ラムダ株についての統計


初めに

ここでは、新型コロナの2021年のさまざまな統計指標ををランキング形式で紹介していた。2021年の統計を始めた動機は、多くの新型コロナサイトが、2020年からの累計数と一日前あるいは1週間前の数しか出さず、今年になって急激に感染状況が悪化した国は、2020年の数が低いままなので、累計でも低く抑えられてしまい、現在の状態が正確に認識されていないのではないかと考えたからである。例えば、Worldmeter での日本は33位であり、2020年からの累計陽性件数は902,718件である。すぐ上の32位のポルトガルは966,041件で、日本より6万4千件ほど多い。しかし2021年のみの累計では、日本の668,323件に対しポルトガルは545,412件で、逆に12万3千件ほど少なくなっている。日本の人口はポルトガルの10倍あるので、日本の方がポルトガルよりも感染状況が悪いとは言えないが、ミスリーディングに近い。

しかし2021年も半年以上も経てば前半の累計が十分大きくなって、やはり最新の状況を十分に反映しきれなくなってきた。2021年累計では日本は28位であるが、七月だけを見れば115,596件の26位であり、累計11位、2021年13位のイタリアの90,119件よりも2万5千件も多い。

また、結構なデータの量も溜まったので、今後は、微積分学の手法を用いて、統計量の解析をしようと考えている。まずは、ラムダ株という変異株について、ちょっと気になったので、その統計をまとめてみた。


A1. ラムダ株とは

ラムダ株というのは、忽那賢志氏によると、2020年8月に南米のペルーで最初にみつかった変異株で、C.37 Lineage Report 2021.08.02(https://outbreak.info/situation-reports?pango=C.37)によれば、2021年8月2日の時点で以下に挙げた36の国と地域で確認されている。( )の数字は確認されたラムダ株の数である。

南米:チリ(1,137)、ペルー(894)、エクアドル(157)、アルゼンチン(104)、コロンビア(24)、ブラジル(6)、ウルグアイ(1)、ボリビア(1)

北米:アメリカ(817*)、メキシコ(154)、カナダ(20)、セントクリストファー・ネイビス(10)、ドミニカ共和国(4)、アルーバ(2)

西欧:スペイン(102)、ドイツ(96)、フランス(38)、スイス(17)、オランダ(12)、ベルギー(7)、イタリア(6)、ポルトガル(2)、アイルランド(3)、フィンランド(1)、ノルウェー(1)、デンマーク(6)、スウェーデン(2)、イギリス(8)

東欧:ラトビア(2)、エストニア(1)、ポーランド(1)

中東:イスラエル(25)

アフリカ:南アフリカ(4)

アジア:インド(4)、日本(1**)

オセアニア:オーストラリア(1)

* アメリカはプエルトリコの2を含む。
** 忽那氏のレポート(https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20210801-00249724)では、日本ではまだ見つかっていないとの記述がある。


今の所は南北アメリカとヨーロッパの一部で特に多く確認されている。南米では、エクアドル、ペルー、チリのアンデス山脈西側が特に多く、ペルーからの距離が大きいほど数は少なくなっている。アメリカでは、カリフォルニア(149)、フロリダ(133)、ニューヨーク(86)、ニュージャージー(39)、アラバマ(31)、メリーランド(31)、ワシントン(31)、テキサス(29)、アリゾナ(24)、ジョージア(22)と南部やニューヨーク近辺で発生が特に多く見られる。ヨーロッパではスペイン、ドイツ、フランスが特に多く、経済活動が原因で感染したのではないかと考えられる。


A2. ラムダ株の致死率は高くないかもしれない。

下の図は2021年にワクチン接種の始まった南米12ヵ国の感染図行列である。青の折れ線が新規陽性数を、緑の棒グラフが死者数を表している。右側の目盛りは死者数で、左側の新規陽性数の5%になっている。緑の棒グラフが青の折れ線よりも上になっている時は致死率が5%以上である。エクアドルとベネズエラは新規陽性数の上下動が激しいので、移動平均を用いている。各々の完全図は全ての株を含んだ値なので、ラムダ株の感染図ではなく、ラムダ株が発見された国の感染図である。

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ラムダ株の由来の地と思われているペルーでは、毎週緑の棒グラフが青の折れ線フラフを超えていることがわかる。つまりペルーでは致死率が5%を超えている。一方、他の国々では緑の棒グラフと青の折れ線グラフと交わることは少なく、チリやベネズエラではかなり大きなギャップがある。従って、ペルー以外の国では致死率が5%以下である。下のグラフは上記12ヵ国の2021年の致死率のグラフである。

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ペルーの致死率は8.8%でダントツに高く、世界第4位となっている。致死率の世界平均は2.01%であるが、パラグアイ、ブラジル、ボリビア、エクアドル、スリナム、コロンビア、ガイアナが平均以上、アルゼンチンとチリも平均に近い。エクアドルでもラムダ株が確認されており、ラムダ株の致死率が高いのではないかと危惧していると考えられる。

下の図は2020年と2021年の致死率を比較したものであるが、ラムダ株確認の報告のあった国では致死率を低下させている。

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エクアドルではほぼ4分の1となっている。感染図から、ラムダ株の感染拡大は2021年以降と考えられるので、ラムダ株は2020年に南米で流行していたもの、おそらくはブラジル由来のガンマ株よりは致死率が低い可能性はある。

同じ南米でも、仏領ギアナ、スリナム、ベネズエラ、ウルグアイでは致死率が増加している。これら4国はラムダ株がほとんど確認されていない。そうだとすれば、

ペルーでは1月は新規陽性数が急増している。2月に入って、横ばいからやや減少傾向であるが、3月になるとまた増え出し、4月に入ってまた横ばいになって、4月末からは、途中多少の増加はあるが、全体的に減少している。7月末の新規陽性数は今年初めの新規陽性数よりも少なくなった。

他の南米の感染図を見れば、大体1、2月は減少傾向、3月から上昇傾向になる。エクアドル、ガイアナ、スリナム、ボリビアは一度ピークに達してからは減少傾向になった。コロンビア、ベネズエラ、ブラジル、パラグアイはいったん横ばいになってからまた上昇、チリ、アルゼンチン、ウルグアイは一度大きく減少してから再び上昇した。いずれのケースも6月11日頃にピークになり、以降は減少している。

ラムダ株がWHOの「注目すべき変異ウイルス」リストに加えられたのは6月14日である。リストに加えられる前は、例えば、ペルーでは毎日約7千人の新規陽性数が確認されていたので、脅威として見られていただろうが、リストに加えられたあとは、減少の一途である。

このことから、ラムダ株の南米での拡大はひとまず収まったと考えられる。しかし、ラムダ株はアメリカやメキシコ、スペイン、ドイツ、フランス、イスラエルなどで多数確認されている。下の図はこの6国の感染図である。いずれの国もちょうど6月から新規陽性数が急増している。現在はまだこれらの国で確認されたラムダ株の数は少ないが、これから増えてくるかもしれない。

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また、前回指摘したように、中米カリブ海で急激な感染拡大が起きている。サンバルテルミー、バージン諸島(英)、マルティニクでは今週の人口100万人あたりの新規陽性数が1000人を超えている。キューバは6月はじめから新規陽性数が増え始め、2021年の陽性数のうち60%が6月7月に集中している。また、致死率は昨年より減少している。今のところ、セントクリストファー・ネイビス、ドミニカ共和国、アルーバでしか確認されていないが、南米から距離が近いので、ラムダ株が原因の可能性もある。

A3. ラムダ株にワクチンは効くのか

次のグラフは7月30日時点での南米でのワクチン接種率である。

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南米は結構早くからワクチン接種を実施してきたので、接種率は高めである。チリとウルグアイでは接種率が70%を超えている。

接種開始日と接種ワクチンは以下の通りである。

アルゼンチン(12月29日)スプートニク、アストラゼネカ、シノファーム
ボリビア(1月28日)スプートニク、アストラゼネカ、シノファーム、ファイザー
ブラジル(1月16日)シノバック、アストラゼネカ、ファイザー、ジョンソン
チリ(12月24日)ファイザー、シノバック、アストラゼネカ、カンシノ
コロンビア(2月17日)ファイザー、シノバック、アストラゼネカ、
エクアドル(1月21日)ファイザー、シノバック、アストラゼネカ、
仏領ギアナ(未接種)
ガイアナ(2月11日)アストラゼネカ、スプートニク
パラグアイ(2月21日)スプートニク、シノバック、シノファーム、アストラゼネカ、バーラト
ペルー(2月9日)ファイザー、シノバック、アストラゼネカ
スリナム(2月22日)アストラゼネカ
ウルグアイ(2月27日)ファイザー、シノバック、アストラゼネカ
ベネズエラ(2月17日)スプートニク、シノファーム

スプートニク接種国が5国、シノファームまたはシノバック接種国が10ヵ国とロシア系中国系の比率が高い。どのワクチンをどれだけ接種しているかという統計はチリのものしかないが、参考になると思うので載せておく。

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チリではシノバックが70%以上を占めている。

感染図において縦の赤い実線がシノファーム、破線がシノバックの接種開始時期である。ラムダ株の感染率が高い、エクアドル、ペルー、チリでは、シノファームまたはシノバック接種開始後8週間程で新規陽性数が減少傾向になる。チリはその後増加に転じるが、やがて減少にもどる。ちょうど二回目の減少の時にカンシノを追加している。また、ブラジル、ボリビア、パラグアイ、アルゼンチン、ウルグアイでも同じような傾向を示す。ここから、シノファーム、シノバックはラムダ株には効くのではないかという見方も出てくる。しかし、3国ともシノファーム、シノバック以外のワクチンを接種しているので、それらの効果かもしれない。接種を開始していない仏領ギアナや中国製ワクチンを接種していないガイアナやスリナムでも6月以降は減少傾向なので、ワクチンとは関係なしに、南米全域で感染が収まりつつあるのかもしれない。

B. 感染の増加の勢いが増えた。

世界の7月24日から30日までの新規陽性数は409万2,338件で、2021年の累計感染数は1億1349万4415件になった。新規陽性数は6週連続増加中である。新規陽性数が400万件を超えたのは5月21日の週以来、ほぼ2ヶ月ぶりである。新規陽性数は先週の9.4%増である。増加率も先週より高くなった。増加率は先週、8週連続で上昇していたものがストップしたが、また上昇し出した。

次のグラフは2021年の累計陽性数ランキング上位50ヵ国の累計陽性数である。( )内の数字が順位である。↑は順位が上がったこと、↓は順位が下がったことを示す。⬆︎⬇︎は3位以上の上下を示す。先週予想した通り、イギリスとインドネシアはさらに順位を上げた。

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上位50位では他にフィリピン、イラク、マレーシア、バングラデシュ、日本、タイ、チュニジア、カザフスタン、キューバで順位が上がっている。順位の上がった11ヵ国中8ヵ国がアジアである。どちらかというとインドの東側が多い。A章で言及した南米は新規陽性数を下げているので、アルゼンチン、ペルー、チリ、ウルグアイ、パラグアイ、ボリビアで順位を下げた。他に、イラン、イタリア、チェコ、スウェーデン、ポルトガル、パキスタン、ヨルダン、イスラエル、セルビア、レバノンでも順位を下げている。インドより西のアジアとヨーロッパばかりである。

日本の7月24日から30日までの新規陽性数は4万4919件で、2021年の累計感染数は66万8328件になった。新規陽性数は5週連続増加中である。新規陽性数が4万件を超えたのは5月14日の週以来、ほぼ2ヶ月ぶりである。新規陽性数は先週の68.8%増である、増加率は7週連続で上昇中である。


B2. 新規陽性数はアメリカで急増

下のグラフは2021年の累計陽性数ランキング上位50ヵ国の。7月24日から30日までの新規陽性数である。( )内の数字は2021年累計陽性数の順位である。

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先週久しぶりにアメリカがインドを抜いて1週間の新規陽性数で世界1位になったが、今週はさらにその勢いを増した。インドネシアも勢いががインド、ブラジルを上回り世界第2位になった。累計で24位のマレーシアや、30位のタイが、新規ではそれぞれ11位、12位と、高くなっている。両国とも日本の新規陽性数の倍以上になっている。また、ベトナム、モロッコ、ミャンマー、ジョージア、モザンビークなど累計では50位以下の国も新規では50位以内になる。

しかし、インドネシアやイギリスでは新規陽性数が先週より減少した。


リベリア、アンギラ、グレナダ、サンピエールミケロンで新規陽性数が0件になった。リベリアは今週の報告をしていない可能性が高い。一方、南スーダン、サンバルテルミー、タンザニア、オマーンで新規陽性数が0件でなくなった。オマーンと南スーダンは先週指摘した通り、先週の分を今週の分に上乗せしていると思われる。タンザニアは、これまで2021年の累計陽性数が0であったが、とうとう陽性者を出してしまった。これで、新規陽性数が0件の国は29ヵ国のままである。このうち13が2020年度から0であり、3国が2021年が0である。


B3. カリブ海諸国で感染拡大中、ラムダ株か?

世界の人口100万人あたりの1日平均の陽性数は75.1件で、前週より7.2件増加した。今週は76ヵ国でこの数字が100以上になっている。そのうち5ヵ国で1000以上となっている。例えば東京では7月24日から30日の間に17,510件の新規陽性数があった。平均すると1日2,500人になる。東京の人口が約1396万人なので、人口100万人あたりに換算すると179.2件となる。1位のサンバルテルミーはこの数字が2700人を超えており、東京のおよそ15倍の密度で陽性者が出ている計算になる。サンバルテルミーはカリブ海のフランスの海外領土で人口は1万人弱である。そこで、9週間ぶりに新規陽性が出たと思ったら、一気に190人もいた。ワクチン未接種国なので、陽性数は今後増える恐れがある。2021年の死者数は0であるが、死者も出てくるかもしれない。すぐ南に位置するアンティグ・アバーブータではラムダ株が確認されているので、ここでも発生している可能性はある。

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C1. 死者数もまた増えて出した

世界の7月24日から30日までの死者数は6万3235件件で、2021年の累計感染数は228万233件になった。死者数は4週連続増加中であるで、先週の9.4%増である。増加率も先週より高くなった。

次のグラフは2021年の死者数上位50ヵ国とその7月24日から30日までの死者数である。( )内の数字は累計陽性数での順位である。ブラジル、ペルー、メキシコは、陽性数の順位の割に、死者数の順位が高い。ペルー、メキシコ、アルゼンチンは死者数ランキングの順位を下げた。替わって、ロシアとインドネシアが順位を上げた。死者数の順位を上げたところは、イラン、チリ、フィリピン、バングラデシュ、マレーシア、ミャンマー、イラクで、チリ以外は全て陽性数順位も上昇している。タイの死者数ランクは51位でこのリストにはないが、先週よりも5つ順位を上げた。死者数も増え続けているので、来週はさらに順位を上げるだろう。

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チリは今週の死者数を先週よりも減少させているにもかかわらず、順位が上がった。これは、チリと入れ替わったチェコの今週の死者数が6人とチリの僅か1.2%しかなかったからである。
チェコ同様、ポーランド、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、スロバキア、ボスニア・ヘルツェゴビナなど、やや西寄りの東欧で今週の死者数が20人以下と激減している。


C2. 今週の死者数

次のグラフは今週の死者数の上位50ヵ国である。

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インドネシアの死者数がブラジルを抜いて世界1位になった。これで9週連続の増加である。死者数の増加率は減少しており、また、新規陽性数は減少を開始しているので、2、3週間後には死者数も減少に転じると推測される。ブラジルは6週連続で死者数を減らしている。減少率は毎週10%程度と大きい。ロシアは微増であるがこれで8週連続の増加である。インドは先週まで9週連続で死者数を減らしてきたが、今週は増加になった。インドは先週ワクチンの接種回数を減らしたので、先週指摘した「ワクチンの接種回数を減らせば感染拡大する」の法則通となった形である。今週は先週よりも大幅に接種回数を増やしたので、来週は減少に転じる可能性が高い。アメリカも死者数を増やした。

ペルーでは今週の死者数は先週より80%減少させ、ランク外となったが、おそらく報告が遅れているだけで、来週は結構な数になるのではないか。しかし、全体的にはペルーの死者数は減少傾向である。

日本の7月24日から30日までの死者数は67人で、2021年の累計感染数は1万1713人になった。死者数は10週連続減少中である。新規陽性数増加中なので、先週「来週にも死者数が増える可能性がある」と書いたが、そうならなかった。良いことではあるが、油断は禁物である。


今週はモーリシャス、アンティグア・バーブータ、ニジェール、パプアニューギニア、ノルウェー、カメルーン、コソボで死者数が0となった。スーダンなど49ヵ国は引き続き死者数0を続けている。タンザニアなど3ヵ国は2021年の死者数が0を維持している。北朝鮮など14国は2020年からの累計でも死者数が0である。タンザニアは2021年の死者数はまだ0であるが、今週大量の陽性者が確認され、またワクチン接種率も低いので、2、3週間後の死者が出る可能性がある。

一方、ブルンジ、シンガポール、アンドラ、ベナン、ジブチ、エストニア、アルバニア、南スーダン、スウェーデン、マルタ、フィンランド、ベリーズ、マルティニク、ソマリア、オマーンで死者数が0でなくなった。ソマリアとオマーンは死者数の時系列グラフから、何らかの理由で先週分を今週に発表したと考えられる。マルティニクは12人の死者が出たほかは、一人から数人の死者がでた。


12人の死者が出たマルティニクは3週間ほど前から新規陽性数が急増している。ここ3週間の新規陽性数は、2021年の新規陽性数の半分以上を占める。人口100万人あたりの一日平均の1300人以上で増加中である。またフランスの海外領土なのでワクチン未接種である。それゆえ、今後陽性数も死者数が増えると予測される。近隣のバージン諸島では6週間前に発生した感染爆発のピークが過ぎたので、もしかしたら、来週か再来週にはピークが過ぎる可能性もある。今の所ラムダ株確認の報告はないが、すぐ北にあるアンティグア・バーブータではラムダ株が確認されている。


C3. 人口100万人当たりの死者数

世界の人口100万人あたりの1日平均の死者数は1.19人で、前週より0.17人増加した。今週は40ヵ国でこの数字が2人以上になっている。そのうち4ヵ国で10以上となっている。上位50ヵ国は次のグラフの通りである。

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1位のバージン諸島は37.53人であるが死者数は8人であった。バージン諸島はカリブ海にあるイギリスの海外領土で、先に言及したマルティニークやサンバルテルミーに近いところにある。バージン諸島では6月末から感染爆発が発生した。6月19日から7月30日までの陽性数は2,252件で2021年の陽性数の90%以上をこの6週間発生させている。しかし、ピークはもう過ぎたと思われる。死者は陽性数が確認されてから2週間後に出ており、死者のピークも過ぎたと考えられる。

バージン諸島以外の人口100万人あたりの1日平均の死者数10人以上は、チュニジア、ナミビア、ボツワナと全てアフリカである。ナミビアは先週より減らしたが、チュニジアとボツワナは増やした。


D4. ツベルクリン予防接種で致死率が上がる


世界の7月30日の致死率は2.01%で先週より0.02ポイント下がった。これで5週連続の減少である。しかし、陽性になったからといってすぐに亡くなるわけではないので、一般的に、陽性数が増え始めても、しばらくの間は死者数はそれほど増えない、減少する時もある。分母の増加の方が大きいので、率は減少する。しかし数週間経つと死者数も増え出すので、今後は致死率も上昇してくると考えられる。

次のグラフは致死率上位50ヵ国である。ペルー以外のラムダ株発生国は出てこない。致死率はウイルスの種類よりもその国の医療施設の充実度によるところが大きい。従って、いわゆる後進国が多い。先進国は台湾、ロシア、ドイツだけである。

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1年以上前に。ツベルクリン予防接種と新型コロナについて、調べたことをまとめたが、その時の結論は、日本型あるいは旧ソ連型のツベルクリンの予防接種をしている国では死者数が少なくなるだろう、であった。下のグラフは、ヨーロッパの主要国の今年と昨年同期の致死率の比較である。青が昨年、緑が今年の致死率である。

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ドイツは、昨年の同じ時期の致死率は4.38%で、ドイツより低いところはポルトガルとオーストリアだけであったが、しかし、今年に入ってからはすっかり逆転され、ドイツは2.86%と逆に西ヨーロッパでは一番高くなった。

ヨーロッパでは昨年、中国原種株が流行していた。当時はワクチンも特効薬もなく、医師や看護師のノウハウも0で致死率が非常に高かった。ドイツでの致死率が低かったのは、おそらく医療施設の充実が挙げられると思う。いわゆるリテラなどの反日系メディアやコメンテーターはこの致死率を出してきて、ドイツの医療はヨーロッパで優秀である、しかし日本はアジアでは最悪だど、日本を不当に貶めていた。ちなみに日本の致死率は今年は1.75%、昨年同期で2.93%である。

ドイツと同じくロシア、東欧圏でも致死率が高い。ツベルクリンの予防接種はもしかしたら中国原種株には効くかもしれないが、今流行していると思われるデルタ株については全く効かない、むしろ悪化させているようにも思える。


D. ワクチン接種完了者は10億人を超えた

ワクチン接種数はアメリカ時間の毎週土曜日午後5時頃、Github の国別サイトから、それぞれの表の一番下の数字を機械的に拾って作成している。多くの国では土曜日に金曜日の数字を報告するが、たまに、木曜日や月曜日の数字を出していると国地域もあるので、純粋に金曜日の数字ではない。しかし、その時に判明した最新の数字ではある。次の週に、前週の金曜日の数値を出しているところも多いが、特に修正はせず、常に土曜日の5時頃の一番下の値を拾っている。

しかし、中には、過去の数字を修正するところがある。そのような場合は、修正された数字が下の数字とあまり差ない場合、こちらもひっそりと修正するが、数が減るなど、お大規模な修正と思われる時はの時は、修正されたと本文に書いておく。今週はアルメニアとハンガリー、パラグアイで結構な修正があった。

下のグラフは7月30日までのワクチン接種上位50ヵ国である。( )の数字が累計陽性数の順位である。

7月24日から30日の間に、2億6292万4758回の接種がが行われ、総接種回数は40億9586万5810回となった。今週の接種回数は先週に比べ4200万回以上増えた。少なくとも一回ワクチンを接種した者の数は9317万7944人増えて、22億1093万2413人となった。接種率は28.20%になった。中国などいくつかの国では接種人数を発表していないので、接種率はこの数字よりは高く、30%を超えているものと思われる。ワクチン接種を完了した者は11億3127万8097人で、割合は14.43%である。

これらの国の7月24日から30日までのワクチン接種回数は次の通りである。中国の接種回数は先週よりも1億回以上増加した。ここしばらく接種回数を減らしていたのだが、陽性数急増を受けて、接種回数を増やしたものと思われる。今週2位のインドの接種回数はここ2ヶ月ほど3000万回程度を続けている。しかし接種率は26%である。完了率は7%と10%に満たない。3位の日本は今週1000万回以上の接種を実施しそうワクチン接種回数で7位になった。接種率も38%、完了率は28%とだいぶ上がってきた。

C1. 新規に接種を始めたところはなし

今週新たにワクチン接種が始まった国や地域はなかった。ワクチン接種が実施されていない国は19となった。そのうち12カ国地域で2021年に陽性数が少なくとも1件確認されている。レユニオン、仏領ギアナ、マヨットのフランス海外領土は累計陽性数が1万件以上ある。


C2. ワクチン接種を減らすをすると、陽性数が増える

先週2週間以上ワクチン接種が滞っている可能性があると指摘した21ヵ国のうち、次の9ヶ国で接種が再開された。国名の後の数字は接種停止期間前後の人口100万人あたりの1日平均の陽性数と接種回数の変化、接種ワクチン。

アルジェリア 0.2→34.0 2,425,000ー>921,279 フスプートニク、シノファーム、シノバック、アストラゼネカ

ボスニア・ヘルツェゴビナ 4.3→10.3 13,697→1,309,433 アストラゼネカ、ファイザー、シノバック、スプートニク

コモロ 3.5→1.9 6,520→35,080 アストラゼネカ、バーラト、シノファーム

キルギス 119.6→149.9 81,477→38,122 シノファーム、スプートニク

レソト、6.7→15.1 19,563ー>16,626 アストラゼネカ

マラウィー、8.6→33.0 677→75,788 アストラゼネカ

コソボ、3.8→22.9 64,399→144,645 アストラゼネカ

ピトケアン、0.0→0.0 47→30 アストラゼネカ

クック諸島、0.0→0.0 1,386→1,567 アストラゼネカ


アルジェリアは7週間ぶり、キルギスが4週間ぶり、ピトケアンが9週間ぶりである。他は2、3週間ぶりである。コモロとピトケアン以外は接種を停止している間に新規陽性数が増加している。先週接種再開された国でも、その半数で接種停止期間中に陽性数が増加している。毎週のワクチン接種数を減らすと、陽性数が増えるという法則があるので、接種しない期間は短い方が望ましい。クック諸島は7月20日に接種再開したので、本来なら、7/23 号に載せるべきだが、この数字が更新されたのは7月30日にだったので、先週の分に載せられなかった。

シノファームはアフリカなどで、接種率の低い、人口100万人あたりの一日平均の陽性数の低いところを狙って、ワクチンを提供を開始しているようだが、マラウィーとレソトは一日平均の陽性数が高く、断念したしたのではないか。またキルギスとアルジェリアでは接種回数が減少しているので、もしかしたら、シノファームの提供を停止しているかもしれない。

また、次の14の国と地域ではワクチン接種が再開されなかった。

オランダカリブ海諸島、ジブチ*、フォークランド諸島、イラン*、クウェート、マダガスカル、マリ、ミャンマー*、ニジェール*、セントヘレナ、シエラレオネ*、パラオ、トルクメニスタン、ツバル

また次の9国で、ワクチン接種が止まったようだ。

ガンビア*、リベリア、ナイジェリア、ルワンダ、ソマリア***、シリア*、ベネズエラ*、北キプロス**、ニウエ、

*の一つついたところがシノファーム、2つがシノバック、3つが両方を接種しているところである。現在シノファームを接種していない、マダガスカル、マリ、ナイジェリア、リベリアは人口100万人あたりの一日平均の陽性数がほぼ0であるから。来週あるいは再来週あた理にシノファームを接種開始しているかもしれない。

C3. 今週はモデルナのワクチンの人気が高い

最新のワクチンブランド別勢力は次の通りである。複数のブランドを接種していることがあるので合計は217にはならない。

アストラゼネカ 176 
ファイザー 103 
モデルナ 55 +4
スプートニク 49 +1
シノファーム(北京) 62 +1
シノバック 38 +2
その他中国製 8
ジョンソン 33
バーラト 6
その他 5

C4. ワクチン接種率が%未満の国での接種率が伸びないのか陽性数が低いから

次のグラフは、接種率が2%未満の国である。ブルンジからケニアまで、49ヵ国ある。マラウィは先週は2%未満であったが今週は2%を超えた。49ヵ国中、約60%の29ヵ国がアフリカである。いまだに接種を開始ていない国は北朝鮮など19ヵ国ある。南スーダン、トルクメニスタン、シリア*、マダガスカル、マリ、ソマリア*、シエラレオネ*、ギニアビザウ*、ナイジェリア、ジブチ*、ガンビア*、スーダン*、ニジェール*、リベリア、イラクでも今週の接種回数が0である。ハイチ、ベナン*、コンゴ民主共和国、チャド*、ブルキナファソ、中央アフリカは接種をしても数千人台で止まっている。全てがアストラゼネカ接種国で、*のついたところは中国製ワクチンを接種している。

先ごろ、WHOがアメリカに対し追加接種を見合わせるように勧告した(https://news.yahoo.co.jp/articles/b1eb38861c0aa86329d18584cdf63fa1b5fa2660)。AFPの集計では、所得水準が低い国では接種率が1.7%、高所得の国では101%と100%を超えている。
しかし、接種率2%未満の人口100万人あたりの一日平均の陽性数は18人となっている。これに対し、接種率が60%を超える国の人口100万人あたりの一日平均の陽性数は203人であり。どちらの国たちにより多くの対策を向けるか、といえば感染数の高いところにワクチンを集中した方が効果的なのではないか?


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