COVID-19 QR 2/11 規制緩和で感染拡大の恐れ
世界の22年6週(2/5-11)の陽性件数は 1702万1778件で、22年1週以来5週間ぶりに陽性件数が2000万人台を下回った。これで22年の陽性件数は1億1922万3645件となった。また、前週比 20.5%の大幅減少となった。減少率も大きくなっているので、しばらくは陽性件数の減少が続くと見込まれる。世界の大部分で陽性件数は減少傾向であるが、アジア東、ヨーロッパ東、オセアニアで陽性件数が増加している国地域が多い。
同じく死者数は7万6,616人であった。5週連続の増加となった。伸び率は22年2週から5週までほぼ15%前後であったが今週は1.1%とかなり小さくなった。死者数は増加中の国が多く、特にアジア東、ヨーロッパ東、オーストラリアを除くオセアニアで死者数の伸び率が高くなっている。したがって、今週の伸び率低下は一時的なものであり、来週は再び伸び率が上がる可能性も考えられる。
A. 感染の中心は東南アジアに移動
イギリスで陽性件数と死者数の大規模な訂正があった。22年5週の陽性件数は135万6025件から70万3396件とほぼ半減し、22年1週は125万1653件から25%増の151万4327件となった。従って、イギリスでの1週間の最高陽性件数も22年1週となった。22年の連続増減週数は変わらない。死者数も陽性件数同様、5週目で減り1週目が増えた。20年21年もほぼ全ての週で陽性件数と死者数が修正され、イギリスの21年の陽性件数は39万8667件増えて1085万1616件に、死者数は544人増え7万5547人となった。その結果、世界の22年の陽性件数、死者数が微減となった。
次の表は22年の陽性件数上位20国地域の感染状況である
次の表は22年6週の陽性件数上位20国地域の感染状況である
今週は61国地域で陽性件数が増加した。サンマルタンとサンバルテルミーは伸び率無限大であるが、先週の陽性件数を発表していないからであり、今週分が先週分も含んでいると考えられうので、実質減少中である。伸び率最大はトンガの883%である。トンガを含め18国地域で伸び率が100%以上となった。多くは陽性件数が1万件以下であるが、インドネシア、韓国、マレーシアで10万件以上あった。オランダや日本など21国地域で今週の陽性件数が過去最高を記録した。陽性件数が増加した国の数も過去最高を記録する国の数もかなり減ってきた。
陽性件数が減少した国地域は153あり、そのうちフォークランド、サモア、モンセラート、エルサルバドルで今週の陽性件数が0に、ガンビア、赤道ギニアなどアフリカを中心に世界の30国地域で半分以下になった。バヌアツ、ウォリスフツナ、ミクロネシア、マカオ、セントヘレナで22年の陽性件数が0である。西サハラは21年から22年にかけて、北朝鮮など8国地域で20年からずっと陽性件数が0である。
下のグラフは、大陸別の22年1期の陽性件数の推移である。
ピンクが今週の陽性件数、青が先週までの陽性件数を表している。今週はアジア東とヨーロッパ東で陽性件数が増えている。下の地図は22年6週の陽性件数のトレンドである。
先週は減少ストップと増加ストップを一つのカテゴリにしたが、今週はそれらを別々にした。減少ストップの国地域は黄色に、増加ストップは薄橙色に塗った。減少ストップは今まで減少中(薄青、青、緑)だったが今週は増加するなど減少が止まったと考えられるところで、過去のデータでは来週以降増加に転じるところも少なくない。
アジア東で赤く塗られたところが多くなっている。今週は日本、韓国、インドネシア、ベトナム、マレーシアで10万件以上の陽性件数があった。日本は伸び率が小さくなっているので、来週以降は減少に転じると思われるが、インドネシアは伸び率は下がっているが依然として100%以上あり、韓国、ベトナム、マレーシアでは伸び率が上がっている。タイやシンガポールでも陽性件数が増え、かつ、伸び率が大きくなっている。これらの国は今後1ヶ月以上陽性件数の増加が続くと考えられる。
ヨーロッパ東は先週は赤が多かったが今週は橙や薄橙になった、つまり、陽性件数は増えてはいるがその伸び率が小さくなってきている国や今週は減少に転じた国が増えた。今週の要請件数が10万を超えた国の中では、ポーランド、チェコ、ルーマニアで陽性件数が減少に転じ、ロシア、ウクライナ、ジョージア、スロバキアでは伸び率は下がった。これらの国も来週あるいは再来週くらいには減少に転じると考えられる。ロシアは今週の陽性件数が127万9029件でアメリカ、ドイツに次いで世界3位である。アメリカは陽性件数が減少中で、ドイツは伸び率が下がっているので来週は減少に転じる可能性が高いので、来週はロシアが世界で1番多く陽性件数を出す国になるだろう。
アジア中ではアフガニスタン、ミャンマー、スリランカで陽性件数が増加中である。アフガニスタンは隣国イランから、ミャンマーとスリランカは近隣のタイやマレーシアから、ウイルスが移動してきたと思われる。アジア西では、陽性件数の多いヨルダン、イラン、トルコが増加中でペースアップしていたが、トルコでは、陽性件数が減少し、ヨルダンとイランでは伸び率が小さくなった。しかし、一時的な減少で、来週は再び増加に転じると思われる。
ヨーロッパ西ではアイルランド、ドイツ、オランダ、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、アイスランドで陽性件数が増加中であるが、オランダを除いてそのペースはダウンしている。
アフリカ南ではレユニオンの22年の陽性件数が南アフリカより多くなった。アフリカ全体でも、チュニジア、モロッコに次いで3番目に多い。人口100万人あたりでは1日平均4738件になり、アフリカでは一番多く、世界でもフェロー諸島、デンマーク、イスラエルに次いで4番目に多い。ただし、レユニオンでは陽性件数が減少傾向になった。また、コモロ、モーリシャス、マダガスカルなど島国で増加し、伸び率も上がっている。逆に大陸ではレソト以外は陽性件数減少中である。しかし、多くに国地域で現象がペースダウンしている。このままでは、下げ止まりになって、いつまでも感染が終わらない。あるいは、再び陽性件数増加という可能性もある。
アフリカ西ではシエラレオネ、リベリア、ニジェール、ベナン、コンゴ、コートジボワールで今週急増した。
アメリカ南では、チリで陽性件数の増加が続いているが、伸び率は下がっている。またエクアドルでは今週突然陽性件数が増えた。アメリカ北ではグリーンランドで陽性件数が急増し、ニカラグアとグアテマラで増加が続いている。カリブ海では、トリニダードトバゴで減少が思うように進まない。減ったり増えたりを繰り返し、今週は増える番であった。アンギラ、英領バージン諸島、アンティグアバーブーダでは今週急増となった。
地図では分かりにくいが、オセアニアでも前述のトンガ、パプアニューギニア、キリバス、ニュージーランド、仏領ポリネシア、ニューカレドニアで陽性件数が増加している。
B. アジア東、アジア西、ヨーロッパ東で死者数が急増中
キリバスで初の新型コロナが原因の死者が出た。キリバスは22年4週に初の陽性患者を出したばかりである。東ティモール、仏領ポリネシは15週間ぶり、香港が20週間ぶり、モンセラートが93週間ぶりと、長らく死者と無縁だったところでも死者も出ている。
次の表は22年の死者数上位20国地域の感染状況である
次の表は22年6週の陽性件数上位20国地域の感染状況である
今週は世界で109の国と地域で死者数が増加した。日本など38国地域で伸び率が100%以上であった。このうち、12国地域は伸び率が無限大である。これら伸び率無限大の国は2~3週間に一人の割合で亡くなるところが多いが、コンゴ民主では一気に38人が亡くなった。過去2週間死者数の発表がなかったので、それらの週の分も含んでいると考えられ、平均すれば13人前後となる。これならば、コンゴ民主の死者数が減少中であると言える。伸び率が高いところは死者数が少ないところが多いのだが、インドネシア、イラン、日本、エクアドル、チリで100人以上の死者を出している。
死者数が減少した国地域は79あった。ガボンなど今数の死者数が0になった。ザンビア、モザンビーク、ホンジュラスなど18国地域で死者数が半減した。ブルンジやブルネイなど9国地域で22年の死者数0が続いている。西サハラでは21~22年の死者数が0である。また、北朝鮮など16国地域で20年からの死者数が0である。
22年1期の致死率は0.31%と少し上昇した。20年からの累計では1.4%である。下の表は致死率の高い国上位20国である。
先週ヨーロッパ東で死者数が増えると予想したが、実際、22年6週は死者数が前週比で10.9%増加した。ヨーロッパ東23国中16国で死者数が増加した。22年6週の死者数が最も多かったのはロシアで4774人であった。前週比3.9%の増加である。ロシアはこれまで10週連続で死者数を減少させていたが、それが止まった。ロシアの他、エストニア、ジョージア、モルドバ、ウクライナ、コソボで死者数が増え、その増加ペースも上がっている。
下のグラフは、大陸別の22年1期の死者数の変遷である。
これを見ると、ヨーロッパ東だけでなく、アジア東、アジア西、アフリカ東、アメリカ南でも死者数が増えている。
アジア東で死者数の最も多いベトナムでは減少中である。インドネシアと日本が増加率100%以上で死者数が増えている。日本は21年20週(5/15-21)の791人を超えて、過去最高となった。しかし両国とも伸び率が下がっているので、2~3週間後には減少に転じると思われる。マレーシア、タイ、韓国、フィリピンでは死者数が減少していたがそれが止まった。フィリピン以外は陽性件数が増えているので、死者数も増えると思われる。
アジア西では死者数の多いトルコ、イラン、イラク、ヨルダンで死者数が増え、そのペースも上がっている。イスラエルも先週までは死者数が増え、そのペースも上がっていたが、今週は減少した。アフリカ東ではエジプト、スーダン、リビア、エチオピアの死者数が多い国で死者数が増えた。アフリカ西で死者数の1番多いチュニジアで死者数が増えた。2、3番目のモロッコとアルジェリアでは減少した。南アフリカで死者数が増えた。これで3週連続である。22年の陽性件数は65位であるが死者数では18位と、想定される数より多い。南アフリカの隣接国であるエスワティニ、レソト、ナミビア、マラウィ、ボツワナでも死者数が増えている。
ヨーロッパ西ではフランス、スペイン、ドイツ、オランダ、デンマークで先週死者数が減少したにもかかわらず、今週は一転増加となった。ノルウェー、スイス、ベルギー、スペインでは死者数が増加しているだけでなく伸び率も上がっている。
アメリカ北では中米で死者数が増えているが、今週は死者数が減ったり、伸び率が小さくなった。カリブ海では約半数で死者数が増えたが、ほとんどが数人である。死者数の多い、トリニダードトバゴ、ジャマイカ、キューバでは大きく減少した。アメリカ南ではベネズエラ、パラグアイ、ブラジルで死者数が増加しているが伸び率は下がっている。しかし、エクアドルとチリで死者数が増え、伸び率も上がっている。
オセアニアで死者数の90%を占めるオーストラリアで死者数が減少しているので、全体的に減少しているが、パプアニューギニア、ソロモン諸島で大きく増えている。ソロモン諸島は22年2週に5ヶ月ぶりの感染者が一人出たと思ったら4週間で累計4500人以上と急増した。4週に初めての死者が出たばかりである。キリバスとパラオでは今週初の死者がでたた。陽性件数が急増しているので、ソロモン諸島のように死者が増える可能性もある。他の島でも同じような状況になる可能性がある。
次のグラフは、21年40週(10/2-8)からの世界の感染図である。
青の折れ線グラフが毎週の陽性件数を、緑の棒グラフが毎週の死者数を表している。死者数のスケールは陽性件数の0.5%にした。これは折れ線グラフが棒グラフの下にいる間は、致死率が0.5%以上であることを意味している。
世界の陽性件数は21年50週から急増し、22年4週でピークを迎えた。一方、死者数は22年1週から増加が始まった。一般に死者数は陽性件数が増加を始めてから1~3週遅れで増加が始まり、陽性件数がピークを迎えてから2~4週後にピークになる。したがって、世界の死者数は、早ければ今週が、遅くとも来週あたりにピークとなると考えられる。
下のグラフは南アフリカの感染図である。
南アフリカでは陽性件数が50週でピークになってから4週間後に死者数が一旦ピークになった。その後陽性件数は順調に減少を続けるが死者数はそれほど減少せず、5週目からは再び死者数が増加した。また致死率も上がった。陽性件数が減少に転じた直後も死者数が増加することはよくあるが、陽性件数減少傾向になってから5週目以降になって死者数が増加するのは非常に珍しい。
まず考えられることは、前回述べたように、オミクロン株では死に至るまでに長くかかるかもしれないということである。21年末に感染した患者が今頃亡くなっている可能性が考えられる。感染数は多いので、今後亡くなる人がさらに増える可能性がある。
また、致死力の強い新たな変異株が出現した可能性も考えられる。南アフリカの土着株かもしれないが、南アフリカ以外から入ってきた可能性もある。南アフリカでは22年3週から、陽性件数の減少のペースが落ちた。その後死者数が増え出した。オミクロン株の感染者数は大きく減少しているが、新しい株の感染者が増加しているので、減少のペースが落ちている可能性がある。もし、新しい変異株が発生していた場合、南アフリカでは、これから陽性件数も死者数も増加すると考えられる。
世界の陽性件数のグラフは南アフリカほど尖っていないが、両方ともオミクロン株が主な原因なので、急増して急減する点は同じである。したがって南アフリカのように、陽性件数は順調に減少を続けるが死者数はそれほど減少せず、2~3週間後に上昇する可能性もある。
実際、ヨーロッパ東とアジアで死者数がかなりの勢い増えている。ヨーロッパ東で流行している変異株はオミクロン株並みの感染力の強さと、デルタ株並みの致死力の強さを合わせ持つ。アジア東の株はヨーロッパ東のものと同様感染力が強く致死力も高いと考えられる。ヨーロッパ西やアメリカなどで死者数が減っているにもかかわらず、アジア東とヨーロッパ東で増えるので、世界の死者数はそれほど減らないか、あるいは増加傾向になる可能性もある。
C. 規制緩和の法則とワクチン暴力団
世界の陽性件数が急激に減少し、過完了率(三回以上(ブースター)接種を受けたものの人口に対する割合)も高まり、アメリカでは規制緩和を実施した。スーパーマケットなどではマスクが不要となるようだが、2月16日のウォルマートでは店員はほぼ100%、客は25%がマスクをしていた。アメリカでは、接種率が50%に達し、マスク着用の義務を無くすなどの規制緩和を21年7月から実施したが、すぐに陽性件数が急上昇し始め、慌てて、規制緩和を撤回したことがあったので、あまり信用されていないのかもしれない。ヨーロッパや日本でも規制緩和が計画されている。
世界では規制緩和を実施すると感染拡大するという法則がある。一昨年末の日欧米や昨年夏のカリブ海など例は多い。今の規制緩和は、国内向けではワクチン完了者だけに公共施設の利用を許可し、国外向けでは感染の少ない地域からの入国に際し、ワクチン完了者は入国のための検疫を簡略することが主になっている。
しかし、先週コックスモデルのパラドックスで示した通り、ワクチン完了率が高まると、感染者の中のワクチン完了者の割合も高くなる。日本は完了率は80%近いが過完了率は10%ないので、感染者の約60%がワクチン完了者になる。Worldometer によれば、日本には90万人の陽性患者がいる。だいたい54万人がワクチン接種者ということになる。ワクチン接種者は感染しても無症状であることが多いので、検査を受けない者も多いと思われる。潜在的にはもっと多くのワクチンを完了した感染者がいると考えられる。
ワクチン完了するともう自分は感染しないと勘違いしている者も多く、症状が出ても、自分は感染者でないと思っているので、熱や咳があっても人前に出る。人前でマスクをしたり、集近閉を避けるなどの予防をしなくなる。飲食店で大声でくっちゃべっているのはワクチンが完了したと思しきジジババばかりだし、人前でマスクをするように促されるとキレる連中は自分は接種しているから大丈夫と言っている。
世間では未接種のものから感染するという誤解も根強い。欧米ではワクチン未接種者は解雇され、レストラン等で食事もできないし、飛行機にも乗れない。未接種者を差別するだけでなく、暴力も世界各地で起きている。まさにワクチン暴力団といえよう。
政府はワクチン未接種だと重症化しやすい、死者の多くはワクチン未接種といっている。しかし、もしそうならば、そういう人たちはすぐに入院隔離となる。未接種者は感染や差別を避けるために必要以上には外へ出ないので、街にいる感染者の中の未接種者の割合はさらに少なくなる。従って、今感染している人は誰から感染したのか、というと、ワクチン接種をした感染者からの可能性が高い。
感染の少ない地域からの入国に際し検疫を簡略化するとかえって感染者が増える。それは、感染者の多くが空港で感染するからである。空港検査で陽性になるものは、空港に入る前にすでに感染している。ワクチンを接種しているので感染するとは夢にも思わない。空港内で彼らの近くにいれば感染する。空港で感染すれば、空港検疫には引っかからない。自宅等に戻って2~3日後に陽性になる。これを検疫のすり抜けという。理論上は空港検疫で100人の陽性患者が出たとすれば、約60~70人のすり抜けがいる。ワクチン未完了者は空港の外に出るのも難しいので、ここでも問題になるのは完了者である。もし彼らが入国後自由に行動したなら、感染が街中に広まるのは間違いない。実際に昨年夏のカリブ海での感染拡大はトラベルバブルが原因であった。
トンガは先週12週間ぶりの陽性件数が確認された。12週間前に初の陽性患者でた時、その患者は帰国後の隔離施設の中で陽性が確認された。そのまま隔離されていたので、市中感染には至らなかった。今回発生した日は、2、3、4、6、8、9、10、14と飛び飛びになっている。大きな荷物等が届いた後に検査をすると陽性患者が増えているのではないか、と考えられる。今、トンガでは先日の海底火山の噴火で大きなダメージを負っているために、世界から支援物資が送られてきている。輸送者の中に感染者がいれば、港湾労働者に感染するのは確実である。自衛隊が支援物資を届けた時も隊員の中に感染者が出た。ウイルスをトンガに持ち込まないようにするために、せっかくの物資が渡せずにいるという報道もある。しかし、中国は物資を送り続けているらしい。渡航者は入国後しばらく隔離されるようであるが、港湾労働者は仕事の後隔離されるという話は聞かない。港湾労働者が感染すれば、すり抜けと同じことが起こり、市中感染の恐れもある。
D. 日本の陽性件数は減少が始まる
日本の22年6週の陽性件数は65万8809件であった。トルコに次いで世界8位の多さである。また4週連続で過去最高を記録した。陽性件数の増加も10週連続となった。また22年の累計も193万2960件となった。これは世界15番目に多い。先週から順位を一つ挙げた。陽性件数の伸び率は前週比で12.4%に下がった。伸び率は4週連続で減少している。このペースでいけば、来週の伸び率はマイナス、つまり、陽性件数は減少に転じると予想される。
また22年6週の死者数は878人であった。これは、21年20週の791人を超えて、過去最高となった。アジア東では最も多かった。死者数は4週連続で増加となった。22年の累計死者数は1524人で、アジア東ではベトナム、フィリピンに次いで3番目に多い。死者数の伸び率は前週比で121%と相変わらず高いが先週よりは下がった。陽性件数の伸び率が下がっているので、死者数の伸び率もこれから下がると思われる。遅くとも3月初旬までには死者数も減少に向かうと思われる。しかし、オミクロン株ではゆっくり死に至る可能性もあるので、死者数が減少した後も要注意である。
残念なことに、日本でも規制緩和が実施され始めた。今は世界的に陽性患者が減少しているので、空港検疫での陽性件数も減少している。しかし、ヨーロッパ東やアジア東では陽性件数が増えている。今後、空港検疫での陽性件数が増加する可能性もある。そうなれば、日本で再び感染が拡大する。
E. ワクチン接種増加で感染が拡大するのか、感染拡大するからワクチン接種が増えるのか
22年6週は世界全体で 約1億6726万回ワクチンが接種された。前週比で18.2%増えた。22年の接種回数は11億7930万回弱となった。これは昨年に比べて2.2倍のペースである。
次の表は22年のワクチン接種回数上位20国地域の接種状況である。
これまでモナコでは21年38週以降接種が実施されたという報告はなかったが、2月12日の集計時に21年12月31日に接種をしたという報告があった。接種回数からすると、おそらく、38週以降もコンスタントに接種を続けたものの、何らかの理由で発表せず、その分を全部まとめて報告したと考えられる。今のところ22年は接種回数が0であるであるが、そのうち加わるかもしれない。
タークスカイコスで22年最初の接種が実施された。モナコや北キプロスなど14国地域で21年は接種をしていたが、22年はいまだに接種が実施されていない。北朝鮮など13国地域で過去に一回も接種がない。ルワンダやバングラデシュなど27国地域で2週以上連続で接種の報告がない。これら接種が止まっている54国地域のうち26国地域がアフリカで、12国地域ががオセアニアとなっている。
接種が止まっている国地域の中で最大の感染国はバングラデシュで、22年の陽性件数は31万4264件(47位)であるが、ここ2週間は陽性件数が減少中である。減少のペースは上がっているので、今後しばらくは減少が続くと思われる。実はバングラデシュは接種回数も多く(22年世界4位)、接種が止まる前までの1日平均の接種回数は1万641回で、オランダ、マルタ、ブータンに次いで世界で4番目に多かった。完了率は35.7%である。ブースター数は少ない。接種が止まっている国地域での人口100万人あたりの陽性件数は平均して1日に51件であるが、接種を継続している国地域では380件である。次の表は22年の陽性件数の多い上位20国地域の接種状況である。
ワクチンを接種する方が感染が大きいのか、感染が大きいからワクチンを接種するのか、微妙なところである。
次の表は22年6週の接種回数の多い上位20国地域の接種状況である
57国地域で接種回数が先週より増えた。先週接種回数が0だったために伸び率無限大となったところが前述のタークスカイコスを含めて17国地域ある。無限大を除く伸び率最大はエストニアで16151%増である。
世界の完了率は53.6%となった。WHOの目標としている完了率40%以上のところは143国地域になった。アフリカでは58国地域中、セーシェル、モーリシャス、ルワンダ、ボツワナ、モロッコ、セントヘレナ、チュニジア、カボベルデの8国しか完了率40%以上を達成していない。また、ヨーロッパ東でも23国中、ウクライナなど8国で完了率が40%未満である。下の表は完了率の高い国上位20国である。
22年6週は1億7600万回ほどのブースターが行われた。前週比で約4倍増となったが。中国で22年1週以来約1ヶ月ぶりにブースタ数が更新され、大幅に増えたためである。22年のブースター回数は4億8000万回を超えた。総接種回数のうちのブースターの割合も41%になった。
モナコ、ブルネイ、インドネシア、カタール、ウクライナでブースターが実施された。一方、ウズベキスタンからブースターの記録が消えた。それだけでなく接種回数自体も大幅に減少した。
三回以上接種した者の割合である過完了率は14.9%となった。過完了率40%以上の国はヨーロッパ西を中心に37国地域にのぼる。ヨーロッパ西全体の過完了率は53.7%と極めて高い、一方、アフリカでは1%に満たない。そもそも完了率も10%程度なので、ブースターできる人が少ない。
下の表は過完了率の高い国上位20国である。
大陸別の現在の完了率と過完了率は下のグラフの通りである。
F. 感染率
感染率は今までの陽性件数ををその国の人口で割ったもので、どのくらいの人が新型コロナに感染したのかを表している。本来なら、陽性件数から死者数を引いて現在生存している過去に感染したものの割合を計算すべきであるが、新型コロナに感染したがそれが原因でない死者数の統計が見当たらないので、単純に計算した。致死率は1%ほどなので、統計的には十分であると思われる。下の表は感染率の上位20国の感染状況である。
感染率の最も高いところはデンマーク領のフェロー諸島で56%になる。陽性件数の重複がなければ、フェロー諸島では冬眠の半分以上が新型コロナに感染したということである。ヨーロッパ西で感染率が高いが30%ほどである。日本の感染率は2.9%、世界全体の感染率は5%である。100年前のスペイン風邪では世界で27%が感染したと言われている。そして、あらかた感染したから終息したと言われている。そこからすれば、まだまだ感染は終わらない。オランダやデンマーク、ジョージアでは感染率が30%を越えているが、いまだに感染拡大を続けている。
人口、陽性件数、死者数はWorldometer のものを、ワクチン接種回数などは Github のデータを利用している。Worldometer や Github で扱っていない国地域の統計は Google のデータを用いる。北キプロスの陽性件数と死者数は、政府の発表するデータを用いる(https://saglik.gov.ct.tr/COVID-19-GENEL-DURUM)。面積、GDP、地図、その他の情報はウィキペディアと外務省(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/index.html)を利用している。それ以外のもの、例えばニュースや論文に関しては出典を本文に記す。数値はアメリカ中部時間の2月14日22時時点で得られた最新の値を利用している。2月14日以降に修正あるいは追加されたデータは含めない。従って、他の新型コロナ統計サイトの数値とは異なることもある。2月14日以前に修正あるいは追加されたデータは過去の号の統計にも反映させている。今号の統計とは異なるものもある。データの違いが大きくなる修正は本文で言及している。テーマ地図は mapchart.net のサービスを利用して作成している。