2021年の新型コロナ統計 5/28 240カ国
はじめに
5月28日の2021年の新型コロナ国別ランキングである。新型コロナ関連サイトでは累計感染者数も死者数も一律に発生当初からの累計数を表示している。2020年は結構な数の感染者数を記録したが、2021年はあまり感染者を出していない国と、逆に2020年はあまり感染者をだしていないが、2021年は結構な数の感染者を出した国とでは、例え、累計感染数が同じであったとしても、現在の感染状況は全く異なる。一般的に、2021年の累計順位は2020年からの累計順位よりも高いところは、今年に入ってからの感染が昨年よりもひどくなっていることを意味する。多くのメディアでやっているような2020年からの感染数を見ているだけでは、感染状況を見誤る恐れもある。
そこで、2021年の新型コロナに関する様々な指標を、感染数や死者数は Worldometer のデータを、ワクチン接種数は Github のデータをもとに計算し、2021年の累計感染数でランキングにした。また、毎週の新規感染数や死者数は独立に第10位までランキングを作った。
5月14日までの2021年累計感染数による順位
2021年5月28日までの累計感染数による順位、Worldometer の累計感染数(Total cases)による順位、2021年5月28日までの累計感染数、その昨年との比較、今週(5月22日から28日まで)の新規感染数、その先週(5月15日から21日までの新規感染数)からの増減、その連続増減週数、人口100万人当り1日平均新規感染数、2021年5月28日までの累計死者数、その昨年との比較、今週(5月22日から28日まで)の週間死者数、その先週(5月15日から21日までの週間死者数)からの増減、その連続増減週数、人口100万人当り1日平均死者数、2021年5月28日までの累計ワクチン接種数、ワクチン接種率をリストし、2021年1月1日からの累計感染数でランキングをした。今回は全ての国を載せてみる。
また、感染数の昨年比、新規感染数、新規感染数の増減、累計死者数、死者数の昨年比、週間死者数、週間死者数の増減、ワクチン接種数、ワクチン接種数の増減、ワクチン接種率については、それぞれ上位10カ国を別にリストアップした。
A1. アジアと南米で感染数が増えている。
累計感染数トップ5の順位は変わらないが、アルゼンチンが先週の9位から6位にランクアップした。その結果、イギリス、イタリア、ドイツが一つづつ順位を落とした。11位のコロンビアもアルゼンチン同様3位ランクアップした。そのため、スペイン、イラン、ポーランドも一つづつ順位を落とした。先週60いいか出会った、バーレーンとタイがそれぞれ59位、60位に入った。先週の59位スロベニアと60位リトアニアは共に60位以下となった。
順位を上げたところは赤字に、3位以上上げたところは赤の斜字体にしている。上位60カ国のうちで順位の上がったところはアルゼンチン、コロンビア、ペルー、日本、マレーシア、ネパール、カザフスタン、エクアドル、ボリビア、コスタリカ、バーレーン、タイの12カ国である。順位を上昇させた国々は、2021年の累計順位が2020件からの累計順位よりも高くなっており、
今週の新規感染数が多かったり、新規感染数が先週よりも増えたりしている。
また、順位を上昇させた国々は南米とアジアに偏っている。60位以下でも同様の傾向が見られる。特にスリランカ、ベネズエラ、モンゴル、カンボジア、アフガニスタン、セーシェル、東ティモール、台湾、ベトナムで3位以上順位を上げている。特にベトナムは9位、台湾に至っては22位も順位を上げている。これらの国々でも、今週の新規感染数が多いか、新規感染数が先週よりも増えたかしている。
順位を下げたところは青字にしている。順位を下げているのはほとんどがヨーロッパである。今週の新規感染数が10万人を超えることはなく、数万人規模の新規感染があっても、先週より新規感染数が少なく何週にもわたって減少が続いている。イギリスなど青字順位でもそうでもないところはあるが、そういうところは、先週までは減少傾向であったところである。
また100位以下は順位に色付けはしていない。コソボと北キプロスはWorldometer ではリストされていないので、感染数等はそれぞれセルビアとキプロスに含まれていると思われる。しかし、GitHub ではワクチン接種数で独立に集計されていると考えられ、また Google や Wikipedia ではコソボの感染状況が独立に表示され、北キプロスもつい数ヶ月前までは独立に表示されていたので、ここでは順位付けはしないが、特にリストアップすることにした。また、MSザーンダムやダイアモンドプリンセスのようなクルーズ船は2021年に新規感染が発生するとは考えられないので順位付けはしていない。
A2. カザフスタンは死者数修正
2021年累計感染数46位のカザフスタンは今週の死者数がマイナスになっている。先週のフランス同様、新型コロナが原因による死亡の定義を見直し、過去に遡って定義に合わないものを除いた結果、5月28日の死者数が5月21日より少なくなったと思われる。おそらく過去の死者数も修正されている。この定義の変更が正しいかどうかは不明である。従ってデータはそのままで該当部分の背景を青にしている。
カザフスタンは昨年7月にも感染数及び死者数の数を大幅に修正したことがある。この時は、カザフスタンでは7月1日の1日だけで約2万人の新規感染数を出した。6月中は徐々に新規感染数が上がりつつあったが、1日平均で300人程度であった。いわゆる実行再生産係数はその時は1.5程度だったので、10日くらいあれば2万人に達するが、1日ではほぼ不可能な値で、他国から感染者が大量にやってきたと可能性が高い。個人的には、故郷を接する中国の新疆ウイグル自治区から、中国の虐待を恐れ逃走してきたものと考えている。感染数の多さから、数十万規模で逃走したのではないかと推測される。おりしも中国は6月末にウイグル虐待強化政策を発表していたので、逃走は短期間のうちに行われたと思われる。中国は7月末にカザフスタンとキルギスで原因不明の肺炎による大量死があったと発表した。その直後に、カザフスタンは7月1日以前の感染者数の数字が今まで発表していた数の一律に1.34倍になるように修正した。修正後は、感染数のグラフのカーブが、近隣のウズベキスタンと似たものとなり、自然に感染数が増えているように見える。もちろんカザフsたんも中国もこのような個々とは一切発表ていない。というわけで、今回のカザフスタンの死者数の修正は、単なる定義変更による修正ではなく、何かしら不都合な事実を隠すために行なった可能性もある。
A3. 世界全体での新規感染数は減少傾向にある。
5月22日から28日までに世界全体では約366万人の新規感染があり、2021年の累計感染数は8500万件を超えた。これは昨年の感染数の101.7%に当たり、先週から指摘されていたが、昨年の総感染数を超えた。しかし新規感染数は先週の比べ30万近く減り、これで4週連続の減少である。また、世界で約8万人の死者があり、2021年の累計死者数は170万人を超えた。これは昨年の死者数の92.8%に当たる。死者数は先週に比べて7000人減少しており、4週連続の減少である。このペースでいけば、2週間後に死者数は昨年の死者数を超えるだろう。
下の図は、アメリカ(緑)、インド(青)と世界(灰)の新規感染数の時系列グラフである。
世界のグラフは2月19日まではアメリカの減少傾向と、3月5日以降はインドの上昇傾向と合わせている。5月17日から28日にかけては世界の減少の傾斜がインドの傾斜よりも緩やかになって、ちょっと跳ね上がっているように見える。これは、台湾やベトナムなどアジアやアルゼンチンなど中南米で5月17日以降感染が急増したためである。インドでの減少の幅が大きいので、全体としては減少傾向であるために見逃しがちであるが、重要なポイントである。また、上位10カ国の新規感染数の時系列グラフは下のようになる。
ブラジルは減ってはいるのだが、ペースが他国と比べて遅い。アルゼンチンも多少の上下はあるが増加傾向である。また、ロシアも新規感染数が全然減少しなくなった。イギリスが増加したのは気に掛かる。減少中でも1週間くらいは増加に転じることはよくあることなので、次週がどうなるか興味深い
B. 5月28日感染数昨年比上位10ヵ国
1。セントヘレナ(214位)∞ 2
1。ミクロネシア(215位)∞ 1
3。東ティモール(142位) 14,905.0% 6,578
4。ウォリスとフトゥナ(194位) 11,025.0% 441
5。カンボジア(103位) 7,787.4% 27,879
6。ラオス(174位) 4,546.3% 1,864
7。モンゴル(92位) 4,478.0% 54,632
8。セーシェル(127位) 3,952.7% 10,870
9。タイ(60位) 1,924.0% 137,813 ↑
10。パプアニューギニア(122位) 1,893.2% 14,767 ↓
48。日本(27位)213.1% 499,492 ↑↑
( )は2021年累計感染数の順位。数字は感染数昨年比、2021年の感染数、
昨年の感染数が0で今年が0でない時は昨年比は∞になる。
世界では101.7%である。115ヵ国で100%を超えた。昨年の感染数が少なければ、昨年比は大きくなるので、2021年の感染数も比較的少ない国が上位になる。感染数上位60ヵ国の中では、タイ(1,924.0%、60位)、ウルグアイ(1,328.6%、42位)、マレーシア(377.5%、31位)、パラグアイ(221.4%、45位)、日本(213.1%、27位)が200%以上、つまり昨年の2倍以上の感染数を出している。いずれもアジアと南米である。
C1. 5月22日から28日の新規感染数上位10ヶ国。
1。インド(1位) 1,434,362、−478,464、3週連続減少中
2。ブラジル(3位) 416,501、−38,342、2週連続増加でストップ
3。アルゼンチン(9位) 219,910、+6,864、 3週連続増加中
4。アメリカ(2位) 160,259、−38,126、6週連続減少中
5。コロンビア(14位) 150,517、+42,927
6。イラン(12位) 70,299、−13,501、6週連続減少中
7。フランス(5位)65,546、−27,649、6週連続減少中、先週ランク外
8。 ロシア(10位) 60,614、−330、2週連続増加でストップ
9。トルコ(4位) 58,371、-16,190、6週連続減少中、↓↓
10。ネパール(43位)52,059、-5,335、2週連続減少中
19。日本(28位)29,728、-8,884、2週連続減少中、↓↓↓↓↓
( )内は2021年累計感染数順位、新規感染数、+ーは先週からの増減、矢印一つで1個のランク変化
先々週の新規感染数で7位のフランスが、 5月21日に謎の累計感染数の数字を修正したために、先週の新規感染数がマイナスになりランク外にした。フランスは5月21日だけでなく2020年3月までの全ての数字を変更していたので、こちらの統計の数字をこの新しい数字に変更したところ先週の新規感染数でフランスは第6位であった。従って先週第6位のイランは7位であったなど、7位以下の順位が一つづつ繰り下がることになるのだが、ここでは先週の順位はそのままにしておく。その中でもトルコは順位を二つ下げた。また、先週8位のドイツは大幅に新規感染数を減少させて15位になった。
世界の新規感染数は3,656,813で先週より285,836減らした。世界の半数199ヵ国地域と過半数を占めるが、アルゼンチン、コロンビア、チリなどの中南米勢、マレーシア、インドネシア、イラク、などのアジア勢で新規感染数を大きく増やしている。
C2. 5月22日から28日の人口100万人あたりの新規感染数上位10カ国
1。モルジブ(96位)2455.6
2。セイシェル(127位)1994.8
3。バーレーン(59位)1650.7
4。ウルグアイ(42位)969.9
5。アルゼンチン(6位)689.4
6。仏領ギアナ(128位)459.4
7。コロンビア(11位)418.6
8。パラグアイ(45位)415.1
9。コスタリカ(57位)414.0
10。スリナム(135位)377.6
96。日本(27位)33.7
( )内は累計感染数順位。
順位の低い国が多いが、そういう国は人口も多くないので、割合にすれば高くなる。従って、感染数が少ないからといって安全だということはない。4位から10位までは全て中南米である。アメリカのニューヨーク州はこの数字が100を超えた州からニューヨークへ来るものを規制していたが、100を超える国地域は51ある。アメリカは68.8で70位、イギリスも41.4で88位と低い。日本33.7で99位と実は低く、第3波、第4波の最中でも100を超えたことは無い。
D1. 今週の新規感染数が前週よりも減った国
1。インド(1位) −478,464(1,434,362)3週連続減少中
2。ブラジル(3位) −38,342(416,501)ランク外
3。アメリカ(2位) −38,126(160,259)6週連続減少中
4。フランス(5位) −27,150(65,546)5週連続減少中 ↓↓
5。ドイツ(9位) −27,150(58,371)5週連続減少中 ↑
6。トルコ(4位) −16,190(58,371)6週連続減少中 ↓↓
7。イラン(13位) −13,501(70,299)6週連続減少中 ↓↓
8。カナダ(21位)−11,562(22,154)6週連続減少中 ↑
9。スウェーデン(24位) −11,083(10,132)6週連続減少中 ランク外
10。ウクライナ(15位) −10,643(21,291)2週連続減少中 ランク外
13。日本(27位) −8,884(29,728)2週連続減少中 ↑
( )内は2021年累計感染数順位。数字は前週からの増分、( )内は今週の新規感染数。
インドの新規感染の減少具合は桁違いであるが。新規感染数も桁違いである。先週のフランスは累計感染数を修正して大幅に減少させたため、新規感染数の減少具合も非常に大きかったので2位としたが、ランク外にした方が適切であった。
順位の変動が激しい、ランク外から10位以内に入った国が3つもある。ブラジルは先週の新規感染数は先々週に比べ増加であった。新規感染数が減少しているところはヨーロッパが多い。インドやネパールなど3週間ほど前に感染増を指摘した国では減少に転じている。しかし、新たに、台湾やベトナムなどで新規感染数が急増している。
D2. 今週の新規感染数が前週よりも増えた国
1。コロンビア(11位) +42,927(150,517)ランク外
2。マレーシア(31位) +14,114(50,719)2週連続増加中 ↑↑↑
3。イギリス(8位) +8,683(19,782)ランク外
4。インドネシア(16位) +8,358(38,717)ランク外
5。アルゼンチン(6位) +6,864(219,910)3週連続増加中 ↓↓↓↓
6。南アフリカ(26位) +6,274(26,216)4週連続増加中 ↑↑
7。バーレーン(59位) +5,597(20,274)5週連続増加中 ↑↑
8。イラク(25位)+4,222(29,857)ランク外
9。パラグアイ(45位) +3,364(20,955)3週連続増加中 ランク外
10。アラブ首長国連邦(38位) +3,071(12,531)ランク外
こちらも順位の変動が激しい、ランク外から10位以内に入った国が6つもある。パラグアイ以外は先週の新規感染数は先々週に比べマイナスであった。中南米とアジアが多い。今まで順調に感染数を減らしていたイギリスで新規感染数を大幅に増やしている点が気に掛かる。再び新たな変異種が出てきた可能性もある。
E. 5月14日までの2021年累計死者数上位10ヶ国。
1。ブラジル(3位) 263,730、134.9%
2。アメリカ(2位) 252,516、70.8%
3。インド(1位) 173,179、116.1%
4。メキシコ(17位) 96,850、77.0%
5。ロシア(10位) 62,851、109.2%
6。ドイツ(9位) 54,496、158.5% ↑
7。イギリス(8位) 53,643、72.4% ↓
8。イタリア(7位) 51,298、68.7%
9。ポーランド(14位) 44,601、154.0%
10。フランス(5位) 44,525、 65.7%
30。日本(27位) 9,254、267.5%
( )内は2021年累計感染数順位、死者数、昨年比
世界全体では2021年だけで1,702,647の死者が出ている。これは昨年の92.8%にあたる。インドの昨年比が100を超えた。イギリスとドイツの順位が入れ替わった。
F. 5月22日から28日の死者数上位10ヶ国。
1。インド(3位) 26,876、−2,403、11週連続増加でストップ
2。ブラジル(1位) 12,644、−1,098
3。アメリカ(2位) 5,553、+1,459、4週連続減少でストップ
4。コロンビア(11位) 3,488、+19、3週連続増加中 ↑
5。アルゼンチン(12位) 3,302、−236、2週連続減少中 ↑
6。ロシア(5位) 2,667、+44、3週連続増加中
7。メキシコ(4位) 1,577、+398、ランク外
8。ペルー(14位) 1,409、−844 ↓
9。イラン(19位) 1,374、-387、4週連続減少中 ↓
10。トルコ(18位) 1,294、-350、4週連続減少中 ↓
20。日本(30位) 668、−123、6週連続増加中でストップ ↓
( )内は累計死者数順位、+ーは先週からの増減
先週世界全体では約8万人の死者があった。そのうちの3分の1はインドである。アルゼンチンとコロンビアの順位が入れ替わった。また、メキシコがランク外から7位になった。10位のウクライナがランク外になった。アメリカで死者が急増したことが気に掛かる。
98の国と地域で死者数が先週よりも減少した。また、60の国と地域で死者数が増えた。
G1. 今週の死者数が前週よりも減った国
1。インド(3位)−2,403 11週連続増加でストップ ランク外
2。ブラジル(1位)−1,098 ランク外
3。ペルー(14位)−844 ランク外
4。ポーランド(9位)−514 ↓↓ 6週連続減少中
5。イラン(19位)−387 ↓↓ 4週連続減少中
6。ウクライナ(13位)−350 ↓ 2週連続減少中
7。ドイツ(6位)−399 ランク外 4週連続減少中
8。ネパール(44位)−332 ランク外 6週連続増加でストップ
9。エクアドル(35位)−292 ランク外 2週連続増加でストップ
10。トルコ(18位)−245 ↓↓ 4週連続減少中
( )内は2021年累計死者数順位
G2. 今週の死者数が前週よりも増えた国
1。アメリカ(2位) +1,459、3週連続減少でストップ ランク外
2。メキシコ(4位) +398、ランク外
3。ボリビア(41位) +161、5週連続増加中 ランク外
4。パラグアイ(1位) +144、2週連続増加中 ランク外
5。スリランカ(78位) +108、5週連続増加中 ランク外
6。マレーシア(62位) +76、5週連続増加中 ランク外
7。バーレーン(105位) +67、3週連続増加中 ランク外
8。台湾(146位) +60、2週連続増加中 ランク外
9。アフガニスタン(100位) +48、2週連続増加中 ランク外
10。ロシア(5位) +44、2週連続増加中 ↓
( )内は2021年累計死者数順位
ロシアは順位を一つ落とした以外は全て10い以下からの急上昇である。特に、1位、2位のアメリカとメキシコは先週の死者数は先々週より減少していたが、再び増加に転じた。
H. ワクチン接種で独立国かどうかがわかる
今週は先週より2400万回以上も多い、2億1800万回のワクチンが接種され、累計で約18億4300万回になった。5月末に、英領バージン諸島、英領ピトケアン島、クック諸島でもワクチン接種が始まった。これで、212の国と地域でワクチン接種が実施されるようになった。Worldometer の Coronavirus Update でリストされている222の国と地域の中でワクチン接種が始まっていないところは20カ国地域となった。全て2021年累計感染数が1万6000件以下で、8地域がフランス海外領土、ブルキナファソ、ハイチ、チャドがフランス領、バヌアツがイギリスフランスの共同統治どいう、実に半数以上がフランス関連である。また、英領ピトケアン島、クック諸島では新型コロナの感染者の報告は昨年からない。感染の報告がない国地域14地域でも8ヵ国および地域でもワクチンが接種されるようになった。
ただしワクチン接種は始まったようだが、リビア、ボツワナ、アルジェリアをはじめとして21の国と地域で接種数の更新が2週間以上行われていない。多くはコバックスの対象となる途上国であり、18の国と地域がアストラゼネカのワクチンを接種している。もしかしたら、もっと感染のひどいところのにワクチンを回し、これらの国や地域は後回しにされているのではないかと勘繰ってしまう。しかし、これら更新の滞っている国地域を合わせると、累計感染数は25万件近くになり、新規感染数も8000以上となり、しかも感染数の増えている国が大半である。
セルビアのワクチン接種率は50%に上るが、コソボはわずか2.95%である。また、コソボではアストラゼネカしか接種されていないが、セルビアではアストラゼネカ以外に、ファイザー、シノファーム、スプートニクも接種されている。明らかに、セルビアに輸入されたワクチンがコソボには配分されていない。交流がないか、中国のようにセルビアがコソボを差別しているかのいずれかである。北キプロスもキプロスに比べ接種率が低く、接種するワクチンも別々である。おそらく供給先が異なっている。ワクチンの接種状況から、コソボと北キプロスは独立国なのだなということが実感される。
H1. 5月21日のワクチン総接種数上位10ヶ国
1。中国(152位) 602,991,000、 41.89%、0.00%、3(12/15~)
2。アメリカ(2位) 292,099,778、87.78%、40.13%、3(12/15~)
3。インド(1位) 203,166,802、 14.59%、3.06%、2(1/15~)
4。ブラジル(3位) 66,432,341、 31.05%、10.22%、3(1/16~)↑
5。イギリス(7位) 63,960,763、 93.77%、36.49%、3(12/23~)↓
6。ドイツ(8位) 49,255,748、 58.62%、16.90%、4(12/27~)
7。フランス(5位) 35,630,161、 54.48%、16.59% 、4(12/27~)
8。イタリア(6位) 33,569,788、55.60%、19.05% 、4(12/24~)
9。メキシコ(17位)29,861,331、22.94%、9.47%、5(12/24~)↑
10。トルコ(4位) 28,730,177、 33.74%、14.42%、2(1/13~)↓
21。日本(29位)11,176,328、8.86%、2.43% 1(2/17~)↑↑↑、
()内は2021年累計感染数順位。接種数、接種率、完了率、接種ワクチンの種類数とその開始日。
ブラジルとイギリス、メキシコとイギリスで順位が入れ替わった。ロシアが順位を一つ下げた。入れ替わりにメキシコが10位に上がった。日本も接種数では21位へと3ランクアップした、総接種数で1000万回を超えた。あまりニュースでは取り上げられていない。
H2. 5月22日から28日のワクチン接種数上位10ヶ国
1。中国(1位) 119,648,000、 +16,938,000
2。インド(3位) 15,279,917、 +7,039,445、↑
3。アメリカ(2位) 10,504,427、−2,652,258、↓
4。ブラジル(5位) 9,894,762、 +5,450,425、↑
5。ドイツ(6位) 4,870,534、 −100,388、↓
6。イギリス(4位) 4,162,341、+382,908、
7。メキシコ(10位) 3,712,383、−23,280、
8。イタリア(8位) 3,566,409、 +63,881、↑
9。フランス(7位) 3,430,376、 −301,597、↓
10。日本(21位) 3,185,930、+788,968、↑
()内はワクチン接種数順位。+ーは前週からの増減
順位の入れ替わりが激しい。日本は1週間のワクチン接種数でようやく10位に入った。まだまだ、接種率完了率ともに低いがペースとしては欧米に追いついた。中国では1週間で1700万回の接種を行なった。世界のワクチンの半分以上が中国で接種されたことになる。下の図は、インド、中国、アメリカの毎週のワクチン接種回数のグラフである。接種開始後は、三国とも同じようなペースで接種回数を増やしていたが、4月半ばからインドとアメリカは接種数をやや減らしているのに対し、中国は爆発的に接種回数を増やしていることがわかる。これを中国の科学力がすごいと捉えるか、中国がワクチンを独占しているかと捉えるかで、為人がわかろう。
というのも、中国からワクチンが供給されている国は68カ国になる。このうち34の国と地域で接種数が先週より減少している。その数は約650万回になる。他に7国からワクチン接種をしたという報告のない。また、先週よりももワクチン接種回数が増えた国でも、接種数がわずかしか増加していない国も多い。本来ならこれらの国に供給する分を自国で接種している可能性がある。1700万回のうち、700万回をこれらの国に回せば、接種数は全て先週を上回り、摂取率の改善にもつながると思うのだが。
H3. 5月28日のワクチン接種率上位10ヶ国
ワクチン接種率は単純にワクチン接種回数をその国の人口で割ったものである。二回接種のワクチンもあるので、ワクチン接種回数はワクチンを接種した人の数ではないので、接種率もワクチンを受けた人の割合ではない。が、ワクチンがどれくらい行き渡ったのかの目安にはなる。完了率はワクチン接種が終了した人の割合である。
1。ジブラルタル(167位) 229.29%、 77,231、1(1/10~)
2。セーシェル(127位) 135.97%、 134,475、2(1/9~)
3。アラブ首長国連邦(38位) 116.38%、 12,756,630、4(12/23~)↑↑
4。サンマリノ(165位) 124.94%、42,476、2(2/27~)↓
5。フォークランド諸島(205位) 123.41%、4407、1(2/7~)↓
6。ケイマン諸島(197位) 120.63%、 80,120、1(12/26~) ↑
7。セントヘレナ(214位)、116.38%、7,091、 1(2/3~)↓
8。マルタ(116位) 115.07%、 509,312、3(1/17~)↑↑
9。イスラエル(34位) 113.43%、 10,578,163、 2(12/19~)↓
10。バミューダ(173位) 110.88%、 68,882、1(1/10〜)↓
130。日本(28位) 8.86%、11,176,328、 1(2/17~)↑↑↑
( )内の順位は2021年の累計感染数順位、摂取率、接種数、接種ワクチンとその開始日
接種率の上位は人口の低い国が占める。従って感染数の少ない国ばかりである。この中で感染数も多い国はアラブ首長国連邦とイスラエルの二つである。上位60ヵ国ではチリ、バーレーン、イギリス、モンゴルが90%以上、ハンガリー、カタール、アメリカ、モルジブが80%以上である先週より2カ国増えた。ヨーロッパはほとんどが50%以上である。
また、Worldometer でも Github でもアメリカの海外領土はアメリカの統計に含まれるが、イギリス、フランスなどアメリカ以外では自国の統計には含まれないので、海外領土を除いた独立国だけの接種率の上位10カ国は次のようになる。
1。セーシェル(127位) 135.97%、 134,475、2(1/9~)
2。アラブ首長国連邦(38位) 116.38%、 12,756,630、4(12/23~)↑
3。サンマリノ(165位) 124.94%、42,476、2(2/27~)↓
4。マルタ(116位) 115.07%、 509,312、3(1/17~)↑
5。イスラエル(34位) 113.43%、 10,578,163、 2(12/19~)↓
6。チリ(22位) 95.57%、18,411,274、2(12/24~)
7。バーレーン(59位) 95.27%、1,671,687、4(12/23~)
8。イギリス(8位) 93.77%、63,960,762、3(12/23~)
9。モンゴル(92位) 91.02%、3,027,240、4(2/22~)ランク外
10。ハンガリー(28位)89.85%、8,659,977、5(12/28~)ランク外
科学的に東京オリンピックは開いても大丈夫
日本は5月22日から28日の間に29,728件の新規感染が確認され、累計感染数は499,492件となり、2021年累計が先週の28位から27位へと上昇した。今週は先週よりも新規感染8884が減った。先週の「おそらく増加傾向はこれでストップする」の予想通りの結果になった。減少具合は先週よりも大きくなったので、来週も新規感染数は減少するだろう。人口100万人あたりの1日平均の新規感染数もさらに減り、33.7となった。
5月22日から28日の間に688人の死者があり、2021年累計死者数は9,254人となり。順位は30位のまま変わらないが、今週は先週より123人減り、6週連続で増加していたがストップした。人口100万人あたりの1日平均の死者数は0.8人で少し下がった。新規感染数が減少傾向になれば、死者数も2、3週間後に減少傾向となるので、死者数もこれからは減少すると思われる。
5月22日から28日の間に3,185,930回のワクチン接種をした。これは先週より788,960回増え、世界第10位の規模となった。総接種数でも11,716,328回と100万回を超え、第21位と上昇した。これから大規模接種が始まるので、さらにワクチン接種数は増えるであろう。
オリンピックがどうのこうの言われているが、大規模集客イベントで感染クラスターが起こった例はない。大相撲や日本のプロ野球では昨年から観客数を50%に絞って開催しているが、観客にクラスターが起こった例はない。アメリカのメジャーリーグやスーパーボウルでも観客にクラスターは発生していない。力士や野球選手が新型コロナにかかったケースは報告されるが、すべて試合以外の会食が原因である。これらのイベントは立派な科学的実験であり、今のところ全て成功している。オリンピックでも大相撲方式で行けば大丈夫であろう。
今度は東南アジアで感染爆発。
長らく感染爆発を起こしていたインドでようやく新規感染数が減少傾向となってきた。ネパール、スリランカ、タイ、モルジブ、ラオス、パプアニューギニア、シンガポールでも新規感染数が減少している。しかし、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、東ティモール、台湾で感染数急増が見られる。やや東側に移った感じである。せっかく減らしていたオーストラリアでも今週は再び感染数が増加となった。ベトナムと台湾ではほとんど死者が出ていなかったが、ここ1ヶ月ほど死者も急増している。インドなどの感染爆発は特に何の対処もしないままに減少傾向に向かっているようである。ここで流行したウイルスは感染力も致死力も強いが、長続きしない傾向が見える。
中南米も要注意。
2021年感染数で先週9位だったアルゼンチンがランクを3つもあげた。今週の新規感染数はインド、ブラジルに次ぐ第3位の219,910件で、先週よりも6864件増えた。これで3週連続の増加である。2021年の累計死者数は33,374人となり12位であるが、今週の死者数は3302人でこちらは第5位である。先週より236人減ったが、4月以降死者数は増え続けており、来週は再び増加すると思われる。アルゼンチンだけでなく、中南米では新規感染数が増えている。コロンビア、ペルー、エクアドル、コスタリカ、ベネズエラでも順位が上がっている。
フランスのコロナ対策はお粗末
2021年感染数5位のフランスは今週約6万件以上の新規感染があった。表では33万人以上の減少となっているが、これは先週の修正分を含んでいるので正確ではない。5月14日の修正値を使うと、先週の新規感染数は93,000ということになり、今週はそれより2万7000人ほど減らしたことになる。詳細はよくわからぬが、フランスの発表を信じて、減少したことにしておこう。今週の死者数は853人で先週よりも245人減らした。こちらは修正がないので、5週連続の減少である。今週は340万回以上のワクチン接種を行なった。先週より30万回以上減らしている。接種率は54%、完了率は17%となっている。サノフィがワクチンを開発できなかったり、海外領土でのワクチンが実施しなかったり、再び感染数を修正したり、2020年の致死率は15%で世界第4位(平均が6%)であったりと、フランスの新型コロナ対策はお粗末である。