COVID-19 QR 2/18 感染拡大期と感染減少期について
世界の22年7週(2/12-18)の陽性件数は 1327万3563件で、今年初めて1週間の陽性件数が1400万人台を下回った。前週比 22.5%の減少である。3週連続の陽性件数減少で、減少率も3週連続で大きくなっている。これで22年の陽性件数は1億3249万7208件、20年からの累計では4億2197万8206件となった。感染率は5.3%で、19人に一人は新型コロナにかかったことがあるということになる。22年1週時点での感染率が3.9%だったが、わずか6週間で1.4%上げた。
同じく死者数は7万2222人で、6週ぶりに減少となった。22年の死者数は43万6107人となった。20年からの累計では589万2352人となった。致死率は22年だけなら0.33%で、前週よりも0.02ポイント上昇した。今までの累計では1.40%となっている。
A. アジア東とオセアニアで増加中
2月18日にクック諸島で初の感染者が出た。これで、世界で感染者が出た国地域は226となった。また、バヌアツでも8週間ぶりに陽性患者が確認された。
A1. ロシアが世界1位。韓国は来週世界1位になるかもしれない
下の表は22年7週の陽性件数が多い20の国地域である。
先週の予想通り、ロシアが世界1位、ドイツが2位となった。ドイツはすでに減少傾向であり、ロシアも伸び率が小さくなっているので、来週以降減少傾向になると予想される。また、上位のアメリカ、ブラジル、フランス、トルコ、日本でも減少が続く見込みである。韓国が上位陣では唯一陽性件数が増加している。伸び率も高いので来週はこの5国を抜いて3位になると予想される。オミクロン株では減少率も大きくなるので、ロシアとドイツが大きく減少する可能性があり、そうなれば、韓国が世界1位になるかもしれない。
下の表は22年全体の陽性件数が多い20の国地域である。
22年陽性件数トップ20では、ロシア以外は全て陽性件数が減少している。ロシアも伸び率は小さい。全体でも今週陽性件数が増加となった国はわずかに32国地域だけであった。伸び率無限大は前述のクック諸島とバヌアツ、前週の陽性件数が0であったエルサルバドルの3国地域である。無限大以外で伸び率最大は香港で280%増であった。香港の他、ニュージーランド(274.4%増)、ブルネイ(169.3%増)、ミャンマー(151.3%増)、トンガ(144.1%増)、赤道ギニア(112.5%)、ジンバブエ(106.6%)、カンボジア(106.3%)が伸び率100%以上である。赤道ギニアとジンバブエは先週まで長期減少中であったが、今週いきなり増加した。この2国を除けば、いずれも陽性件数増加中で伸び率が上がっている。
A2. 多くの国で陽性件数は減少中である
陽性件数が減少した国地域は188あり、そのうち、チャドでは陽性件数が0になった。スウェーデン、インド、オランダなど45国地域で減少率が50%以上だった。先週、1週間の陽性件数が0になった4国のうちフォークランド、サモア、モンセラートは陽性件数0を続けている。ウォリスフツナ、ミクロネシア、マカオ、セントヘレナで22年の陽性件数が0である。西サハラは21年から22年にかけて、北朝鮮など7国地域で20年からずっと陽性件数が0である。
A3. アジア東とオセアニアで感染拡大が続いている
下のグラフは、大陸別の22年1期の陽性件数の推移である。
今週はアジア東でのみ陽性件数が増えているが、先週に比べ伸び率は下がった。オミクロン株では伸び率が下がってから、2~3週間後に陽性件数の減少が始まる傾向があるので、アジア東でも3月には減少が始まると思われる。アジア中、アメリカ北では最も多い時の4分の1以下になった。
下の地図は22年7週の陽性件数のトレンドである。
陽性件数が増加中で伸び率も大きくなっているを表す赤く塗られたところはアジア東とオセアニアに集中している。所々に茶や赤のところがある。
アジア東では18国地域中10国地域で陽性件数の増加が続いている。アジアで22年の陽性件数が最も多い日本は今週の陽性件数が57万5515件で、10週間続いた陽性件数の増加が止まった。2番目に多い韓国の陽性件数は51万6519件で、4週連続で過去最高を更新し、5週連続の増加となった。3番目に多いベトナムは24万1143件の陽性件数があり、過去最高を記録。伸び率が大きくなっている。4番目に多いインドネシアは8週連続で増加中であるが伸び率は下がっている。ブルネイ、香港、シンガポール、マレーシアでも陽性件数の過去最高の更新が続いている。シンガポールと香港は伸び率が小さくなったが、マレーシア、ブルネイ、タイでは伸び率が大きくなった。日本は減少が続くが、ここに挙げた他の国、特に韓国、マレーシア、タイでは増加が見込まれる。
オセアニアの陽性件数の90%を占めるオーストラリアでは減少中なので、オセアニア全体としては減少となっている。しかし、昨年末から、長らく感染とは無縁であったパラオ、マーシャル諸島、サモア、ソロモン諸島、キリバス、トンガ、クック諸島、バヌアツと立てつづけに陽性患者が確認された。パラオ、ソロモン諸島、キリバスでは2000から6000の陽性件数が報告されているが、感染のピークが過ぎたと思われる。トンガは感染拡大中である。
アジア中ではブータンとミャンマーが増加中で伸び率も大きくなっているが、全体的には減少中である。アジア西ではシリアでのみ陽性件数が増加している。増加が始まって5週経ち伸び率は小さくなった。先週伸び率が大きく下がったヨルダンとイランは陽性件数の増加が5週で止まったので、シリアも来週陽性件数が増加が止まる可能性が高い。
ヨーロッパ東ではベラルーシは5週連続、ロシア6週連続で陽性件数ほ増加が続いているが、両国とも伸び率は下がっていきている。アジア西同様に5~6週で陽性件数の増加が止まる国が多いので、ベラルーシは来週は増加が止まると思われるが、ロシアはウクライナとの戦争が始まるので、どうなるかはわからない。一昨年、アゼルバイジャンとアルメニアの戦争が起こった時は、両国と、隣接するジョージアで陽性件数が急増した。
ヨーロッパ西ではドイツは6週連続増加、オランダが8週連続増加が止まった。アイスランドでは先々週に少し減少したものの、再び増加し始めた。実質10週連続で増加中であり、伸び率も大きくなっている。ギリシャでは順調に減少してきたが、ここのところ12万7500件前後の陽性件数が続いており、下げ止まりの状態である。
アフリカでは陽性件数が減少中だった国のうち、セーシェル、ジンバブエ、ギニアビサウ、赤道ギニア、ブルキナファソで急増が見られた。先週リベリアなど6国で同じ現象があったが、今週は急増以前のレベルの陽性件数以下になった。おそらく同じようになるだろう。一方減少はしているが減少率が小さくなっている国がアルジェリアやスーダンなどアフリカ西、東で増えた。
アメリカ南のチリ、アメリカ北のグアテマラで7週続いた陽性件数の増加が止まった。先週突然増加したエクアドルとグリーンランドでは何事もなかったかのように減少中に戻った。前述のエルサルバドルの今週の陽性件数は1万2677件で、おそらく先週発表しなかった分を含んでいる。22年1~6週の平均の約6倍となっているので、陽性件数急増と言える。ニカラグアでは増加が続いているが伸び率は小さくなってきている。カリブ海では、セントルシアで微増となったほかはどこも減少となった。先週急増したアンギラ、英領バージン諸島、アンティグアバーブーダでは今週は何事もなかったかのように減少に戻った。
A3. 集団免疫の可能性
下の表は感染率の高い20の国地域である。
フェロー諸島は感染率が60%以上になった。感染症は60%以上の人間が罹ると、感染が広まらないと言われている。フェロー諸島では今過去最悪の感染状態である。22年の5週からやようやく減少し始めたところである。これで感染がおさまるかどうか、興味が持たれる。感染率の高いところは、セーシェルを除いて全て陽性件数が減少している
B. オミクロン株の死者数が増加中
先週初の死者を出したキリバスは死者数が倍増した。15週間ぶりの死者を出した東ティモールも倍増、20週間ぶりの香港は14倍に増えた。久しぶりの死者を出した仏領ポリネシとモンセラートは今週は0に戻った。今週はブルネイで11週間ぶりに、モーリシャスでは8週間ぶりに死者が出た。死者数は10人、24人と多く、来週はさらに増加すると思われる。
B1. 来週はロシアが死者数1位になるかもしれない
下の表は22年7週の死者数が多い20の国地域である。
アメリカが群を抜いて死者数が多い。しかし、ここ2週間減少している。2番目に多いブラジルも減少し始めた。両国とも、来週は死者数がもっと減ると予測される。3番目に多いロシアは伸び率も上がってきているので、死者数でもロシアが1位になる可能性がある。またスペインでは13週連続で死者数が増えている。伸び率も大きくなったり小さくなったりを繰り返している。一向に減少する気配がない。順番でいけば来週は伸び率が大きくなる。トップ20の中で今週死者数が増加した国は10国あるが、ロシア、ポーランド、ブルガリア、南アフリカで伸び率が上昇し、スペイン、トルコ、ウクライナで伸びるつが下がっていない。ドイツ、日本、インドネシアでは伸び率は下がっている。
下の表は22年全体の死者数が多い20の国地域である。
B2. 死者数は増加中の国がまだまだ多い
世界では76国地域で死者数が増加した。先週の109国から33国減少した。モーリシャスなど9国地域は先週の死者数が0だったので伸び率が無限大である。先週死者数が急増したコンゴ民主の今週の死者数は0であった。2~3週間に一度数十人が亡くなるのか、2~3週間に一度まとめて死者数を発表しているのかは定かではない。伸び率無限大を除いて最も伸び率が高かったのは香港で1400%増である。先週の3人から42人と大幅増であった。香港では陽性件数も増えているので。さらに死者数が増える可能性が高い。伸び率が1000%以上は香港だけであった。伸び率100%以上は16国地域あり、インドネシア(1086人)、マレーシア(177人)、アイルランド(126人)で死者数が多い。
死者数が減少した国地域は先週より33国増えて112国となった。コンゴなど13国で死者数が0になった。インド、スーダン、スイスなど26国地域で死者数が先週の半分以下となった。ニカラグアなど8国では先週と同じ死者数であった。ニカラグアはこれで9週連続で死者数が1人である。
コモロやチャドなどアフリカを中心に12国地域で死者数0が続いている。また、ブルンジなど8国地域で22年の死者数0が続いている。西サハラでは21~22年の死者数が0である。また、北朝鮮など16国地域で20年からの死者数が0である。
陽性件数も死者数の増えているところがロシアや韓国など13国地域があり、陽性件数が増えているのに死者数が同じか減っているところはベトナムやギリシャなど19国地域。陽性件数も死者数の増えているところの中で、陽性件数が10万以上あるところが7国地域あるが、陽性件数が増えているのに死者数が同じか減っているところでは陽性件数が10万以上あるところが2国しかない。
一方、陽性件数も死者数も同じか減っているところはアメリカ、フランス、ブラジルなど106国地域があり、陽性件数が減っているのに死者数が同じか増えているところはドイツ、トルコ、日本など64国地域ある。陽性件数も死者数同じか減っているところの中で、陽性件数が10万以上あるところが12国であるが、陽性件数が減っているのに死者数が同じか増えているところでは陽性件数が10万以上あるところが16国ある
B3. アジア東だけでなく、ヨーロッパ東、アジア西、アフリカ南で死者数増加中
下のグラフは、大陸別の22年1期の死者数の変遷である。
これを見ると、アジア東だけでなく、ヨーロッパ東、アジア西、アフリカ南でも死者数が増えている。伸び率はアジア東が一番高く、次がアフリカ南である。
アジア東で死者数の最も多いベトナムと2番目に多いフィリピンでは死者数は減少中である。インドネシアと日本では死者数が増加中だが伸び率は減っている。日本の死者数は2週連続で過去最高を更新した。日本は早ければ来週中に、インドネシアも3月初旬には死者数が減少すると予想される。マレーシア、タイ、韓国、シンガポールでは死者数が増加し伸び率も増えている。香港とブルネイは死者数が急増した。陽性件数の増えているこれらの国では死者数がさらに増えると思われる。すでに減少期に入ったベトナムとフィリピンでは22年致死率が0.7%、0.5%で世界平均よりも高い。ほかは0.0%~0.2%である。
ヨーロッパ東ではロシア、ポーランド、ウクライナ、ブルガリア、ハンガリーなど11国で死者が2~6週間増加中である。多くは22年の死者数が3000人以上、22年致死率も0.4%から1.3%で世界平均の0.33%より大きい。伸び率が上がっているロシアとポーランドは、まだしばらく死者数の増加が続くと思われる。ほかは、遅くとも3月には死者数が減少となっていると思われる。
アジア西では死者数の多いトルコ、イラン、ヨルダンで死者数の増加が続いている、トルコを除いてそのペースが下がり始めた。イスラエルは先週は死者数が減少したが、今週は増えた。致死率は、イランが0.4%ある他は0.1%~0.2%で世界平均より低い。
アフリカ南では南アフリカでさらに死者数が増えた。これで4週連続増加で、伸び率もさらに大きくなった。22年の南アフリカの致死率は3.4%で、イエメン、シリア、ナミビア、スーダンに次いで世界で5番目に高い。陽性件数10万件以上に限定すれば世界で1番高い。報道があまりないので、オミクロン株による死者が増えてきたのではないかと勘繰られる。新種なら大々的に報道するだろうが、オミクロン株は死者数も重症化率も低いと報道していたので、都合がわるいのだろう。しかし、南アフリカ以外ではレユニオンとモーリシャスで死者数が2桁増加したほかは減少か増えても1人か2人である。
アジア中ではミャンマー、アフリカ東ではリビア、アフリカ西ではアルジェリア、ギニアビサウ、ガボンで死者数が増えた。リビアだけ2週連続で増えた。アメリカ北ではホンジュラス、ベリーズ、グリーンランドで死者が大きく増えた。アメリカ南ではチリ、パラグアイ、ベネズエラで死者数の増加が続いているほか、ガイアナ、仏領ギアナで今週突然死者が大きく増えた。カリブ海ではジャマイカ、グアダルーペ、バハマ、バルバドスで大きく増えた。先週死者数が大きく増えたアフガニスタン、エチオピア、ナミビア、マラウィ、ボツワナ、コンゴ民主、カメルーン、エクアドル、スリナム、英領バージン諸島では死者数は急増前の週のレベルに戻り、減少傾向であるので、これらの国地域でも来週は死者数が減ると予想される。
ヨーロッパ西ではドイツ、スペイン、ポルトガル、スウェーデン、デンマーク、オーストリア、オランダ、アイルランドで死者数の実質増加が続いている。デンマークとオランダは伸び率が大きくなっているが、そのほかは伸び率も小さくなっている。陽性件数が基本減少しているので、近いうちに死者数も減ると予想される。
B3. オミクロン株の感染が終わっても死者数が増える
下の表は22年の致死率トップ20である
世界全体の22年1期の致死率は0.3%で、まだ22年1期は終わっっていないが、4半期ごとの致死率は最も低い。このまま低い数字を維持できるかどうかはまだわからない。22年1期の致死率は多くの国にとって、オミクロン株の致死率と考えているようだが、オミクロン株による感染拡大が終了したと思われる地域で、死者数が増えており、それに伴い致死率も上がっている。次のグラフは世界の感染図である。
今週は青の陽性件数のグラフが、緑の死者数のグラフと交わった。来週以降は死者数のグラフの方が陽性件数のグラフよりも上にくることが確実なので、致死率はさらに上がる見込みである。
オミクロン株発祥の地である南アフリカの致死率は3.4%で、世界で5番目に高い。22年陽性件数10万件以上の国の中では最も致死率が高い。実際、南アフリカの21年4期の致死率は0.49%だったので約7倍になった。下のグラフは南アフリカの22年の感染図である。
世界に比べ陽性件数のグラフが致死率のグラフよりもかなり下にきている。これは致死率が相当高くなっていることが実感できる。また、南アフリカでは陽性件数は21年50週から減少が続いているが、22年3週からは減少のペースが落ちている。死者数は22年2週に一旦減少するが4週目以降再び増加となり、伸び率も上がっている。下のグラフは 2/11 号で掲載した南アフリカの21年4期の感染図である。
南アフリカでは陽性件数がピークを迎えた昨年50週時点では陽性件数のグラフは死者数のグラフよりも上にあったが52週から逆転した。南アフリカは元々陽性件数に対する死者数が多いので、その状態に戻っているとも取れる。そうならば、
オミクロン株の致死率は今までのものと大差ないということになる。報道では、オミクロン株の変種があるらしく、致死率は高めであるという。
下のグラフはスペインの感染図である。
スペインは22年2週に陽性件数がピークとなった。死者数は4週目から5週目にかけて伸び率が小さく、5週目が死者数のピークかと思われたが、6~7週目は再び死者数が増加となった。死者数が一旦減少にならなかった点を除けば、南アフリカとほぼ同じグラフとなっている。
下のグラフは、イタリア、フランス、ドイツの感染図である。
陽性件数は2、4、6週目以降減少し、死者数はイタリアが5週目、フランスが6週目から減少となった。ドイツはまだ減少が始まっていない。いずれも、南アフリカの陽性件数がピークを迎えた時と似ている。したがって、来週以降再び死者数が増加となる可能性も考えられる。世界も同様である。
C. 空港検疫の陽性件数に注意を
日本の22年7週の陽性件数は57万5515件で、11週間ぶりに前週を下回った。22年全体の陽性件数は250万8475件となった。同週の死者数は1281人で先週に引き続き過去最高を更新した。死者数は6週連続で増加となったが、今週の伸び率は45%で、小さくなってきている。22年全体の死者数は2805人で、アジア東ではベトナム、フィリピンに次いで3番目に多い。致死率は0.11%に上がった。次のグラフは日本の感染図である。
世間では死者数が増えたと騒いでいるが、陽性件数が極端に増えてたので統計的には当然のことである。感染パターンからすると日本の死者数は8週あるいは9週がピークとなる。しかし、それ以降南アフリカのように死者数が増えてくる可能性も考えられる。
空港検疫での陽性件数は355件で先週に比べ21.5%の減少となった。世界的に感染が縮小しているので、日本政府は隔離期間の短縮などをはじめた。しかし、世界では韓国など感染拡大中の国地域があり、また、昨年の第5波の空港検疫での陽性件数は、最高でも1週間に103件しかなかったことを考えると、規制緩和には早すぎるのではないか。
日本の感染の波を振り返ると、21年以降は他国からもらってくることばかりである。第3波は欧米で流行していたアルファ株が、第4波はインドで流行していたデルタ株が、第5波も同じくデルタ株だが、アジア東で流行していた亜種、第6波がアフリカ南で流行の始まったオミクロン株と全て外国由来である。
D. 今は世界的減少期
世界の陽性件数は拡大期と減少期が交互の繰り返される。減少期の最中に増加している地域があれば、そこが引き金となり、次の拡大期が発生する。下のグラフは21年以降の世界の陽性件数のグラフである。
減少期は3~8週、19~27週、35~42週の三回あった。減少期では世界の半数以上の国地域で陽性件数が減少するのだが、一部の国地域で増加していることがある。このウイルスが減少中の国地域に移動して、そこで感染爆発を起こすというのが、新型コロナの感染のパターンである。
3~8週(1月半ばから2月末)に増加していたのは主にアジア西であった。特に多かったのがイラクの440%増で、サウジアラビアやクウェートなど主にアラビア半島の国々でも80%から150%の増加となっていた。11週目からはインドで急増となり、これが21年第2波となった。日本にも12週目にやってきて、第4波となった。
19~27週(5月から7月初旬)は陽性患者の特に多かったアメリカやヨーロッパでは、恐らくワクチンの(心理的)効果もあり、減少が続いていた。しかし、アジア東、インドを除くアジア中、アフリカ南、カリブ海と結構多くの国地域で陽性件数は急増していた。特にインドネシアが10倍増となり、28週(7/10-16)は世界で最も多くの陽性件数を出した。また、少し遅れて、アジア西、ヨーロッパ東、西でも急増となった。それが、28週目からの第3波となった。日本の第5波である。アジア東とカリブ海についてはそれぞれ 8/20 号と 10/29 号で詳細を書いた。
35~46週(8月末から11月末)では、再び世界中で陽性件数が減少していた中、ヨーロッパ東で増加が続いていた。詳細は11/20 号に書いた。42週以降にヨーロッパ西に広がった。45週以降はアメリカ北に渡り、47週からのアフリカ南でのオミクロン株が加わって、過去最大の21年4波(22年1波)となった。
22年4週から減少期に入った。なので世界中で陽性件数が減少している。そんな中、アジア東とオーストラリアを除くオセアニアで急増となった。今後は、これらからどこに広がるか、というと、一番可能性の高いのが日本である。韓国や東南アジアは日本と経済的な結びつきが強い。
E. ワクチン接種回数を減らすと感染縮小
22年7週は世界全体で 約1億8761万回ワクチンが接種された。前週比で12%増えた。22年の接種回数は13億6706万回強となった。
ボツワナで1月14日には221万回数接種したとなっていたが、その記録が消され、新たに2月7日の記録として約138万回となった。接種ワクチンの種類から考えて、総接種回数は138万回以上あることは明らかで、おそらく230万回程度と推測される。しかしここでは、修正された数字を用いる。
ボスニアでも2月4日と11日分の接種回数が、マラウィも2月11日の摂取回数が以前発表されていたものより少なくなった。また、ベリーズは今まで1週間遅れで接種状況を発表していたが、今週はタイムリーになった。こちらもそのように過去のデータを修正した。
韓国で第5のワクチン、ノババックスの接種が2月14日から始まった。ノババックスの接種は世界で初めてである。
今週はアフリカの多くの国でブースターが始まった。2月17日にアンゴラ、エジプト。ガーナ、リビア、モーリタニア、モーリシャス、モロッコ、モザンビーク、サントメプリンシペ、セーシェル、ザンビアで、2月18日からボツワナの計12国で始まった。アフリカ以外でも、ベリーズ(2/11)、ブータン(1/31のみ)、グレナダ(2/16)、カザフスタン(2/13)、スリナム(2/1 )、ベトナム(2/10)でも始まった。( )は開始日時であるが、過去の接種能力からすると、どの国も少なくとも開始日時の半月から2ヶ月前からブースーターを実施していたと思われる。
次の表は22年7週のワクチン接種回数の多い20国の接種状況である。
先週接種回数1位になった中国はさらに接種回数を増やし、2位のインドは減らした。3位のバングラデシュは接種が再開された。中国は接種のほとんどがブースターであると思われるがブースター回数の更新はなかったので、過完了率は先週と同じである。日本は昨年42週(10.16-22)以来、1週間の接種回数が500万回以上になった。接種回数のうち97%がブースターである。過完了率も12.7%と一気に10%を超えた。しかしまだ世界平均よりは低い。
先週接種回数が0だった51国地域のうち、バングラデシュなど31国地域で今週は接種が実施された。一方、アフリカを中心に20国で今週の接種回数が0になった。ナイジェリアなどやはりアフリカを中心に、20国地域で接種が2週間以上止まっている。トルクメニスタン等13国で22年の接種回数が0、北朝鮮など14国地域で今までに接種を一回も実施していない。
82国地域で接種回数が増えた。ネパールやミャンマーなど31国で伸び率無限大である。無限大を除く伸び率最高はエチオピアの3万6797%増である。先週は225回だったのに、今週は98万3019回も接種した。接種回数が減少したところは、イギリスやアメリカなど105国地域になった。
次の表は22年のワクチン接種回数の多い20国の接種状況である。
22年全体ではインドの方が中国よりも接種回数が多いが、近いうちにに逆転すると見込まれる。
世界の完了率は54.5%となった。WHOの目標としている完了率40%以上のところは144国地域と先週に比べ一気に50国増えた。アフリカでは58国地域中、セーシェル、モーリシャス、ルワンダ、ボツワナ、モロッコ、セントヘレナ、チュニジア、カボベルデの8国しか完了率40%以上を達成していない。また、ヨーロッパ東でも23国中、ウクライナなど8国で完了率が40%未満である。次の表は22年の完了率の高い20国の接種状況である。
22年7週は7950万回ほどのブースターが行われた。中国で発表がなかったので、前週の半分以下の回数となった。。22年のブースター回数は5億6,300万回弱となり、総接種回数のうちのブースターの占める割合は41.2%になった。すでに記したように、今週は17国で新たにブースターが始まった。
三回以上接種した者の割合である過完了率は15.9%となった。過完了率40%以上の国はヨーロッパ西を中心に42国地域にのぼる。次の表は22年の過完了率の高い20国の接種状況である。
ワクチンは接種を完了してから3週後くらいにその効力を発揮するらしいので、ある週にブースターも含めた接種回数を増やせば、その3週間後から陽性件数が減少傾向となるはずである。下の円グラフたちは、22年7週にワクチン接種回数が増えた国地域、減った国地域、接種停止していた国地域、接種を全くしていない国地域で、3週間後の今週に陽性件数が増えたか減ったかを表している。
22年4週にワクチン接種回数が増えた66国地域中、3週間後に10国地域、率にすれば15%、で陽性件数が増加した。一方接種回数が減った130国地域中、21国地域で陽性件数が増加した。率にすれば16%でほぼ同じである。22年4週時点でワクチン接種を停止していた23国地域では1国だけが今週増加となった。全くワクチンを接ししていない14国では陽性件数が増加した国はなかった。ワクチンの接種回数を増やしても、陽性件数の減少にはつながらないことがわかる。
次のグラフは22年の世界のワクチン接種回数(赤)と陽性件数(青)の関係である。
22年2週目以降接種回数は減少している。2週目までの多くの人が三回目以降の接種を受けたので、それ以降の接種回数が減ったと考えられる。6週目以降再び接種回数が増えたのは、ヨーロッパ以外でもブースターを受けられるようになったからである。
一方、陽性件数は4週目以降減少している。十分な数の人たちにブースターが実施しされたので陽性件数が減ったのか、それとも、単に接種回数が減ったから陽性件数が減ったのか、どちらだろうか。
人口、陽性件数、死者数はWorldometer のものを、ワクチン接種回数などは Github のデータを利用している。Worldometer や Github で扱っていない国地域の統計は Google のデータを用いる。北キプロスの陽性件数と死者数は、政府の発表するデータを用いる(https://saglik.gov.ct.tr/COVID-19-GENEL-DURUM)。面積、GDP、地図、その他の情報はウィキペディアと外務省(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/index.html)を利用している。それ以外のもの、例えばニュースや論文に関しては出典を本文に記す。数値はアメリカ中部時間の2月21日22時時点で得られた最新の値を利用している。2月21日以降に修正あるいは追加されたデータは含めない。従って、他の新型コロナ統計サイトの数値とは異なることもある。2月21日以前に修正あるいは追加されたデータは過去の号の統計にも反映させている。今号の統計とは異なるものもある。データの違いが大きくなる修正は本文で言及している。テーマ地図は mapchart.net のサービスを利用して作成している。