陽性数上位6国の新規陽性数(左上)、死者数(右上)、治療者数(左下)、重症者数(右下)の推移である。
陽性数では日本が急増しているが、先週まで1位だったアメリカも上下させながらも数が増えている。一方、1ヶ月ほど前までBA.5型が猛威を奮っていたと考えられるフランス、ドイツ、イタリアではすでにピークが過ぎた。3国とも急増が始まってから6週間でピークを迎えている。ブラジルもピークは過ぎたと思われる。
死者数は日本とドイツで増加中である。イタリアは上下しながらも増加中である。アメリカとフランスは今週は減少した。ブラジルは2週連続で減少している。ドイツ、イタリア、フランスは2~3週間前に陽性数のピークがあったので、もうしばらく死者数は増加が続くと思われる。
治療者数は日本とアメリカで増加している。ブラジルとフランスでは2週間前から減少が始まった。ドイツとイタリアは今週減少になった。おそらく、ピークは越えたと思われる。重症者数は、アメリカ、ドイツ、日本で増えているが、ブラジル、フランス、イタリアは横ばいである。つまり、どの国も重症者は減っていない。日本では伸び率も上がっているが、アメリカとドイツの伸び率は下がり始めた。
A3. BA.5型は初期型オミクロン株よりも強い
下のグラフは日本における初期型とBA.5型の新規陽性数(左上)、死者数(右上)、治療者数(左下)、重症者数(右下)の推移に比較である。
陽性数と治療者数は同じような変化になっているが、治療者数に関しては、開きが大きい。これは、陽性数の増加に比べて、治療者数の増加が大きいためである。BA.5型の死者数と重症者数は今までは少なかったが、今週両方とも急増した。A 2節での考察から。今後増加が続く見込みなので、感染力だけでなく重症力や致死力も初期型よりは強いと考えられる。
A4. 空港検疫の簡略化が第7波を引き起こした。
次のグラフは、日本の空港検疫の陽性数(灰色)と国内の陽性数(青)の推移を表している。
空港検疫での陽性数は規制緩和のために検査数を激減させた24週(6/11-17)以降増加が続いている。そのグラフの傾きは陽性数に比べて緩やかである。したがって、多数の陽性者が見逃されてに入国していると推測される。実際、空港検疫での検査を80%以上減らした。現場では、検査するかどうかを入国者の状態を見て決めているらしいが、空港で感染した場合は見た目ではわからないからである。見逃された陽性者を含めると、空港検疫の陽性数は、次のグラフの赤線で示されたようになると推測される。
空港検疫を省略しなければ、もっと多くの陽性者を隔離することができたであろう。したがって、空港検疫の省略が第7波を引き起こしたと言っても過言ではない。
A5. 感染拡大してもワクチン接種は増やさない
日本での30週のワクチン接種回数は427万5091回で、前週比79.3%の増加となった。これで5週連続増加となった。1週間の接種回数が400万回を超えるのは14週(4/2-8)以来ほぼ4ヶ月ぶりである。下のグラフは22年の陽性数とワクチン接種回数の推移である。
30週のブースター回数は420万5165回で、この週の全接種回数のうち、98%がブースターだった。完了率は81.6%、過完了率は71%になった。一方、未接種者も30週時点で2181万人いる。
次のグラフは30週の陽性数上位6国のワクチン接種回数の推移である。
ブラジルで接種回数が増加した。アメリカは26~28週は増えていたが、今週は減少した。全体的にも減少している。1ヶ月ほど前にドイツで、半月ほど前にイタリアとフランスで接種回数が増えたが、接種回数自体が日本の10分の1以下と非常に少ない。BA.5型が流行していた2ヶ月前ですら、接種回数を増やすことはなかった。
実は完了率はこの6国の中で日本が一番高く、アメリカが最も低い(66.7%)。フランス80.8%、ドイツ75.2%、イタリア79.6%、ブラジル78.6%である。過完了率も日本が一番高い。フランス64%、ドイツ68.9%、イタリア70.2%、ブラジルが53.5%で、アメリカに至っては38.2%しかない。
日本は感染者が急激に増えたので、接種を増やしたといった感じか。欧米ではもはや感染が流行してもワクチンを接種を増やすことはあまりしないようである。既に多くのものが三回以上接種を受けたので、これ以上接種する者がいないということもあるが、やはり、既存のワクチンは変異株には効果が低いということが浸透しているからだろう。
A6. ワクチン接種しないのは低学歴
フォーブスの記事(https://forbesjapan.com/articles/detail/43306/1/1/1)によれば、アメリカでは低学歴の人ほどワクチン接種を拒否するものが多いらしい。テクノロジー関連や医療従事者で接種を拒否するものはそれぞれ、12%、17%であるのに対し、農業従事者は37%、建設業では27%、食品・飲料関連では24%と高い。しかし、アメリカではほとんどの企業が就業時にワクチン完了を義務付けている。いかなる理由があるにせよ、未接種者は解雇され、就職もできない。これは連邦政府や州政府が職員にワクチン接種を義務付けており、ワクチン接種を義務付けない会社との契約をしないからである。例えば、航空会社はいち早く接種を義務付けたが、そうしないと、政府職員がその航空会社を使用しないからである。したがって、生活のために、やむなく接種しているのが現状である。実際、就業条件は「完了」なので、ブースターを受けるものは少ない。公共施設を使えないな未接種者に対するど差別も多い。この記事ではワクチンを拒否する理由を挙げているが、接種する理由を挙げていない。ちなみに、アメリカには7300万人以上の未接種がいる。この数は世界で八番目に多い。
A7. いつまで続くのか
気になるのはいつまで増え続けるのかということだろうが、B症でもう少し詳しく考察するが、世界全体では陽性数のピークは越えたと思われる。アジアでは増加が続いているが、伸び率が下がり、ヨーロッパやアメリカではほぼ減少傾向となった。
陽性数上位国のグラフの解析から、B A 2,5型による感染は、陽性数は伸び率20%以上の増加が6~7週間ほど続きピークを迎える。死者数は陽性数から1~2週遅れて伸び率20%以上の増加を始まり、陽性数とほぼ同じ期間増加が続くと考えられる。死者数の伸びは陽性数の伸びよりも大きい。治療者数は陽性数とほぼ同じカーブを描くが、重症者数は減らない、という特徴があると考えられる。
日本は伸び率20%以上の増加が始まって5週間経ったので、再来週(32週、8/6-12)にピークを迎え、その時の新規陽性数は150万から180万と推測される。治療者数も陽性数と同じようなカーブ描くと予想されるが、ピーク値は250万から300万ほどで、ドイツを抜いて2位に上がるかもしれないが、アメリカを超えることはないだろう。
死者数や重症者数はこれから大きく増え、8月末まで増加が続くと考えられる。ピーク時の死者数は1500人ほど、重症者は1200人ほどになるのではないかと予想される。22年の死者数の最高は9週(2/26-3/4)の1594人、重症者数は8週(2/19-25)の1503人だが、それを超える可能性もある。
ところで、アメリカの増加ペースはこのパターンに当てはまらない。したがって、新たな変異種が発生した可能性も考えられる。
A8. コロナは何度でも蘇る。人類に他人を思いやる気持ちが出てくるまで。
あるところで治れば、別のところで新たな変異株が発生するのが新型コロナなので、第8波の警戒も必要である。どこで新たな変異株が発生するかはわからないが、人々の移動と一緒にウイルスも移動するので、どこで発生したとしても一緒である。大切なのはワクチンでも検査でもなく、他人にうつさないという思いやりである。人前でマスクをしたりするのは、自分が感染しないためではなく、万が一自分が感染者であったとしても、他人にうつさないためでもある。
ワクチンがまだなかった2020年によくあった感染拡大パターンは、陰性の感染者の無分別な行動が原因だった。PCR検査では患者がある程度のウイルスを持っていなければ陽性にはならない。また、検査時にウイルスを持っていなくても、その後に感染することもある。つまり、陰性でも感染しているものは少なからず存在する。例えば、日本へ入国するものは入国3日前以内の検査陰性証明を持っているが、入国時の検査で、通常で1%ほど、流行時には十数%が陽性になる。それは、感染したばかりで入国前の検査時に十分なウイルスを持っていなかったか、空港で感染したかのどちらかである。
検査で陰性ならば、自分はウイルスを持っていないと思い込んで、陰性証明をビラビラさせ、マスクもせず、集近閉も守らない。それどころか、他人にもマスクをしないよう強要する輩もいる。本当にウイルスを持っていなけらば問題はないが、もし陰性の感染者ならワイワイと他人に感染させてしまう。
2020年3月に、WHOは緊急事態を宣言し、新型コロナの全員検査を強く押し進めた。しかし、結果は逆となり、アメリカのニューヨークなど、全員検査を打ち出したところで、特に感染拡大がひどかった。それは、検査をすればするほど陰性の感染者が多くなるからである。特に、アメリカでは、マスクをしない自由がある、神に守られているから感染しないなどとほざいて、他人の事など考えなかった輩が多かったからである。また、WHOの勧告は十数年前に麻疹が流行した時のやり方を踏襲したものであるが、新型コロナは麻疹と違って症状は無いか軽い場合が多く、検査陰性だからと、自分が感染している可能性を全く考えず、他人に対する配慮をせず、ワイワイと感染を広めた。
21年以降は、自分はワクチンを接種したからもう感染しない、感染しても重症化しないという誤解から、感染拡大となった。ワクチンを接種したとしても、そのワクチンは過去に流行したウイルスから作られているので、新しいウイルスに効果があるかどうかは全くわからない。実際に、ワクチン接種者の方が感染率が高いという報告はQRでもなども伝えている。したがって、ワクチンを接種していても、もしかしたら他人に感染させるかもしれないと考え行動していたら感染拡大は防げたと思われる。
B. 感染拡大は一段落
QRは最近の傾向と近い将来の予測に、直近数週間の陽性数の増減と伸び率の増減を使った確率モデルを用いている。その結果をトレンドとして、以下の8つのレベルに分けている。
急増(茶):今まで陽性数が減少中、あるいは、ほぼ0だったが、今週突然陽性件数が増えたところである、あるいは、陽性数が増加中で、伸び率が300%以上となったところである。50%の確率で、翌週以降も陽性数の上昇が続く。
増加中、ペースアップ(赤):数週間陽性数の増加が続き、かつ、伸び率も上昇が続いているところで、約80%の確率で翌週以降も増加が続く。数週間増加が続くこともある。
増加中、ペースダウン(橙):数週間陽性数の増加が続いているが、伸び率は減少しているところ、あるいは、先週まで長く増加が続いていたが今週は減少となったところで、50%の確率で翌週以降も増加が続くが、多くは2~3週以内にピークを迎える。
減少ストップ(黄色):急増と同様に、今まで陽性数が減少中、あるいは、ほぼ0だったが、今週突然陽性件数が増えたところである。あるいは、増減を繰り返しいわゆる下げ止まりの状態になったところである。急増が陽性数が直近数週間の最高値を超えるのに対し、減少ストップはそこまで多くない。しかし、急増同様に、50%の確率で、翌週以降も陽性数の上昇が続く。
増加ストップ(緑):陽性数が2週連続で減少。30%の確率で、翌週以降増加に転じることがある。
減少中、ペースダウン(青):陽性数の減少が続いているが、減少のペースが鈍ったところで、今週陽性数が増えたところもある。約50%の確率で翌週以降増加に転じることがある。
減少中、ペースアップ(薄青):陽性数の減少が続き、かつ、減少のペースが上がっているところである。このような状況でも、約30%の確率で翌週以降増加に転じることがある。
ほぼ0(白):新規陽性数が0か、あっても5件未満のところである。このような状況でも、約10%の確率で翌週以降増加に転じる。
トレンドは発表されたデータに基づいて計算される。データが変われば、確率も変わる。ポルトガルのように今まで0だったのが急に0でなくなるというようなことがあれば、トレンドも変わる。翌週以降の陽性数増加確率は世界の感染状況によって変わる。色は以下の地図でも使っている。
アメリカなどで陽性数の修正があったので、先週の感染拡大レベルの色が変わったところがある。例えばアメリカは先週赤だったが、黄色になった。下の図は最新のトレンドである。凡例の( )内が各レベルに属する国地域の数である。
下の表は大陸別の増加傾向の国地域一覧である。表中、国名の後に*がついたところはレベルが上がり、#のついたところは下がった。
レベル赤の国地域がわずかに25国に減少した。ミャンマーやブータンなど11国地域が新たに赤レベルになったが、日本や韓国など25国地域でレベルが下がった。その結果、アメリカ南北とヨーロッパ西からは赤がなくなった。橙レベルも69国地域となり、先週から5国地域少なくなった。
茶色レベルの急増は、カメルーン、ケイマン諸島、蘭領カリブ海、クック諸島、ミクロネシア連邦の5国地域あった。このうちミクロネシア連邦は5週間ぶりの新規陽性者であった。増加傾向の国は117国地域で、先週より18国地域少なくなった。
C. 8月に累計陽性数が6億人に達する
世界の22年30週の新規陽性数は666万1231人だった。アメリカやヨルダンなどで陽性数の修正があったので、29週の陽性数が694万175人と先週発表した分よりも5%ほど増えたので、修正後の伸び率は前週比で−4%である。30週の死者数は1万6453人で、前週比10.7%増となった。これで4週連続の増加である。下のグラフは22年の世界の感染図である。
来週も修正があって、30週の陽性数が29週に比べ増加するかもしれない。
これで、22年3期の陽性数は2680万9729人で、2期に比べ37%ペースが早い。今までの累計累計陽性数は5億8079万4667人で、全人口の7.3%が感染したことになる。このペースで行けば、8月半ばには累計陽性数が6億人になると予想される。22年3期の死者数は5万6317人で、2期に比べ36%ペースが早い。累計の死者数は641万7579人となった。
C1. 陽性数:増加中の国地域が少なくなった
30週は世界88国で増加となった。陽性数増加中の国でも、1週くらいは減少することがあるので、B章の増加傾向の国地域の数とは異なる。先週の陽性数が0で伸び率無限大となったところが、ツバル、ミクロネシアなど12国地域あった。ツバルは9週間ぶりの新規陽性である。一方、118国で減少となった、ジョージアやヨルダンなど15国地域で陽性数が0になった。トルクメニスタン、ピトケアン、トケラウは今までの陽性数が0をであり、西サハラは2年以上、セントヘレナは1年以上陽性者が出ていない。バチカン、フェロー諸島、エジプト、グリーンランド、ニカラグアでは3ヶ月以上新規陽性数0が続いている。
次の表は30週の陽性数が多い20国の感染状況である。リストは、国名、地域、3期の陽性数順位(赤字は順位上昇、青字は下降)、Worldometer の累計陽性数順位、3期の陽性数、3期の陽性数ペースの2期からの伸び率(マイナスは減少)、30週の陽性数、30週の人口100万人あたりの1日平均の陽性件数、30週の陽性数の前週比伸び率(マイナスは減少)、連続陽性数増減週数(マイナスは減少週数、 tXX は陽性数同数の週数、zXXは陽性数0の週数、zzz等は2年以上陽性数0)、30週のドレンド(色訳はB章の地図と同じ)、3期の死者数順位、3期の死者数、3期の死者数ペースの2期からの伸び率(マイナスは減少)、3期の致死率、30週の死者数、30週の人口100万人あたりの1日平均の死者数、30週の死者数の前週比伸び率(マイナスは減少)、連続死者数増減週数(マイナスは減少週数、 tXX はXX週間死者数同数、zXXはXX週間死者数0、zzz等は2年以上死者数0)である。
今週はとうとう日本が1位になった。アメリカが2位になり、韓国も3位に上がった。上位20国中赤レベルはロシアだけとなった。橙レベルも10国あるが、陽性数が増え続けているのは4国だけとなった。
次の表は22年最新の人口100万人あたりの1日平均の陽性数が多い国地域の20位までのランキングである
今週5週間ぶりに陽性患者を出したミクロネシは5206人で一番多かった。実際の新規陽性数は4283人だった。長らく1位を持続していたナウルの感染は終わったようである。陽性数の修正があり、2000人ほど少なくった。したがって、感染率も先週までの60%以上から42%と下方修正された。
人口100万人あたりの陽性数が1000件以上となったところは先週の22国地域から17国地域へと減った。97国地域で最新の人口100万人あたりの1日平均の陽性数が、感染拡大の危険が高いと言われる100件を超えている。先週よりも30国増えた。このことから、多くの国で少しづつ増加したといえる。
3期が始まってから1ヶ月経ったので、3期の陽性数のランキングも載せる。
1週間の陽性数では世界1となった日本ではあるが、1ヶ月ではまだ2位である。日本のは増加しているものの、伸び率は下がっており、1位のアメリカは伸び率は低いが増加が続いているので、3期の陽性数で日本が世界1になることはないと考えられる。
C2. 死者数は増加傾向
30週は85国地域で死者数が増加した。ミクロネシアで初の死者が出た。アンギラでは24週間ぶり、アルジェリアでは13週間ぶりの死者が出た。先週の死者数が0だったために、伸び率が無限大となったところは、ミクロネシア、アンギラ、アルジェリアを含め16国地域あった。一方52国地域で死者数が減少した。カナダやフィジーなどなど17国地域で死者数が0となった。
累計死者数0はフォークランド諸島など9国地域だけになった。西サハラでは2年以上死者数0が続いている。ウォリスフツナでは1年以上、ブルンジはほぼ1年間死者数0を続けている。サンバルテルミーとジブチも22年の死者数は0である。ドミニカ共和など79国地域で2週間以上死者数0を続けている。
次の表は22年30週の死者数が多い国地域の20位までのランキングである。
次の表は22年最新の人口100万人あたりの1日平均の死者数が多い国地域の20位までのランキングである。
次の表は22年3期の死者数が多い国地域の20位までのランキングである。
C3. 治療者数は増加が続く
22年30週現在で治療中の者の数は世界で少なくとも2227万6931人いる。治療者数を発表していない国も多いので、実際の治療者数はこれより多い。前週比で0.4%の減少となった。これで6週連続増加で止まった。次のグラフは世界の22年の治療中の者の数と新規陽性数の推移である。
102国地域で治療者数が増えた。最も増加率の高いのはミクロネシアで8万5360%増である。また治療者数が前週と全く同じところも、ジブチやマーシャル諸島など30国地域ある。治療者数が減少したのはドイツやフランスなど75国地域ある。最も減少率が高いのはナウルの99%減である。つい2週間前まで4000人の治療者がいたが、今週は28人になった。先週の予想通り、急速に感染が収束している。
下の表は30週の治療者数の多い国地域の20位までのランキングである。表は国名、地域、3期の治療者数順位、3期の治療者数の平均、その前期比伸び率、30週の治療者数、その前週比伸び率、21年以前に感染していまだに治療中の者の数、その割合、3期の回復者数、その前期比伸び率、30週の回復者数、その前週比の伸び率、連続週数増減、3期の重症者数の平均、その前期比伸び率、30週の重症者数、その前週比伸び率、連続週数増減である。
30週時点での治療車数が最も多いのがアメリカの398万7381人で、前週比0.9%増。2位はドイツの187万6040人で、こちらは前週比5.4%減、3位は日本で160万5434人で、前週比66%増だった。4位がフランス(155万4668人、25.3%減)、5位がイタリア(132万3990人、8.7%減)、6位が韓国(109万5944人、60.8%増)と続き、ここまでが治療者数100万人以上である。
治療者数が増える要因は、新規陽性数の増加と、回復者数の減少、s類はその両方が考えられる。ここに挙げた6国は韓国を除いて、回復者数が多い。日本のように治療者が大きく増えるのは、新たに感染する人が多いから、フランス多ドイツのように治療者数が減るのは、新たに感染するものが少ないからである。韓国は回復者数が少ないので、新規陽性がかなり多いと考えられる。
下の表は22年3期の平均治療者数の多い国地域の20位までのランキングである。
平均治療者数にしたのは、治療者数は新規陽性数と違って、同じ人が繰り返し数えられるからである。したがって、治療者数の和は意味がないからである。ここでは、日本は7位に下がるが、3期の最初の方は治療者数が少なかったからである。
C5. 重症者数
30週の世界の重症者数は4万861人で、先週よりも0.2%増えた。次のグラフは22年の重症者数の推移である。
下の表は30種の重症者数の多い国地域の20位までのランキングである。
日本は19位にランクされた。伸び率は96%でこの中では最も高い。重症者数はブラジルのように長い間同じ数字をキープしているところが多い。重症週をきちんと数えていないか、重症者が治るか亡くなるかして減少すると同じ数だけ重症化するのか、重症者の面子が全く変わらないかのいずれかである。
下の表は3期の平均重症者数の多い国地域の20位までのランキングである。
重症者数の数え方は治療者数と同じなので、ここでも平均を利用した。
D. アジア中で接種急増
22年30週の接種回数は約6782万8688回で、前週比6.4%増だった。30週の全接種回数のうちの57.6%に当たる3904万7969回がブースターだった。ブースターは前週比9%減だった。ブースターの割合も減った。次のグラフは世界の22年の陽性数(青)とワクチン接種回数(赤)の推移である。
22年3期の総接種回数は2億3964万1539回となった。2期に比べると接種のペースは5%下がった。今までの総接種回数は約123億4176万回強となった。ワクチン完了者は約48億7112万人で、完了率は61.3%である。今までの総ブースター回数は22億5566万回強で、過完了率は28.4%に増えた。一方、未接種者数は世界に26億4500万人ほどいる。次の表は22年30週のワクチン未接種者数上位20国の接種状況である。項目は国名、地域、22年3期の陽性数、22年3期の死者数、完了率、未接種人数、22年3期の接種回数、その前期比伸び率、22年30週の接種回数、その人口100万人あたりの1日平均、その前週比伸び率、過完了率、22年3期のブースター回数、その前期比伸び率、22年30週のブースター回数、その前週比伸び率である。
次の表は22年30週のワクチン接種回数上位20国地域の接種状況である。
先週1位のインドでは先週より36.7%増やし、約2292万3337回の接種をし、世界1位をキープした。2位は4週間ぶりに接種が再開されたコンゴ民主で、970万7911回だった。コンゴでは平均すると1週間に20~30万回しか接種をしてこなかったので、いように数が多い。もしかしたら、来週は修正されている可能性がある。3位は中国であるが、先週より28%増の518万回だった。4位は日本で427万回、前週比79%増だった。先週2位のバングラデシュは今週87%減の30倍の107万回の接種で12位に下がった。
先週接種回数が0だった国地域のうち、コスタリカやチュニジアなど27国で接種が再開された。コスタリカで8週間ぶり、コンゴとサントメプリンシペ5週間ぶりの接種だった。
今週は103国地域で接種が行われた。先週よりも13国少なくなった。ベトナムやメキシコなど70国地域で3週間以上接種が止まっている。まあ他それ以外に北朝鮮など14国地域で一度も接種を行っていない。
次のグラフは大陸別のワクチン接種回数の割合を表している。
アジア中が世界のワクチンのうちのほぼ半分を接種している。ヨーロッパは東西合わせてわずかに3%である。オセアニアとカリブ海はあまりよく見えないが、1%未満である。アフリカ西では接種をした国地域がなかった。インド製ワクチンを接種している国で接種回数が多い。
次の表は22年30週のブースター回数上位20国地域の接種状況を表している。
インドが先週よりも44%増の1819万6426回ブースタをして、世界1をキープした。2位には、60%以上増やして420万回のブースターを行った日本が入った。3位は200万回強(13%増)のブラジル、4位はパキスタンの212万回(7%減)、5位はインドネシアの168万回(25%増)だった。中国は今週も80%以上減少させて64万回のブースターにとどまり10位に下がった。
E. サル痘の感染に関する疑問
WHOによるサル痘の続報が7月25日にあった。また、アメリカではサル痘の感染者が増えているという報道があった。日本でもすでに感染者が出た。前回まとめられなかったデータをまとめたので報告したいと思う。WHOのデータは7月22日時点のものである。
まず、サル痘は世界77国地域で1万5998人の患者が確認された。この数字は前々回紹介した、アメリカのCDCが2日前の7月20日に公開した分よりも829人少ない。WHOとCDCとで患者の数え方が違うのか、あるいは、誤認、つまり、症状が似ているのでサル痘と診断したが、ウイルスを検査した結果サル痘ではなかった、かのどちらだろう。死者は中央アフリカで2人、ナイジェリアで3人の計5人である。いずれもサル痘を風土病とする国である。
感染者は98%が男という報告もあり、特殊な性行動が原因ではないかとの噂もある。特に根拠はない。
最も感染者数の多いのが、スペインの3125人である、ついで、アメリカの2316(2890)人、ドイツの2268人、イギリスの2137(2208)人、フランスの1453(1567)人の順になっている。( )内の数字はCDC集計分。この5国が患者数1000人以上である。感染者の74%がヨーロッパで確認された。
新型コロナと比較のために大陸別に新規感染数とその伸び率を計算したところ、次の表を得た。
世界全体では前回発表分(7月4日)から9974人増えた。伸び率は281%となる。数で言えば、ヨーロッパ西が6785人増やしたが、率で言えばアメリカ南が590%増、アメリカ北が418%と高くなっている。感染数上位5国の新規感染数とその伸び率は下のような表になった。
最も患者数が増加したのも最も伸び率が高かったのもスペインで、2323人患者が増え、伸び率は723%だった。
6月22日に発表されたデータでは、サル痘を風土病とする8国とそうでない国地域に分類していたが、前回7月4日の発表分からこの区分けをやめた。上の表を見れば、これら8国の新規感染者は128人で、世界全体の1.3%に過ぎない。この中で最も数が増えたのがコンゴ民主の85(29)人、ついでナイジェリアの39人、カメルーンの3(2)人だった。( )内の数字はCDC集計分。感染者が確認されたのはこの3国だけだった。これら8国全体では28%の伸びであった。
ところで、WHOの発表は毎週ではない。6月中は4回あったが、7月は2回しかない。というわけで、集計期間が長くなっている。集計期間が長くなれば、患者数が増えるのは当然である。悪く言えば、データを操作してわざと数を増やしているようにも思える。このことは前々回指摘した。この稿をWHOの関係者が読んだかどうかは知らないが、今回の発表では、ちゃっかりと1週間ごとのデータをグラフ化したものを載せていた。残念ながら、1週間ごとのデータは公表されてなかった。そこで、前回同様1日当たりの感染者数を計算した。次の表は上位5カ国の1日当たりの感染者数とその伸び率である。
例えば、スペインでの7月5日から22日にかけて感染者が723.8%増加した。しかし、7月5日のデータは過去12日分であるが、22日のは18日分と長くなっている。それぞれ1日分で計算すると、伸び率は449%に下がる。また、6月22日から7月4日にかけては感染者が36%増加したことになっているが、1日当たりの感染数で比べれば、20.5%の減少だった。
次の表は大陸別の1日当たりの感染者数とその伸び率である。
世界の伸び率は155%と半減した。いずれの地域も、伸び率は大きく下がった。サル痘を風土病とする8国では、感染者数は減少した。新たに、15国地域で感染が確認されたが、新規感染数が0になったところも8国地域ある。
しかし、患者数が大きく増えていることは事実である。半減したとは言っても、例えば、スペインでは前回の5.5倍の感染者が確認された。これが新型コロナと比べて多いのかどうかを調べるために、人口100万人当たりの感染者数を計算したところ次の表を得た。
7月22日のスペインの人口100万人当たりのサル痘の感染者数は2.76人で非常に少ない。他の国は一人未満である。
下の表は、感染が始まったばかりの頃のアメリカ、フランス、ドイツ、スペイン、イギリスの人口100万人当たりの新型コロナ新規陽性数を日付の間隔がサル痘の統計と同じになるようにしたものである。サル痘の統計の7月22日に対応する新型コロナの20年3月19日ではフランス、ドイツ、スペインで既に2桁台に突入していた。
来週分の動向も見てみないと確実なことは言えないが、おそらく、コロナほどの感染拡大はないと思われる。スペインはイタリアと共にヨーロッパでは一足早く新型コロナの感染が流行したところであるが、サル痘でも同じように一足早くサル痘の感染拡大が始まった点が興味深い。
人口、陽性件数、死者数はWorldometer のものを、ワクチン接種回数などは Github のデータを利用している。Worldometer や Github で扱っていない国地域の統計は Google のデータを用いる。北キプロスの陽性件数と死者数は、政府の発表するデータを用いる(https://saglik.gov.ct.tr/COVID-19-GENEL-DURUM)。面積、GDP、地図、その他の情報はウィキペディアと外務省(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/index.html)を利用している。それ以外のもの、例えばニュースや論文に関しては出典を本文に記す。数値はアメリカ中部時間の8月3日22時時点で得られた最新の値を利用している。それ以降に修正あるいは追加されたデータは含めない。従って、他の新型コロナ統計サイトの数値とは異なることもある。修正あるいは追加されたデータは過去の号の統計にも反映させているので、今号の統計とは異なるものもある。データの違いが大きくなる修正は本文で言及している。テーマ地図は mapchart.net のサービスを利用して作成している。
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