東アジアでの感染急増についての統計的推論

初めに

下のグラフは、2021年7月3日から8月20日までの新型コロナ陽性件数の上位50ヵ国の陽性件数である。国名の隣の数字が順位で、↑は順位が先週よりも上がったこと、↓は下がったことを示す。⬆︎⬇︎は3位以上の上下を表す。

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マレーシア、メキシコ、日本、ベトナム、モロッコ、イタリア、ジョージア、イスラエル、ドイツ、ベルギー、韓国、モンゴル、コスタリカで順位が上昇している。インド以東のアジアが5国と一番多い。2020年からの累計ではヨーロッパの国々の方が上位に来るが、2021年7が以降では上のような順位になる

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上のグラフは、2021年7月3日から8月20日までの新型コロナ陽性件数の上位50ヵ国の2020年からの陽性件数である。青い部分が2021年7月3日以降の陽性件数、赤い部分が2021年7月2日以前の陽性件数である。順位は先週と変わらないが、タイとベトナムは赤い部分青い部分いくらべて極端に小さいことがわかる。

下のグラフは青い部分の割合、つまり2021年7月3日から8月20日までの新型コロナ陽性件数の2020年からの累計陽性件数に対する割合を示したものである。

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タイでは全陽性件数の70%以上が2021年7月3日以降に確認されている。ベトナムは91%にもなる。また、インドネシア、マレーシア、バングラデシュ、日本、ミャンマー、韓国、モンゴルとインド以東のアジアは30%以上を占める。フィリピンも21.2%と少なくない。多くのヨーロッパやインド以西のアジアで20%未満であることと対照的である。

つまり、東アジアと東南アジア(まとめて東アジアと呼ぶことにする)では、現在過去に例を見ないほどの感染拡大が起こっている。そこで各国の感染状況を統計的に推論してみる。


陽性件数、死者数、人口のデータについては、コソボは Google、北キプロスは https://saglik.gov.ct.tr/COVID-19-GENEL-DURUM で発表されているものを利用している他は、Worldometer のものを、ワクチン接種回数などは Github のものを利用している。


A. なぜ台湾の致死率は世界一なのか

台湾の2021年7月3日から8月20日までの陽性件数は995件で、累計陽性件数に占める割合は僅かに6.3%である。同時期の死者数は151人で、累計死者数に占める割合は18.3%と陽性数に比べ高い。その結果、死者数を陽性件数で割った、単純致死率は15.17%になり、これは世界1位の数字である。2位はウガンダで11.84%、3位はエジプトの10.27%、4位がイエメンの10.19%になる。

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A1. 台湾の感染爆発が落ち着いてきたことが致死率上昇の理由

次のグラフは台湾の感染図である。青い折れ線グラフが陽性件数、緑の棒グラフが死者数を表す。

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台湾では陽性件数の波が4月30日に始まった。4月30日の陽性件数は前週の2倍近くに増えている。グラフだと、波は5月14日に始まったように見える。しかし、5月14日から21日まで増加率が1550%とあまりに大きいため、視覚的には捉えにくくなっている。この波は発生から5週間後の5月28日にピークを迎え、以降はは8月20日まで、12週連続で減少している。波が発生する前の陽性件数は1日平均2.5人であった。波のピーク時は1日平均600人の陽性件数があったが、現在は10人ほどになっている。上昇率は毎週平均190%(これは次の週の陽性件数が前の週の3倍になるということ)、減少率は毎週平均30%である。

死者数の波は5月28日に始まり、3週間後の6月11日にピークを迎える。その後は7月末まで7週間ほど減少するが、8月6日と13日に増加が起こる。しかし20日は再び減少となった。波が発生する前の1日平均の死者数は0.0人(台湾の死者数は1月1日から5月14日までで僅かに5人)であった。ピーク時は1日平均49.8人、現在は1日平均1人である。上昇率は平均で304%、減少率は毎週平均28%である。

グラフを見ると、死者数の波は、陽性研修の波に2週間遅れて発生しているように見える。5月21日から28日までの死者数の増加率は2000%もあり、この時の死者は、陽性件数増加率最大の5月14日から21日の間にに陽性と認定された者たちと対応していると考えられる。また、死者数の波のピークは陽性件数の波のピークから2週間遅れている。従って、陽性と認定されてから、2週間足らずで亡くなったものが多いと推測される。昨年度の統計であるが、東京都の調べでは、新型コロナを発症してから亡くなるまで平均で19日かかるので、台湾では早く死に至ったことになる。したがって、検査時に既に発症していた、それもかなり度が進んでいたと考えられる。台湾は重症者数を発表していないが、波のピークの頃は重症者数も多かったと思われる。

通常の240倍の陽性患者を一気に抱えために、2020年4月のヨーロッパや日本のように、医療機関が十分に対応できず、死者数が増えて、その結果致死率が上昇したものと考えられる。

6月11日から死者数は減少に転じるが、当初は平均25%だった減少率が、7月半ばから平均50%と大幅に下がる。陽性件数が減少したため、医療機関に余裕ができ、患者が亡くなるまでの期間が伸びたと思われる。それまでの状態なら6、7月には亡くなっていた患者たちが、7、8月に入ってから亡くなった、と考えれば、7月3日以降の死者数の急増、すなわち、致死率の上昇も説明がつく。言い換えれば、台湾では感染状況が落ち着いてきたから、致死率が高くなったということになる。

台湾の感染の波が始まってからの陽性件数は14,816件、死者数は816人なので、この間の致死率は5.51%になる。世界平均は2%前後なので、これでもまだ致死率が高い。この波が起こる前の台湾の致死率は1.39%である。致死率の大幅な上昇は、陽性件数の急増と相まって、台湾には存在しなかった変種(外来種)が持ち込まれた可能性が高い。インド由来のデルタ株の感染力は長く続くが、短期間に爆発的に増えるというわけではないので、おそらくデルタ株ではないものが主流であろう。

A2. 台湾の感染拡大の原因

ところで、なぜ台湾ではこれだけ急に陽性患者が増えたのか、という問題が残っている。それを考えるために台湾の実行再生算数を計算する。実行再生算数は、「1人の感染者が平均して何人に感染させるか」を表す指標で、北海道大学の西浦博教授がそもモデルを発表している(https://github.com/contactmodel/COVID19-Japan-Reff 参照)。この計算式に基づく2021年の実行再生産数の世界の2021年の平均は1.11、標準偏差は0.9になる。大方の国では0.8から1.5の間の数値を持つ。ところが、台湾の実行再生産数は5月14日は1.80で、5月21日が7.41と非常に高い値を示す。これは、「1人の感染者が平均して7人以上に感染させる」ことを意味する。従って、感染力の非常に強い変種が広まったか、あるいは、大量の感染者が入国したのどちらかであろう。

ゆえに、多数の陽性患者の入国があった可能性が高い。通常の入国では、空港で検査を受け陽性であってもなくても、その時点で隔離されるので、おそらく、通常でない方法で入国しているものと思われる。その感染した入国者が意図的に感染を広めた場合、麻疹よりも感染の勢いが強くなることは十分に考えられる。


B. ベトナムは7月3日以降の陽性件数と死者数の割合が世界一

次のグラフは2021年7月3日以降の死者数の上位50カ国とそれら50国での7月3日以降の死者数が全死者数に占める割合である。

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7月3日以降の陽性件数の件数の世界一はアメリカ、死者数の世界一はインドネシアである。ベトナムの7月3日以降の陽性件数は305,147件で世界22位、死者数は7,456人で世界では14位であるが、陽性件数はベトナムの全陽性件数の94.4%、死者数は98.9%を占め、それぞれ世界一である。7月2日以前は陽性件数は18,121件、死者数は84人と台湾同様感染をほぼ抑えていたと言える。

下の図はベトナムの2021年の感染図である。

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ベトナムの感染の波は7月2日に始まった。8月20の時点ではまだ感染拡大中である。8月20日までの暫定的な陽性件数の平均増加率は54.1%、最大増加率は130.4%である。ただし、7月30日までの平均増加率が100%に近いもであることに対し、8月6日以降は10%未満となっている。増加率を下げているので、2、3週間のうちにこの波はピークを迎え、減少傾向となると思われる。

死者数の波は1週遅れた7月9日から始まった。陽性件数同様増加中である。この間の死者数の平均増加率は119.5%、最大増加率は445.5%である。死者数の波が始まるのが早く、死者数の増加率が高いので、現在の致死率は2.42%になる。7月2日までのベトナムの致死率はわずかに0.29%だったので、台湾以上に致死率が増加していると言える。しかもベトナムはまだ陽性件数が増加中である。ピークを迎え、陽性件数が減少に転じると、おそらく、台湾以上の致死率になると予想される。

実はベトナムでは、台湾で感染の波が起こった日に近い5月7日から、小さな波が発生している。小さな波とはいうが、実は、陽性件数の平均増加率は80%、最大増加率は224%と7月2日からの波よりも規模が大きい。小さな波以前の陽性件数と死者数が少ないために、率が大きくても数が小さくなるので、グラフではほとんど何もないようには見える。まるで大地震が発生する前に起こる小さな地震のように、先行する小さな波は減少することなく、そのまま、大きな波が発生した。

1日平均の陽性件数は、5月7日以前は11.8件であったが、5月7日から6月25日までは207.3人、7月2日以降は5513人と急上昇である。死者数は、5月7日以前は0人であったが、5月7日から6月25日までは0.7人、7月2日以降は133.3人と、こちらは陽性件数をしのぐ大幅上昇である。


小さな波の致死率は0.3%なので、大きな波は小さな波とは別のウイルスが原因で起こっていると思われる。おそらく外来種である。感染力からデルタ株である可能性は高い。インドから、ミャンマー、タイ、カンボジアを経て入ってきたか、4月頃デルタ株の流行していた日本から持ち込まれた可能性もある。

C. アジアでの感染の波、デルタ株以外の可能性あり

下の図は東アジア16カ国での。 最も新しい波の陽性件数の増減を表す。赤い斜線を引いたところが増加を、青い斜線が減少を表す。斜線が密になる程増加率(減少率)が高いことを示す。

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C1. ミャンマー、インドネシア、カンボジアとモンゴル

ミャンマー、インドネシア、カンボジアとモンゴルで、5月28日から感染急拡大が始まった。ピークに達するまで、ミャンマーが9週間、インドネシアが8週間、カンボジアが7週間、モンゴルが5週間かかった。平均増加率と最高増加率は、ミャンマーが82.8%と144.0%、インドネシアが34.5%と58.3%、カンボジアが14.1%と53.5%、モンゴルが45.1%と72.4%となっている。8月20日の時点では、ミャンマーとインドネシアは陽性件数を減少させ、その減少率も高くなっているが、カンボジアとモンゴルでは、先週から再び陽性件数を増加させた。致死率はミャンマーが4.82%、インドネシアが3.43%、カンボジアが2.49%、モンゴルは0.47%となっている。

カンボジアは平均増加率が小さいので、感染爆発とは言えないかもしれない。カンボジアは5月28日の波の前に、4月9日頃から決して小さくない波が発生している。その波が十分に収束しないうちに新しい大きな波が発生した。小さい方の波は4週間でピークに達した。平均増加率と最高増加率は69.6%、83.0%で、大きな波よりも規模が大きいが、致死率は0.70%と低い。従って、二つの波は別のウイルスが原因であると思われる。従って、大きい方の波は外来種である可能性が高い。

モンゴルも5月28日の波の前に、3月19日頃から小さな波が起こっている。こちらは規模の違う同じような形の波が続いているので、同じウイルスが原因ではないかと思われる。

致死率やピークに達するまでの期間の長さから、ミャンマー、インドネシア、カンボジアでの感染の波は同じウイルスが原因と思われるが、モンゴルの波はそれとは別のウイルスが原因であろう。


ミャンマーは5月28日の波の前の波は昨年末に遡るが、2月1日のクーデター以降、陽性件数、死者数ともにほぼ0という状態が長く続く。これは、正しく統計が取られていないと推測される。もしかしたら、カンボジア同様に3月末頃に波が発生していたかもしれない。


C2. タイ

タイは6月25日に感染の波が発生した。8週間でピークを迎え、平均増加率は27.7%、最大増加率は38.2%である。致死率は0.91%と非常に低い。陽性件数の増加率は下がってきており、やっと今週から、陽性件数が減少になった。おそらくこのまま減少するであろう。

タイでも、この波の発生する前、4月9日頃から小さな波が発生している。


C3. 韓国、ラオス

韓国とラオスはベトナムと同じくは7月2日に感染の波が発生した。韓国では5週間でピークを迎えたが、ラオスでまだピークを迎えてない。平均増加率と最大増加率は韓国が25.5%と42.8%、ラオスが60.6%と340.2%である。致死率は韓国が0.24%、ラオスが0.08%となっている。韓国はピークを迎えたものの、その後は陽性件数の上下を繰り返している。これから再び陽性件数が上昇する可能性もある。ラオスは陽性件数の増加率を下げている。従って、来週か再来週あたりにピークを迎えると推測される。

韓国で流行している株は、致死率の低さと感染のスピードの速さから考え、韓国の中で変異したものであると推測される。ラオスは小さな波が発生しているので、タイから伝わったものである可能性がある。


C4. 中国

中国では7月9日に感染の波が発生した。6週間でピークを迎えた。平均増加率と最大増加率は36.7%と53.0%である。中国ではこの間の死者数が0なので致死率も0.0%である。陽性件数は今週は減少に転じたが、増加率の減少は特に見られない。従って、今週はたまたま減少しただけで、来週は再び増加する可能性もある。

中国の波は自国で変異したものである可能性が高い。ラオスや韓国で流行している株は、致死率の低さから中国由来の可能性もある。

C5. ブルネイ、日本、マレーシア、シンガポール

ブルネイ、日本、マレーシア、シンガポールは7月16日に感染の波が発生した。ブルネイ、日本、マレーシアではまだピークを迎えていないが、シンガポールでは2週間でピークを迎えた。平均増加率と最大増加率はブルネイが129.7%と8533.3%、日本が50.0%と84.7%、マレーシアが19.4%と45.5%、シンガポールでは257.7%と330.2%である。致死率はブルネイが0.0%、日本は0.15%、マレーシアは1.11%、シンガポールが0.30%となっている。シンガポールは4週連続減少中であるが、ブルネイ、日本、マレーシアは増加中である。ただし、マレーシアと日本は増加率が下がっているので、来週か再来週には陽性件数減少が期待できる。

日本とマレーシアは小さな波が先行して起こっている。従って、タイ由来の可能性がある。シンガポールの方はダラダラと上がったり下がったりというのが中国のそれと似ている。

ブルネイの陽性件数の最大増加率は台湾よりも高くなっている。しかし、その前週の要請件数は前々週のそれよりも低いかったので、おそらくその週の陽性件数に前週の分がいくつか紛れて、高くなっていると思われる。よその国のように修正すれば、300%増くらいであると推測され、また、増加率は上昇しているものと考えられる。おそらくマレーシアでの感染が移ってきたのであろう。

マレーシアもそれほど致死率は高くないが、他はもっと低い。従って、この4国ではデルタ株である可能性は少ないと考えられる。ラオスや韓国で広がっているものの方が近いと思われる。


C6. 東ティモール、フィリピン

東ティモールでは7月30日にフィリピンでは8月6日に感染の波が発生した。両国ともまだピークを迎えていない 。東ティモールは平均増加率と最大増加率が63.1%と143.8%と高いが、致死率は0.47%と低い。しかし1週間で死者数が333%増になった。これからの様子を見ないとわからないが、致死率がどんと増える可能性がある。そうなれば、間違いなく、インドネシア経由の株が原因ではにかと思われる。

一方フィリピンは平均増加率と最大増加率が29.2%と31.4%、致死率は1.53%である。両国ともそれより前に決して小さくない波が起こっている。


C7. 日本で今流行している株はどこ由来か

東南アジアはシンガポールを除いてピークに達するまでの期間が少なくとも7週間とせいぜい6週間である東アジアと比べ短い。また東南アジアでは増加率が50%以上になる期間が長い。
おそらく、ベトナムやタイで流行している株は韓国やモンゴルで流行しているものとは違うものであると推測される。

一般に自国で株が変異する場合、比較的長い陽性件数減少期がある。例えば、日本での昨年7月の第2波は一部で東京株と呼ばれる日本で変異した株である。第一波の収束後2ヶ月ほど経ってから、広まり始めた。アルファ株と呼ばれるイギリスの変異株も代位波の後約3ヶ月ほどしてから発生し広まっている。

日本の第4波は第3波が終わらないうちに発生した。これは日本の株ではなく、主にインド由来のデルタ株が中心であったと言われている。日本の第5波も第4波が終わらないうちに発生した。従って、外国由来である可能性は高い。ではどこから来たかというと、先週議論したように日本で第5波の主流となっているものはラムダ株ではない。また、致死率などの違いからデルタ株の可能性も低い。感染状況がにているという点で、ベトナムか中国、韓国で広まっているもののどちらかであると考えられる。

7月は中国から約6000人、韓国から約3000人、フィリピンから1700人、インドネシア、ベトナム、タイから約500人づつ、マレーシアから250人ほどが入国している。日本では、インドネシア、カンボジア、タイ、フィリピン、マレーシア、ミャンマー、モンゴルを上陸拒否対象国・地域として認定して、日本上陸前14日以内に以上の国に滞在した者の上陸を拒否している。従って、フィリピン、インドネシア、タイからの入国に対してはかなり管理されていると思われる。しかし、中国、韓国、ベトナムは上陸拒否対象国・地域として認定されていない。彼らの国の陰性証明やワクチン証明があれば、ほぼフリーパスで入国できていると考えられる。

それゆえ、日本での第5波は、ベトナムか中国、韓国で広まっているもののいずれかかであると考えられる。7月の中国と韓国からの入国者数は6月に比べ1000人以上増えている。ベトナムは先月とほぼ同じである。従って、中国或いは韓国から持ち込まれた可能性が高い。数の上からいけば中国が一番怪しいが、韓国ではPCR検査陽性の判断基準が日本よりも甘いことがわかった。日本では陽性になるのに韓国では陽性ではないものがいるということである。つまり、韓国ではウイルスを持っているが陰性になる者の数が多いということである。韓国の陰性証明をそのまま受け入れている現状では、ウイルスを持っている者を入国させているのと同じことになる。

D. アジアでワクチン接種回数が大幅に増えた

8月14日から20日のワクチン接種回数は2億5396万520回で、ワクチンの総接種回数は49億1210万9091回となった。この号を発表する日には50億を超えているだろう。7月3日以降では17億4854万472回となった。これは全ワクチン接種回数の35.6%に当たる。

次のグラフは7月3日からのワクチン接種回数の上位50カ国である。

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中国とインドの不動に1位2位は変わらない。先週まで日本は3位であったが、ブラジルに抜かれて4位になった。ワクチン接種上位国の地域別内訳は、A章で取り上げた東アジア東南アジアが12国で最も多い。これらの国々はヨーロッパや南米に比べ、ワクチン接種開始が1、2ヶ月以上も遅れ、最初の頃は接種回数も少なかったが、ここへきて、ヨーロッパと同じくらい或いはそれ以上の回数を接種できるようになったと言える。また、ヨーロッパや南米は接種率が上がり、ワクチンを打つべき人の数が相対的に少なくなってしまったというのもある。総ワクチン接種回数でランキングをすればアジア諸国は50位以下となるところが多い。

アフリカは7月3日以降の陽性件数上位50カ国には南アフリカ(14位)、モロッコ(24位)、ボツワナ(41位)、ジンバブエ(47位)、モザンビーク(48位)とあるが、接種回数上位50カ国には南アフリカとモロッコしかリストされておらず、ワクチン接種の偏りは相変わらずである。しかし、今はアジアでの感染爆発が多く、こちらにワクチンを優先す流のは仕方がないであろう。


次のグラフは7月3日からのワクチン接種率上位50カ国である。

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1位のジブララルタルは100%を超えている。実は完了率も100%を超えているので、全ての市民がワクチン接種を完了した事になる。なのに、まだワクチンを打ち続けている。2位の中国はワクチン接種人数と完了者数を発表していないので推計である。 西ヨーロッパが24カ国で最も多い。アフリカはセントヘレナとセーシェルの2国しかない。

次のグラフは7月3日からのワクチン接種率下位50カ国である。

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16国でワクチン未接種である。 アフリカが32カ国で最も多い。西ヨーロッパはチャネル諸島とバチカンの2国しかない。

D1. ワクチン接種が滞る国はアフリカが多い

今週ワクチン接種が新たにに始まった国はなかった。ワクチン接種が実施されていない国は16のままである。そのうち2021年に入って陽性件数がいまだに0の国は北朝鮮、バチカン、西サハラ、マーシャル諸島の4国である。残りの12国では少なくとも1人の陽性件数があり、レウユニオン、マルティニク、グアドループでは7月3日から8月13日までで1万3000件から1万5000件の陽性数の報告があった。いずれもフランスの海外領土である。

先週2週間以上ワクチン接種が滞っている可能性があると指摘した25ヵ国のうち、クウェート、リベリア、ニカラグア、セーシェル、タークスカイコス、バヌアツ、ベネズエラ、北キプロスの8カ国では接種が再開された。しかし、次の15の国と地域ではワクチン接種が再開されなかった。

アンドラ、オランダ領カリブ海諸島、フォークランド諸島、ガーナ、ガンビア、マダガスカル、ミャンマー、セントヘレナ、シエラレオネ、南スーダン、ベネズエラ、クック諸島、パラオ、トルクメニスタン、ツバル、レソト、イエメン、ナウル

下線を引いた国は6週間以上ワクチン接種が止まっている。ただし、フォークランド諸島、セントヘレナでは接種率が70%を超えている。また次の5国でワクチン接種が止まったようだ。

アルジェリア、アイスランド、モナコ、ソマリア、トンガ


アイスランドは完了率が75%に近いので、ワクチンを打つことの出来る国民全員が接種完了したと考えられる。モナコも完了率が50%を超えいるので、ワクチンを打つことの出来る国民のほとんどが完了したと思われる。しかし、両国とも7月3日以降、陽性件数を増やしている。人口100人あたりの最新の1日平均の陽性件数は、アイスランドが285.1件、モナコが238.4件と非常に高い。3回目の接種という形で再開される可能性がある。

一方、アルジェリアはスプートニクを接種していたがたびたび接種が停止していた。7月末に新たに、アストラゼネカ、シノバック、シノファームの接種を始めたが、再びストップしてしまった。接種率は7.65%と低いままである。また、ソマリアは4月から摂取を開始したが、接種率は1.14%にとどまる。両国とも人口100人あたりの最新の1日平均の陽性件数は、アルジェリアが15.2人、ソマリアが3.0人と低いが、7月3日以降の陽性件数は増えている。アジアに比べれば増加率は低くここ2週間は減少傾向である。減少し始めたからワクチンをやめたのか、ワクチンをやめたから減少したのかは、よくわからない。

トンガの接種率は27%ほどであるが、陽性件数は2020年から0のままである。

ワクチン接種が滞っている20カ国のうち9カ国がアフリカである。セントヘレナ以外はどこも接種率が10%未満と低い。接種がたびたび滞ることがなかなか接種率の上がらない原因である。

D2. アストラゼネカの供給が滞っている

最新のワクチンブランド別勢力は次の通りである。黒い数字が先週までの使用国数、赤い数字が今週使用を開始(したことが判明)した国の数である。

ワクチン jk-ブランド別

下の表は8月20日までにワクチンを追加した国地域の一覧である。

ワクチン jk-追加 8:20


パラグアイとチュニジアでもアストラゼネカを接種しているので、ワクチン追加国は全てアストラゼネカ接種国である。バージン諸島、ガンビア、ジョージアでは接種回数が減っているので、ジョンソンを追加しなければ、接種回数はもっと減少していたと考えられる。これは、アストラゼネカがこれらの国にワクチンをきちんと供給しないので、他から供給してもらうしかなかったせいではないか。

またガンビアは新規陽性数がここ2ヶ月ほど高止まりしている。ジョージアとモルドバは7週間以上新規陽性数が増加中である。それまで使っていたワクチンが効かないと判断し、新しく導入したという可能性もある。

パラグアイとチュニジアは既に5種類のワクチンを接種しているが、さらに2種類追加した。両国とも先週より100万回以上摂取回数を増やした。パラグアイは完了率を15ポイント以上高め、チュニジアは摂取率を10ポイント以上高めた。そして両国とも順調に新規陽性数を減少させている。

パラグアイとチュニジアは接種ワクチンの種類が7になった。これはリビアと並んで世界最多である。下のグラフは接種ワクチンの種類数の上位50か国である。

世界全体では17種類のワクチンが供給されている。欧米系のワクチンは4種類(ファイザー、モデルナ、アストラゼネカ、ジョンソン)しか供給されていないので、18位のベトナム以上の5種類以上を接種している国は必ず中国系或いはロシア系を接種している事になる。6種類接種している国が4国、5種類が11カ国ある。 4種類を接種している国は全部で48カ国あるが、そのうち4種類目のワクチンの接種時期の早い順に32国をリストした。

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次のグラフはこれらの国の接種率である。

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7種類のワクチンを接種しているリビア、パラグアイ、チュニジアの接種率はそれぞれ、12.01%、30.66%、28.99%である。パラグアイは南米勢としては低い方にはいるが、リビアとチュニジアはアフリカ勢としては高い方である。ワクチンの種類が多いからといって接種率が高いわけではない。むしろ、接種回数を減らさないために、別のところからワクチンを供給してもらっているという感じがある。

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