新型コロナクォーターリーリポート 10/29

初めに

第4四半期に入って4週間が経った。再び陽性件数が増加傾向となってきた。先週のデータをまとめていると、あららっな統計が出てきた。

下の地図は10月29日時点で陽性件数が増えているところと減っているところを表している。

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10週以上連続で減少あるいは途中1、2週程度の微量な増加はあるが基本的に減少しているところが水色、3週以上なら青、減少していたが底に達したと思われるところは緑、逆に、10週以上連続で増加あるいは途中1、2週程度の微量な減少はあるが基本的に増加しているところが茶色、3週以上なら赤、増加していたがピークに達したと思われるところは橙色、減ったり増えたりしているところは黄色、陽性件数が10件未満で推移しているところを白で表している( )の数字は国地域の数と10月22日と比較しての増減を表している。

例えば、20の国と地域で陽性件数が10週間以上連続増加(茶色)している。これは先週と比べて1国減った。オーストラリアとセルビアが陽性件数のピークを迎えて増加ストップ(橙)なった。一方、シンガポールが陽性件数を伸ばした増加(赤)から長期増加(茶)に変わった。10月22日まで実質21週連続で増加していたオーストラリアは増加率も小さくなっているので、このまま陽性件数は減少を続けると思われる。一方、セルビアは実質14週連続で増加していたが、ここ4週間は減ったり増えたりを繰り返している。増えてはいないが、それほど減ってもいない。北西の隣接国では増加中、南西の隣接国は減少が止まった状態なので、再び増加する可能性がある。シンガポールは増加率が小さくなってきてはいるが、陽性件数が減少に転じるにはもう少し時間かかると思われる。

世界全体を見ると、増加中となった国地域や減少が止まった国地域は増え、減少中あるいは増加が止まった国地域の数は減った。ヨーロッパではフランス、ギリシャ、ポルトガルで陽性件数が増加傾向となった。スイス、イタリア、ノルウェー、スペインなどで減少が止まった。スウェーデンは今回は減少国だが、実は今週は増加した。

また、南米もブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ペルーが21年3期の間中ほぼ減少していたが、それが止まったようである。ボリビア、チリ、ウルグアイは3期末から増加傾向である。


A. 累計死者数は500万人を超えた

世界全体では21年43週(10/23−29)に、新たに10万6535件の陽性患者が出た。これで、21年7月3日以降の陽性件数は6281万7044件となった。21年全体では1億6214万8680件、20年からの累計では2億4673万2801件となった。43週の陽性件数は、42週(10/16-22)よりも3.7%増加した。昨年の43週からは12%の減少となっている。

43週は5万1053人の死者があった。これで、21年7月3日以降の死者数は100万7785人となって、100万人を超えた、21年全体では305万8445人、20年からの累計では500万4118人と500万人を超えた。43週の死者数は42週から4.3%の増加であるが、20年43週からは80%の減少である。

21年7月3日以降の世界の致死率は1.6%である。42週と比べて0.004ポイントの増加である。一般に陽性件数が上昇すると、分母が増えるので、致死率は下がるものだが、今回は致死率が増加した。これは、陽性件数急増中のヨーロッパ東で死者数が増えているからである。ルーマニアで13週連続、ポーランドで10週連続、ベラルーシで9週連続で死者数が増えている。ヨーロッパ東の10月の死者数の伸び率は26.8%と結構世界12地域の中で2番目に高い。10月に伸び率が一番高いところはアジア中で60%増である。アジア中ではほとんどの国が死者数を減少させているが、インドだけは死者数を増加させている。ヨーロッパ東は病床数などでは世界的にもかなり高く、医療事情がよい方である。したがって、致死力の強い、既存のワクチンの効かない変異種が発生した可能性がある。

B. 日本は陽性件数が倍増

前回の予想通り、今週は日本で陽性件数が増加した。順調に減少している最中に1、2週増加するのはよくあることではある(ので、上の地図ではまだ青色で表している)が、伸び率が113%もあるので、来週以降も増加を続ける可能性がある。テレビなどを見ていると、選挙運動は感染防止を無視した形で行われていた特に共産党、立憲民主党、れいわ新撰組がひどかった。昨年の6月末に、東京都知事選と鹿児島県知事選が行われた。この時も先の3党は同じような選挙運動を展開した。知事選終了後日本では陽性件数が急増した。増加率は50%ほどであったが、鹿児島では3倍増、首都圏では倍増となった。翌週は増加率が80%となり、ここから第2波が始まった。


C. アフリカはワクチンの種類が増えるが接種回数は減っている

43週は1億8650万3425回のワクチン接種が行われた。これで、21年7月3日以降のワクチン接種回数は38億3819万8279回となった。累計では70億1761万1588回とな李、70億回を超えた。43週の接種回数は42週よりも6.3%増加した。下のグラフは世界の7月2日以降のワクチン接種回数(赤)と陽性件数(青)の週ごとのグラフである。

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ワクチンの接種回数が減ると陽性件数も減り、接種回数が増えると陽性件数も増えるという傾向が続いている。

接種率は先週より0.9ポイント上昇し49.20%に、完了率は1.4ポイント上昇して38.3%となった。10月になって接種率も完了率も伸びが少なくなった。

新たに8国でブースターが始まり、40カ国でブースターが実施されている。40カ国でのブースター回数は約1926万回で累計では7350万回になる。もし、ブースターがなければ、世界の接種回数は引き続き減少していた。そうすれば、陽性件数も減少したかもしれない。


次のグラフは世界を12の地域に分けたときの10月29日ワクチンの完了率である。

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ここではアフリカを3つの地域に分けているが、世界の完了率が40%近いのにもかかわらず、いまだに10%満たない。アフリカ全体を合わせると5.7%になる。WHOは今年の10月までに完了率40%達成を目論んでいたが、アフリカどころか、世界全体でも達成できそうにない。

次のグラフはワクチンの完了率の先週からの伸びである。

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世界平均では1.36ポイント伸びているが、アフリカでは0.3%ないし0.4%しか伸びていない。ヨーロッパも東西ともに0.4%とアフリカと同じ程度にしか完了者数が増えていない。

次のグラフは43週のワクチンの接種回数の42週からの伸びである。

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世界平均では6.8%伸びている、アフリカは西で37%、南で6%増えたが、東では24%減である。アフリカ全体では3.3%減である。ヨーロッパ西が169%増と一人でワクチン接種回数を増やしている。アメリカ北が21%増の他は伸びたとしてもせいぜい10%強。アジア西、カリブ海、オセアニアは減少である。

ヨーロッパでの接種回数が増えたのは間違いなくブースターの影響である。ブースターを実施している40の国地域のうちの12がヨーロッパ西である。ヨーロッパ西の完了率70%近いので、これから先、接種を完了する人の数はどんどん減ってくるので、完了率の伸びも大きくはならない。一方、アフリカは接種回数があまり増えていない。なので完了率が一向に上がらないと考えられる。アフリカ西と南で接種回数が伸びたのは、ワクチンの種類を増やしたからである。

WHOやメディアは先進国がワクチンを独占して、貧困国に行き渡らないという論調で記事を書いている。しかし、以前に指摘したように、アフリカでは新型コロナにかからないという迷信じみたものがあり、また、感染状況もその他の地域と比べ非常に低いので、ワクチンなど必要ないと考えている者が多い。感染のひどさを目の当たりにして初めて、ワクチン接種接種をし始めるようである。43週に、ウガンダ(41.8%増)、セーシェル(35.1%減)、モザンビーク(702.7%増)、ガボン(49.2%減)、エスワティニ(37.2%減)、カメルーン(15.1%増)、ブルキナファソ(194.7%増)、ボツワナ(38.2%減)、ベナン(495.9%増)では接種するワクチンの種類を増やした。( )の数字は43週の接種回数の伸び率である。ほとんどが、ファイザー、ジョンソン、あるいは両方を新たに接種し始めた。接種ワクチンの種類を増やしたが、接種回数が増えないところもある。

42週にも、ブルンジ、カポベルデ、コートジボワール、ナミビアでワクチンの種類を増やした。これらの国々は基本的にアストラゼネカかシノファームを接種していたのだが、よく供給が止まるので、接種回数0の週がしばしばある。接種0の週を回避するのと接種率を増やそうとする目的で、ワクチンの種類を増やしたものと考えられる。伸び率がマイナスとなっている国々は新しいワクチンを導入しなかったら、接種回数が〇になっていのではないかと考えられる。ファイザーやジョンソンが多いのは、先進国で完了率が上がり、接種の需要が以前ほど見込めなくなったからであろう。

D. トラベルバブルで感染爆発。

次のグラフは世界を12の地域に分けたときの、各四半期ごとの陽性件数の推移である。

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21年3期はアジア東、オセアニア、カリブ海の多くで感染の波が発生した。ここでは、カリブ海で発生した波と現状についで考察する。

D1. 新型コロナで経済縮小

カリブ海は南北アメリカ大陸の間に広がる海で、メキシコ湾、大西洋、南米大陸、中央アメリカで囲まれている。

カリブ海

地図は Google で作成した。北東部の大西洋との境界部分に合わせて7000以上の島や岩礁などが連なっている。これらの島々を一般にカリブ海諸島あるいは西インド諸島という。ここには北西にあるキューバから時計回りで南米大陸に近いアルーバまで13の独立国とイギリス、フランス、オランダの海外領土、アメリカやベネズエラの領土がある。これらの国や海外領土をまとめてカリブ海と呼ぶことにする。このうち28の国と地域で新型コロナの感染状況が独立に報告されている。バミューダはカリブ海にはないが、旧イギリス植民地を主体とするカリブ共同体(Caricom)に加盟しているので、カリブ海に含めることにする。ベネズエラなどの南米北部や中米の東側は民族的にカリブ海と同じであると言われ、ベリーズ(アメリカ北)やガイアナ(アメリカ南)はCaricomに加盟しているが、ここでは含めない。

カリブ海を構成する国地域で面積が最大のところはキューバで、本州の半分くらいの大きさである。2番目がドミニカ共和国、3番目がハイチである。ドミニカ共和国とハイチは、カリブ海で2番目に広いイスパニオラ島東西に2対1くらいに分けている。3分の2以上の20の国地域が面積が1000㎢未満である。人口はハイチが一番多く約1200万人である。2番目がキューバ、3番目がドミニカ共和国で、この3国が人口1000万人以上である。ジャマイカ、プエルトリコ、トリニダードトバゴが人口100万人以上である。人口10万人未満も13国地域ある。

経済面では結構裕福である。一人当たりのGDPは平均で約2万7000ドルで、3万ドルを超える国地域が10ある。反面、1万ドル未満の国も6ある。最も高いのが、バミューダで約11万8千ドルもある。世界3位である。2番目がケイマン諸島の9万3千ドル(5位)、3番目がバージン諸島の4万8千ドル。いずれもイギリス領である。独立国で最も高いのが、バハマの3万4000ドルである。逆に最も低いのが、8月になってようやくワクチン接種を開始したハイチで、約700ドルである。1位のバミューダの約170分の1で、世界231国中211位である。ハイチはフランスの植民地時代は世界で最も豊かで生産的な地域と呼ばれていたが、独立後は政治的な失敗から最貧国となり、近年度重なる自然災害によって、一層ひどい状況になっている。

独立国の一人当たりGDP は1万7000ドル、海外領土は3万4000ドルとはほぼ倍の開きがある。しかし、ハイチを除けば独立国でも少なくとも5000ドルはあり、南米のブラジルやコロンビアよりは高い。

カリブ海の主要産業は観光である。ビーチボーイズがココモで、アルーバ、ジャマイカ、バミューダ、バハマ、マルティニク、モンセラート、ポルトープランス(ハイチの首都)を歌っていることからも、海辺のリゾート地が多い。大型飛行機が多くの裕福な人がいる砂浜を地面スレスレで着陸する光景を見たことがある人も多いかと思うが、そこはシントマルテンのプリンセスジュリアナ国際空港である。新型コロナパンデミックは観光業に特に重大な損害を与えているので、IMFはカリブ海の20年のGDPは19年から10%から25%ほど減少するであろう予測している。21年は若干回復する見込みであるが、3期の感染爆発でどうなるかはわからなくなった。海外領土は本国からの助成金で経済が成り立っているところが多い。

D2. 21年3期の感染爆発

下のグラフ行列は、カリブ海での21年の陽性件数の時系列グラフである。

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陽性件数は各国でまちまちだが、上の方のグラフはスケールが小さい。いくつかの国地域では毎週データを集計しているわけではないようで、値にばらつきが見られるので、移動平均を使っている。次の5カ国地域は21年3期に波が発生しなかったと言えるところである。

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モンセラートはパンデミック発生以来波が発生していない。トリニダードトバゴ、ハイチ、ドミニカ共和国の3期は、2期に発生した波が収束中であったが減少傾向が止まった、現在は増加中である。カリブ海(蘭)は3期末から4期にかけて波が発生しでいるが、その前の7月頃に予兆らしき小さな波があった。

29の国地域の内、24ので21年3期(7月から9月)に波が発生している。半分以上の15国地域で7月に波が始まった。6国地域が8月に。4国が地域が9月に始まった。

ケイマン諸島、アンギラ、ドミニカ、グレナダ、バージン諸島(英)にとっては初めての感染の波である。他の国では、1期あるいは2期に波が発生している。プエルトリコ、ジャマイカ、タークスカイコス以外は3期の波の方が1期あるいは2期の波よりも大きい。また、その1期あるいは2期の波がほぼ収束しかかっていたにもかかわらず、3期の波が発生したところも、バミューダなど12ある。

多くの国では現在すでに減少期に入っているが、ハイチ、トリニダードトバゴ、ドミニカ共和国の他に、ケイマン諸島、アンギラ、バルバドスが陽性件数を増加させている。また、アルーバでは減少が止まったようである。

平均の増加率は50%である。増加率が最も高いのはドミニカで、平均961%増である。発生からピークまでは2週間で最も短い。バージン諸島(英)の277%、グレナダの263%、キュラソーの255%、アンギラの196%と続く。

多くの国地域で、感染増加が5ないし7週間続いた。増加期間が長いのがアンギラで、途中2週間の減少期間も含めて、実質11週間連続増加である。今なお増加が続いているので、もっと長くなる可能性がある。10週以上はアンギラだけである。バミューダとセントクリストファーネビスが9週間、ジャマイカとアンティグアバーブータが8週間で長い方である。逆にトリニダードトバゴ、サンバルテルミーが1週間、ドミニカが2週間と増加期間が短い。しかしトリニダードトバゴはピーク後2週間減少となったが、以降は増加傾向である。サンバルテルミーはほぼ0、ドミニカは減少中であるが、減少の速度が遅いと三者三様である。


次のグラフは、カリブ海での21年3期の陽性件数である。

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キューバが桁違いに多く70万件に近い。世界でも21位にランクされる。ついで、プエルトリコ、グアダルーペ、ドミニカ共和国、ジャマイカ、マルティニク、トリニダードトバゴと続く。ここまでが1万件以上である。次のグラフは人口100万人あたりの1日の平均陽性件数である。

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グアダルーペが1000件を超えて1位となる。次がマルティニクで、その次がバージン諸島(英)となる。この3国は世界全体でもトップ3である。キューバは4位になる。サンバルテルミー、バミューダ、ドミニカとつづき、ここまでが世界のトップ20に入る。人口100万人あたりの1日の平均陽性件数トップ20のうち7国地域がカリブ海である。

独立国全体では人口100万人あたり1日平均が174.2件となるのに対し、海外領土は289.0件である。しかし、独立国ではキューバが666.5件に対しキューバ以外では33.4件である。

次のグラフは2期に対する陽性件数の伸び率である。

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ドミニカ共和国、ハイチ、トリニダードトバゴ、モンセラート以外は全て増加している。しかもほとんどが100%以上、つまり2倍以上である。特にグレナダでは8万%(800倍)以上。ドミニカ(ドミニカ共和国とば異なる)では10,000%(100倍)以上の増加である。

次のグラフは21年3期に確認された陽性件数の全体に対する割合である。

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キューバ、グアダルーペなど11の国と地域で50%を超えている。これは、感染が21年3期に集中していることを意味する。グレナダ、ドミニカ、バージン諸島(英)は85%以上になっているので、これらの国は21年2期以前は感染とはほぼ無縁であったということを意味する。

次のグラフは21年3期の死者数である。

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1位は陽性件数1位のキューバである。キューバの世界ランクは23位である。2位は陽性件数4位のジャマイカであるが死者数はキューバの10分の1にすぎない。以下、トリニダード・トバゴ、プエルトリコ、マルティニクと続く。

次のグラフは21年3期の人口100万人あたりの1日平均の死者数である。

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カリブ海全体での2.6人で、世界平均の1.1人よりかなり多くなっている。最も多いのがマルティニクで14.9人である。グレナダ、グアダルーペ、サンマルタン、バージン諸島(英)が13人台である。独立国は1.9人に対し海外領土は4.3人になっている。独立国もキューバを除けば0.7人で世界平均よりも運と低くなる。キューバは6.0人と高い。

次のグラフは致死率である。

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ハイチが5.4%とかなり高い。世界ランクでも10位である。しかし、陽性件数とは違って、トップ20にランクしたのはハイチだけである。21年3期の世界の致死率は1.6%である。カリブ海全体では1.2%と低い。しかし、世界平均よりも高いところは10ある。独立国全体では致死率は1.1人となるのに対し、海外領土は1.5%である。しかし、独立国ではキューバが0.8%に対しキューバ以外では1.5%である。

まとめると、3期はほぼカリブ海ほぼ全域で感染の波が発生した。キューバと海外領土でよりひど鋳物となっている。しかし、現在は減少傾向である。

D4. ワクチン接種は独立国と海外領土とで格差がある。

カリブ海では、グアダルーペ、マルティニク、サンマルタン、サンバルテルミーではワクチン接種が実施されていない。いずれもフランス海外領土である。フランスの海外領土はアフリカのレユニオン、南米のギアナでもワクチン接種を始めていない。ハイチは世界で最も遅くワクチン接種を開始した国の一つであるがここも旧フランス領である。

次のグラフは21年3期のワクチン接種回数である。

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キューバ1500万回超えで最も多い。多くの国地域で棒グラフが見えないが、これは接種回数がキューバに比べると100分の1以下と極端に低いためである。次のグラフは21年3期の人口100万人あたりの1日のワクチン接種回数である。

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世界の平均は4440回である。平均以上はキューバ、トリニダードトバゴ、蘭領カリブ海、タークスカイコスだけであるが、接種は継続的に行われており、アフリカなどと違って、接種を数週間実施しないということもない。

実はカリブ海ではワクチン接種を早くから開始していた。3月末には約3分の2の国と地域でワクチン接種が始まっていた。多くは欧米系ワクチンのいずれかを接種し、非欧米系ワクチンを接ししているのはドミニカ共和国(シノバック)、トリニダードトバゴ、バルバドス、ドミニカ(以上シノファーム)、アンティグアバーブータ(スプートニク)と自国開発ワクチンを接種するキューバのみで、全て独立国である。接種率は2期末で独立国が22%、ワクチン接種をしている海外領土が47%であった。おそらく本国から援助を受けているので、海外領土の方がワクチンを入手しやすかったことと人口が少ないことから接種率は高めである。しかし逆にそのために、3期では本国同様接種回数が減少したと考えられる。

今の所、ドミニカ共和国でブースターを実施している。10月22日の時点ではケイマン諸島でもブースターを実施していたが、10月29日に確認したら、跡形もなく修正されていた。

次のグラフは3期の完了率である。

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トップはケイマン諸島で83.3%である。一般にワクチンは15歳未満の子供には接種しないことになっているが、ケイマンでは実施されていると思われる。アンギラ、アルーバ、バミューダ、カリブ海(蘭)、タークスカイコス、プエルトリコで60%以上である。いずれも海外領土である。独立国ではキューバの49.5%が最高である。独立国全体は34.6%であるが、キューバを除けば29.8%に下がる。一方海外領土は、ワクチン未接種の地域を除けば完了率は67.5%になる。つまり、本国からの援助で裕福な海外領土の完了率が高くなっている。


D5. ワクチンと陽性件数、死者数との関係。

次のグラフはワクチン完了率と致死率との相関グラフである。

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R2≒0.1912なので、ワクチン完了率と致死率には弱い負の相関、つまり、ワクチン完了率が高いと致死率が下がる、がある。この相関グラフを陽性件数や死者数で作ってもR2値は0.1以下になるので、相関があるとは言えない。

次の表は、カリブ海をワクチン接種をしている海外領土、ワクチン接種をしていない海外領土、キューバ位以外の独立国、キューバに分けた時の、感染状況である。

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陽性件数と死者数は共に人口100万人あたりの1日平均である。ワクチンを接種しても新型コロナに感染する可能性は高い、しかし、死に至る確率は接種していない時よりもいささか下がると行ってい良いかもしれない。

「ワクチン接種をすると新型コロナに感染する可能性は低くなる」については、あまり当てにはならない。接種海外領土とキューバは完了率が世界平均よりも高いが、陽性件数は世界平均よりも大幅に高い。キューバは9倍以上もある。死者数も同様である。逆に完了率の低いキューバ以外の独立国は陽性件数が世界平均の半分である。

次に「ワクチン接種をすると新型コロナで死に至る可能性は低くなる」については、致死率はキューバが一番低く、キューバ以外の独立国は世界平均よりも高くなっているので、当てはまりそうではあるが、海外領土で比較をすると、致死率は大差ない。致死率は一般的に医療事情に依存するが、キューバで致死率が低いのは接種しているワクチンが他と違うとことが原因とも考えられる。同様に独立国では中国製ロシア製ワクチンを使っているので、致死率が高くなった、と言えるかもしれない。


D6. ハイチとドミニカ共和国

カリブ海はほとんどが島国であるが、一つ以上の島で1国地域を構成するが、2箇所だけ一つの島を2分して統治しているところがある。一つは、イスパニオラ島を東西に分割しているドミニカ共和国とハイチ、もう一つはセントマーチン島を南北に分割しているサンマルタン(仏)とシントマルテン(蘭)である。両者ともワクチン完了率に大きな差がある。これらの国地域を比較することで、ワクチンの効き具合を調べることができるかもしれない。

イスパニオラ島は北海道くらいの面積がある。東側3分の2がドミニカ共和国、西側3分の1がハイチの領土となっている。人口はドミニカ共和国が約1100万人、ハイチが約1150万人ほぼ同じくらいである。一人当たりGDPはドミニカ共和国が約8,282ドルに対し、ハイチが715ドルと大きな差がある。現在は経済が順調に拡大しているドミニカ共和国と世界の最貧国の一つであるハイチという位置付けである。また、ハイチは世界的に孤立しているという情報もある。民族的には同じであるというが仲は悪い。ドミニカ共和国に出稼ぎにきたハイチの国民やハイチの移民に対してひどい差別がある(https://www.international-press-syndicate-japan.net/index.php/region/carribean/825-2013-02-22-14-40-02)。また、ドミニカ共和国の大統領はハイチとの国境全体にフェンスを張ると発表した(https://www.international-press-syndicate-japan.net/index.php/region/carribean/825-2013-02-22-14-40-02)。よって、普段の交流はあまり活発ではないと考えられる。


両国の人口はほぼ同じくらいなので、新型コロナの感染状況は率などを取らなくてもそのまま比較できる。累計陽性件数はドミニカ共和国36万4000件に対しハイチは16分の1以下の2万2千件である。死者数はドミニカ共和国4046人に対しハイチは611人と少し増える。致死率はドミニカ共和国1.1%に対し、ハイチが2.7%とかなり差が出る。下のグラフはドミニカ共和国とハイチの陽性件数の時系列グラフである。

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両国とも陽性件数は3期に大幅に減少(ドミニカ共和国は55%減、ハイチが45%減)し、4期は増加傾向である。数の上ではドミニカ共和国の方が圧倒的に多いが、波の発生した時とその長さがよく似ている。致死率はドミニカ共和国の方が低い。最近はドミニカ共和国ないでの差別急増のために、ハイチへもどるものも増えた。それが、3期のハイチでの陽性件数急増につながったのではないか。


D7. サンマルタンとシントマルテン

セントマーチン島は伊豆大島と同じくらいの面積がある。北側40%がフランス領のサンマルタン、南側60%がオランダ領のシントマルテンとなっている。サンマルタンはセントマーチンのフランス語読み、シントマルテンはセントマーチンをオランダ語表記である。人口はサンマルタンが約4万人、シントマルテンが約4万3000人と同じ程度である。GDPはサンマルタンが約19,300ドル、シントマルテンが35,342ドルとなっている(Wikipedia, 2008)。

両地域とも空港があるが、大型機の発着ができるのは、シントマルテンにあるプリンセスジュリアナ国際空港だけなので、北側への出入りに一旦南側に入国するケースが多い。もちろん南北の往来は自由である。下のグラフはサンマルタンとシントマルテンの陽性件数の時系列グラフである。

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グラフはとてもよく似た形をしている。同じように増え、同じように減っていく。3期の人口100万人あたりの1日平均陽性件数は409.7件に対し420.8件とほぼ同じである。死者数は12.0人対8.3人で、致死率も2.9%対2.0%でサンマルタンの方が多い。4期では、サンマルタンは減少が止まったように見えるが、シントマルテンは減少が続いている。逆に死者数はサンマルタンは僅かに一人で、九人のシントマルテンよりずっと少ない。致死率も同様である。

往来自由なので、サンマルタンの住民はシントマルテンヘ行った時に、ちょいと1本てな具合に接種しているのではないかと思う。なので、長い目で見れば、同じような傾向になると考えられる。

D6. 21年4期も感染の波は発生している。

次のグラフは、カリブ海での21年10月1日から29日までの陽性件数である。

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カリブ海全体12万6099件である。最多がキューバの6万8136件で、次がドミニカ共和国の2万618件、3位はバルバドスの8542件である。キューバとドミニカ共和国は3期に比べ減少しているが、バルバドスは増加している。この数はバルバドスで2021年までに確認された累計陽性件数(8609件)とほぼ同じである。

3期は92日あるが、4期はまだ始まったばかりで29日分しかないく、単純に数を比較することはできない。次のグラフは、人口100万人あたりの1日平均の陽性件数の比較である。

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青が3期、赤が4期である。減少しているのはバージン諸島(英)、グアダルーペ、マルティニク、シントマルテン、サンバルテルミー、プエルトリコのみである。アルーバ、サンマルタンが10%程度の微増である。グアダルーペ、マルティニク、サンバルテルミー、サンマルタンではワクチン未接種である。

現在陽性件数増加中のハイチ、トリニダードトバゴ、ドミニカ共和国、ケイマン諸島、アンギラ、バルバドスは4倍から25倍となっている。他の国は増えてはいるが、現在減少中なので、このままのペースなら、最終的に4期の陽性件数は3期の半分ほどになると考えられる。

いま一度陽性件数の時系列グラフ行列を見直せば、陽性件数が減少しているが、0になったところは、バージン諸島(英)、モンセラート、サンバルテルミーの3つである。マルティニクも今週は0だが、先週は500件以上あったので、今週の報告をしていない可能性がある。50未満になったのはサンマルタン、シントマルテン、タークスカイコス、グレナダ、バミューダ、カリブ海(蘭)、セントクリストファーネイビスの7国地域である。残りは、減少しているとはいえ、まだまだ陽性件数は多い。アルーバやドミニカなど順調に陽性件数を減少させていたにもかかわらぜう、それが止まってしまったようである。

次のグラフは、人口100万人あたりの1日平均のワクチン接種回数の比較である。

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増えているのはキューバ以外の独立国とバミューダとケイマン諸島である。後は減少している。バミューダとケイマン諸島は接種率が極めて高いのに接種回数が増えているので、ブースターを開始した可能性もある。アメリカ領のプエルトリコとバージン諸島ではブースターを実施していると思われるが、データは見つからなかった。世界的な傾向同様、ワクチンの接種回数を減らしたところ、陽性件数が減少しているように見える。


D7. 陽性件数の増える原因

次の文は、前回の投稿からの引用である。

グレナダでは7月19日付で入国規制措置を更新した。単純に言えば、7月31日以降は渡航前72時間以内にうけたPCR検査が陰性で、ワクチンを完全接種した者は、到着後のPCR検査で陰性かつ健康そうに見えれば、国内を自由に行動できる。ワクチンを接種していない場合には、到着後の検査が陰性であっても、最大7日間隔離される。ただし、これはグレナダ国民や居住者等に限られる。この更新が実施されてから感染の波が発生した(註:32週から波が始まり、ピークは37週。平均の増加率は263%)はということは、ワクチンを接種した人が、ウイルスを持ち込んだと言っても良いであろう。もともと感染者がほぼ0だったので、地元民から感染が広まったとは考えにくい。また、ワクチンを接種していなければ、隔離されている1週間の間に、ウイルスの感染力がかなり減少するので、彼らから感染が拡大する可能性も少ない。

21年7月初めCaricomは新型コロナパンデミックで冷え込んだ観光業の再構を見込んで、トラベルバブルを導入した(https://guyanachronicle.com/2021/07/07/reduced-travel-taxes-restart-of-tourism-possible-in-travel-bubble/)。以下の19の国地域で構成される。

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多くは東側の南北に並ぶ島々である。ボネールはカリブ海(蘭)を構成する3つの地域一つである。構成国のうちいくつかは、7月中に規制緩和を発表した。いくつかの国の詳細は現地の日本大使館から入手可能である。内容はワクチン接種完了者に対して、入国時の検査を省略したり、数日間の待機を半分以下や0にしたり、検査陰性で無症状なら国内を自由に行動しても良いとしている。ただし、未接種者や接種未完了者には今まで通りの検疫措置が継続される。また、トラベルバブル構成国内間の移動においてはワクチン接種完了者は入国時の検疫が不要であるとしている。

改めて、陽性件数の時系列グラフ行列を見ると、グレナダはトラベルバブル実施後に、陽性件数が急増したと考えるのが自然である。トラベルバブル構成国ではモンセラートとボネールを除いて、いずれも3期に感染の波が起こったところばかりである。ボネールでは、波と言えるほどではないが、7月から増加傾向で第4期に小さい波になった。

入手できる範囲で規制緩和が実施された時期を陽性件数の時系列に加えると、次のようなグラフ行列ができる。

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どこもトラベルバブル実施後に、陽性件数が急増している。トリニダードトバゴは7月までは減少していたが、トラベルバブル後、減少が止まり、4期は増加傾向である。一方、バルバドスは一足早く5月から規制緩和を実施した。しばらくは陽性件数があまり上昇しなかったが、トラベルバブルの始まった7月から陽性件数が急上昇した。このトラベルバブルは日本のレジデンストラック・ビジネストラックやヨーロッパのシェンゲン協定のように、域内に新型コロナの波を呼び込んだ可能性が高い。しかし、バルバドスの例から、とある国地域からの入国者は検疫なしとしてしまうところがまずいのであって、入国者全員、ワクチンを接種していいようといまいと、キチンど検疫しておけば感染は広まらないことを示している。そういえば、日本もヨーロッパも特定の国からの入国は検疫なしとしてしまっていた。

また、21年3期の陽性件数の割合を考察すると、21年2期以前、すなわち、トラベルバブル以前は感染の波が発生していなかったところが多いことからも、トラベルバブルが原因で感染爆発が起こったと考えても良いかもしれない。

10月半ばから一部の国では規制強化をし始めた。トラベルバブル構成国でそのような変化があったのかは報道はないが、陽性件数が減少しているところからも規制強化、特にワクチン完了者の検疫と隔離を復活させたのではないかと思われる。


終わりに

日本では、11月5日付の水際措置で、検疫所の宿泊施設での待機期間が短くなる国が増え、0になるところも出た(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100256049.pdf)。陽性件数が増えたり致死率が上がったりする国が含まれているが、大丈夫であろうか。今の日本は陽性件数が急速に減少しているが、いわゆる下げ止まりになっている。この規制緩和で、再び増加傾向になるの可能性もある。

ひろゆき氏が数週間前に、フランスでは当時陽性件数も減少しつつあり、マスクなしでも大丈夫なんじゃね、という雰囲気らしい、と語っていた。規制緩和直後のアメリカでも同じだった。でも結果は感染急増になり、再びマスクが義務付けられた。今はまた感染が収まりかけているがマスク規制は続いている。店へ行っても従業員はほぼ100%をしている。客も1、2割程度はマスクをしている。で、フランスは、今、陽性件数が増加している。マスクは以前から植われているけれど、人から移されないようにだけでなく、人にうつさないようにというのも目的にある。ワクチン接種をしたからといって、新型コロナに感染しないという保証はないし、むしろ無症状の感染者、WHOのいう最も他人にうつしやすい人、になりやすい。感染を広げないためにも人前でマスクをすることは大切である。

基本的に人口、陽性件数、死者数はWorldometer のものを、ワクチン接種回数などは Github のデータを利用している。Worldometer や Github で扱っていない国地域の統計は Google を用いる。北キプロスの陽性件数と死者数は、政府の発表するデータを用いる(https://saglik.gov.ct.tr/COVID-19-GENEL-DURUM)。面積、GDP、その他の情報はウィキペディアとと外務省の各国紹介ページ(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/index.html)を利用している。数値はアメリカ中部時間の10月23日22時時点で得られた最新の値を利用している。10月23日以降に修正あるいは追加する国地域もあるが、その分は含めない。従って、他の新型コロナ統計サイトの数値とは異なることもある。地図は mapchart.net のサービスを利用して作成している。

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