2021年の新型コロナ統計 5/14

はじめに

5月7日の2021年の新型コロナ国別ランキングである。新型コロナ関連サイトでは累計感染者数も死者数も一律に発生当初からの累計数を表示している。2020年は結構な数の感染者数を記録したが、2021年はあまり感染者を出していない国と、逆に2020年はあまり感染者をだしていないが、2021年は結構な数の感染者を出した国とでは、例え、累計感染数が同じであったとしても、現在の感染状況は全く異なる。そこで、2021年の新型コロナに関する様々な指標を、感染数や死者数は Worldometer のデータを、ワクチン接種数は Github のデータをもとに計算し、2021年の累計感染数でランキングにした。また、毎週の新規感染数や死者数は独立に第10位までランキングを作った。

5月14日までの2021年累計感染数数上位50国とワクチン接種率の高い12カ国地域

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前回の予想通り、インドがアメリカを抜いて、2021年累計感染数でトップになった。2020年からの累計ではまだまだアメリカが第一位である。アルゼンチンが一気に2ランクアップして10位になった。スペインとポーランドが一つづつ順位を下げた。他に上位50位でランクを上げたところは、イラク(26位→25位)、日本(32位→29位)、マレーシア(38位→37位)、ウルグアイ(45位→43位)、カザフスタン(48位→47位)である。ネパールが59位から一気に50位にランクイン。代わりにベラルーシが51位に落ちた。


A1. 世界の2021年累計感染数は昨年同期の1590%増となった。

2021年5月14日までの累計感染数が昨年同期よりも増えた国は先週より1カ国増え、205カ国となった。先週まで前年同期比でずっと減少であった台湾が今週突然感染数を増やし、昨年同期の11%増となったからである。

昨年同期比で一番多かったのがレソトの756,900%増である。レソトは四方を南アフリカに囲まれた国で、2020年5月13日に最初の感染者を確認したばかりで、2020年5月15日までの累計感染数は1である。2021年1月1日から5月14日までの感染数は7570である。このように昨年同時期の累計感染数が少ないと、累計感染数の%増は極端に大きくなる。前年同時期の感染数が0の国はこの数字が∞になる。%増が∞になる国は先週の7カ国からレソトが抜けて6カ国となった。前年同期から1万%以上増加した国は、先週の51カ国から44カ国に減った。44カ国のうち23カ国は前年同期の感染数が百人未満である。2020年5月15日までの累計感染数が1万を超えるのに、1万%以上の増加をすると、2021年1月1日から5月14日までの感染数は100万を超える。こういう国がインドである。


A2. 2021年5月1日から7日の感染数は世界全体で昨年同週の711%増である。

∞を除いて最大はチュニジアの78,167%増である。先週は10万%を超えた国が3つあったが、今回は0である。1万%以上増加した国も16しかなく、先週に比べて6カ国減った。上位50カ国の中では、チュニジア、ウルグアイ、ネパール、ギリシアの4カ国が昨年同時期比べ、1万%以上の増加になった。アルゼンチンとインドは先週1万%以上増加したが今週は1万%未満になった。

昨年同時期との比較で減少した国は先週の32カ国から8カ国増えて40カ国となった。40カ国中20カ国がアフリカ勢である。100%減が1国増えて6カ国となった。上位50カ国の中では先週同様イギリスとロシアだけがそれぞれ、前年同期比38%減、21%減であった。

A3. 世界の2021年死者数は昨年同時期と比べ398%増しで、先週より下がった。

最大はパレスチナの99,050%増である。1万%以上増加した国は23カ国ある。上位50カ国で1万%以上増加した国は南アフリカ、ヨルダン、レバノン、ウルグアイ、スロバキア、パラグアイ、チュニジアの7カ国ある。またネパールは無限大である。昨年同期比で死者数が減少した国も22カ国あった。100%減も10カ国あった。上位50カ国の中ではベルギーのみが43%減であった。

A4. 世界の2021年5月1日から7日までの死者数は昨年同週の168%増しであった。

先週よりも増やした。∞を除いての最大はチュニジアで、昨年同週の44,900%増しであった。ウルグアイ、スロバキア、タイ、エチオピアの4カ国も、昨年同週により1万%以上増加した。昨年同週に比べ、減少した国は46カ国あった。16カ国で100%減であった。46カ国のうち17カ国がアフリカ、15カ国がヨーロッパであった。

B. 5月8日から14日の新規感染数上位10ヶ国。

1。インド(1位) 2,485,632、-243,885、12週連続増加でストップ
2。ブラジル(3位) 433,953、+12,555
3。アメリカ(1位) 245,187、-69,665、4週連続減少中
4。アルゼンチン(10位) 151,332、+10,561、 ↑
5。コロンビア(14位) 115,834、+6,932、 ↑↑↑↑
6。イラン(13位) 105,058、-22,959、4週連続減少中、 ↑
7。フランス(4位) 100,940、-29,585、4週連続減少中、 ↓
8。トルコ(5位) 146.457、-92,273、4週連続減少中、 ↓↓↓↓
9。ドイツ(8位) 111,780、-18,688 、3週連続減少中、 ↓
10。ネパール(50位)62055、+7639、9週連続増加中、 ↑↑
14。日本(29位)44,553、+10,341、 ↑↑↑↑↑↑↑↑

( )内は2021年累計感染数順位、+ーは先週からの増減、

ネパールが2ランクアップ。2021年累計も50位になった。イタリアが2ランクダウン。日本は先週の22位から8位もランクアップ。南米とアジアでの増加が目立つ。

C. 5月14日までの2021年累計死者数上位10ヶ国。

1。アメリカ(2位) 242,869、1.86%、174%増
2。ブラジル(3位) 237,344、3.03%、1502%増
3。インド(1位) 117,024、0.83%、4151%増、↑
4。メキシコ(17位) 94,094、 9.91%、1874%増、↓
5。ロシア(9位) 57,561、3.31%、2281%増、
6。イギリス(7位) 53,543、2.81%、57%増、
7。ドイツ(11位) 52,093、2.86%、551%増、
8。イタリア(8位) 49,306、2.46%、56%増、
9。フランス(4位) 42,658、 1.33%、55%増、
10。ポーランド(11位) 42,355、2.74%、4570%増、
30。日本(29位)7,795、1.81%、993%増、

()内は2021年累計感染数順位、%は2021年致死率(致死率の世界平均は1.98%)、昨年同期比増減。

インドがメキシコと入れ替わって、第3位になった。ぞれ以外の上位10カ国と日本の順位は変わらず。。また1位アメリカと2位ブラジルの差が五千人ほどとさらに小さくなった。このままのペースでいけば、来週ブラジルがアメリカを抜いて、世界一の新型コロナ死者大国となる。ヨーロッパでは昨年同期との比較で2桁台のところが多くなっている。それだけ、死者数が減ったことを意味すれば、逆に言えば昨年の死者数が異様に多かっただけとも言える。実際、ヨーロッパの昨年の致死率は10%以上であったが、今年は2%程度と世界平均並みである。


D. 5月8日から14日の死者数上位10ヶ国。

1。インド(3位) 27,964、+1,534、10週連続増加中
2。ブラジル(2位) 13,392、-1,714、2週連続減少中
3。アメリカ(1位) 4,403、-453、3週連続減少中
4。コロンビア(11位) 3,383、+118、
5。アルゼンチン(17位)2,981、-26、6週連続増加でストップ
6。ロシア(5位) 2,494、0、2週連続減少でストップ
7。イラン(19位) 2,192、-291、2週連続減少中
8。ポーランド(10位) 1,866、-77、4週連続減少中、↑↑
9。トルコ(18位)1,836、-498、3週連続減少中、↓
10。ペルー(14位) 1,797、-245、3週連続減少中、↓
20。日本(30位)666、+271、5週連続増加中、 ↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑


()内は累計死者数順位、+ーは先週からの増減

ポーランドが2ランクアップ。トルコとペルーがそれぞれ1ランクづつ下げた。世界全体では今週の死者数は先週に比べて2,509人減少した。感染が確認されたことのある224の国や地域(クルーズ船を含む)のうち105カ国地域で死者数が先週よりも減少した。一方、死者が先週より増加した国や地域も59ある。トップ10はインド、ネパール、日本、コロンビア、ホンジュラス、南アフリカ、スーダン、マレーシア、スリランカ、ボリビアである。アジアが5カ国、南米が3カ国、アフリカが2カ国と地域に偏りがある。

E. 世界209国地域でワクチン接種

キューバなど新たに11カ国でワクチン接種が始まった。アフリカが5カ国、アジアが3カ国、中米が1カ国、太平洋が1カ国である。キューバを除く10カ国でアストラゼネカが接種される。キューバはアブデラという自国で製造したものを接種している(https://www.bioworld.com/articles/505740-three-shot-cuban-covid-19-vaccine-candidate-moves-forward-in-phase-iii)。中国製やインド製を接種する国もある。また、これら11カ国のうち、4カ国は感染の報告がないところである。

これで、ワクチン接種が始まっていない国地域は27カ国地域となった。このうち8地域はフランスの海外領土である。レユニオンやギアナのように今週千人以上の感染者を出したところもあるが、フランスの太平洋地域以外の海外領土ではワクチン接種が始まっていない。7国地域は太平洋上の島々、6カ国はアフリカである。また、27カ国のうち、北朝鮮など10カ国は2021年の感染報告がない。


E1. 5月14日のワクチン総接種数上位10ヶ国


1。中国(150位) 380,633,000、 26.45%、0.00%、シノファーム、シノバック(12/15)

2。アメリカ(2位) 268,438,666、80.69%、36.15%、ファイザー(12/15)、モデルナ(12/23)、ジョンソン(3/5)

3。インド(1位) 179,646,413、 12.91%、2.90%、コバクシン、アストラゼネカ(1/15)

4。イギリス(7位) 56,018,988、 82.14%、28.89%、ファイザー(12/23)、アストラゼネカ(1/10)、モデルナ(4/7)

5。ブラジル(3位) 52,414,342、 24.36%、7.81%、シノバック(1/16)、アストラゼネカ(1/23)

6。ドイツ(8位) 39,414,342、 46.91%、10.78%、ファイザー(12/27)、モデルナ(1/12)、アストラゼネカ(2/8)

7。フランス(4位) 28,467,808、 43.53%、13.56%、 ↑、ファイザー(12/27)、モデルナ(1/13)、アストラゼネカ(2/6)、ジョンソン(4/23)

8。イタリア(6位) 26,500,851、43.89%、13.73%、 ↑、ファイザー(12/27)、モデルナ(1/14)、アストラゼネカ(2/8)、ジョンソン(4/22)

9。トルコ(5位) 24,691,044、 29.01%、12.00%、  ↓↓、シノバック(1/13)、ファイザー(3/25)

10。ロシア(9位)23,292,045、15.95%、6.46%、 ↑、スプートニク(12/15)、エピバック(3/1)
27。日本(29位)5,593,436、4.43%、1.24%、↑、ファイザー(2/17)

()内は2021年累計感染数順位。接種数、接種率、完了率、ランクアップダウン、接種ワクチンとその開始日。


フランスとイタリアがトルコの接種数より上になった。トルコは順位を2つ下げた。インドネシアが10位から11位へとダウン。代わりにロシアが10位になった。日本も順位を一つあげた。世界の接種率は18.27%である。接種が完了したものの割合は4.41%になった。


E2. 5月8日から14日のワクチン接種数上位10ヶ国

1。中国(1位) 72,407,000、 +29,245,000
2。インド(3位) 14,456,413、 +1,264,520、↑
3。アメリカ(2位) 13,659,333、-960,323、↓ 
4。ブラジル(5位) 5,217,782、 +1,041,184、↑
5。ドイツ(6位) 5,005,502、 +178,338、↓ 
6。イギリス(4位) 4,184,627、+1,669,784、 ↑↑↑ 
7。フランス(8位) 3,905,604、 +1,419,753、 ↑↑↑ 
8。イタリア(9位)  3,338,800、 +152,055、↓
9。スペイン(13位) 2,635,139、 -47,962、 ↓↓↓ 
10。カナダ(20位) 2,379,139、+444,154、 ↑↑
15。日本(27位) 1,395,973、+688,229、 ↑↑↑↑↑

()内はワクチン接種数順位。+ーは前週からの増減、矢印はランクアップダウン

5月8日から14日の間に世界では1億6千万回以上の接種が行われた。先週よりも3800万回増加した。インドは接種数を先週から増やし、アメリカは減らして順位が入れ替わった。ドイツやイタリアは接種数は増えたもののそれほどではなく順位を落とした。イギリスやフランスでは先週の倍以上接種して、一気に順位を上げた。メキシコは8位から13位へ順位を落とした。入れ替わりにカナダが10位になった。日本は先週の倍以上接種して、5ランクアップしたが、上位に比べれば半分以下の接種数である。


E3. 5月14日のワクチン総接率上位10ヶ国

ワクチン接種率はワクチン接種数をその国の人口で割ったもので、どのくらいの割合でワクチンが行き渡っているかの目安になる。2回摂取が必要なワクチンを接種している場合、その国の国民全員にワクチンを摂取すれば、接種数は人国の2倍、つまり、接種率は200%になる。ワクチンを多く接種する国よりも人口の低いところの方が率は高くなる。人口の情報は Worldometer のものを用いた。5月14日の摂取率の世界平均は18.19%である。

1。ジブラルタル(165位) 221.07%、 74,461、ファイザー(1/10)

2。セーシェル(130位) 132.56%、 131,068、シノファーム(1/9)、アストラゼネカ(1/26)

3。フォークランド諸島(204位) 123.55%、4407、アストラゼネカ(2/7)

4。アラブ首長国連邦(38位) 114.53%、 11,445,680、ファイザー、シノファーム(1/5)、アストラゼネカ、スプートニク(2/8)

5。イスラエル(32位) 114.56%、 10,507,702、ファイザー(12/19)、モデルナ(1/7)

6。サンマリノ(161位) 114.04%、38,766、スプートニク(2/27)、ファイザー(3/1)

7。ケイマン諸島(196位) 111.04%、 73,721、ファイザー(12/26)

8。バミューダ(171位)  103.09%、 63,994、ファイザー(1/10)

9。マルタ(115位) 93.69%、 414,632、モデルナ、ファイザー、アストラゼネカ(1/17)

10。マン島(181位) 90.11%、76,977、ファイザー(1/21)、アストラゼネカ(2/10)

135。日本(27位) 4.43%、+5,593,436、 ファイザー(2/17)

( )内の順位は2021年の累計感染数順位、摂取率、接種数、接種ワクチンとその開始日

ジブラルタル、フォークランド、ケイマン諸島、バミューダ、マン島は全てイギリス領である。実は11位、12位のガーンジー島、ジャージー島のイギリス領である。フランスの海外領土はワクチン接種が始まっていないと書かれていたが、イギリスの海外領土ではワクチン接種がほぼ終わりかけている。さらに、感染報告のない、ガーンジー島、ジャージー島にまでワクチンを接種している。いわゆる海外領土を除いた国だけの接種率上10カ国は次のようになる。

1。セーシェル(130位) 132.56%、 131,068、シノファーム(1/9)、アストラゼネカ(1/26)

2。アラブ首長国連邦(38位) 114.53%、 11,445,680、ファイザー、シノファーム(1/5)、アストラゼネカ、スプートニク(2/8)

3。イスラエル(32位) 114.56%、 10,507,702、ファイザー(12/19)、モデルナ(1/7)

4。サンマリノ(161位) 114.04%、38,766、スプートニク(2/27)、ファイザー(3/1)

5。マルタ(115位) 93.69%、 414,632、モデルナ、ファイザー、アストラゼネカ(1/17)

6。チリ(22位)85.82%、16,469,052、ファイザー(12/24)、シノバック(2/2)

7。バーレーン(65位)82.63%、1,447,953、ファイザー、シノファーム(12/23)、スプートニク(2/25)、アストラゼネカ(2/27)

8。イギリス(7位)82.14%、56,018,988、ファイザー(12/23)、アストラゼネカ(1/10)、モデルナ(4/7)

9。モルジブ(100位)80.76%、443,176、アストラゼネカ(2/2)

10。アメリカ(2位)80.69%、268,438,666、ファイザー(12/15)、モデルナ(12/23)、ジョンソン(3/5)


インドが世界1位の感染国。

2021年累計感染数第1位となったインドの5月8日から14日の新規感染数は250万件で、先週より25万近く減らしたが、2位ブラジルの5倍、3位アメリカの10倍である。また、人口100万人あたりの1日平均の新規感染数も255.1と上がった。インドの新規感染数は9週連続で増加が続いていたがようやくストップした。5月8日から14日の死者数は27,946人で2位ブラジルの倍である。これで10週連続の増加である。2021年累計死者数もメキシコを抜いて第3位になった。人口100万人あたりの感染数は2.9で、アジアではネパールの5.3、バーレーンの4.7、イランの3.7、トルコの3.1の次いで5番目に高い数字である。インドではここ1ヶ月ほど接種数を減らしていた。その分、コバックスプログラムで途上国に渡す分を増やしていたと思われる。しかし、供給分を減らすと報道があった(https://www.bbc.com/japanese/56481004)。実際5月8日から14日のワクチン接種数は先週より約10%増えた。

2021年累計感染数第2位と落ちたアメリカの5月8日から14日の新規感染数は245,187件で、先週より7万近く減らしたが、依然世界第3位である。しかし、4週連続で減少しており、人口100万人あたりの感染数は105と、自らが設定した100という数字に近くなった。しかし世界平均お91.5よりは高い。5月8日から14日の死者数は4,403人で、先週より453人減らしたが、依然世界第3位である。しかし、3週連続で減少している。5月8日から14日のワクチン接種数は先週より5%ほど減った。これで4週連続の減少である。単純な接種率は80%を超え、おそらくワクチンが必要な者には行き渡ったのではないかと思われる。接種数をさらに増やすために、野球を観戦しにくる者に無料で接種したり(https://www.jiji.com/jc/article?k=2021050500391&g=spo)、ワクチン接種で賞金が当たる(https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-usa-incentives-idJPKBN2CU0K6)などのキャンペーンも行われている。

第3位のブラジルの5月8日から14日の新規感染数は433,953件で、先週より1万以上増え世界第2位である。4月以降毎週の新規感染数は42万件程度で推移している。5月8日から14日の死者数は13,392人で、先週より1,714人減らしたが、依然世界第2位である。2週連続で減少している。人口100万人あたりの1日平均の新規感染数も289.9でインドよりも高い。3位アメリカの3倍以上あり、来週にはブラジルの2021年累計死者数はアメリカを超えて世界一になると考えられる。2020からの累計ではアメリカが世界一である。5月8日から14日のワクチン接種数は先週より25%ほど増やした。ブラジルは4月に入って接種数を減らしていたが、5月7日から中国製のワクチンを追加した。

第4位のフランスの5月8日から14日の新規感染数は100,940件で、先週より3万以上減らした。これで4週連続の減少である。人口100万人あたりの1日平均の新規感染数も220.5人となった。5月8日から14日の死者数は1,322人で、先週より265人減らした。3週連続で減少している。5月8日から14日のワクチン接種数は先週より50%以上増やした。

第5位のトルコの5月8日から14日の新規感染数は97,301件で、先週より8万以上減らした。これで4週連続の減少である。人口100万人あたりの1日平均の新規感染数も163.3である。5月8日から14日の死者数は1,836人で、先週より498人減らした。2週連続で減少している。5月8日から14日のワクチン接種数は先週より50%以上減らした。


下のグラフは、インド、アメリカ、ブラジル、フランス、トルコの2021年1月からの累計感染数(上)と累計死者数(下)の時系列グラフである。

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累計感染数の3月末からのインドの急上昇が目に付く。逆にアメリカは上昇が緩やかになった。トルコもフランスを追い抜くかという勢いであったが、4月末から落ち着いた。累計死者数では3月以降のインドとブラジルの急増が目立つ。

6位のイタリアから9位のロシアまでは先週と同じ順位である。イギリスとロシア以外は新規感染数を引き続き減らしている。この2国は人口100万人あたりの1日平均の新規感染数も世界平均以下である。死者数も先週より増えたところはない。またワクチン接種数もトルコ以外は増えている。

第10位のアルゼンチンは先週の12位から2ランクアップした。5月8日から14日の新規感染数は151,332件で、先週より1万以上増えアメリカについで第4位である。また人口100万人あたりの1日の平均新規感染者数も474.6人と世界で7番目に多く、G20に属する国々の中ではトップである。5月8日から14日の死者数は2,981人で、先週より26人減らし、6週連続増加がストっぽした。しかし、インド、ブラジル、アメリカ、コロンビアに次いで第5位である。5月8日から14日のワクチン接種数は先週より8%ほど減らした。

下のグラフは、イタリア、イギリス、ロシア、ドイツ、アルゼンチンの2021年1月からの累計感染数(上)と累計死者数(下)の時系列グラフである。

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イギリスとロシアの感染係数のグラフの傾斜はイタリア、ドイツ、アルゼンチンよりも緩やかになっている。イギリスとロシアの週間新規感染数はほぼ減少し続けているが、イタリア、ドイツ、アルゼンチンは減少していたものの2月あるいは3月から増加に転じている。


日本の感染状況は悪化した。


日本は5月8日から14日の間に44,553の新規感染が確認され、2021年累計が先週の32位から29位へと上昇した。先週の新規感染数は先々週より672人減らしたが、今週は先週よりも1万以上も増えた。おそらく、ゴールデンウィークで休んでいた検査を再開したためであろう。先週「8週連続の増加にストップをかけた」と書いたが、ゴールデンウィークでなければ、先週も増加していたであろう。新規感染数は実質10週連続増加である。しかし、その増加の仕方は徐々に緩やかになってきている。人口100万人あたりの1日平均の新規感染数は50.5で世界全体の約半分で、G20の中では45カ国中32位である。

5月8日から14日の間に666人の死者があり、2021年累計死者数は7,795人となった。順位は30位のまま変わらないが、先週より271人増え、5週連続で増加している。人口100万人あたりの1日平均の死者数は0.8で世界全体の約半分で、G20の中では45カ国中32位である。

5月8日から14日の間に1,395,973回のワクチン接種をした。世界15位の規模である。前週に比べ約70万回増えた。しかし、総接種数では5,593,436回で第27位である。接種率は4.43%と低く、153位である。日本がワクチン接種を始めてから、3ヶ月近くになろうとしている。同じ日からワクチン接種を開始したコロンビアは、日本より150万回多く接種している。接種率も13.76%で日本の3倍以上である。ワクチン接種を始めてから3ヶ月後の接種数では日本は19位になる。


ワクチンは効いているか

今回はワクチン接種率が高いが2021年感染数で51位以下の国をリストする。ここ数日セーシェルでの感染爆発が多く報道されている。ポイントは、セーシェルではワクチン接種率が世界第2位と極めて高いにもかかわらず、感染数がここ数週間激増しているとのことである。

セーシェルの2021年感染数順位は130位である。先週よりも9ランク上昇した。今週の新規感染数は2,811(78位)であった。先週新規感染数の6倍である。ここ3週間で2021年の感染数の半分を出している。人口100万人あたりの1日平均の感染数は4061.4人で世界第1位である。今週の死者数は4人になった。数は少ないが、人口100万人あたりの1日平均の死者数にすると5.8人で世界第18位である。ワクチンは先週より2500回ほど増えた。接種率は132.56%、完了率も62.06%でいずれもジブラルタルに次いで世界第2位である。

ロイターなどは、接種しても感染するウイルスがあることを指摘し(https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-seychelles-idJPKBN2CS269)、東京新聞などはバーレーンやチリの例を出し、中国製は効かないかもしれないと結論づけている(https://www.tokyo-np.co.jp/article/104623)。

ワクチン接種率の世界一の国ジブラルタルは今週の新規感染数は0である。2021年1月1日から8日の間には809人の感染が確認され順位も110位だったが毎週のように順位を落とし、5月14日では165位まで下がった。3月13日以降は週間新規感染数は一桁台で推移している。週間感染数が増えたのは3月12日、4月16日、5月7日の週のみで、残りの週は減少している。週間死者数も1月16日から22日の週の29人を最高に数を減らしている。3月23日を最後に死者の報告もない。ワクチン接種数は74,461回と少ないが接種率は221.07%に上り世界1位である。2回接種タイプのファイザーのワクチンを接種しているので、200%でジブラルタル市民全員が完了したことになるはずなので、200%を超えているというのはおかしい。ジブラルタルにはイギリスの軍事基地があるので、ジブラルタル市民ではないイギリス兵にも接種しているので、接種率が200%を超えたと考えられる。完了率は75.87%で、こちらも世界1位である。ジブラルタルでは1月10日からワクチンの接種が始まっている。接種開始以降順調に感染数を減らしていることがわかる。

接種率3位のフォークランド諸島は、2021感染数で204位である。5月8日から14日までの感染数は0である。これで3週連続感染数0である。また死者数は2020年から通して0である。ワクチン接種数は4月14日の時点で4,407であるがそれ以降報告がない。接種数率とも増えている可能性がある。フォークランド諸島は2月7日からアストラゼネカのワクチンを接種し始めたが、接種開始以降順調に感染数を減らしていると言える。

接種率4位のアラブ首長国連邦(UAE)は、2021感染数で38位である。5月8日から14日までの感染数は10,900件である。先週に比べ1,574件減少し、3週連続感で減少している。5月8日から14日までの死者数は19人である。先週に比べ1人減少した。それ以前は3週にわたり20人が続き、それ以前は9週連続で減少していた。減少を「勝ち」、増加を「負け」、同数を「引き分け」と例えるなら、9連勝の後、引き分け3つを挟んで、また勝利した、という感じになる。いかにも強そうではないか。5月8日から14日までのワクチン接種数は先週より20%ほど減らしたが、接種数は11,455,680と多く17位である。1月5日からファイザーとシノファーム、2月8日からアストラゼネカとスプートニクの接種を始めた。アラブ首長国連邦は1月29日を最高に感染数を順調に減らしている。

接種率5位のイスラエルは、2021感染数で32位である。5月8日から14日までの感染数は221件である。先週に比べ156件減少し、3週連続感で減少している。5月8日から14日までの死者数は5人である。先週に比べ7人減少した。5週連続で減少していた。5月8日から14日までのワクチン接種数は先週より20%ほど減らしたが、接種数は10,527,702で、19位である。12月19日からファイザー、1月7日からモデルナの接種を始めた。イスラエルは1月15日を最高に感染数を順調に減らしている。ファイザーは効かなかったが、モデルナは聞いたと言えるかもしれない。

接種率6位のサンマリノは、2021年感染数が2,655件で161位である。5月8日から14日までの感染数は16件である。先週に比べ15件増加した。しかしそれ以前は5週連続感で減少していた。5月8日から14日までの死者数は0人である。これで2週連続の0である。2021年は週間死者数5人以下をキープしている。5月8日から14日までのワクチン接種数は先週より50%以上増やした。2月27日からスプートニク、3月1日からファイザーの接種を始めた。ワクチン接種を始めた翌週から順調に感染数を減らしていると言える。


接種率7位のケイマン諸島は、2021年感染数が227件で196位である。5月8日から14日までの感染数は20件である。先週に比べ18件増加した。週間感染数は10人前後で落ち着いている。2021年は死者は確認されていない。5月8日から14日までのワクチン接種数は先週より少し減らした。12月26日からファイザーの接種を始めた。

接種率8位のバミューダは、2021年感染数が1,858件で171位である。5月8日から14日までの感染数は30件である。先週に比べ9件減少し、4週連続の減少である。5月8日から14日までの死者数は2人である。先週も2人であった。1月8日を最後に死者の報告がしばらくなかったが、4月5日から死者がで始めた。バミューダは2021年の死者数は22人であるが、90%にあたる20人が4月5日以降である。5月8日から14日までのワクチン接種数は5801人で先週より60%以上増やした。1月10日からファイザーの接種を始めた。接種を始めて最初の1ヶ月は感染数を順調に減らしていたが、それ以降は2021年最初の週の10倍以上の感染数があったので、ワクチンが効いたとは言い難い。

接種率9位のマルタは、2021年感染数が17,565件で115位である。5月8日から14日までの感染数は42件である。先週に比べ98件減少し、9週連続の減少である。5月8日から14日までの死者数は0人である。先週より1人減った。3月までは毎週10人ほどの死者を出していたが、4月以降は平均5人とかなり減らしている。5月8日から14日までのワクチン接種数は48,730回で、先週より60%以上増やした。EU加盟国なので、1月17日からファイザー、モデルナ、アストラゼネカの3種の接種を始めた。接種を始めて最初の1ヶ月は感染数を順調に減らしていたが、それ以降は2021年最初の週の2倍以上の感染数となったこともあった。しかし、3月12日以降は順調に感染数を減らしているので、ワクチンが効いたとは言いっても良いのではないか。


接種率10位のマン島は、2021年感染数が1,213件で181位である。5月8日から14日までの感染数は0件である。先週に比べ3件減少した。3月中は週刊感染数が3桁台になったこともあるが、4月以降は一桁台に落ち着いた。5月8日から14日までの死者数は0人である。これで6週連続で死者数0である。5月8日から14日までのワクチン接種数は1,964回で、先週より15%ほど減らした。1月21日からファイザー、2月10日からアストラゼネカの接種を始めた。アストラゼネカの接種を始めて最初の1ヶ月は感染数を順調に減らしていたが、それ以降は2021年最初の週の20倍以上の感染数となったこともあった。しかし、4月9日以降は順調に感染数を減らしているので、ワクチンが効いたとは言いっても良いのではないか。


イギリスの海外領土を除くと接種率7位のバーレーンは、2021年感染数で70位から65位に上がった。5月8日から14日までの感染数は11,071件である。先週に比べ1,602件減少した。3週連続の増加である。人口100万人あたりの1日平均に感染数も902.5人と第3位である。5月8日から14日までの死者数は58人である。先週より30人増えた。先週先々週と減少しているが、3月以降は基本的に毎週死者数が上昇している。5月8日から14日までのワクチン接種数は約10万回で、先週より10%ほど減らした。12月23日からファイザーとシノファーム、2月25日からスプートニク、2月25日からアストラゼネカの接種を始めた。スプートニクとアストラゼネカの接種を始めてから感染数増やしていると言える。


イギリスの海外領土を除くと接種率9位のモルジブは、2021年感染数で109位から100位と順位を上げた。今週の新規感染数は8,641(44位)であった。これは人口がモルジブの30倍あるバングラデシュと同じくらいの規模である。先週の2倍以上で、4週連続で上昇中である。人口100万人あたりの1日平均の感染数は2249.5人でセーシェルに次いで世界第2位である。今週の死者数は先週より1人増えて10人になった。数は少ないが、人口100万人あたりの1日平均の死者数にすると2.6人でインドと同じくらいである。今週のワクチン接種数は16,000回で、先週の約半分である。それでも接種率は80.76%(15位)と頗る高い。完了率も25.63%(20位)である。モルジブは2月2日からアストラゼネカを接種している。しかし、ワクチンが効いているかは疑わしい。

アルーバはオランダの海外領土である。2021年感染数が5,329件で145位である。5月8日から14日までの感染数は102件である。先週に比べ4件増加した。今週は増えたが、それ以前は6週連続で減少していた。5月8日から14日までの死者数は4人である。先週より一人増えた。2021年はずっと一桁台をキープしている。5月8日から14日までのワクチン接種数は7,282回で、先週より倍増した。3月29日からファイザーの接種を始めた。接種を始めた次の週から感染数は減少し出した。ワクチンが効いていると言いっても良いのではないか。

ワクチンの接種率が高い国では感染が収まるというわけではなさそうである。同様に、ワクチン接種数が多くても感染がおさまるとは言い切れない。今回調査した限りでは、東京新聞で指摘しているように、ワクチンによっては効かない変異株があることは間違いないと思われる。


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